目 次
歴史
1740年に建立された龍山寺は300年近い歴史を有しています。ご本尊は観世音大菩薩で台湾における観音信仰のメッカです。
龍山寺には観音さまだけではなく、三国志の関羽、台湾媽祖として有名な天上聖母、学問の神である文昌帝君など、宗教をまたいだ凄い数の仏神が合わせ祀られています。
若者に人気のある縁結びの月下老人もおられるし、安産祈願の註生娘娘もおられます。
それぞれ直接は関係のない仏神をたくさん合わせ祀るのは台湾のお寺の特徴です。日本でもそういうケースはあるんですか。
ということで台北最強のパワースポットとして日本でも有名ですね。
さて、龍山寺は過去何度か改修をされていますが、特に終戦間際の空襲による毀損が酷かったらしいです。
しかし激しい空襲にもかかわらずご本尊の観音さまだけは無傷であり続けたために、安全な場所として近隣順民が多数龍山寺に避難しに来たそうです。
そして避難しに来た人からは一人の死者も出なかったとの言い伝えがあります。
現在の姿は1953年に修復再建されたものです。
龍山寺の名どおりに柱や屋根の龍の彫刻が非常に素晴らしく、ものすごく緻密に精巧に作られています。この部分を見るためだけに龍山寺を訪れてもいいほどです。
もうかなり以前の話ですが、台湾の尼さんに「なぜお釈迦さまじゃなくて、その弟子(観音様のこと)を信仰の対象にするのですか?」と聞いたことがあります。
少し笑われて、返事はなかったです。今思い返せば恥ずかしい・・^^
場所
場所ですが、MRT板南線の台北駅から西(永寧側)に2駅で、駅1番出口から出てそのまま地下街を通ってまっすぐ上に上がると、龍山寺の前に出ます。
地上に上がってから振り返るとそこは「艋舺公園」という公園で、つまり駅と龍山寺の間が公園なわけです。
この辺りは台北の中でも早くから開けていた一帯であり代表的な下町でもあります。
龍山寺正面を向くとその両側に老街・夜市があります。下町として栄えただけあって、独特の雰囲気を持っています。
では、早速龍山寺に入ってみましょう。
建物の配置と参拝方法
正面手前から山門、三川殿・中殿・後殿となっています。
1. 三川殿に入る
まず山門をくぐり三川殿に入りますが、三川殿には右側に「龍門」左側に「虎門」と二つの出入り口があります。
出入りの際注意すべき点は
- 必ず右側「龍門」から入り、左側「虎門」から出る。
- 左足から入る。
- 敷居を踏まない。
- 入ってすぐ左側に建物配置図と共に日本語の説明文(参拝方法やおみくじについて)を読んでおく。
の4点です。
別記事【台湾旅行】絶対に満足する 高雄観光 オススメスポット10
の中の蓮池潭周辺の見所>龍虎塔も御覧ください。
2. ろうそくと線香を買う
「龍門」から入ったら即右側に販売所があるので、そこで購入します。ろうそく2本と線香7本でしたが・・・
2015年6月のとある記事を読むと「龍山寺香爐7座減至3座,其餘4座封爐」と書かれており、香炉は3つに減っているようです。環境への配慮らしいです。
後殿の香炉が1つになったようで、三川殿の前と中殿の前と、おそらく聖母殿の前の3か所だと思います。
ということは線香は3本ですね。2016年2月に行ったのに正式なお参りをしなかったために全く気付きませんでした。
遂に香炉が1基に集約
2017年5月5日から香炉が1基になると発表がありました。やはり煙がその理由で、大気を汚染し、体に害を及ぼす、との判断です。
これ以降は、火のついた線香を持って境内を巡って最後に香炉に入れる、という参拝方法をとってほしいと龍山寺側は提案されています。
✳︎✳︎追記✳︎✳︎
2020年3月13日から、ついに線香配布及び持ち込みが、大気の汚染を理由に全面禁止となりました。確かに配慮ある措置ではあるのでしょうが、あの朦々とした独特の雰囲気がついになくなるのかと思うと、心情的に寂しさはあります。→ソース
3. お参りの順序
