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なぜ「iPad セルラーモデルはいらない」と断言できるのか


iPadを買うとき、多くの人が「セルラーモデルの方が便利そうだ」と感じています。しかし、最新世代のiPhoneをすでに持っているなら、その感覚だけで高額なセルラーモデルを選ぶ必要はありません。
理由はとてもシンプルで、iPhoneのテザリング機能が、セルラーiPadに頼らなくても安定して通信できるからです。
iPhoneが近くにあれば、iPadは自動的にテザリング先として検出され、すぐに接続できます。特別な設定操作はほとんど必要ありません。現在のiPhone世代はモバイル通信が高速かつ安定しているため、日常利用で困ることはまずありません。
それでも「やっぱりセルラーの方が安心では?」と考える人は少なくないかもしれません。でも、実際に使ってみると
- 外でiPadを使う時間は想像より短い
- 通信はほとんどiPhone側で完結する
- セルラーの追加料金を払う理由が見つからない
こうした現実に気づく人が多いのが特徴です。
この記事では、「iPhoneがあるなら、なぜiPadにセルラーが要らないのか」を事実に沿ってわかりやすく整理します。
iPhoneテザリングでiPadをつなぐ手順
この記事では「iPhoneがあればiPadの通信はテザリングで代替できる」と説明してますが、具体的な設定手順を簡単にまとめておきます。
● iPhone側の設定
- iPhoneで「設定」を開く。
- 「モバイル通信」を開き、「インターネット共有」をタップ。
- 「ほかの人の接続を許可」をオンにする。
- 「Wi-Fiのパスワード」が表示されるが使わないので気にしなくて良い。
※「互換性を優先」という項目がありますが、これは古い機器との接続性を上げるために通信方式を抑える設定です。iPadと使う前提なら、デフォルトのオフのままにしておく方が通信品質の面で有利です。
● iPad側の接続
- iPadで「設定」を開く
- 「Wi-Fi」を開き「Wi-Fi」をオンにする。
- 「マイネットワーク」内に、あなたのiPhoneの名前が表示される。
- それをタップする(同一Apple IDならパスは要求されない)
- Wi-Fiページに接続先として、あなたのiPhone名が表示される
※1. あなたのiPhone名の下に「省データモード」と表示されますが、これはバックグラウンド通信の節約に関する挙動名であり、通信速度そのものが落ちることを意味するものではありません。iPhone 12以降の5G対応モデルであれば、セルラー版iPadと比べて実用上不利になることはありません。
※2. iPhoneの画面が点灯したままだと、iPad側の一覧にiPhoneが一時的に表示されないことがあります。その場合は、iPhoneの画面をスリープさせて数秒待つと検出されます。
まず整理すべき事:iPadのWi-Fiモデルとセルラーモデルの違いを知る
本題に入る前に、Wi-Fiモデルとセルラーモデルの違いを簡潔に整理しておきましょう。違いの全体像をつかんでおくと、「どの場面でセルラーが本当に必要なのか?」が自然に理解できます。
大きな差は三つだけです。
- 本体価格の差
- モバイル通信(回線契約)の有無
- GPS搭載の有無(モデルによる)
これ以上の機能差は、実用面ではほとんど影響しません。
価格差と通信費の仕組み
まず目に入るのが本体価格の違いです。セルラーモデルはWi-Fiモデルより数万円高く、さらに利用するには別途通信契約が必要になります。
- iPad本体が割高になる
- 毎月のデータ契約が生まれる
- 使わなくても維持費が発生する
つまり、セルラーを選ぶということは「端末代+毎月の通信費」という二重コストを背負うということです。外でiPadを使う頻度が高くない人ほど、この差はそのままムダになります。
GPSと通信モデムの違い
セルラーモデルにはGPSが搭載されていますが、そうではないWi-Fiモデルであっても、iPhoneと連携すれば位置情報は問題なく取得できます。iPadを単体でナビとして使う場合を除けば、この差が実用に影響することはありません。
通信についても、多くの人が「セルラーの方が繋がりやすい」と考えがちですが、iPhone 12以降は5G対応でモバイル通信品質が十分高いため、「テザリングだから極端に遅い・不安定」という状況はほとんどありません。
セルラーでしかできないことは何か
