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「ゴディバ=高級」だと思い込んでいませんか?
バレンタインや贈答の定番として、金色の箱に入った「ゴディバ」のチョコレートが百貨店の棚に並ぶ光景・・それは、90年代以降の日本で定着した「高級感のある贈り物」の象徴です。
多くの人が、「とりあえずゴディバにしておけば外さない」と、ブランドイメージに安心して手を伸ばしてきました。
けれどその認識は、本当に世界の常識と一致しているのでしょうか?
世界におけるゴディバの本当のポジション
ゴディバはベルギー発祥のブランドで、もとは高級チョコレートの代名詞として知られていました。
しかし現在はアメリカ資本のもとでグローバル展開する大手メーカーとなり、その立ち位置も、かつての限られた人の特別なチョコとは大きく変わっています。
たとえばアメリカでは、ゴディバのチョコレートはホリデーシーズンの量販ギフトの定番。
スーパーやショッピングモールでも普通に手に入り、「ちょっと良いけど、特別すぎない存在」として親しまれています。
フランスやベルギーでも状況は同じ。
ジャン=ポール・エヴァンやピエール・マルコリーニといった本格ショコラティエと並んで語られることは、まずありません。
つまり、「ゴディバ=最高級」という日本的な感覚は、世界の目で見れば明らかにズレているのです。
なぜ日本では特別になったのか?
ゴディバが日本で高級チョコレートとして広く知られるようになった背景には、綿密に計算されたマーケティング戦略があります。
まず、百貨店を中心に出店を進めたことにより、「百貨店に並んでいる=信頼できる高級品」という日本独特の価値観と結びつきました。
加えて、「金と黒を基調としたパッケージデザイン」は、もともと世界共通のものですが、とりわけ日本人にとっては「高級感を演出している」と印象づけられたようです。
さらに、日本には、、
- 海外ブランド=本場
- 輸入品=良いもの
というイメージが根強くあり、ゴディバというベルギー生まれの名前自体が、説得力のある肩書きとして受け入れられやすかったのでしょう。
加えて、日本ではチョコレート文化そのものが欧州に比べて浅く、、
- ブランドで選ぶ
- 見た目で選ぶ
といった判断基準が主流になりがちです。
こうした土壌の中で、ゴディバは間違いのない贈り物として定着していったと言えるでしょう。
恋人やお世話になった人に送りたい高級チョコとは?
大切な人に贈るチョコレート。だからこそ、名前やパッケージではなく、中身で選びたいと思うことはありませんか?
「ゴディバ=高級」というイメージが日本ではすっかり定着していますが、実は世界の基準では、それ以上に評価されているショコラティエが数多く存在します。
ここでは、世界で認められている本物のチョコレートをいくつかご紹介します。
- ピエール・マルコリーニ(ベルギー)
カカオの調達から焙煎、製造までを一貫して自社で行うクラフト系。素材への徹底したこだわりが世界中のファンを魅了している。
- ジャン=ポール・エヴァン(フランス)
洗練されたデザインと繊細で奥深い味わい。フランス国内でも高く評価される、まさに一流の存在。
- ラ・メゾン・デュ・ショコラ(フランス)
上品な甘さと余韻のある香りが特徴。美食の国・フランスを代表する高級ブランド。
いずれも、日本国内で入手可能なブランドです。
もし「本当に上質なものを贈りたい」と思うなら、こうした世界基準の一流に目を向けてみる価値はきっとあるはずです。
本物を知るということ
ヨーロッパの多様なチョコレート文化は、日本ではなかなかストレートに伝わってきません。
そこには、「ゴディバ=高級チョコ」として印象づける一方で、それ以外のブランドや選択肢をあまり伝えない・・そんな一方向の企業戦略が、日本市場における高級チョコのイメージを形作ってきたという面が一因でしょう。
加えて、一度「一流」として社会に認められたものが、パッケージやブランド名ばかりを先行させ、中身や背景に対する関心が置き去りにされてしまうという、日本独特の消費文化もあるのかもしれません。
だからこそ、もしこの記事を通じて、世界で本当に評価されているショコラティエの存在を知っていただけたら嬉しいです。
もちろん、ここでご紹介した内容をそのまま鵜呑みにする必要はありません。
けれど、ふと気になったときに、あらためて世界の目線で調べてみる・・そんな小さな行動が、きっとあなたの選択に深みを加えてくれるはずです。
そして、大切な方へ本物を送りたい、という思いを商品に託せば、その思いは、きっと相手の心に届くはずです。
疑問を持たれた読者への回答


そんなふうに思われた方もいらっしゃるかもしれません。
それは、まったく自然な疑問ですし、この記事が伝えたかったのは決して「ゴディバを否定すること」ではありません。
ゴディバは、世界的に知名度の高いブランドであり、日本でも長く愛され続けてきました。万人に喜ばれやすい味設計、安定した品質、そして華やかなパッケージ。
これらはすべて、企業としての努力の結晶であり、敬意をもって語られるべきものです。
しかし同時に、「ゴディバ=世界最高の高級チョコ」という認識が日本でだけ突出していること。
そして、ゴディバ以外の選択肢が十分に知られていない状況には、やはり一度立ち止まって考えてみる価値があると思うのです。
この記事では、「高級」とは価格や知名度だけではなく、
素材の選び方、製造へのこだわり、そして何よりもブランドが貫く美意識や哲学に宿るものだという考え方をお伝えしました。
価格帯が似ていても、「何に価値を置いているのか」「どう届けようとしているのか」が異なれば、
選ぶ側の視点も変わってくるはずです。
そこに正解はありません。けれど、知ったうえで選ぶことには、大きな意味があると思うのです。
もし、大切な人に贈るときに「これが自分の選んだ、世界の中でも評価されている本物のチョコレートなんだ」と、小さな確信とともに渡すことができたなら・・