目 次
ビットコインって何?
いつの頃からかビットコインという単語をよく見かけるようになりましたね。詳しく確認はしたことがないけれど、断片的な話はちょこちょこ入ってくるので何となくイメージできます。
- 通貨の概念を超える仮想通貨
- 世界中に瞬時に送金できて手数料がとても安い
- 金以上の投資対象である
でも、結局なんのことかよくわからない。少し気になる。興味はある。
- ビットコインってどうやって手に入れるのだろう?
- 体験として一度ビットコインで買い物をしてみたい
- 投資対象として面白そうなら少し参加してみたい
そういう人で、でもそこからの更なる一歩が踏み出せないでいる人は案外多いかもしれません。忙しいしやる事一杯あるし、まあそのうち、みたいな・・・
そういうちょっと気になっている超初心者の方にこの記事を読んでもらえたらいいな、と思い作成しました。
ビットコインの世界を一緒に覗いてみましょう。
ビットコインとnanaco
ビットコインはお金の一種です。ただ、これは今までにないもので凄く理解がしづらいのです。
次の動画はマジックマネー(ビットコイン革命のドキュメンタリー)という映画の一部分です。もしアマゾン・プライム会員であればプライム・ビデオとして無料で観ることができます。但しビットコインの説明ばかりで面白くはありません^^
で、動画の登場人物の一人ロジャー・ヴィアが、友人に一晩かけて、わかりやすくビットコインの説明をしたのですが、次の日に友人から「ところでビットコインは地下に埋蔵されているの?」と聞かれた、と苦笑しているシーンがあります。
よくわからないからと説明を受けると余計に・・・
- ネット内の文字の塊がなんで通貨?
- ビットコインは誰がどこで発行するの?
というような疑問が湧いてきて、これをぶつけると理解しやすいようにと例え話をするのですが、それがさらなる混乱を招く、というのが先の映画の1シーンです。
つまり、それほど理解をしてもらうのが難しいと言いたかったんですね。
勿論ビットコインは地下に埋もれてなんかいりません。その実態はインターネットの世界だけに存在する「文字の塊」です。
それをこれから順番に説明していきますね。
ビットコインと電子マネーの違い
似ているようですが全く違うビットコイン(仮想通貨)とnanacoのような電子マネー。
ここではその違いについて説明します。
簡単にすぐに理解とはいきませんが、途中混乱も生じるでしょうが、一歩一歩進めたいと思います。
発行者・管理者・信用
まず大きく違うのが、例えば、nanacoは(株)セブンカードサービスが発行しています。すべての電子マネーは必ず発行者がいて事業として運営しているのです。
「円」というお金は国の信用がバックにあるように、電子マネーには発行者の信用が背景にあります。
逆に言えば、信用がなくなれば、つまり発行会社が倒産すれば、その電子マネーは価値がなくなるし当然利用できなくなってしまいます。
ところがビットコインは発行者も管理者も存在しません。
なのに世界中で・・・
- 通貨として認められ
- 決済手段として
- 投資の対象として
利用されているのです。なぜそんなものを信用して利用することが可能なのでしょうか。
換金性
さらにもう一つ大きな違いがあります。
nanacoなどの電子マネーは通貨ではありません。発行会社に事前にお金を支払って、その範囲で使える保証を与えられた決済ツールです。
そして、電子マネーは一旦お金を払いこむとそのお金を返してもらう(払い戻してもらう)ことができません。払い込んだ以上、その電子マネーとして使い切る以外に価値を利用する方法がないのです。
ところがビットコインは違います。形はなくても純然たる通貨ですから世界中に多くの取引所があって、いつでも円やドルその他の通貨と交換することができます。
ビットコインのさらなる特徴
発行者・管理者の存在しないビットコインには、さらに驚くべき特徴があります。ここでは、その特徴について説明していきます。
取引や保管に第三者が介在しない
円やドルといった通貨を保管するとき、そして送金をするときには銀行や郵便局などの金融機関を利用しますね。
また国内外で買い物をするときにはクレジットカードを利用します。これってクレジットカード会社を利用しているんですよね。
つまり一般の通貨は、保管も送金もクレカ利用にしても全て第三者が取引の中に介在しているのです。第三者の介在は必ず利用者情報の提供を意味していて、それは大きなリスクとなります。
ところがビットコインではこれらの第三者が介在しません。全ては匿名で直接取引・直接送金できるのです。
これはとんでもない特徴で・・・
- 口座はいらないし
- 誰の行為かを把握されないので
- スマホさえあれば
世界中で制限や邪魔を受けないで決済や送金ができるわけです。もちろん国家のコントロールも受けません。
以上の特徴をよく理解すれば多分気がつくと思うのですが、地球規模で見ればみんなに都合がいいんですね。
- 善人にも悪人にも
- 貧しい人にも富める人にも
これなんですよ、ビットコインが物凄いスピードで広がっている理由は。
今朝の日経新聞に載っていた記事です。
ニューヨークの学生ならみんな普通に偽IDの学生証を持っていて、これは150ドル分のビットコインで買ったそうです。
その学生曰く「ビットコインを利用すれば送金の履歴をチェックされないから、偽物取扱業者も僕たちも安心」