では、セルラーモデルでしかできないことは何でしょうか? 答えは「iPad単体でモバイル通信を行うこと」だけです。(加えて、iPad単体でGPSを使える点もセルラーモデル特有の機能です)
それ以外の点は、テザリング運用が完全に代替できます。最新iPhoneを持っている限り、通信品質はむしろiPhone側の方が優れています。
この章で整理した三つの違いを踏まえると、iPhoneと併用する前提では、セルラーモデルが絶対に必要になる場面は実質的にありません。
最新iPhoneのテザリングがセルラーより合理的な理由
最新のiPhoneを持っている場合、iPadの通信をどう確保するかという問題は、ほとんどの場合「テザリングで一本化した方が合理的」という結論になります。ここでは、その理由を三つに整理します。
通信速度と安定性の視点
iPhone 12 以降のモデルは通信方式が新しく、電波の掴みやすさや混雑時の粘りが向上しています。
一方で、iPad のセルラーモデルは通信モデムの更新ペースが緩く、同じ場所で比較すると iPhone 側が安定する場面が多くなります。
Wi-Fiモデルの iPad は、この「より安定して電波を掴んでいる iPhone」を経由して通信します。iPad 自身が電波状況に左右されにくく、常に安定した Wi-Fi 接続で使えるのがテザリングの強みです。
このため、iPhone 12 以降を使っている場合、通信品質を理由にセルラー iPad を選ぶ必要は基本的にありません。
自動接続と省電力化の進化
テザリングはかつて、
- 手間がかかる
- 電池消費が激しい
というイメージがありました。しかし現在は状況が大きく変わっています。
- iPhoneが近くにあればiPadが自動的に接続先として検出
- 特別な操作をほとんど必要としない
- 省電力化が進み通常の利用であれば電池負担が気になることはない
このように、セルラーを選ぶ理由がありません。
通信品質の実用差
利用者が体感する「快適さ」は、最終的には
- 切断の起こりにくさ
- 回線のスループット
- 混雑時の粘り
で決まります。
iPhone 12以降の世代であれば、5G/4Gともに十分な実力があり、「セルラーiPadの方が圧倒的に有利」という状況はほとんどありません。同じキャリアを使う限り、どちらも同じネットワークにぶら下がっているからです。
つまり、5G対応のiPhoneを使っているなら、日常利用において通信品質で困る場面はまずありません。そのため、多くの人にとってiPadはWi-Fiモデルで問題ありません。
判断基準
- iPhone 12 以降(5G対応) → 通信品質の面ではiPadはWi-Fiモデルで十分
- iPhone 11 以前(4Gのみ) → 電波状況によっては稀にセルラーを検討する余地あり
セルラーモデルを選ぶ必要がない人
前の章では「通信性能の観点から、5G対応iPhoneを持っていればセルラーは不要である」という技術的な基準を示しました。
この章では、通信性能ではなく 「あなたの使い方」 を基準に、セルラーを選ばなくてよいケースを整理します。
外ではiPadを長時間使わない人
iPadを持ち歩く機会や、外での使用時間が短い場合、セルラーの価値はほぼ生まれません。実際に多い使用パターンは次の通りです。
- 外出先では調べ物程度しか使わない
- 移動中はほとんどiPhoneを使う
- 作業の中心は自宅や職場のWi-Fi環境
このような使い方なら、iPhoneからのテザリングで十分です。
スマホ側のデータ容量に余裕がある人
iPadで使う通信は、最終的に iPhone のデータ容量に依存します。すでに毎月のデータ量が無理なく収まっているなら、iPadのために別回線を持つ必要はありません。
- 自宅や職場のWi-Fiで大半が完結している
- 毎月のスマホ通信が契約内で収まっている
- 動画やSNSなどの重い用途がiPhone側に集中している
このような人は、iPadのためにセルラー回線を追加しても実際の負担は軽くならず、「使わない回線への固定費」になるだけです。
また、月によってデータ使用量が増えて追加料金が発生することがあっても、iPad用に別回線を契約するより総負担は小さくなるケースがほとんどです。
調整すべきは常に iPhone 側のプランであり、iPadをセルラー化する理由にはなりません。
「安心感」だけでセルラーを選択する人
高いモデルを選べば後悔しない、という心理は自然ですが、その安心感は実用性とは別の問題です。iPhoneがあれば通信は安定し、外で困る場面はほとんどありません。