- 販売所から中殿を見て左に(中央に)移動
- 三川殿でろうそくに火をもらい、左右の燭台にお供えする
- 全部の線香に火をもらい、三本を揃えて右手に持ち左手を添えて、その両手を額に持って行って、そのまま頭を3回下げる
- その際に、住所・氏名・生年月日を言ってから「具体的な」願い事を言う
- 終わったら香炉に1本線香を立てる。灰に挿し立てることはできないので、ダーツの要領で立てる
- 三川殿→中殿→後殿の順に参拝する
- 後殿へは中殿の右側を通る
- 後殿の香炉に線香を入れ終わったら、特にお願いをしたい仏神のところで改めてお参りをする
(現地でお参りしている台湾人の見よう見まねでできます)
お参りに行ったら見て下さい、誰が香炉の屋根を支えているのでしょうか。これが不思議なことに東洋人ではないんですね。
祀られている仏神
上でも触れてますが龍山寺には「仏教「儒教」「道教」等の仏神が非常に多く合祀されています。
内訳は以下の通りです。
三川殿
- 薬師如来
- 釈迦
- 阿弥陀如来
中殿(正殿)
- 観世音菩薩
- 文殊菩薩
- 普賢菩薩
- 十八羅漢
- 韋馱護法
- 伽藍護法
後殿(主に道教の神々)
- 文昌帝君 文章・学問の神
- 大魁星君 学業・試験の神
- 紫陽夫子 宋の学者・学業の神
- 馬爺 文昌帝君の愛馬・出世の神
- 天上聖母 航海の守り神・媽祖
- 太陽星君 自然・生命の神(文献や神話がない)
- 太陰星君 月を神格化した神(文献や神話がない)
- 註生娘娘 子供を授ける・産み分けの神
- 池頭夫人 安産の神
- 十二婆者 註生娘娘とともに配祀・其々が12か月を分掌している
- 水仙尊王 海・海運・貿易の神
- 城隍爺 土地・街の守護神 台北では迪化街の守護神でもある
- 龍爺 海神・雨乞いの神
- 福德正神 財産・平和・農業収穫の神
- 關聖帝君 三国志の関羽、商売・学問の神
- 三官大帝 天官・地官・水官
- 華陀仙師 医術の神
- 地藏王菩薩 冥界の教主、地獄からの救済願いを受ける
- 月老神君 又の名を月下老人という、良縁の神
人気の神様
日本人が知っている或いは人気がある神様は観世音菩薩は当然として
- 学問の文昌帝君
- 子授けの註生娘娘
- 良縁の月老神君
あたりでしょうか。受験の頃になると文昌帝君は学生で、註生娘娘や月老神君のところはいつも若い女性で賑わっています。
台湾では關聖帝君(関羽)に人気があり関帝廟が独立して沢山あります(日本でも関西なら神戸にあります)。そして多くの台湾人が熱心にお参りをしています。
日本語ボランティア
台湾の観光施設では市民の方が多くボランティア活動をなさっています。それらしい格好をされているのですぐにわかります。
そして、その中に日本語のできる方がおられて、お話を聞ければすごく助かりますし、心にも残ります。
もし体験してみたい場合はボランティアの方に話しかけてみてください。日本人だとわかれば日本語のできる人を連れてきてくれます。
月下老人と赤い糸
女性の日本人旅行者に特に人気なのが月下老人ですね。ここでお参りをして、縁結びの赤い糸をいただくわけです。
お参りの順序
- お賽銭を入れる
- 手を合わせて、上記のように、住所・氏名・生年月日をまず述べて、次に具体的に希望する「縁」をお願いします。この際のポイントは「具体的に」です。
- 相手に対する希望や出会いのお願いもさることながら、絶対に嫌なタイプもちゃんとお話ししておきましょう。
- もし希望する相手が決まっているなら、その人の情報をお話ししましょう。
- 聖筊で赤い糸をいただいても良いか否かのお伺いをたてる。
一対の聖筊(三日月型の赤い木)を足元に投げ(落とし)結果を見る。
「表・表」もしくは「裏・裏」であればダメです。
「表・裏」であればメデタシ、頂けます。