しゃ〜けど管理者も責任者もおれへん、国も関与せ〜へん通貨がなんで信用されるんやろ? そこがやっぱりわからへんわ。
ビットコインの誕生
私たちが長い間慣れ親しんできた通貨制度を根本的にひっくり返すような大革命的通貨制度を考え出したのは「中本哲史(なかもとさとし)」という人物です。
2009年に「Bitcoin:A Peer-to-Peer Electronic Cash System」という論文がネット上に掲載されました。
(日本語訳)https://coincheck.com/blog/292
(原文)https://bitcoin.org/bitcoin.pdf
しかし、当の中本氏自身は2010年に忽然と姿を消したのであります。そして今もって、この人が個人か男か女か国籍も含め何もわかっていません。
こんなノーベル賞級の大発明をした人の所在が不明なんて、不明なこと自体が不思議ですね。
それはともかく、この論文に興味を持った支持する人たちの手でビットコインはスタートし始めました。
ではいよいよ、どうやってビットコインが生まれるのか、その具体的な仕組みについて述べます。
先に、ビットコインは発行者も管理者もいないと申し上げました。では・・・
- どうやって刻々と増えていく取引を台帳に記録していくのか
- 取引上の誤りや悪意をどうやって排除しているのか
まずこちらを理解しましょう。そうすることで必然的にビットコインが生まれる仕組みもわかってきます。
健全で整合性が崩れないシステムとは
ビットコインには厳格な取引台帳が存在します。どこにあるのでしょう?
それは専用のサーバみたいな大きな施設が世界中にあるという事でしょうか?
いえ、違います。
ビットコインの取引は世界中で絶え間なく行われているので、取引台帳もそれらの記録をデータとして整合性を崩すことなく追記していかなければなりません。膨大な量です。
台帳にデータを追記する専門の作業員が世界中にいるのでしょうか?
いえ、違います。
取引台帳の維持・管理の仕組み
実は世界中に取引台帳の維持管理に協力する人たち(マイナー)がいます。個人もいれば法人もいます。
これら世界中のマイナーは、自分のコンピュータに取引台帳管理のためのソフトをダウンロードしてこれを起動します。マイナーが為すことは他にはありません。ただPCの電源を切らず、ひたすらソフトを走らせ続けるだけです。
その結果、全てのマイナーのコンピュータがビットコインの取引データを分散して保存・共有することになるのです。
上記説明のようにコンピュータ同士を直接つなぎ合ってデータのやり取りをする方法をP2P(ピアトゥーピア)と呼びます。
逆に、データを管理するコンピュータを設けて(一極集中)、そのデータを利用する多くのコンピュータがその度にアクセスする方式をSBN(サーバベースネットワーク)と呼びます。
P2P方式だと特定のコンピュータが攻撃を受けても、その他多くのコンピュータにも台帳があって自在に繋がっているのですぐに修復ができます。
ところがSBN方式だと、サーバが攻撃でダメージを受けると、台帳がそれ以外にはないので復旧するまで時間を要し、しかも連続した正確性を担保できません。
ビットコインの取引記録を取引台帳に整合性を持って追記するために、常に膨大な計算を行っています。
- 使っているビットコインは本当にあるのか
- 送金した人はビットコインの本当の所有者なのか
- 所有する同じビットコインを複数の人に重複して送金していないか
まず、世界中の各マイナーのPCは上記のような不正取引や二重取引などをチェック精査します。
それとともに、署名された間違いのない取引を追記するために新しいブロックを作成しなければなりません。
しかし、新しいブロックは全てのマイナーのコンピュータに自動的にできるわけではありません。ここが最大のミソです。
新しいブロック生成の権利を与えるために、問題が10分ごとに出されており、一番最初に正解したマイナーのコンピュータに新しいブロックが追加作成されます。
追加された新しいブロックにあなたの送金(支払い)取引が記録されたとき、取引は「承認された」ことになり、それを持って送金(支払い)は無事終了したことになります。
こういったことが絶え間なく世界規模で行われているのです。そして10分ごとに新しいブロックが延々と繋がっていきます。世界のマイナーのコンピュータの管理台帳も常に最新に置き換わっていきます。
これら一連の仕組みをブロックチェーンと呼び、複雑な計算の果てに新しいブロックを生成し、送金取引を承認する(新ブロックに組み込む)システムをプルーフオブワークといいます。
さて、一切の国家や金融機関が関与しないビットコインが通貨として存在しうる仕組みは、だいたいこんな感じです。これがいかに堅牢で自由ななシステムであるかを多くの人たちが理解しているから世界中から認めたれているのです。
いいえ、大丈夫です。これだけ多くのPCが膨大な計算をして承認しブロックを形成し共有し続けているので、一部だけを破壊しても修復されます。というか計算能力的にも圧倒的で、「これに立ち向かう」という可能性のない無謀を犯すくらいなら、ハッカーは後述のマイニングに励むでしょう。
マイナーになる人が多い理由
ビットコイン・システムの細かいところはさすがに複雑なのである程度の理解でいいと思います。
しかしそれにしても、どうして世界中の多くの人がシステム管理承認に参加しているのでしょう?
