【Macのバックアップ】iCloudと外付けストレージの設定と運用方法を詳しく解説

 

バックアップの基本:なぜ必要なのか?

バックアップとは、大切なデータを別の場所にコピーして保存し、トラブル時に復元できるようにする仕組みです。

以下のようなリスクを回避するためはバックアップは欠かせません。

  1. 誤削除:重要なファイルを間違えて削除してしまう。
  2. ハードウェアの故障:Mac内SSDの劣化によるデータの消失。
  3. サイバー攻撃:ランサムウェアやウイルスによるデータの破損。

例えば、突然の停電で進行中の仕事データが破損した場合、バックアップがあれば短時間で復元できます。もしバックアップしてなければ、これは本当にえらいことになります。

 

 iCloud Driveの特性とバックアップでの活用

iCloud Driveは、クラウドを活用してデータを同期し保護するためのツールです。

このセクションでは、iCloud Driveの特性やバックアップでの具体的な活用方法について解説します。

iCloud Driveの役割

「iCloud Drive」は、ファイルやフォルダをオンラインで保存・同期するためのAppleが提供しているクラウド機能です。

設定しておくことにより、デスクトップや書類フォルダ内のデータを自動的にクラウドに保存し、複数のデバイス間で同期する機能です。これにより、作業データの保護とアクセス性が向上します。

iCloud Driveの動作仕組み

もしMac内での作業の結果、内容に変化があった場合は以下のようになります。

  1. 変更があった場合:該当するファイルが自動的に更新され、すべての同期デバイスに反映されます。
  2. 新規ファイルが追加された場合:自動的にクラウドにアップロードされ、他のデバイスからも即座にアクセス可能になります。
  3. 削除された場合:削除は同期デバイス全体に反映されます。ただし、削除後30日以内であれば「iCloud.com」から復元が可能です。

注意点

同期されたデータ(Macのデスクトップと書類)の削除や変更はiPhoneやiPadからも可能なため、重要なデータの管理には注意が必要です。

iCloud Driveのメリット

  1. リアルタイム同期:変更が即座に反映され、最新の状態を保てる。
  2. どこでもアクセス可能:Apple IDでログインするだけで、すべてのデータにアクセス可能。
  3. 新しいMacへのスムーズな移行:ログイン後にデータが自動的に復元されます。

iCloud Driveをバックアップに活用する方法

  1. 重要ファイルの保護:進行中のプロジェクトや頻繁に使用するファイルをデスクトップまたは書類フォルダに保存することで、iCloud Driveを介して自動的にバックアップ。
  2. データ移行の補助:新しいMacでiCloud Driveを有効にするだけで主要なデータが即座に利用可能。
  3. 不足を補う使い方:Time Machineでカバーしきれないクラウドベースの利便性を補完的に提供。

 

Time Machineを利用した完全バックアップ

Time Machineは、Macのシステム全体を包括的に保護するためのツールです。

では、Time Machineの仕組みや利用法について詳しく説明します。

Time Machineとは?

Time Machineは、macOSに標準搭載されたバックアップ機能で、外付けHDDやSSDを利用してシステム全体を定期的に保存します。

この機能は本来の意味での完全バックアップができる機能と言えます。

一度設定をするとオートバックアップになります。そして、バックアップルールは以下のとおりです。(変更は可能)

  1. 1時間ごとのバックアップ:直近24時間分を保持。
  2. 1日ごとのバックアップ:過去1か月分を保持。
  3. 1週間ごとのバックアップ:それ以前はディスク容量が許す限り週単位のバックアップを保持。

メリット

  1. システム全体の復元:macOS、アプリケーション、各設定、データを丸ごと完全復元可能。
  2. 過去の状態へのアクセス:タイムトラベル機能で過去の状態一覧を確認することができ、過去の特定の時点のデータに戻す或いは復活することもできます。

  3. 完全オフライン対応:インターネット接続が不要です。

推奨する設定とストレージ

ストレージは2TB以上の外付けHDDを推奨します。SSDを選択しない理由は以下のとおりです。

  1. コストの高さ:SSDは高価でバックアップ用途に必要な大容量ストレージを用意するにはコストがかかる。
  2. 相対的耐久性の弱さ:SSDは書き込み回数に上限があり、HDDと比較してバックアップ用途において長期的な耐久性が劣る可能性がある。
  3. 必要性の低さ:Time Machineでは差分バックアップが中心であり、速度を重視する必要がないため、SSDの高速性能を活かしきれない。

私が使っているTime machine用HDD

WD_BLACK P10 Game Drive(6TB)です。

メーカー品であり、インターフェースがUSB 3.2 Gen 1、そして 最大130MB/秒2の速度が魅力です。

ピンクがオンラインショップ限定で、ブラックよりも安いのでお勧めです。

もし急がないのであれば、登録しておくと、お得になった時にメールが来ます。

iCloud DriveとTime Machineの違いと使い分け

iCloud DriveとTime Machineは、それぞれ異なる役割を持っていますので、それぞれの特性を生かした併用方法について説明します。

iCloud Drive

  1. 役割:ファイルとフォルダの同期・共有。
  2. 強み:デバイス間(iPhoneやiPadそしてMac)のリアルタイム同期。
  3. 弱点:システム設定やアプリのバックアップには非対応。

