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過大借り入れには地獄のデメリットが待っている
テレビやネットや新聞でよくみる消費者金融といえば、モビット・アコム・プロミスといったところですね。
莫大な宣伝費をかけており、今や知らない人はいないでしょう。
しかし、万が一、こういったところで実際にお金を借りてしまうと、あとは地獄のデメリットしかないんだ、と言いたいのがこの記事です。
必ずしも消費者金融会社そのものを否定するつもりはありませんが、過去に数々の悲惨な実態を見てきており、現在の気軽な風潮に警告の鐘を鳴らす人間も必要なのかなと思うのです。
さて、私は元銀行員ですから、人とお金の関係は良くも悪くも、多くの事例を知っています。そんな中で、今でも忘れられない出来事は・・・
消費者金融がまだサラ金と呼ばれていた時代。
ある地下街を歩いていた時のこと。パチンコ屋から出てきた一人の男性が、足早に向かいのサラ金の店に入り、程なく出てきて、またパチンコ屋に消えました。
つまり、パチンコを打っていたが持ち金がなくなったので、サラ金でお金を借りて、今までの負けを取り戻そうと再度パチンコ屋へ入った。こういうことです。
当然ドツボにはまるでしょう。
知り合いの中にパチンコ屋の経営者もいて、以前色々と教えてもらいましたが、彼曰く「今のパチンコは、長い目で見れば絶対に勝てません。負け沼に沈んでいくだけです」
あなた、どう思います?
きっと「アホやなあ」と思うでしょ。それが普通です。この記事は、あなたのような普通の感覚を持っている方にこそ読んでいただきたいのです。
なぜなら、一旦過大借り入れにはまってしまうと、きちっと抜け出せる確率は極めて低くなります。仮に抜け出せても、自分の周りも含めて大きな代償を払うことになる可能性が大です。
こういう鬱陶しい記事を今の間に読んでもらって心の何処かに残しておいてください。長い人生の中で必ず役に立ちます。
では、具体的なお話を順を追ってしていきましょう。
2種類の借入
個人の借り入れには、大きく分けると2種類があります。
- 資金使途が明確な借り入れ・・住宅ローン。カーローン。教育ローン。など
- 資金使途が自由な借り入れ・・カードローン。フリーローン。など
1. は借入をする目的がはっきりしているものです。資金使途が限定されますから、目的への支払い以外には利用できません。
そこのところをはっきりさせるために、金融機関(消費者金融も含め)は融資実行後、販売先への振込支払いの確認や、支払い領収書のコピーの提出をお願いしたりします。
2. は借入の目的を限定しません。ですから、カードでお金を借りても、一々チェックはされません。何に使ってもいいのです。この記事では、特にこちらを問題視しています。
何に使ってもいいカードローンなのですが、実は契約上は借入目的を限定している場合がほとんどです。「〜に使ってはダメ」というのがあるんですね。
だいたい禁止項目として共通しているのは・・
- 事業資金はダメ
- 投機目的はダメ
という感じです。
しかし、こんな禁止条項なんて意味がありません。上にも述べましたが、カードでATMから出したお金の行く先を知る方法なんてありません。
- 生活費の一部なのか
- 競輪・競馬に使うのか
- 株式を購入するのか
そんなことは一切わからないのです。ホント建前もいいとこです。実は、そこに恐ろしさが潜んでいるのです。
ところで、特に目的フリーなローンは金利が高いって知ってました? どこで借りてもそうです。そうなんですが銀行は消費者金融よりは、まだ低金利なんですね。どうしてでしょう?