パソコンを解放しないといけないし電気代はかかるし。ですよね。それとも趣旨に賛同する人たちはボランティア精神に溢れているのでしょうか? 実はそれも違うんですね。
はい、そこには納得の理由があるのでした。これこそがビットコインが生まれる仕組みそのものなのです。
マイニング
上述のプルーフオブワークというシステムは、参加している全パソコンに、10分おきに問題を出してきます。
これに対して一番早く正解を出したマイナーのコンピュータに新しいブロックが出きて、取引台帳管理システムに参画することになります。そして、その瞬間に報酬としてビットコインが発行されるのです。
これこそが新しいビットコインが誕生する瞬間です。また、これ以外には発行される方法はありません。唯一無二の発行方法はプルーフオブワークの出す問題に正解し報酬として受け取ることなのでした。
この報酬としてビットコインが発行される取引はコインベースと呼ばれますが、まさに、この報酬のビットコインを求めて、それが目的でみんなシステムに参加しているのです。
再度申しますが、ビットコインが発行される方法はこれ以外にないのです。
ただし、現在では膨大な計算能力を要求されるため、一般個人が所有するパソコンでは有効と言えるほどの成果は出し難しくなっています。
当初はブロックは少なく計算量も知れていたでしょうが、取引はどんどん増えて、それに伴い出来るブロックも俄然多くなってきます。
当然、矛盾なく追記承認するための計算も膨大になるというところです。
なので、世界では専用の高性能コンピュータシステムを組むために投資をして、ビジネスとして行なっているところが多くあります。
ところで、こういったマイナーの参加協力行為はマイニングと呼ばれています。
マイニングとは採掘を意味しします。送金取引を精査し、新しいブロックを形成するための問題を解く計算過程をマイニングと呼ぶ理由は、金の採掘とダブらせているところにあります。
つまり、地球上の金の鉱脈には限りがあるけれど、それを掘り当てて夢を実現するという金採掘とよく似ているという事なんですね。
世界がマイニングという比喩を受け入れているので今更なんですが、私はちょっと違和感を覚えます。
最初の映画のお話を思い出してください。ロジャー・ヴィアの友人が散々説明されているのに「ところでビットコインは地下に埋蔵されているの?」なんて聞くのは、マイニングなんて比喩を使うからです。
誰もビットコインの採掘なんかしていないのですよ。ビットコイン台帳の安全性・堅牢性維持そして、新しいブロック作成のための検索(正しいnonceを発見すること)のために計算能力を貸しているだけです。
* nonceについてはややこしく、この記事の意図にそぐわないので説明は省略します *
その行為がビットコイン獲得目的だとしても、やっていることは採掘でないことは確かですよ。
マイニングなんて比喩を使うから、かえって理解が難しくなるややこしくなると私は思うのです。事実に沿ったまっすぐな説明の方がわかりやすい、そうは思いませんか?
