米国株 今週の総括と来週の戦略|S&P500・ナスダックの展望(2月22日)

藤原
2/22の原稿を記事としてアップするのが遅くなってしまいました。申し訳ございません。

先週の振り返り(S&P500・ナスダック)

先週の米国株式市場は、主要指数が下落して終了しました。S&P500指数は6,013.13で、前週比1.66%の下落となりました。

ナスダック総合指数は19,524.01で、前週比2.2%の下落です。市場は、弱い経済指標やFRBの金融政策に対する不透明感、新型ウイルスの検出など、複数の要因に影響を受けました。

 

市場の主要トピック

FRBの利下げ観測強まる

2月14日に発表された弱い経済指標を受け、年内の利下げ期待が再浮上しています。市場では、年内に2回以上の利下げが織り込まれる動きが見られます。

新型ウイルスの検出

中国で新たなコロナウイルスが検出され、パンデミックの可能性が報じられています。これにより、世界経済への影響が懸念され、市場の不安材料となっています。

主要企業の決算発表

エアビーアンドビー(Airbnb)が四半期決算で増収を報告し、株価が14%上昇しました。一方、アプライド・マテリアルズ(Applied Materials)は第2四半期の売上高が予想を下回り、株価が8%下落しました。

 

強気 or 弱気のトレンド判断

現在の市場は「中立からやや弱気」と判断されます。

主要指数の下落や経済指標の悪化、FRBの金融政策の不透明感などが相場の重しとなっています。

一方で、年内の利下げ観測が引き続き支えとなる可能性があり、来週の経済指標次第で市場の方向性が再評価されるでしょう。

 

金曜マーケットの重要ポイント

今週末の市場では、S&P500は6,000を維持できるか、ナスダックは19,500のサポートを死守できるかが大きなポイントでした。

  1. S&P500は6,013.13でクローズし、節目の6,000を上回る水準を維持しました。ただし、上値は重く、買いの勢いが衰えつつあります。
  2. ナスダック総合指数は19,524.01で、19,500をかろうじて維持しました。週末にかけてボラティリティが高まる展開となりました。
  3. VIX指数は前日比1.8%上昇し、市場の不安感がやや強まったことを示しています。

 

来週の重要イベントと予測

主要経済イベント

  1. 2月24日(月):イスラエル中銀金融委員会会合
  2. 2月28日(金):米国第4四半期GDP改定値(市場予想:前期比+3.0%)
  3. 3月1日(土):米国ISM製造業景況指数(予想:50.5)

GDPとISMに注目!

GDP改定値とISM指数は市場の景気認識に影響を与える重要指標。ISMが50を下回る場合、景気減速懸念が強まり、FRBの利下げ期待が一層高まる可能性がある。

企業決算

来週の注目決算

  1. NVIDIA(NVDA):半導体セクターの動向を左右。AI需要が引き続き強いかに注目。
  2. セールスフォース(CRM):SaaS市場の成長動向を示唆。
  3. ブロードコム(AVGO):半導体業界全体のセンチメントに影響。

NVIDIA決算のインパクトに注目

特にNVIDIAの決算が市場全体に与える影響は大きい。好決算ならナスダックを押し上げる要因となるが、期待を下回れば急落のリスクも。

政治・地政学リスク

ウクライナ侵攻3周年(2月24日)

ロシアのウクライナ侵攻から3年が経過。反戦デモや支援活動の活発化が予想され、欧米諸国の対ロシア制裁が再度議論される可能性あり。

米国の対外援助停止問題

トランプ政権は1月26日、米国の対外援助プログラムの一時停止を発表。ウクライナを含む多くの国で影響が広がりつつあり、欧米の外交政策に変化が出る可能性。

中東情勢の不安定化

イスラエル・ガザ情勢が再び緊迫。市場への影響は限定的だが、原油価格への影響が懸念される。

地政学リスクに要注意

市場は地政学リスクに過敏な状態が続いており、特にエネルギー市場への影響が注視される。リスクヘッジの観点から、ゴールドやエネルギー関連銘柄の動向もチェックしておきたい。

 

大局的な投資戦略

長期視点での相場の流れ

  1. 今後の市場トレンドはFRBの政策と企業業績次第です。
  2. 利下げ期待と景気減速懸念が綱引き状態にあります。
  3. 株価が過熱気味なセクター(半導体やAI関連)の一部では、短期的な調整リスクを考慮しながらポジションを取るべき局面にある。