消費者金融より銀行の方が貸出金利が低い理由
もしどうしても借りるのなら、そして条件面で拒否されないのであれば、どんなローンでも銀行で組むべきです。これは議論の余地がありません。
それは消費者金融に比べ、銀行はほぼ必ず金利が安いからです。つまり銀行で借りた方が利用者の支払う金利が相対的に少なくて済むのです。
では、銀行と消費者金融の金利差はどこから生まれるのでしょう? それは主に2つの理由から来ています。
- 「お金」調達コストの違い
- 審査基準の厳しさの違い
1. について。なぜ銀行の方が資金調達コスト、つまり「お金」の仕入れコストが低いのでしょう。逆に、消費者金融の「お金」仕入れコストはなぜ高いのでしょう。
その理由は、「お金」の仕入れ先の違いにあります。一般的に基本的に・・・
- 銀行は預金者から預金という形で調達します
- 消費者金融は銀行から借り入れという形で調達します
そして一般的に銀行の金利は、預金金利より貸出金利が高いので(そうでなければ商売にならない)、その結果、消費者金融の「お金」仕入れコストは必然的に銀行より高くなります。
2. について。銀行と消費者金融の借り入れ審査基準を比較すれば、銀行の方が厳しい。逆に言えば、消費者金融の方が審査基準が甘いということになります。
その結果、消費者金融が貸し出したお金の回収率は、銀行に比べ低くなりますよね。それは当然コストに跳ね返るので、結局消費者金融の方が金利が高くなるのです(この話については異論もあると思います)。
しかしここ数年の間に、銀行は銀行、消費者金融は消費者金融、という垣根が崩壊してきました。一体どういう変化が起こっているのでしょうか。
銀行も消費者金融化して来ている
2010年9月の武富士倒産は多くの人に衝撃を与えたことでしょう。とともに、「過払い金請求」という弁護士の新しい商売が目につくようになりました。
消費者金融業界の経営状況が一斉に厳しくなった最大の要因は、2010年に施行された貸金業法の改正です。つまり、消費者金融業者を規制する法律が大幅に変わったのです。
どこがそんなにドラスチックに変わったのか?・・・
- 貸金業を営むための要件の厳格化
- 過大広告や過剰貸出を自主規制することの義務化
- 過剰で迷惑な取り立て行為の禁止
- 個人情報取り扱い機関の整備の義務化
- 貸出上限金利を最高20%に制限
- 貸出金利と契約事務費用や保証料込みで上限が20%に制限
- 総借入残高が年収の1/3を超えるような返済能力を超えた貸付の禁止
と、縦横に縛りを入れて消費者金融業者の規制を強めたんですね。興味のある人は再度何が変わったかを、よく読んでみてください。
それはね、これだけボカっと変えられたら消費者金融業者もたまらんと思いますよ。
これがきっかけとなり、今までの高利で貸せなくなった大手消費者金融業者は、銀行の傘下へ次々と入ってゆくのことになるです(もちろん全てではないですが)。
お互いにメリットありということでしょう。
その結果、銀行の個人小口貸出は一気に消費者金融化していきます。ノウハウの習得と実践ですか。そして多くの銀行はカードローンの保証会社として傘下の消費者金融会社を使うようになりました。
今までの個人小口金融から脱皮した銀行は、特に50万〜100万くらいの超小口で最もニーズのある金額については、多重借り入れがなければ、信じられないようなスピードで貸出できるようになったのです。
借り入れ金額が大きければ金利もそれなりに下がるのですが、最もニーズの大きい50万〜100万クラスの金利は14%前後であり、消費者金融となんら変わりがありません。
上で述べた通り、確かに銀行の方が消費者金融よりも4%くらい金利が低いです。
しかしですね、庶民感覚で言えば、普通預金や定期預金で預かる金利はほぼゼロですよ。そんな条件でお金を集めて置いて14%もの高利で消費者金融もどきですか?
コストを考えれば止むを得ない? じゃあ、やらなきゃいいだけの話です。
銀行の方が金利が低い理由と、銀行が急速に消費者金融化していった経緯のお話でした。
次に、比較対象が銀行ではなくヤミ金の話です。消費者金融とヤミ金の違いを知らない人が結構いるので、その辺のお話をしましょう。
消費者金融とヤミ金は違う
消費者金融とヤミ金をごっちゃにしている人が結構います。
上に述べましたように、
消費者金融業者は貸金業法でがっちり縛られて事業を行う真っ当な業者です。
対して、
ヤミ金は法律の規制を超えた高金利で金を貸し、違法で無茶苦茶な取り立てを行う業者です。
あなたは「難波金融伝・ミナミの帝王」という映画を知っていますか? 関西で長らく人気のあるヤミ金屋・萬田銀次郎のシリーズものです。
やがて返済の期日が過ぎて行って、地獄の取り立てが・・・
10日に1割の利息。100万円を10日借りると10日後に返済する元利合計は110万円になります。一般的に、金利は年利として表すので
トイチの年利=1割×365÷10=36.5割=365%
つまり、トイチで100万円を一年間借りれば、返済する元利合計は465万円という信じられないような金額になるのです。
今の消費者金融は貸金業法にしたがって正規に営業をしている業者です。
- 確かに金利は高いですが法律の定めた範囲内です
- 脅迫めいた取り立て行為は行いません
これでわかっていただけたと思いますが、消費者金融とヤミ金は根本的に違います。だから消費者金融はそういう意味では安心です。
それはそうとしまして・・・だからお手軽に借りていいということではありません。
消費者金融は最近はどんどん間口を広くして、利用客が気軽に申し込みができるようにしているようですが、果たして気軽でいいのでしょうか?