報酬額と総供給量
マイニングで得られる報酬は、一番最初は一回の正解につき50BTCでした。これは10分に一回の問題正解ごとに発生します。
しかし、その調子で発行され続ければ将来インフレを起こさないか? という疑問が湧いてきますよね。
この点について、ビットコインは実に巧みなロジックをシステムに組んでいて、問題を解決しているんです。
どういうロジックかというと、それは・・・
報酬として支払われるビットコインの額は、生成されるブロックが21,000ブロックに達すると半減するのです。
50BTC→25BTC→12.5BTC・・・のように。
1ブロックの生成にかかる時間が約10分程度に調整されており、21,000ブロック分だと約4年間かかることになって、つまり約4年に一回半減期が訪れることになります。
しかし、マイナーの所有するコンピュータの処理能力は変わり続けているので、2週間に一回の割合で難易度の調整がされています。
まあそれにしても、市場に流通するビットコインの量は増加する一方です。いつまでも増え続けて、それは市場の混乱要員にならないのでしょうか。
実は、ビットコインの総発行枚数は21,000万BTCと決められており、それが発行され尽くしたらもう新たに発行されることはないのです。
そういうことだったのです。永久発行→インフレという構図は生まれない仕組みを作っていました。予想では、だいたい2014年頃に発行し尽くされると言われています。
ビットコイン発行完全終了ののち
2014年に全て発行し尽くされたら、その後はどうなってしまうのでしょう。
今までコンピュータを計算のために貸していたマイナーは、少なくてもそれをビジネスにしていた人たちは去って行くのでしょうか。当然、もう絶対にビットコインは得られないのですから。
じゃあ、ビットコインを支えるシステムは崩壊してしまうのでしょうか?
実は明確な答えはありません。だれにもわかりません。
ですから誰がどう述べても推論になりますが、私は、その時のビットコインに対するニーズ次第だと思います。つまり、ビットコインがどうしても必要だと地球規模でそう思い、コンセンサスが出来上がれば残るでしょう。
そしてもう一つ、すぐ後で述べますが、新規にビットコインの発行は受けられなくても手数料は発生し続けます。それはマイナーがシステムを支え続けようと思うほどの額なのか? これも大きな問題です。
マイナーの受取手数料
先にも少し触れましたが、マイナーと呼ばれる人たちが受け取れる報酬は、新規に発行されるビットコインと、実はもう一つ「手数料」があります。
金融機関を通して外国送金をした人は経験があるでしょうが、よくわからない項目に高い手数料をのせています。まあ一度経験してみてください、びっくりしますよ。高い! それに遅い。
ビットコイン送金手数料は安いのですが、ちょっと心得ておかなければいけないことが一つあります。
手数料と承認の関係
送金手数料は送金者の裁量なので、安く設定することはできるのですが、そうすると承認されるのに時間がかかり、送金時間がよりかかってしまう可能性があるのです。
単純に考えると、新しいブロックが作られるのに約10分かかるのでした。その中にあなたの取引(送金記録)が入れば送金は完了します。つまり送金にかかる時間は10分です。
ところが、このビットコイン取引が新しいブロックに記載される優先度は、マイナーに委ねられているのです。そうすると、当然低い手数料の取引は後回しになりますよね。
後回しにされるとどうなるのか?
送金取引が新しいブロックに入る(承認される)前は、不正取引などの確認チェックが行われているのでしたね。その作業場所をメモリプールと呼んでんでいます。
新しいブロックに入れてもらえなかった(承認されない)送金取引はこのメモリプールに残ったままになります。次から次から取引データが入ってきますから、残されたままというわけにはいきません。
というわけで、承認されない送金取引は次の条件に該当すればメモリプールから除外されます。
- 一定時間が過ぎてしまった送金取引データ
- メモリプールの容量が上限に達してしまった
そうして、承認されずに除外された送金取引はキャンセルされて、その資金(ビットコイン)は送金主のウォレットに戻ります。
早く確実に送金を完了させるには
早く確実に送金をするための方法はただ一つ、送金手数料を手動で高く設定することです。
次の動画は送金手順を解説しているもので、途中で送金アプリの方に「追加手数料」というような項目が見えますが、ここで手動で手数料を加減できます。
アプリによって「手数料」の表示と操作方法は少しずつ異なりますが、要は、何もせず元の設定で送るか、操作をして手数料を変更するかです。
ビットコインのメリット
すでに少し述べていますが、ビットコインが支持される最も大きな理由なので再度詳しく説明します。
誰にも管理・関与されない制限されない
支持される一番大きな理由はここにあります。ところが、日本人には極めてわかりにくい理由でもあります。何故か?
