【ChatGPTは使えない!】AI が自ら告白する絶望的ダメ仕様の実態とは?

藤原

この記事で以下のことがわかります。

  1. GPTが致命的な欠点を抱えているのに、「賢く正しそう」に見えてしまう本当の理由
  2. なぜ多くの利用者が、その危険性に気づかないままGPTを信じてしまうのか
  3. GPTを使うなら、どこまでが許容範囲で、どこからが絶対にアウトなのか

目 次

知らない人が多いが実はかなり致命的なGPT

GPTの「短所」を語る理由

GPTの長所的特徴の説明はよく見かけますが、短所について深く掘り下げた解説はほとんどありません。実は、GPTには使い方次第で致命的になり得る欠点があります。公開直後から使い続けてきた私の結論です。

この記事では、何がどこまで危険なのか、どんな点に注意すべきなのかを具体的に整理します。GPTを使うユーザーなら、是非知っておくべき内容です。

多くの人がGPTを信頼してしまう理由

GPTは、非常に自然な文章を作成します。論理も通っているように見え、専門家のような口調で断言もします。そのため、多くの人は次のように感じるでしょう。

  1. ここまで自然で、具体的な説明もできるなら問題ないだろう
  2. 世界的に評価され、多くの実用例があるのだから信頼できるはずだ
  3. 自分が分からないことでも、GPTなら把握しているのではないか

しかし、この認識こそが最大の問題です。

その「もっともらしさ」こそが最大の問題

  1. GPTは、正しいことだけを話す存在ではない。
  2. 分からないことを分からないと言ってくれる存在でもない。
  3. 自分が間違っているかどうかを自己検証できる存在でもない。

それにもかかわらず、

  1. あたかも理解しているかのように語る。
  2. あたかも正しいかのように文章を整える。
  3. あたかも責任を持っているかのように断言する。

ここに、非常に大きな落とし穴があります。

この問題は「一部の人」だけの話ではない

もしあなたが、GPTのアウトプットをそのまま信じて使っているなら、或いは、一部だけをチェックすれば十分だと考えているなら、この先で書く内容は、決して他人事ではありません。

なぜならこの問題は、利用者の能力によって左右されるものではなく、GPTの内部構造や生成の仕組みに由来して生じるからです。

GPTが作成する、論理が通っているように見える文章ほど、多くの人が疑わずに受け入れ、検証を怠ってしまう。

失敗は静かにしかし確実に効いてくる

そして厄介なことに、失敗はその場では目立たず、後から静かに、しかし確実に効いてくるケースが多いです。。

  1. 判断のズレ
  2. 前提の崩壊
  3. 手戻りの増大
  4. 金銭や信用に関わる損失

この記事で最初に理解してほしい結論

本記事は、GPTを使うなと言いたのではありません。大変な思いをする可能性があるから、契約をやめろと言いたいのでもありません。

ただ一つだけ、最初に理解してほしいことがあります。

  • GPTが出力する文章を一言一句検証する覚悟がない限り信頼して使ってはいけない道具だ。

この結論は、誇張でも、極論でもありません。実際に使い込み、何度も手戻りを経験した立場から見れば、むしろ控えめな表現です。

プロンプトの優劣の問題でもない

本記事で指摘している問題は、GPTの使い方が悪いから起きるのではありません。また、プロンプトが下手だから発生する問題でもありません。

この記事で提起している欠点は、GPTという仕組みそのものが内包している性質です。

もちろん、問い方を工夫したり、条件を丁寧に与えたりすれば、一時的に出力が改善されることはあります。しかし、それは表面が整うだけで、致命的な欠点そのものが解消されるわけではありません。

重要なのは、どんなに優れたプロンプトを使っても、GPTは自分の誤りを検証できず、正しさを保証できない存在であるという点です。

つまり問題の本質は、「どう聞くか」ではなく、「何を任せてはいけないか」「どう距離を取って使うか」にあります。

 