Time Machine

  1. 役割:システム全体の完全バックアップ。
  2. 強み:macOS、アプリ、システム設定を丸ごと全部保存。
  3. 弱点1:Time Machineバックアップは外付けHDDやSSDに保存されるため物理ストレージが不可欠です。
  4. 弱点2:外付けドライブが接続されていれば、「タイムトラベル」機能を使って過去のデータを簡単に参照できます。が、インターネット経由ではアクセスできません。

使い分けのポイント

  1. 日常的な作業データの管理:iCloud Driveを使用。
  2. システム全体の保護・管理:Time Machineを使用。

 

新しいMacへの移行:iCloud DriveとTime Machineの実践方法

iCloud Driveの初期設定とデータ移行

iCloudは課金契約なので、まずはあなたに合ったプランを契約する必要があります。詳しくは「iCloud+のプランと料金」を読んでください。

容量と月額料金は以下のとおりです。

  1. 50GB:¥150
  2. 200GB:¥450
  3. 2TB:¥1500
  4. 6TB:¥4500
  5. 12TB:¥9000

容量はあなたの必要に応じて変わってくるので一般論はないでしょう。因みに、私は200GBの契約です。

契約が済んで使えるようになったら、設定自体は簡単です。

iCloud Driveの初期設定

  1. Apple IDにログイン(普通にMacで作業している場合は、常にログインしている場合が多いでしょう)
  2. Macの画面左上の「Appleマーク」→「システム設定」を開きます。
  3. 左サイドバーの一番上のApple Acountをクリックします。

  4. Apple Acountの中の「iCloud」をクリックします。
  5. 「iCloudに保存」で「ドライブ」をクリックし、iCloud Driveをオンにします。

  6. 「”デスクトップ” フォルダと “書類” フォルダ」をオンにします。

以上で作業完了。同期スピードはWi-Fi環境に依存します。

新しいMacにiCloud Driveからデータを移す方法

  1. 新しいMacの初期設定時にApple IDでログインしておくこと。
  2. Apple IDを登録しておけば自動的にiCloudが有効になります。
  3. しばらくすればiCloud Drive内の「デスクトップ」 フォルダと 「書類”」フォルダのデータがダウンロードされます。

Time Machineの初期設定と完全復元

Time Machineの初期設定

  1. 購入したHDDをMacと接続する。(推奨される容量はMacのストレージ容量の2~3倍)
  2. ディスクユーティリティーを立ち上げてフォーマット確認(或いは設定)をする。(MacのOSがBig Sur以前ならMac OS拡張(ジャーナリング)で、以降ならAPFSでフォーマットする)

  3. ディスクユーティリティーを終了して下さい。
  4. 画面の左上にある Apple メニュー  から「システム設定」を選択します。
  5. 左側のサイドバーで「一般」をクリックし右側で「Time Machine」をクリックします。

  6. 「バックアップディスクを追加」をクリックするか、左下の追加ボタン (+) をクリックします。
  7. 接続されているHDDを選択し、「ディスクを設定」をクリックします。
  8. 設定が終わるとすぐにそのHDDを使用してバックアップの作成が開始します。後は、先に述べたルールでオートバックアップされ続けます。
  9. バックアップの状況はこんなふうに表示されます。

バックアップから Mac を復元する

  1. 新しいMacの初期設定中に「移行アシスタント」(ユーティリティーフォルダ内にある)を起動。

  2. Time Machineのバックアップが保存されたHDDを接続。
  3. 「情報の転送方法」では「Mac、Time Machine バックアップ、または起動ディスクから」を選択する。

  4. 「このMacに情報を転送」画面では、あなたのTime Machineを選択して右下の「続ける」をクリック。

  5. 「転送する情報」画面では、転送しない情報があればチェックを外すし右下の「続ける」をクリックする。

  6. 以上の操作で自動復元がスタートします。
  7. 移行データの選択:アプリケーション、システム設定、ユーザーデータを選択。

基本的には完全復元なので時間はそれなりに掛かります。

バックアップディスクは専用使用を強く推奨

Time Machine用のHDDを他の目的(任意のファイル保存など)で使用することは避けてください。

同じディスクをパーティション分割して使用すると、バックアップの信頼性が低下し、データ損失のリスクが高まります。

Time Machine専用ディスクとして設定することを強くおすすめします。

 

まとめ

最後にこの記事のポイントを振り返りましょう。

  1. バックアップの必要性:データの誤削除、ハードウェアの故障、サイバー攻撃などのリスクに備えるため定期的なバックアップが必須。
  2. iCloud Driveの役割:・即時性:デスクトップや書類フォルダ内のファイルをリアルタイムでクラウドに同期。
    ・便利さ:新しいMacへのデータ移行をスムーズに実現。
    ・限界:システム全体やアプリケーションの復元には非対応。
  3. Time Machineの強み:・完全性:macOS全体を外付けストレージに保存。
    ・長期保存:1時間ごと、1日ごと、1週間ごとのバックアップルールでデータを効率的に管理。
  4. 両者の補完的利用:・iCloud Drive:日常的なデータ管理とモバイルアクセスに最適。
    ・Time Machine:macOS全体の保護と完全復元のために必須。
  5. 次のステップ:・iCloud Driveを有効化:デスクトップと書類フォルダの同期を開始する。
    ・Time Machineをセットアップ:2TB以上の外付けストレージを準備し、自動バックアップを有効化する。