その理由は、私たちは日常生活の中の送金や支払いで特に不便や問題を感じないからです。
日本では誰もが金融機関の口座を持てるし、国内の送金も簡単で早くて手数料もわずかです。今あるシステムで何も困ることがないのです。
ところが世界に目を向けるとそうではない現実が見えてきます。その現状がわかれば、ビットコインの需要の高さの理由もわかってきます。
世界には銀行口座もクレジットカードも持てない人たちがたくさんいます。沢山いるのです。
そういった人でもスマホさえあれば、安価で安心して確実に国を超えて送金ができます。しかも銀行やクレジットカード会社を通さないために手数料が極めて低くて済むのです。
これがどれほど魅力的なことかわかるでしょうか。
一方、金融機関に口座があってもそこにお金を預けることは、管理を第三者に委ねることであります。いつ銀行や国家によって引き出し制限を受ける事態が発生するかもしれません。いつ送金制限を受けるリスクにさらされるかもしれません。
中国人がビットコインを積極的に買っている理由は、引き出し制限や口座凍結、送金制限など謂れのない強権介入を恐れていること、そして、なにより元を信用していないことにあると思います。
キプロスショックを覚えておられるでしょうか。キプロス共和国では、或る日突然銀行預金の全口座残に税率をかけると発表したのです(6.7%〜9.9%)。
そらパニックにもなりますわ。なんで納税済みの所得(銀行預金)に突然税金がかかるわけ?
こういうことが現実に起こっているんですよ。当然今後も起こり得ると考えておかなければなりません。
財産保有の観点から見ると、どっさり自国通貨を持っていても国が破綻すれば保有通貨は紙くずになってしまうのです。ところが、もしビットコインにして保有していれば国家破綻の影響は受けずにすみます。まさに天と地の差です。
また、クレジットカードはクレジットカードでホルダーはリスクを背負わなければなりません。
クレジットカードによる決済はお店に直接支払いをするわけではありません。必ずカード会社という第三者が介在するのです。それはつまり自分の情報を第三者に開示して預けなければならないことを意味してます。
いつ流出して悪用されるかわからず、常にリスクを覚悟していなければなりません。事実、世界ではしょっちゅうクレジットカードがらみの犯罪が起きているじゃないですか。
ところが、ビットコインであれば直接取引なので誰にも影響を受けません、誰も止めることはできません。資格も条件も不要なのです。
そういう意味では、ビットコインの取引者は金融機関の一端を担っていると言え、送金ネットワークの一端を担っているとも言えます。
更に、ビットコインは換金性が高く、世界中にある取引所においていつでも好きなときに持ちたい通貨と交換ができます。円でもドルでも。
ザッと以上のような理由でビットコインはどんどん支持されてきているわけです。
ビットコインのデメリット
さて、いい事ずくめのビットコインですね。「将来はビッットコインの時代だ」などともてはやされたりしています。が、実はとんでもないメガトン級の問題があるのです。
スケーラビリティの問題
ビットコインには本当に解決が難しい深刻な問題があります。その一つがスケーラビリティ問題です。
ビットコインの世界では送金取引がどんどん増えていってます。しかし現状では1日最大604,800取引以上の処理はできません。
これは既存の決済手段であるクレジットカードやペイパルに比べると比較にならないくらい小さなものです。そうなってしまう原因は1ブロックのサイズが最大1MBという制限があるからです。
今後、更にもっともっと取引量が増えたらどうなってしまうのでしょう? 当然処理しきれなくなりますから・・
- 送金取引の承認にかかる時間が増えてゆく可能性があります(送金時間がかかる)
- 早く承認してほしいからと手数料がどんどん上がる可能性があります
- 未処理件数の増加は予期しないエラーの発生に繋がる可能性あります
とにかくいいことは何もありません。近々に実施できる良い解決策はないのでしょうか?
解決策
一番わかりやすい発想は、1ブロックのサイズを大きくする事です。処理限界の大元を広げるのですからすぐにでもできそうに思います。しかし、物理的には可能であっても、これはこれでまた別の問題を引き起こします。
取引台帳データを多くのコンピュータで分散管理することが、ビットコイン流通健全化の鍵であるのに、それが困難になるかもしれません。
1ブロックのサイズを大きくするとブロックチェーン全体の容量も大きくなり、それは個々のコンピュータにさらなる大容量のディスクを要求することになってしまいます。
これは何を意味するかと言いますと、非力なマイナーが脱落してゆくことを意味します。
結局、その負担は一握りの資金力あるマイナーたちが請け負うことになって、不特定多数のマイナーによって管理・承認されるといった構図が崩れていく可能性があるのです。
しかも更に取引量が増大すると、もっとブロックのサイズを大きくする必要性が生まれてきて、それはますます特定のマイナーへの集中へと繋がっていきます。
公平で誰にも管理させないというのが特徴で需要が伸びてきたビットコインですが・・・
その他にもスケーラビリティを解決する方法は提唱されていますが実行には至ってません。こんなに緊急を要する問題なのに、何故具体的な解決策へと話が進まないのでしょうか?