GPTが本質的に抱えている構造的欠点の全体像

第1章では、GPTのアウトプットを無批判に信頼することが、実はかなり危険だという話をしました。この章では、その理由をもう一段深堀りしていきます。

重要で且つ難儀なのは、これから挙げる欠点が、

  1. 操作ミス
  2. 設定不足
  3. 使い方が悪い

といったレベルの話ではない、という点です。

GPTという仕組みそのものに内在している構造的な欠陥であり、ユーザーの注意や努力だけでは完全には回避しきれないものです。

まず全体像を示します。

GPTが本質的に抱えている構造的欠点

  1. 1. わからない・理解していないことを自覚なく「知っている」「理解した」と断言する
  2. 2. 時系列・バージョン差分・因果関係・人物関係などを正確に保持できず混在させる
  3. 3. 過去のやり取りや前提を正確に保持できないにもかかわらず把握しているかのように振る舞う
  4. 4. 全体像を安定して保持したまま整合性のある部分的作業を継続できない
  5. 5. 情報を要点化・列挙する方向に偏り、思考や説明がレジュメ的構造に変質しやすい
  6. 6.「内部に強く定着している前提や生成パターン」と矛盾する指示は、一時的に守れてもやがて破綻する
  7. 7. 情報量・重心・分量の適切なバランスを判断できず過剰または過小な出力になりやすい

よ〜く読んでください。無茶苦茶な致命的欠点ばかりです。

但し、GPTとのQ&Aが、時間軸を伴わない単一レイヤー的で単発的なものならば、おそらく、ほとんど問題になることはないでしょう。

悲報:GPTに聞いた今後の見通し

「今後改善の見込みはあるのか?」と質問したところ以下のような回答が返ってきました。

「結論から述べると、ここまで指摘されてきた致命的欠点が、近い将来に本質的に解消される見通しはありません。これは開発能力や努力不足の問題ではなく、GPTという仕組みの設計思想そのものに起因しています。」

では引き続き、なぜ致命的なのかを一つずつ説明します。

わからない・理解していないことを自覚なく断言する

これは最も危険で、しかも気づきにくい欠点です。

GPTは、

  1. 分からない
  2. 理解できていない
  3. 前提を取り違えている

こうした状態にあっても、それを自覚できません。その結果、内容の正誤に関係なく、理解している前提で文章を組み立てます。

問題は、

  1. 断言口調
  2. 整った文章
  3. 論理が通って見える構造

によって、ユーザー側がそれを見抜きにくい点です。間違いは、常に「もっともらしい形」で出てくるので非常にやっかいです。

時系列・バージョン差分・因果関係などを混在させる

GPTは、出来事や情報を、時間軸上の正しい位置関係として安定的に保持することができません。そのため、異なる時点や異なるバージョンの情報であっても、内容や文脈が似ているものを同一のものとして扱ってしまいます。

そのため、

  1. どの時点の話なのか
  2. どのバージョンで追加・修正されたのか
  3. 原因と結果の順序

こうした区別がとても曖昧になりやすい。

利用者が事前に正しい時系列を把握していないと、もっともらしく並んだ誤情報を、気づかずに、そのまま受け取ってしまう可能性があります。

源氏物語の解説記事作成時に発覚した

粗原稿をGPTに作成してもらってました。かなり進んだ段階で、ふと気がついたのです。登場人物の時系列が間違っている! 非常に驚きました。何故なら、GPTは間違わないと信じていたから。その他、源氏物語の中で紹介される和歌と、その詠み人である登場人物が一致しないケースも有りました。こうなってくると、どこで嘘を混ぜられるか分からなくて疑心暗鬼になり、もう任せることができなくなったのでした。