消費者金融の借りやすさと過大借り入れ
現在のように消費者金融が広く一般に受け入れられている理由は幾つかあります。
- 申し込み・審査は「自動契約機」や「ネット申し込み」などで出来て手軽
- 審査が早い
- 借入額(極度額)が少額であれば会社への在籍確認電話がないケースもある
- 早ければ即日お金が振り込まれてくる
- 早ければ自動契約機で即日カードを受け取れる
- 契約当初一ヶ月或いは毎月一週間などの無利息サービス期間がある場合がある
とまあ至れり尽くせりです。消費者金融側からすれば、とにかく垣根を低く低くして契約件数を増やすことが狙いです。
「無利息期間」なんてありえない、と思う方もいるでしょうが、消費者金融会社もちゃんとわかっています。「無利息期間」だけで済ませる利用客はいないと。
一旦カードを持つと、だんだん利用金額が増えてゆき、やがて極度一杯までなってしまう人が多いのは私もよく知っています。
極端に申し込みの垣根を低くしその結果簡単にカードが手に入り、しかし極度一杯まで使ったらもうお金を引き出す事はできません。その後一体どうなって行くのでしょう?
総量規制
「銀行も消費者金融化して来ている」の項にもちらっと出ていますが、消費者金融は「貸金業法」で規制されており、その中に「総量規制」の定めがあります。
「総量規制」によって何が規制されるかというと、貸出金額の上限です。銀行以外(ノンバンク)の業者は、他社も含めその貸出合計が年収の1/3を超えてはいけないのです。
つまり、国もその辺が返済の限界だと考えているんでしょうね。これは借りる方もよくよく覚えておかなければなりません。
今使っているカードローンの枠が一杯になったからといっても、総量規制にかかれば新たに借り入れすることはできないのです。
ところが、銀行はこの「総量規制」に縛られません。なぜなら、「総量規制」は「貸金業法」の定めですが、銀行に適用されるのは「貸金業法」ではなく「銀行法」だからです。
「えっ、消費者金融では借りられなくなっても、銀行では借りられるの?」
まあ「総量規制」にかからないことは事実です。しかし、年収の1/3が借り入れの限度だと国が判断しているのに、「銀行法」は別だとして銀行が貸し出しをするでしょうか。
信用照会をして事実が判明すれば、多分借り入れはほぼ無理でしょう。仮にするとしても、結構厳しい条件がつくことは間違いないと思います。
銀行傘下でも消費者金融は消費者金融です。適用される法律は「貸金業法」であって「銀行法」ではありません。「総量規制」が適用されます。
さて、ある程度消費者金融を利用していると、また時々返済が遅れたりすると、ちょっと心配になったりすることがあるようです。何度か相談を受けたことがあります。
次はその辺の事情についてお話しします。
個人信用情報
個人が金融に関する申し込みをする場合、その種類は主に・・・
- クレジットカード申し込み
- 割賦販売申し込み
- 各種ローン申し込み
などですが、どんな種類の申し込みであっても受けた会社は必ず100%あなたの個人信用情報の照会をします。
消費者金融会社が、申込人の借り入れが「年収の1/3に達しているかどうか」が判断できるわけは、信用情報機関に登録されている情報を共有しているからです。
なので、借り入れに借り入れが重なった結果一杯一杯の状態で、なんとか別のカードローンを組みたいと思っても、信用情報のおかげでいつかはどうにもならなくなります。
どうにもならなくなったら、その先は?
