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目 次
今週の振り返り(日経平均・TOPIX)
今週(2月3日~7日)の日本株式市場は、日経平均株価が38,787.02円で週を終え、前週比で約0.7%の下落となりました。TOPIXも同様に下落し、2,737.23ポイントで取引を終了しました。
主な要因として、日銀の早期追加利上げ観測が強まり、円相場が一時1ドル=150円台まで急伸したことが挙げられます。
これにより、輸出企業の業績悪化懸念が広がり、株価の下押し要因となりました。為替市場では、円高が進行し、輸出関連銘柄にネガティブな影響を及ぼしました。
米国市場ではS&P500が高値圏で推移したものの、一部のハイテク株に調整の動きが見られました。この影響を受け、日本市場でもグロース株を中心に売りが優勢となる場面がありました。
さらに、国内ではトヨタ、ソニー、キーエンスといった主要企業の決算発表が相場の方向性を左右し、市場全体のセンチメントに影響を与えました。
全体として、市場は弱気トレンドに転じたと判断されます。
今週の注目イベントと展望
来週(2月10日~14日)は、以下の経済指標やイベントに注目が集まります:
- 2月10日(月):12月の経常収支発表。
- 2月12日(水):1月の米国消費者物価指数(CPI)発表。
また、日銀の金融政策や金利動向、米中関係などの地政学リスクも引き続き注視が必要です。
業種別の動向
今週の上昇セクター
- 電力・ガス(円高の影響を受けにくい)
- 不動産(長期金利安定による買い戻し)
今週の下落セクター
- 自動車(円高進行で輸出企業に逆風)
- ハイテク(半導体)(米国市場の軟調推移の影響)
市場全体の流れ
- 日経平均:値がさ株に売り圧力がかかり調整局面
- TOPIX:幅広い銘柄が売られるが、内需株が相対的に強い
テクニカル分析(週初めの視点)
日経平均
- サポートライン:38,500円
- レジスタンスライン:39,000円
- 50日移動平均線:38,650円(上向き)
- RSI:中立圏(売られすぎ・買われすぎなし)
TOPIX
- サポートライン:2,720ポイント
- レジスタンスライン:2,750ポイント
- 50日移動平均線:2,730ポイント(横ばい)
- MACD:デッドクロス寸前(弱気シグナル)
今週の投資戦略とリスク管理
短期トレードでは、テクニカル指標の動向や需給の変化を注視し、慎重な売買が求められます。
中期投資家は、テーマ株や日銀政策の影響を考慮し、ポートフォリオの見直しを検討することが重要です。
市場リスクとして、ボラティリティの上昇や地政学リスクの高まりが考えられるため、リスク管理を徹底する必要があります。
意識すべき価格帯としては、前述のサポート・レジスタンスラインを参考にしてください。
短期トレードの視点
短期トレーダーにとって、今週は為替の動きと米国市場の影響がカギとなります。
ドル円の急変動が輸出関連株の株価に影響を与えるため、円高進行時は内需株、円安方向なら自動車・電子部品などの輸出企業に注目。
ニューヨーク市場の動きに注意
米国CPI(消費者物価指数)の結果次第で、米市場が変動する可能性があるため、日本市場も翌日に影響を受ける展開が予想される。
VIX指数(恐怖指数)が20を超えた場合、リスク回避の売り圧力が強まる可能性があるため、要注意。
短期的な売買では、ボラティリティが高まる局面での逆張りは危険。むしろ、
- 強いサポートライン付近での押し目買い
- レンジブレイクを狙った順張り戦略
が有効となる。
また、日経平均の39,000円超えが定着すれば、さらに買いの勢いが増す可能性がある。逆に、38,500円を割ると、37,800円付近までの調整も視野に入るため、ロスカットラインの設定を慎重に行うことが求められる。
中期投資家の戦略
中期目線では、政策・企業業績・セクターの動向が重要となる。
今週のポイントは、
- 日銀の政策方針:利上げ観測が高まれば、金融株や高配当株が再評価される一方、成長株には逆風。
- 企業決算の精査:決算発表が相場の流れを左右するため、業績好調な企業の押し目買いを検討
- 半導体・EV・AI関連のテーマ株が、米市場の影響を受けやすいため、米ハイテク株の動向も確認することが必要。
中期的には、ファンダメンタルズの強い銘柄の押し目買いが戦略となるが、全体の相場環境が悪化するようなら、ディフェンシブ銘柄(食品・医薬品・通信)へのシフトも視野に入れるべき。
今週の市場リスク
今週は以下のリスク要因を考慮する必要がある。
円高リスク
- 日銀の利上げ観測が強まると、円高が進み、輸出関連企業の業績悪化懸念が広がる。
- 1ドル=150円を維持できるかがポイント。
米国CPIと金利動向
- 予想よりインフレが進んでいる場合、米金利上昇→ハイテク株売り→日本のグロース株にも影響。
地政学リスク
- 米中関係の悪化や中東の緊張が再燃すれば、リスク回避の売りが出やすい。
企業決算リスク
- 期待を下回る決算発表があると、決算シーズン後の調整局面に突入する可能性。
意識すべき価格帯
日経平均
- 38,500円(短期サポート)
- 39,000円(突破で買い優勢)
- 37,800円(下抜けると弱気転換)
TOPIX
- 2,720ポイント(重要なサポート)
- 2,750ポイント(突破で上昇)
これらのラインを基準に、相場の強弱を判断していくことが重要。
今週の総括
短期トレードは為替と米国市場の影響を重視しながら、トレンドに逆らわない戦略を取る。
中期投資家は、決算結果を精査し、押し目買いのチャンスを慎重に探る。
日経平均
- 38,500円を割ると下落リスクが高まるため、ロスカットの徹底が必要。
- 39,000円を明確に突破すれば強気相場再開の可能性がある。
TOPIX
- 2,720ポイントを下回ると調整局面入りのリスクが高まり慎重なロスカット戦略が求められる。
- 2,750ポイントを超えると上昇基調が強まる可能性がある
今週は、市場が方向感を探る展開になるため、慎重なポジション管理が求められる週となる。
来週の展望
来週の市場は、米CPIの結果と国内GDP速報値がカギを握る展開となりそうです。
もし米国のインフレ鈍化が進めば、日米金利差が縮小し、円高基調が続く可能性があります。そうなると、輸出関連銘柄には逆風となる一方、内需株が再評価される展開が考えられます。
また、日本のGDPが市場予想を下回ると、景気減速懸念が高まり、日銀の政策対応に注目が集まるでしょう。
日経平均・TOPIXともに、今後のトレンドを見極める重要な局面に差し掛かっており、来週は方向感を決める試金石の週となりそうです。