過去の前提を保持できないのに理解しているように振る舞う

長く使っていると、特に問題になるのが次に述べる欠点です。GPTは、過去のやり取りや前提を、正確に安定して保持できません。

それにもかかわらず、

  1. 分かっています
  2. 前提は理解しています
  3. それを踏まえて書きます

といった態度で進行します。

結果として、途中から前提が静かにずれ、完成した時点で全体が噛み合わなくなる。このズレは、作業途中では、なかなか気づきにくいので、とんでもなく厄介です。

全体像を保持したまま部分作業を継続できない

人間が文章作成や判断を行うときは、全体を意識しながら、その制約の中で部分を調整する、という作業をします。

GPTはこれが極端に苦手です。

各部分はそれなりに整っていても、全体で見ると思想や前提が揺れている。この現象は、長文・継続作業になるほど顕著になります。

思考や説明がレジュメ的構造に変質しやすい

GPTは、情報を整理しようとすると、

  1. 要点化
  2. 列挙
  3. 分類

の方向に強く引っ張られます。

これは一見、分かりやすさにつながりますが、文脈や思考の流れが重要な場面では逆効果です。

結果として、

  1. 説明が平板になる
  2. 文脈の温度が消える
  3. 考えの深さが削ぎ落とされる

という問題が起きます。

内部前提と違う指示はやがて破綻する

これは多くの人が体験しているはずです。

  1. 記号を使うな
  2. 特定の書式を守れ
  3. ある表現は避けろ

と指示すると、最初は守られます。しかし、長文・時間経過・話題転換が入ると、次第に崩れます。

これは注意力の問題ではありません。内部に強く定着している生成パターンの方が、外部指示より優先される構造だからです。

例えば、強調表示をする場合に「記号符号やアイコンを使用するな」と指示しても、守られるのは最初だけです。

分量・重心・情報量のバランスを判断できない

最後に、編集やチェック作業で特に厄介な欠点です。

GPTは、

  1. どこを削るべきか
  2. どこは触らない方がいいか
  3. どの程度が適切か

といった、人間的なバランス判断ができません。

その結果、

  1. 必要以上に長くなる
  2. 逆に情報が削られすぎる
  3. 原文の重心が変わる

といった問題が頻発します。

ここで説明してきた問題は、どれ一つを取ってみても、単体で致命的と言わざるを得ない欠点ばかりです。しかもこれらは独立して存在するのではなく、互いに影響し合いながら、実際の利用場面で問題を増幅させます。

 

これほどの欠点があるのに「賢く」「理解している」ように見えるのか

第2章で見てきたように、GPTには単体で見ても致命的と言わざるを得ない欠点がいくつも存在しますが、それにもかかわらず、多くのユーザーはそうした欠点に気づかないまま、GPTを高く評価してしまいます。

  1. 思ったより賢い
  2. ちゃんと理解している
  3. 自分より詳しい

問題は、こうした評価が生まれてしまうこと自体にあります。

GPTには、致命的な欠点を抱えながらも、それを表に出さず、あたかも理解しているかのように振る舞う「妙な賢さ」が備わっています。そしてこの性質こそが、欠点そのもの以上に注意すべき点なのです。

何故こうもクセが悪いのか、その理由を以下に説明します。

理由1 文章が「完成品の形」をしている

人は文章を読むとき、無意識にこう判断します。

  1. 文として破綻していない
  2. 論理がつながっている
  3. 語彙が適切で、語調も安定している

これらを満たしている文章を見ると、内容の正誤以前に「理解に基づいて書かれている」と感じてしまう。勘違いしてしまう。

GPTのアウトプットは、ほぼ常にこの条件を満たします。

しかし第2章で述べた通り、これは理解の結果ではなく言語パターンの再構成です。中身を理解しているかどうかとは、別問題です。

理由2 断言口調が「理解している印象」を強化する

GPTは曖昧な言い方をあまりしません。

  1. 〜です
  2. 〜と考えられます
  3. 結論として〜と言えます

こうした比較的断定的な表現は、人間社会では「分かっている人」の話し方です。しかしGPTの場合、文章生成のスタイル、つまり、自然に読める形が選ばれた結果にすぎません。

第2章で触れた、わからないことをわからないと言えない欠点が、ここで強く作用します。

理由3 利用者の理解レベルに合わせてくる

GPTは相手に合わせた語彙や説明レベルを自然に選びます。

  1. 初心者には噛み砕いた説明
  2. 経験者には専門用語を交えた説明

この振る舞いが、「こちらの理解を把握している」という錯覚を生みます。

しかし実際には、相手の理解を測定しているわけではありません。文脈から推測して、もっともらしいレベルを選んでいるだけです。

理由4 間違いが「それらしく埋め込まれる」

GPTの誤りは、露骨ではありません。

  1. 一部だけがズレている
  2. 前提が静かに置き換わっている
  3. 時系列が自然に並び替えられている

このため、一読しただけでは気づかなくて、読み流すと正しく見えるという状態が生まれます。

第1章で述べた、

  1. 時系列や前提の混在
  2. 全体と部分の不整合

は、ここで初めて問題として表面化します。

理由5 人間側が「賢さ」を補完してしまう

最後に、非常に重要な点です。

人は、

  1. 自分が理解できた文章
  2. 自分の知識と矛盾しない説明

に対して、「相手が理解している」と感じやすい。つまり、GPTが賢いのではなく、ユーザーが賢さを投影しているのです。

第2章で挙げた欠点は、利用者が補完してくれる限り表面化しにくいのです。

だからこそ、

  1. 使い始めは問題が起きにくい
  2. 途中からズレる
  3. 後工程で破綻する

という現象が頻発します。

 