3回までチャレンジできます。もし3回ともダメであれば「今日はまだ受け取るときではない」という事なので、その場合はしょうがないです。諦めましょう。(本来は「表・裏」3回連続が必要だそうです) - 運よくゲットできたら財布やパス入れに入れて、肌身離さずに持っておくと良いそうです。
おみくじ
台湾のおみくじは運勢占い的なものではなくて、あなたの希望や悩みについての仏神からの回答が書かれています。つまり仏神の考えをお伺いするのが「おみくじ」です。
三川殿と後殿に一箇所づつあって、月下老人へのお願いとセットなら後殿のおみくじですね。
手順
- くじを引いて良いかお伺いをたてるために一対の聖筊(三日月型の赤い木)を両手に挟んで、住所・氏名・生年月日とお伺いしたい事を唱えて足下に投げる。
- 「表・裏」が出なければ最初からやり直し、チャレンジは3回まで。3回とも「表・表」「裏・裏」ならば「今は問う時ではない」そうなので諦めます。
- 運よく「表・裏」が出たら、そばにある竹の細長いおみくじ棒をガバッと持って、シャカシャカぽんと器に戻して一本引きます。
- 再度一対の聖筊を両手に挟み、この竹棒に書かれている番号で良いかお伺いをたてるために、上記と同じ作法をします。
- もし「表・表」「裏・裏」が出たら竹棒を引き直して、改めてお伺いを立てます。
- 「表・裏」が出たら、おみくじが入った引き出しから竹棒に書かれている番号の紙を取り出します。
- 特に紙の右半分に書かれている意味がわからないので、中殿に向かって右側通路にある「解籤處」で日本語のできるスタッフに教えていただきます。
- おみくじはそのまま持って帰ってください
お土産店
ストラップや様々な小物が揃っています。多分一番人気はお守りでしょう。お守りも目的別に揃えられているので、あなたの目的に合ったものを買いましょう。
お守りは知り合いのお土産としても喜ばれると何度か聞いたことがあります。
お供え物
そういえば、龍山寺に限らずどこのお寺でもお供え物の大きな台があって一杯お供え物が置いてあるんですよ。
野菜とか果物とか花とかにはそれぞれに意味があるんですね。
こんなにたくさんのお供えをお寺はどうするのか台湾人に聞いたら、帰るときに持ってきた人が持って帰るんですって。
それってお供えっていうんですかね? 日本では本堂にお供えしているお酒とかは持ち帰ったりせず、お下がりになるんじゃなかったでしたっけ?
福州元祖胡椒餅
艋舺公園から一本細い筋を入ったところで営業している有名な胡椒餅屋さんです。「こんなところに?」というような場所ではあります。
人気店なので、夕方から或いは土日祝日なんかは番号札をもらって待つことになります。
結構しっかり焼いていて、ふわっさくっというよりバリっていう噛み応えで、餡も同様にしっかりしています。全然辛くありません。
数年前平日の午前中に「まだ早いか?」と思いつつも買いに行ったんですよ。
開店の準備中みたいだったけれど「ある」と言われたので、不思議ながら一つ買って食べたら生暖かくて固い。
これってどう考えても昨晩の残り物でしょう。「それでもいいか?」って一言聞いてくれたら納得したのに・・
華西街観光夜市
龍山寺付近が台北界隈で最も早く開けた場所なら、華西街観光夜市も最も早く生まれた観光夜市と言えるでしょう。
華西街観光夜市は夜市とありますが実際はアーケードのある商店街です。おそらく昔は夜市だったのでしょうね。
この界隈には独特の雰囲気が漂っています。理由は昔の色街だったからです。今も遊郭の名残・面影を感じることができます。
各お店も他の夜市とは違って、蛇や亀やワニやカエルなどを食べさせるゲテモノ料理のお店、大人のおもちゃやそっち方面のビデオのお店、いかにも怪しげな精力剤取り扱いの薬屋などが一杯です。
ここに掲載している華西街に唯一残っていた蛇料理の老舗、亜州毒蛇店が5/20を持って閉店となりました。動物愛護意識の高まりや法規制の強化によって経営継続が困難になったとのこと。またひとつ華西街の怪しげな文化がなくなってしまった。残念。ベタだけれど・・牛や豚は食べていいのね。