「ブラック情報」という言葉をご存知ですよね。それはまさに今述べている信用情報の中に記載されています。
「ブラック」と記されているわけではなく「異動」と登録されます。もうこうなったら、あらゆる信用お取引に関する申し込みが、確実に審査を通りません。
ただし、消費者金融を利用したからといって、それだけで「ブラック」認定などということはありません。
あくまでも「事故」と認定された時だけです。
詳しくは下の関連記事中「再審査」に詳しくわかりやすく説明していますので、是非ご一読ください。
一概には言えません、それに審査内容は各銀行でも違いますし。ですから一般論となりますが、ただ一つ言えることは「良い印象は持たれない」ということです。
特に複数の消費者金融でカードローンを組んでいた場合は、お金の管理に問題があると判断される場合が多いと思います。
わざわざ非常に高金利な消費者金融を常時利用するのは、どう考えても有利には働かないでしょう。
特に信用情報に延滞記録なんかがあった場合は、もう相当に厳しいと考えるべきです。気になる方は兎に角上の関連記事に詳しく説明しているので読んで見てください。
以上、色々と消費者金融を取り巻くことについてお話をしてきましたが、その上で、次は私がこの記事で最も強調したい件について述べます。
消費者金融利用に消極的な理由
私がオススメをしない理由は、個人とお金の関係を多く見てきた経験に由来しています。その理由を列記しますと・・・
- 金利が高すぎる
- 借入目的の多くが継続的な消費である
- 返済により可処分収入は圧迫される
- 苦しさは新たな借り入れを呼ぶ
ここで私が言うのはあくまでもカードローンに代表される目的フリーのローンです。車購入などの目的がはっきりしている分割払いローンなどは支払いの終わりがはっきりしているので、まだマシです(でも金利が高いので使わない方がいいですが)。
カードローンのような目的を問われない借り入れは、一旦契約して使ってしまうとなかなか縁が切れません。というより、ほぼ無理です。
それどころか、枠一杯使い、更に新しい契約をし、その枠も使い果たし・・・という連鎖が珍しくありません。
- 「一回くらいいいだろう、ちゃんと返せるし」
- 「もう10万円も使ったしボーナスで返して終わりにしよう」
こういった発想はことごとく打ち砕かれます。泥沼化させないためには最初から申し込みをしない、これに尽きます。
なぜ泥沼化するのか?
一番多いパターンは、小遣いの延長的な感覚から来ます。本来、収入の範囲内に支出を抑えていれば借り入れ願望なんて起きるはずがないのです。
なのに、一月に使える金額以上に・・・
- お金のかかるデートがしたい
- 旅行がしたい
- 服が欲しい、靴が欲しい、バッグが欲しい
- スマホをエンドレスとも思える利用をする
「したい」と「欲しい」で個人の経済なんて簡単に破綻です。
最初は誰でも「少しだけ」と軽い考えで、実際それっきりなら、ちゃんと返せるかもしれないのです。
しかし、ないお金を使う以上、それは未だ入らない収入を使うことと同じであり、おまけに高い金利まで余分に負担するのです。
もともと収入以内に支出を収められない人が、借り入れで、より使える収入が少なくなったらどうなると思います。
カードローンを利用する前よりもっと経済的に苦しくなって、でも支出を抑えられなくて、更にカードローに寄りかかるのです。
こうして泥沼化して這い出せなくなるのです。いくら総量規制があっても泥沼化する人はします。
特に最悪なのは・・・
- ギャンブル狂い
- 女狂い・男狂い
この二つの病気になってしまったら、もう終わりです。お金なんていくらあっても穴の空いたプールに水を入れるようなもんです。
余程素晴らしい人が側にいなければ、自分だけで健全に戻るのは限りなく難しいです。
まとめ
人がお金を借りる理由は様々です。今まで、理由・目的は五万と見て聞いています。だから一括りにして申し上げるのは、少し気がひけるようにも思います。
なかには聞いているこちらの胸が痛くなるような理由もありますし。
ここでお話の対象としているのは、気軽な気持ちで危機管理意識もなく、まるでお小遣いの延長のような感覚でする申し込みです。
そして、今回この記事で特に対象にしているのは、目的を問われない高金利なローンです。
- 「今回だけ」
- 「少しくらいなら」
で申し込みすると、一生の後悔をしてしまう可能性があります。
私の持論ですが、「人間は自分の身の丈以上の経済生活はできません」。
身の丈の範囲に収めておかないと、経験したことのないような大きな苦しみを味わう、とともに身近な人に大迷惑をかけてしまったりします。
少し前ですが、実社会で上記と同じようなことを、ある人に言いました。そうしたらその人は「使う以上に儲けたらいいだけでしょ。縮こまることはない」と言い放ち、いつの間にか行方知れずになりました。
ネット上では、あなたを契約に導く記事ばかりです。本当にどれもこれも、契約へ契約へと案内する記事だらけです。
それらはいかに親しみを持って親切そうに書かれていても、1mmもあなたのことを思っての記事ではありません。
もし、借入動機がお小遣いの延長のようなものであれば、是非とも契約をする前にブレーキをかけてください。
このような記事は鬱陶しがられるだけで最後まで読んでもらえない可能性が高いでしょう。しかしそれでも歯止めとなるようなお話は、誰かがしなければいけないと思います。
もし、審査の甘い消費者金融に心が傾いたらどうぞこの記事を思い出してください。地獄のデメリットを思い出してください。