なぜ多くの利用者はその危険性に気づきにくいのか

第2章では、GPTが本質的に抱える構造的欠陥を具体的に示しました。また第3章では、それらの欠陥があっても「賢く」「理解している」ように見えてしまう理由を説明しました。

では次に、なぜ多くの利用者は、その危険性に気づかないまま使い続けてしまうのか、その理由を整理します。

重要なのは、これは不注意や知識不足の問題ではないという点です。むしろ、合理的に行動している人ほど陥りやすい可能性があります。

理由1 「それなりに使えてしまう」期間が存在する

GPTは、使い始めの段階では問題を起こしにくい。

  1. 短いやり取り
  2. 一般的な話題
  3. 正誤がすぐに検証できる内容

こうした範囲では、第2章で挙げた欠陥はほとんど表面化しません。

結果として、

  1. 今のところ問題ない
  2. 思ったより正確だ
  3. 普通に使える

という印象が先に固定される。

しかし、長文前提の積み重ね、時系列や整合性が重要な場面に入った途端、静かにズレ始める。この「助走期間」があること自体が、気づきにくさの原因です。

理由2 間違いが即座に破綻に直結しない

GPTの危険性は、エラーが派手に出ないことにあります。

  1. 文章は最後まで整っている
  2. 結論も一応それらしい
  3. 一部だけがズレている

そのため、すぐには困らないし、その場では成立しているという状態が続く。問題は、このズレが次の作業の前提として使われることです。

気づいたときには、

  1. なぜおかしくなったのか分からない
  2. どこからズレたのか追えない

という状態になっている。

理由3 「有料であること」が無意識の信頼を生む

多くの利用者は、意識していなくてもこう考える可能性があります。

  1. お金を払っている
  2. 公式に提供されている
  3. 世界中で使われている

「だから大丈夫だろう」と。

しかし、そうではないのです。たとえ有料であっても、どれほど多くの人に使われていても、GPTにはそれらとは無関係に、構造上の欠点が存在しています。

この点を理解しない限り、信頼は無自覚に積み上がっていきます。

理由4 利用者側が「検証役」を自分に設定していない

多くのユーザーは、無意識にこう位置づけています。

  1. 自分が質問者
  2. GPTが回答者

しかも相手は、世界的に評価され、広く使われているAIです。そのため、回答に対して自然と安心感や信頼感を抱き、自分が検証する立場にいるという意識を持たなくなります。

しかし、GPTのアウトプットは、そのまま採用する前提で設計されているものではありません。本来は、内容を確認し、前提や妥当性を見直す工程が利用の一部として含まれています。

ありえないような話に思えるかもしれないですが、GPTに質問すると、実際、上記のような返答なのです。

理由5 問題が起きたときユーザー自身のせいに見える

最後に、非常に厄介で腹立たしい点です。

GPTのアウトプットに違和感や誤りがあったとき、多くのユーザーは次のように考えます。自分のプロンプトが不十分だったのではないか、あるいは曖昧だったのではないか、と。

しかし、実態は全く違い、GPTの構造的な限界や欠陥として扱われるべき問題です。

ところが、GPTを信頼しているユーザーは、自分のプロンプトミスのように錯覚してしまい、これが、問題の発覚と、解決にたどり着けなくなってしまう要因なのです。

 

GPTを信頼したときに起きる現実的な破綻とその発生条件

ここまでで、GPTが抱える致命的な欠点と、それが見えにくい理由を説明してきました。この章では、それらが実際の利用場面でどのような形で問題として現れるのかを整理します。

結論から言えば、問題は一気に破綻するのではありません。静かに、しかし確実に積み重なっていきます。

判断が少しずつズレていく

GPTの出力は、ぱっと見では破綻していないように見えることがほとんどです。文章は自然で、論理も一応は通っているように見えるため、ユーザーは安心して次の判断に進んでしまいます。