「念のため」という理由だけでセルラーを選ぶと、結果的に、経費負担増になる可能性が大きいです。
この章で挙げた項目に一つでも当てはまるなら、あなたはセルラーモデルを選ぶ必要はありません。
例外的にセルラーが必要な人
ここまで見てきたように、多くのiPhoneユーザーにとっては「Wi-Fiモデル+テザリング」が最適解です。
ここで挙げるのは、Wi-Fi 環境に依存できず、その場で即時に通信できることが業務要件として必要になる「例外的な利用者」 だけです。
業務用途で常時接続が求められる場合
業種によっては「iPad単体で通信できることが前提」のケースがあります。以下のように、テザリングでは代替できない業務フローが存在する場合です。
- 営業現場でiPadを連携端末として使い即時通信が必須
- 医療・建築・物流などiPad単体でオンライン作業を継続するワークフロー
- セキュリティ上スマホ外部回線の共有(テザリング)が禁止されている職場
これらは 業務要件そのものがセルラー依存 であるため、iPad側に回線が必要になります。
iPadを車載ナビとして使う特殊ケース
iPadを本格的な車載ナビとして使用する人は、セルラーが必要になる場合があります。
- リアルタイム交通情報を常時取得する
- 長距離移動でテザリングのオンオフ管理が現実的でない
- GPSをiPad側で独立運用したい(セルラーモデルのみ搭載)
ただし、これは 車を頻繁に運転し、ナビ利用が主目的の人だけ に当てはまります。一般のユーザーが該当することはほとんどありません。
バックアップ回線として本当に成立する状況とは
「災害時のバックアップ」と言われることがありますが、実際に意味を持つのは、
- スマホ回線とは別キャリアのeSIMをiPad側に入れる
- かつ、スマホの電池が切れたときもiPadを通信端末として使う必要がある
- 仕事や家族連絡が途絶えると重大な支障が出る
といった非常に限定されたケース に限られます。
同一キャリアでの契約追加ではバックアップになりません。また多くの人は、スマホのモバイルバッテリーを持つ方が合理的です。
まとめ(Q&A方式)
ここまでの記事内容を、判断に必要なポイントだけQ&A形式でまとめました。iPadをWi-Fiにするかセルラーにするか迷う人が、短時間で結論にたどり着けるよう整理しています。
Q1:外で iPad を使う予定があってもWi-Fi モデルで本当に困りませんか?
A1:iPhone 12 以降を使っていて、この記事で挙げたような特殊な業務用途がなければ、困る場面はほとんどありません。5G対応のiPhoneであれば通信は十分速く安定しており、「通信品質のためにセルラーを選ぶ」という必要性はまずないと考えて構いません。
Q2:テザリングは電池の減りが早く、途切れやすいのでは?
A2:iPhone 12 以降であれば、テザリングが「特別に電池を大きく消耗する」「頻繁に途切れる」といった心配は基本的に不要です。電池の消費は通常の通信と大きく変わらず、接続の安定性もセルラーiPadと比べて実用上の差はほぼありません。
Q3:スマホのデータ容量を使い切る月があるが本当に Wi-Fiモデルで大丈夫ですか?
A3:その場合でも、基本的にはiPhone側の契約プランを調整する方が合理的です。月によって追加料金が発生することがあっても、iPadに別回線を契約するより総負担が小さく収まるケースがほとんどです。iPhone 12 以降なら通信品質も問題ありません。
Q4:どんな人ならセルラーモデルを選ぶ意味がありますか?
A4:仕事としてiPad単体で常時接続する必要がある人、車載ナビとして長時間使う人、またはiPhoneとは別キャリアで回線を分ける必要がある特殊な事情がある人です。それ以外の多くのユーザーは、iPhone 12 以降ならWi-Fiモデルで十分です。
Q5:迷ったときはどう判断すれば後悔しませんか?
A5:iPhone 12 以降を使っていて、この記事で挙げたような「例外的にセルラーが必要なケース」に当てはまらないなら、iPadはWi-Fiモデルを選んで問題ありません。セルラーを検討すべきなのは、仕事としてiPad単体で常時接続が必要な人や、車載ナビなど明確な用途がある人だけです。それ以外の多くの人にとって、セルラーモデルは「高いのに使わない機能」になりやすく、後悔につながります。











この記事で以下のことがわかります。