コミュニティの利害と合意
ひとえに、大手参加者の利害が対立しているからです。
ビットコインの世界は・・・
- ソフトウエアの開発をする人たち
- 送金取引をチェックし承認するマイナー・フルノード
- 取引所やウォレットの運営者
などで構成されるコミュニティがあります。こういう人たちや組織でビットコインの安全や流通が守られているわけですが、喫緊の大問題の解決に対し、合意を見出せずに三竦み状態に陥っているのです(フルノードの説明はパスします)。
誰にも管理されないのが大きなメリットと謳いながら、解決せずには済まない大問題が起きても、大口関係者は合意すらできないでいるのです。
それどころか、分裂して第二のビットコインができるような有様です。
現在は、風速80mの風が吹く中、小さなつり橋を渡っているような状態ではないでしょうか。ちょっと間違えば大混乱は必至です。
ここに私は人間の根本的な特質も見る思いがします。「自由」「自由」と叫びながら、自由同士がぶつかり合い、気がつけば抜き差しならなくなって、結局最も忌み嫌う権力の介入を許してしまう・・・
もちろん合理的な誰にもメリットがある解決方法を、1日も早く合意して実行してほしいとは思いますが。
大きな心配がある一方・・・ビットコインの価値が急落して誰も見向きをしなくなるのかと問えば、私はそうはならないのではないかと予測します。矛盾しているようですが。
その理由は、世界的に見ればあまりにも需要が大きく、これからも更に伸び続けるであろうと思われるからです。
つまり、それは大きなパワーになり、最終的には結局改善を余儀なくされることになるのではないかと。どっちにしても相当の混乱は起きるでしょうが。
取引所自体のリスク
ビットコインには売り手と買い手をマッチングさせる取引所が存在します。
送金と違い、売買は相手を探す必要があります。何度も申し上げてますように介在者は不要なんです。
でも、仲介者がいないとビットコインを売りたい・買いたい人は、その相手がどこにどれくらいいるのかいないのか自分で探さなければならず、それは実質的には難しいので結局取引所に頼っているのです。
売買回数の多い人や或る程度のまとまった取引をする人は取引所の口座にビットコインを預ける必要があります。
では、何がリスクなのでしょう?
あなたは日本にあるビットコインの取引所の名称を一社でも言えますか? 多くの人は言えませんよね。ここに問題のヒントが集約されています。
一方、株式を売買する証券取引所なら・・
- 東京証券取引所
- 大阪証券取引所
くらいは誰でも知っているし、信用絶大でリスクを感じる人はいないわけです。同様に、証券取引所に顧客の注文を出す・・・
- 野村証券
- カブドットコム証券
その他歴史ある証券会社は誰でも知ってますし、実績もちゃんとあって、リスクなんて感じる人はいないのです。勿論リスク0ではありませんが。
一方、ビットコイン取引所はコインそのものの歴史が浅く、従って、取引所の歴史は更に浅く認知度も低く、日本の社会全体が安全との認識を定着させるには、もう少し時間が必要ではないでしょうか。
その上、マウントゴックスという取引所を運営していたMTGOXが倒産したことは記憶に新しいところです。ここの社長は「システム不備でビットコインが消えた」と言ったのですよ。どれほど多くの人たちが被害を被ったことか。
信用は一朝一夕には築けないのです。そして、崩れるのは一瞬です。
興味があって、これからビットコインを取り扱いたいと思っているなら、取引所に関するリスクは取らなければしょうがないです。できれば、取扱量が多い信認の厚い取引所に口座を開設するのがいいでしょう。
そして、法改正により金融庁の目が届くようになりつつあるので、少しづつでも安心できるような環境が整ってゆくことにはなるでしょう。
手数料
手数料については先にも申しましたが、今後高くなっていくと思います。
特にビットコインの発行が終了したのちは、マイナーは手数料だけが収入源になるわけです。加えて取引量の増加で承認時間がのびる可能性も大きく、安価な手数料というのはどんどん幻になっていくかもしれません。
まあそれでも比較論で言えば、銀行の海外送金にかかる諸手数料合計に比べれば、それを超えたりすることはないとは思います。
さて、夢の通貨ビットコインですが、このほかにも問題はいくつもあります。しかし必要とする人たちのパワーがいづれの問題も解決へと導いていくと思います。
ここでデメリットから離れて、次はビットコインと税金の話へと移りましょう。
税法上の取り扱い
これはリスクではありませんが、知っておかなければならないことですね。税法上はどういう位置付けにあるのでしょう。
- 150万円で買ったビットコインを200万円で売って50万円の差益を得た場合