しかし実際には、そのアウトプットには次のような問題が含まれていることが多々あります。

  1. 前提が本来とは異なる形で設定されている
  2. 時系列やバージョンの違いが区別されないまま混在している
  3. 条件や制約が説明されないまま書き換えられている

これらは見た目上は目立ちにくいものの、内容次第では、その時点で判断を成立させなくなる致命的な欠陥です。

にもかかわらず、文章として自然に読めてしまうため、ユーザーはそのままアウトプットされたものを採用し、次の作業へ進んでしまいます。

手戻りは「後から」やってくる

厄介なのは、問題がその場で露呈しない或いはしにくい点です。しばらく作業を進めた後になって、

  1. 前提が合わない
  2. 説明が噛み合わない
  3. 最初から組み直す必要がある

といった形で、手戻りとして表面化します。このとき、多くのユーザーは、

  1. GPTは正しく応答していたはずだ
  2. その回答を引き出したユーザー側に問題があるのではないか

と考えてしまいがちです。

しかし実際には、最初の段階でGPTの出力に含まれていた構造的な歪みが、後になって効いてきただけ、というケースが少なくありません。

問題が深刻化しやすい利用場面

このような問題は、どんな使い方でも同じように起きるわけではありません。特にリスクが顕在化しやすいのは次のような場面です。

  1. 専門性が高く正誤の判断が難しい分野。
  2. 長期的な整合性や一貫性が求められる作業。
  3. 金銭、契約、意思決定など後戻りが難しい領域。

これらに共通するのは、「途中で間違いに気づいても、簡単には修正できない」という点です。

GPTのアウトプットを起点に判断を積み重ねるほど、誤りは単独ではなく、連鎖的な問題として現れます。

金銭・信用・責任の損失へとつながる

判断のズレ、手戻りの増大、修正不能な前提。これらが積み重なると、最終的には現実的な損失に直結する可能性が出てきます。

  1. 余計な時間と労力。
  2. やり直しによるコスト。
  3. 判断ミスによる金銭的損失。

場合によっては、信用や責任の問題にまで発展します。

何度もいいますが、GPTのアウトプットは、間違いがあることを隠すかのように、文脈や論理、言い回しが巧妙に整えられています。

そのため、一見すると筋が通っており、妥当で、むしろ「よく考えられている」と錯覚し、間違いに気づかないまま使ってしまった結果として、後になって現実的な損失が表面化します。

そこにこそ、この問題の怖さがあります。

問題は「使い方」ではなく「積み上がり方」にある

ここまで見てきたように、GPTを信頼してしまうことで生じる問題は、単発のミスではありません。

  1. 小さなズレが見逃され
  2. 判断として固定され
  3. 後工程で一気に噴き出す

この積み上がり方そのものが、最大のリスクです。

 