反面、夜市に定番な小吃やアクセサリー・小物のお店なんかはほとんどないんですね。
華西街観光夜市を奥の方に(北へ)歩いて行って横道にそれると、鹿港のような細道が時代を感じさせてくれます。
明るい時に行くと絶好の撮影スポットになると思います。
また、夜うろうろと裏路地に入ると風俗店丸出しの原色の看板にそれらしい女性が立っていたりします。
台湾は怪しくても危険度は低いので怖くはありません。しかし、やめといたほうがいいです。
言葉の壁が厚いですし、街が古くなっていくようにみんな古くなっていくのです。「あれから40年」っていうじゃないですか^^
十数年前に初めて来た時は相当に活気があったのですが、ちょっと寂れつつある感が否めないですね。
広州街夜市と西昌街夜市
さて龍山寺の前の道は広州街といい東西に延びていて、龍山寺の西側から南北に延びているのが華西街というロケーションです。
そして、夜市という意味では広州街夜市の方が夜市らしくずっと活気があります。ここは家族で足を運べる普通の楽しい夜市です。
また、龍山寺の真東には西昌街という通りがあり昔から衣類専門の夜市です。ここがまたちょっと子供連れでは歩きにくいというか、派手な女性用下着なんかを広げてるのが如何にも場所柄ですね。
剥皮寮歴史街区
龍山寺の前面道路広州街を東に100m強歩くと、懐かしい街並みを保存している剥皮寮歴史街区にたどり着きます。
赤れんがが印象的な古い洋館が並んでるんですね。
龍山寺のごく近くにこんなに素晴らしい場所があるなんて、つい最近まで知りませんでした。保存されている建物の多くは清朝時代からのものだそうです。
場所の名前がちょっと変ですが、昔この辺りは木材や石炭の集積所で木の皮を剥いだり加工したりしたところからの命名だそうです。
もう一つ、剥皮寮歴史街区が有名になったのは、台湾の大ヒット映画「モンガに散る」(原題「艋舺」)の撮影で使われたからです。
モンガとは正に龍山寺一帯であり、映画を見てから剥皮寮歴史街区も含めて龍山寺周辺を歩くと感慨もひとしおだと思います。
剥皮寮歴史街区には写真撮影スポットがたくさんありますよ。
結婚記念写真大好きの台湾人。ここは絶好のスポットなので、そういう風景にめぐり合えればラッキーですよ。
台北市郷土教育中心
剥皮寮歴史街区の一番東側、広州街に面して「台北市郷土教育中心」があります。
ここは郷土教育をメインテーマとして、教育と文化を合わせもった展示内容となっています。
無料で誰でも入れますが、どちらかといえば地元の方達のために作られた施設のような気がします。
台湾の歴史や文化を学べる施設はたくさんありますが、「台北市郷土教育中心」は対象エリアを絞った独自性があり、興味のある方は必見です。
当時の建物の再現や構造や建材の解説、教育や商売の様子などもわかって、なかなか楽しめます。
まとめ
台北4大観光地の一つと言われている龍山寺。
しかし、龍山寺で参拝して、それだけで帰ってしまうのはあまりにももったいないです。
ぜひ映画「モンガに散る」をご覧になった上で、剥皮寮歴史街区を巡り、大きな老街と夜市を歩きましょう。
思い出の色と深さと感動が3倍になりますよ。
華西街観光夜市の代名詞みたいになっている「蛇の解体ショー」は人が少ない時に来ても見れません。やっぱり夜ですね。
さて、ご紹介をした各場所については、最初の方に置いてあるお手製の「龍山寺周辺の地図」で確認をしてくださいね。
怪しくも懐かしさいっぱいの観光スポット龍山寺界隈。思いっきり堪能してください。
あなたの運勢が上向く、もう一つのパワースポット
大学受験や資格試験合格祈願のパワースポット
パワースポットを一挙に5つ参拝し台湾中のご利益を!
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