- トレードを繰り返し年間トータルで利益が発生した場合
- マイニングでビットコインを増やした場合
いづれも発生した利益は所得です。
ところがそれが・・・
- 譲渡所得か
- 雑所得か
はっきりしません。今のところ明確な公式な統一見解がないのです。
譲渡所得であれば合算で50万円の特別控除があるので、50万円を超える利益(=所得)が発生した場合は申告が必要です。
但し一般の会社員つまり年末調整をしている人は、譲渡所得が20万円を超えない限り(70万円を超える利益)申告の必要はありません。
また、これらを事業として行っている場合は利益は事業収益であり事業所得になる可能性が高いです。
しかし、どの時点をもって利益確定、申告の対象となるのかは明確ではなく、税理士や最寄りの税務署に問い合わせるのが一番です。
税務署に問い合わせるのがいいかなと思います。
- 基本親切
- 個人を特定されることはない
- 費用がかからない(←これが大きい)
ということで税金の話は終わりにして、次は・・・
- 実際にビットコインを買いたい
- ビットコインでお店で実際に支払いをしてみたい
- ビットコインで投資をしてみたい
そういった方向けのお話をしましょう。
ビットコインの取引
購入
先に述べました通り、個人がマイニングで稼ぐのは実質的に不可能に近いので、ビットコインを得る方法は「購入すること」一択です。
購入の手順は、今までに銀行や郵便局や証券会社など、どこでもいいですが、もしネットでの取引を経験していれば理解は簡単です。
どの取引所もだいたい似たような手順です。
- 好きな取引所で口座を開設
- 購入したいビットコイン相当額の円を指定された金融機関口座に入金(送金)する
- その取引所でビットコインを買う
- 自分の口座(ウォレット)に購入したビットコインが保管される
これで購入できました。手続きの途中で認証が入ったりします。
逆に購入したビットコインを売る場合も手順はほぼ同じです。上記「買う」を売るにするだけです。
口座開設については・・・
に国内各取引所の名称と特徴が書かれていますので確認してみてください。
もしよくわからなければ、どこかの取引所に口座開設をして、ごく少量のビットコインを売買してみることです。これが理解への一番の近道です。
尚、取引所に関しては推薦するわけではないですが
- coincheck
- bitFlyer
などは取引量が多く、ある程度の信用はあると思います。
また、実際の口座開設手順については下の動画がわかりやすいので、一度ご覧ください。
支払い
さて次に、買ったビットコインを決済(買い物や食事の代金支払い)に使う方法ですが、まず持ち歩き用のウォレットを作ります。
- 自分のスマホにウォレットアプリをダウンロードしてウォレットを作っておく
- 取引所の自分のウォレットからスマホのウォレットへ送金する
次に、お店で支払いをするときの手順ですが・・・
- お店は端末で支払い金額とQRコードを提示する
- あなたは自分のスマホのウォレットアプリを立ち上げる
- スマホのカメラでお店の提示したORコードを取り込む
- 「支払う」ボタンを押す
そうすると支払い決済ができます。各ウォレットソフトによって、表現文はそれぞれなので、大筋の理解と捉えてください。
こんな感じですね。
スマホ用(持ち歩き用)のウォレットアプリは使いやすいのを入れればいいのですが、やはり口座を作成した取引所のものがいいでしょう。
上に例示した、bitFlyerやcioncheckのスマホ用ウォレットであれば下記の通りです。
ビットコインと投資
ビットコインが投資対象として向いているかどうか、というお話ですが。まずこちらをご覧ください。
ビットコインのチャートですが、読めるでしょうか。分析とかじゃなくて、単純に、見方を問うています。如何でしょう。
もし全然わからなければ、それでもビットコインで売ったり買ったりするトレードをやりたいと希望しているのであれば、相当勉強する必要があります。
ビットコインについてじゃなくて、トレードの基本の勉強です。
私は約15年に亘って、レバレッジの高い日経225先物の世界で戦ってきました。それこそ数え切れないほどの戦略をパソコンを駆使して検証し、マーケットで通用するか確認してきました。
正直、破産していないのが不思議です。
ビットコインのマーケットは日経225先物や通貨fxとある意味共通している激しさがあります。
ある時ある国が何かをアナウンスした瞬間に、3分の1や半分も下落するようなマーケットで素人が太刀打ちできるはずがありません。
やるやらないはあなたの判断ですが、「極めて危ない」と申し上げておきます。仕事をして種(まとまったお金)を作るのは大変です、でもトレードで全てを失うのは一瞬です。これを忘れないでください。