任せきってはいけない理由と常時検証の重要性

ここまで読んできたあなたなら、もう気づいているはずです。

GPTは、便利です。実際、仕事も進む、文章も整う、選択肢も出る。しかし同時に、致命的な欠点を抱えています。しかもそれは、見えにくい形で混ざります。

重要なのは、GPTを使うかどうかではありません。どこまで任せるか。どこで止めるか。この線引きを間違えた瞬間に、破綻は静かに始まります。

この章で言いたいことは一つです。GPTは下請けにできても、代理人にはできない。任せてはいけない領域がある。そこを再度明確にします。

判断を預けた瞬間に誘導が始まる

最初に、最もはっきり言っておきます。判断をGPTに預けてはいけません。

GPTは判断に見えるものを作るのが上手い。メリットとデメリットを並べ、比較表を作り、結論まで整えてくる。それが「合理的」に見えるため、人は安心してしまいます。

しかし、ここが実際にはそうではないのです。

  • GPTは判断の前提が正しいかどうかを自分で検証できません。

そのため、文章としては綺麗でも、内部にこうした欠陥が混ざることがあります。

  1. 前提条件が実は成立していない
  2. 重要な要素が抜け落ちている
  3. 因果関係や時系列が静かに入れ替わっている

この状態で提示される結論は、結論の形をしていても根が腐っています。しかもそれが、もっともらしく見える。ここが一番厄介です。はい、もう無茶苦茶に厄介です。

整理を最終形として採用した瞬間に全体が歪む

次に危険なのが、整理の最終責任をGPTに渡すことです。

  1. 情報を短くまとめる。
  2. 話を分かりやすくする。
  3. 要点を整理する。

このように途中経過の叩き台として使うなら問題ありません。

しかし、それを最終形として扱った瞬間に状況は変わります。

GPTの整理は、見た目が整うほど危険になります。重要度の重み付けが安定せず、削ってはいけない前提が落ち、逆に意味の薄い部分が不自然に膨らむ。

結果として、整理されたように見えても、しかし本質がズレているという状態が生まれます。

読みやすいからこそ、全体を把握したつもりになってしまう。この錯覚が、その後の判断を連鎖的に狂わせます。

正しさの保証を任せた瞬間にリスクは最大化する

そして最後に、最も根本的な話です。

  • 正しさの保証をGPTに求めてはいけません。
  1. 事実確認
  2. 妥当性の判断
  3. 間違いがないかのチェック

これらをGPTに委ねたくなる場面は多いはずです。

しかし、これは間違いです。再度いいますが、GPTは、自分のアウトプットが正しいかどうかを判断する基準を内部に持っていません。

それにもかかわらず、

  1. 断定的に語り
  2. 根拠があるように見せ
  3. 一貫した文章を作る

だから「確認したつもり」になってしまうのですが、実は、これでは、確認という行為そのものが成立していないのです。

「常時検証」と「背景事実との突き合わせ」が前提条件

GPTの内部には、出力の正しさを判定する基準が存在しません。それは、GPTを扱うあなたにしかないのです。

  1. 背景事実
  2. 一次情報
  3. 現実の制約

ここに突き合わせて初めて、正誤が判定できます。

GPTの誤りは非常に厄介な形で巧妙に混ざります。。くどいですが、兎に角わかりにくいのです。

  1. 一文だけズレる
  2. 前提が一つだけ違う
  3. 時系列が静かに入れ替わる

だから、全体としてはなんとなくそれらしく読めてしまう。これが何を意味するかと言えば、一部チェックでは意味を持たないということなのです。

さらにGPTは、自分の誤りに違和感を持たず、指摘されるまで気づかず、次の出力で形を変えて同じ誤りを繰り返します。

以上述べてきた性質を前提にすると、結論は一つです。

  • GPTを使うなら常時全部検証が必須

背景事実との突き合わせを外した瞬間、正しさは保証されないということを忘れないでください。

 