今後の重要な変化の兆し

  1. VIX指数(恐怖指数)の上昇が続けば、市場の調整局面が深まる可能性あり。
  2. FRBメンバーの発言次第で、利下げの織り込み度合いが変化する可能性がある。
  3. ナスダックが2万を突破できるかどうかで、テック株の勢いを判断。

読者の行動指針

  1. S&P500の6,000維持を確認し来週の戦略を決定。
  2. GDP改定値・ISM景況指数・雇用統計の結果を見極める。
  3. ハイグロース株のポジション調整を適宜実施。

 

週末に確認すべきポイント

  1. S&P500が6,000を維持できるか
  2. ナスダックが19,500を割らないか
  3. FRBメンバーの発言と、利下げ観測の変化
  4. GDP改定値やISM製造業指数の市場予想との乖離
  5. VIX指数(恐怖指数)の急上昇がないか

 

(まとめ)来週の市場展望

  1. S&P500は6,000維持が鍵。これを下回ると、短期調整リスクが高まる。
  2. ナスダックは19,500を死守できるかが焦点。
  3. FRBの政策スタンス次第でボラティリティが高まる。
  4. 短期は慎重な姿勢、中期~長期は強気継続。
  5. 雇用統計・ISM指数次第でトレンドが大きく変わる可能性あり。

来週は市場の重要な分岐点になり得る。相場の動向をしっかり確認しながら、戦略的に動いていこう。

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(特別付録)利下げ観測が揺らぐ理由:FRBの政策スタンスと市場の行方

 昨年末(2024年12月時点):市場は「2025年の利下げ」を織り込んでいた

2024年末まで、市場の主流の見方は「2025年は利下げ局面に入る」というものでした。

その理由は以下の通り。

  1. 2023~2024年のインフレ鈍化により、FRBが引き締めを緩めると期待されていた。
  2. 2024年のFOMC(連邦公開市場委員会)メンバーのドットプロットでは、年内に複数回の利下げが示唆されていた。
  3. 市場は「2025年は最低でも3回(合計0.75%)の利下げが行われる」というシナリオをベースにしていた。

2025年に入ると「利下げはストップする」という意識が広がる

しかし、2025年1月以降、FRBのスタンスが明確に変化しました。

市場の見方が「利下げストップ」の方向にシフトしたのは以下の理由から

  1. 2024年12月・2025年1月の経済指標が予想以上に強かった(特に労働市場・賃金の伸び)。
  2. FRBの主要メンバーが「早期の利下げは適切ではない」との発言を強めた。
  3. 市場は「年内利下げがあっても1回~2回にとどまる可能性が高い」と見直しを始めた。

特に、2025年1月の雇用統計が予想を大きく上回る強さを見せたことで、「FRBはまだ利下げの必要がないのでは?」という認識が強まり、短期的には利下げ期待が後退した。

2月中旬~現在:弱い経済指標が出始め、再び「利下げ期待」が浮上

2月に入り、米国の一部の経済指標(特に消費・製造業関連)が軟調になり、市場では「景気減速の兆候が出てきた」との見方が再び強まってきた。

具体的には、

  1. 2月14日発表の小売売上高が市場予想を大幅に下回る。
  2. ISM製造業景況指数が50を下回る可能性が出てきた(→景気後退懸念)。
  3. 2月28日に発表されるGDP改定値が下振れすれば、FRBの政策判断に影響を与える可能性がある。

その結果、マーケットは「やはり利下げの可能性があるのでは?」と再び織り込み始め、利下げ観測が復活しつつあるという状況になっている。

結論:2025年の利下げ観測の変遷をどう整理するか?

  1. 年末(2024年12月) → 「2025年は利下げ確実」と織り込まれる
  2. 2025年1月~2月初旬 → 「景気はまだ強い、利下げは当面なし」の意識が定着
  3. 2025年2月中旬~現在 → 「経済指標が悪化し始めたため、再び利下げの可能性が浮上」

この変遷を踏まえた上で、「今の利下げ期待は、年初の楽観的な期待とは異なり、景気減速リスクを反映した慎重なものになっている」と理解するのが適切だろう。

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