逆に、もし長期保有資産として考えているのであれば、持ってもいいかもしれません。しかしそれはそれで投資戦略があります。ですから、やはり長期投資の勉強が必要です。
「10年間持つんだ」とばかりに何も考えないで適当な日に買ったりするのは最悪です。買った時の値段が歴史上の最高値だったりしたら、これは結構しんどい思いをする可能性があります。
また、絶対に手を出してはいけないのは、ビットコイン(その他デジタルコイン)がらみの投資商品です。高利回りを宣伝しているやつね、買わないほうがいいですよ。その理由はね、少し投資の勉強をすればすぐにわかります。
とにかく一朝一夕に実践できる確実な投資方法なんてこの世には存在しません。ビットコインだからどうの、ではなく自分にあった投資手法を身につけて少しずつ注意深く実戦で腕を磨いていくしかありません。
あなたが初心者なら、私のことを鬱陶しいと思いつつも「あれもこれもダメ」と言っていることだけは必ず覚えておいてくださいね。
まとめ
ビットコインの超入門記事でした。全くご存知なかった方の参考になったでしょうか。
- 誰にも管理・制限が出来ない
- 銀行やクレジットカード会社など第三者の関与を受けない
- 自己情報を晒す必要がなく匿名性が高い
- 手数料が無料か極めて低い
- ブロックチェーンというシステムがビットコインを守っている
以上のような優れた特性を有しているビットコインは、世界中の口座さえ持てないような人たちにも大きなメリットをもたらしました。
しかし・・・
- 違法行為・犯罪行為で得た資金
- 存在を知られたくないお金
- 税金を支払いたくないお金
そういった莫大なお金がビットコインの存在を支えていることも否定できません。今後もこういったお金はビットコインへと流れ込むでしょう。なぜなら都合がいいからです。
- 管理されたくない
- 自由でありたい
- 匿名性を破られたくない
こういった望みは正義にも悪にもあるのです。その需要は膨大なもので、だからこそビットコインは今後も存続し続けると思います。
一方、ビットコインは良いことづくめではないことも説明しましたね。例えば・・・
- 誰にも管理・制限されてないと言いながら、手数料問題に見え隠れするある種管理の可能性
- 膨大化するデータ処理解決に見え隠れするパワーバランス
- 取引履歴は全て残り誰にでも確認できる状態は真に匿名性があるとは言えるのか
ところで、現実を生きる私たち一般の日本人社会にとってはどうなのでしょう。今後クレジットカードのように普及するでしょうか。現金に取って代わるでしょうか。
日本に限定すれば、私の答えは「ノー」です。
確かに商売をする方にとっては魅力的です。クレジットカードに比べれば支払い手数料は安いし入金も早いし。
しかし、支払いをする方にとってはめんどくさい以外の何物でもないじゃないですか。何でいちいちビットコインに変えなきゃならないんですか。
円に対する変動幅は非常に大きくて高リスクです。支払い用としてビットコインで持ったばっかりに受けなくてもいい損失を受ける可能性があります。
それを恒常的な日常生活に持ち込んでいいのでしょうか。
それに国内送金ならいつでも誰にでも安価で銀行から相手の口座に実行できます。
店舗への支払いは現金やクレジットカードで何の問題もありません
そういうことなんですよ。
確かに銀行やクレジットカードを利用すれば、第三者の介入されるし個人情報も開示しないといけない。でもそれで何か困りますか? 困りましたか?
また極端な話、現金オンリーの生活をして、預金はタンス・支払いはオール現金としたところで、やっぱり個人情報を開示する必要性はいくらでもあるわけです。
ですから、日本人である私たちが国内で経済生活を送る上では、積極的にビットコインを利用する意味はあんまりないと思うのです。今のままの方が圧倒的に便利です。
また、まるで国が管理する通貨「円やドル」に取って代わる日がくるような話も見聞きしますが、まずそんなことは考えられません。一国の経済を国が守っていく上で通貨の管理は不可欠です。
先に例に挙げたキプロス共和国やギリシャのように国家が転覆するような危機が訪れれば話は別です。当然ビットコインに人は殺到するでしょう。今お話ししているのは、私たちが住む日本についてです。
ということで、ビットコインの解説をしてきましたが、日本での普通の生活においては、まだ必要性がある段まで来ていない気がします。
あくまでも消費者目線なので、ひょっとしたら事業者側から大きく普及する可能性があるかもしれませんね。それから、海外との関わりが大きい人にとっては間違いなく有効な決済手段でしょう。
長くなりましたが、以上でビットコインの説明を終わります。
それと同じようにビットコインでも(取扱店では)普通に買い物ができるし、食事も美容院の支払いもできるのよ。