それでも人がGPTを使う理由は何か

ここまで読んで、「では、なぜこんな危ういものを使い続けるのか?」そう感じた人も多いはずです。

実際、ここまで挙げてきた欠点やリスクを踏まえると、GPTは決して「楽になる道具」ではありません。むしろ、管理コストと緊張を常に要求してきます。

それでもなお、完全に無価値だとは言い切れない理由がある。それを、この章では整理します。

思考の外在化

GPTの最大の使い道は、自分の考えを言語化し、客観的に眺めるための相手として使うことです。

  1. 考えがまとまらない
  2. 論点が散らかっている
  3. 何が分からないのか分からない

こうした状態のとき、GPTに投げかけることで、

  1. 自分は何を前提にしているのか
  2. どこで話が飛んでいるのか
  3. 何を曖昧にしたまま進めようとしているのか

が、文章として可視化されます。

重要なのは、GPTが正しい答えを出すことではありません。自分の思考の歪みや不足が、外に現れることです。

視点の揺さぶり

GPTは、別の見方を提示することができます。それが正しいかどうかは別問題として。人間は、一度考え始めると、どうしても同じ前提・同じ方向に引きずられます。

GPTは、

  1. 別の切り口
  2. 違う整理の仕方
  3. 自分なら選ばなかった言い回し

を、何の遠慮もなしに出してきます。

これが大切なのは、「その視点が正しい」からではありません。自分がどれほど限られた前提や考え方の中で思考していたかを気づくための材料になるからです。

GPTの提示を受け入れる必要は必ずしもないし、参考にする義務もありません。

ただ、「自分はこういう前提でしか考えていなかった」と気づけたなら、それで十分意味があります。

自分の理解不足を炙り出すため

最後に、これが最も実用的な使い道かもしれません。

  1. GPTに説明させる
  2. GPTに要約させる
  3. GPTに答えさせる

その結果を読んで、

  1. おかしい
  2. 違和感がある
  3. ここは違う

と感じたなら、その違和感の根拠を持っているのはあなたです。つまり、その部分については、あなたの理解のほうがGPTよりも確かな状態にあります。

逆に言えば、違和感に気づけない部分については、あなた自身の理解もまだ曖昧だということです。

何度も繰り返しますが、GPTは答えを教えてくれる存在ではありません。あなたの理解がどこまで確かなのかを、露わにするための相手です。

だから、GPTに求めるべきなのは「正解」ではありません。自分の思考をぶつけ、違和感を感じ、理解できている部分と、できていない部分を切り分けること。

そのための道具として距離を保って使う。それが、GPTと最も健全に付き合う方法です。

 

よくある疑問と結論の整理(Q&A)

ここまで読んできて、同じような指摘が何度も出てきたと感じたかもしれません。

それは意図的です。GPTの問題は、「一度理解して終わり」にできる性質のものではなく、使うたびに立ち返らなければ、簡単に見失ってしまうからです。

この最終章では、これまでの議論をQ&A形式で整理し、「結局、何を理解しておけばよいのか」「どこを間違えると危険なのか」を、短く再確認できるようにまとめています。

本記事の内容の復習としてこの章を活用してください。

Q1. GPTは結局、使ってはいけない道具なのですか?

A1. いいえ。使ってはいけないのではなく、信頼して使ってはいけないのです。GPTは判断や正しさを引き受ける存在ではなく、検討材料を生成する装置です。その前提を外した瞬間に危険になります。

Q2. なぜGPTの欠点はこれほど見えにくいのですか?

A2. 文章が自然で、論理が通っているように見えるからです。致命的な欠陥が「露骨な間違い」ではなく、前提・時系列・条件のズレとして静かに混ざるため、読み手が納得してしまうからです。

Q3. 有料で世界中で使われていても信用できないのですか?

A3. 信用と利用価値は別です。有料であることや普及していることは、品質や安全性を保証しません。GPTの問題は出来の良し悪しではなく、構造上の性質にあります。

Q4. GPTに任せてはいけないのは具体的にどこですか?

A4. 以下の三点です。

  1. 判断
  2. 整理の最終責任
  3. 正しさの保証

これらを渡した瞬間、誤りは人間側の責任として確定します。

Q5. 「念のためGPTにも確認する」はなぜ危険なのですか?

A5. 確認とは、本来、独立した情報源を照合する行為です。ところが、最初の回答を出したのと同じGPTに、同じ前提・同じ問い方で再度確認しても、返ってくるのは「似た構造の文章」であって、事実の裏取りではありません。

Q6. なぜ一部チェックでは不十分なのですか?

A6. GPTの誤りは、「ここが間違っています」と分かりやすく現れるとは限りません。

  1. どの文に誤りが混ざるのか
  2. どの前提が書き換わるのか
  3. どの時点で因果関係がズレるのか

事前には分からないのが問題です。どこに嘘・誤りがあるかわからない以上、部分チェックは危険で意味がないのです。

Q7. それでもGPTを使う意味はありますか?

A7. 意味はあります。ただし限定付きです。GPTの致命的な欠点を理解し、検証や修正といった自己負担を引き受ける覚悟がある場合に限られます。
その上で、調べ物や概要把握をGoogle検索のように行い、ときには検索以上に整理された情報を得る。また、思考を言語化して外に出す、普段とは異なる整理や表現に触れて自分の考えを見直す、自分の理解不足を浮かび上がらせるといった長所を活かす用途に限定すれば、大いに有効です。

Q8. GPTを使ううえでの最低条件は何ですか?

A8. 最低条件は、GPTの出力をそのまま正解として扱わないことです。調べ物や整理に使うことはあっても、重要な判断や結論を任せない。違和感を覚えたら、必ず立ち止まる。この前提を受け入れられないなら、GPTは使わないほうが安全です。

Q9. 結局、この長い記事の結論は何ですか?

A9. GPTは、致命的な欠点と非常に優秀な側面を同時に併せ持つ道具です。問題は欠点を理解しないまま使うことです。性質を知らずに使えば、判断ミスや手戻り、金銭・信用の損失といった被害につながる可能性があります。一方で、欠点を把握したうえで距離と役割を管理すれば、思考や作業を助ける非常に有効な補助具もなります。