【台湾鉄路】新型特急列車EMU3000が遂に営業運転開始【関係者の拘りとは】

新型特急発注の背景〜老朽化と混雑解消

いよいよこの年末に台湾の新しい特急列車EMU3000の正式営業運転が開始されます。

これを記念して、この記事ではEMU3000に関するお話を色々としていきます。

さて、日立製作所が、台湾鉄路管理局(台鉄)から600両(12両編成の列車50セット)を「台湾全土を走行する都市間特急」として受注した、と発表したのが2019年1月のことです。

どう考えても、とんでもなく大きな一大プロジェクトですよね。

では、台鉄は何故このような大型発注が必要だったのでしょうか。

主なる理由は二つあります。それは・・・

  • 特急列車や急行列車といった主力車両が軒並み耐用年数に達しており故障が多発していた
  • 太平洋側の花蓮やその南の台東への移動需要に追いついてなかった

というわけで、それ用の新しい車両の確保が急務であったわけです。

それにしても、当然国際入札ですから揉み合いになったでしょうに、よくぞ大型プロジェクトを日立が落札したものですね。

実は太魯閣号や普悠瑪号も日本製

台鉄のカッコいい特急列車といえば太魯閣号(TEMU1000)と普悠瑪号(TEMU2000)ですが、実は両方とも日本製です。

前者は日立製、後者は日本車輌製造製です。

photo by weichen_kh

その他、日立は過去台鉄にDR2900、DR3000というディーゼル車も納入しており、実は、既にかなり深い関係を築いていたのです。

 

製造に至るプロセス〜台湾人の思い

EMU3000のデザイン制作においては、そのプロセスにおいて、これまでにないコンセプトが貫かれています。

つまり、台湾にふさわしい誇りを持てるデザインとはなにか?を台湾の識者・鉄道関係者そして日立、更には台湾市民の後押しパワーも得て、みんなで具体化していったのです。

また、日立のデザイナーは何度も何度も台湾に渡り、台湾独自の文化の多くを見て研究を重ねていたといいます。

一方、開発途上のデザインを、そこに至るプロセスや当事者の思いをオープンにするため展示会を開催したりもしました↓。

photo by GOOD DESIGN AWARD

そこでは検討スケッチや模型の展示、CGにVR、それにインタビューやトークセッションなどで多くの理解を深め、さらにはSNSを用いて反響を可視化するなどの努力も見られました。

そうして検討を重ね、理解を深め、最終的に「穏やかで静かで余白のあるデザインを目指す」というコンセプトをもって進んでいきました。

しかし、多くの厳しい安全基準をクリアし、且つ、長い年月にも耐えうる形作りには多くの困難が伴いました。

とは言え一歩ずつ一歩ずつ。そうして多くの思いが少しずつ形になり、やっとお披露目されたのがEMU3000です↓。

photo by jason199567

優しい曲線と直線で凹凸のない簡素な佇まいのボディ、そして白を基調にし絶妙に暗色を配色した車体カラー。

室内も非常にシンプルで落ち着いたモノトーンな色合いになっています。

そしてそして、この多くの台湾人と日立の努力の結晶は、なんと2021年度グッドデザイン賞ベスト100に選出されたのです。

 

 

最初の引き渡しと走行テスト

大きな事故が不安だった

台湾では、2018年10月に宜蘭で普悠瑪号の速度超過による脱線事故、また、2021年4月には花蓮においてトラック落下が原因である太魯閣号のトンネル壁激突事故と大きな事故が発生していました。

両事件とも日本製の車両に異常があってのことではなかったのですが、かなり派手で衝撃的な事故であっただけに、今回のEMU3000が無事台湾に到着するのか一抹の不安を感じるのでした。

いやいやいや、両事故とEMU3000て何の関係もないじゃん。

ですよね。勿論それはわかっていたのですが・・・

第一陣が花蓮港に到着

私のアホな心配とは関係なく、7月21日、山口県下松市にある日立製作所笠戸事業所において降松神社神職による安全祈願祭が行われ、遂に第一陣が7月30日に台湾花蓮港に無事到着しました。

photo by 台湾鉄路管理局

新型コロナの影響で1ヶ月遅れとなりましたが。

それでも、やっとここまで来た!という実感。

思い返せば、台鉄は「全体調達および車両交換の計画」を2015年からスタートしたのですが、政権のゴタゴタで入札条件が変更になり時期もずれ、結局日立の受注が決定したのは2018年後半でした。

その後、台鉄の威信をかけた大プロジェクトへの取り組み姿勢を日立もよくよく理解し行動できた結果が結実したのだと思います。

さて今後の納入予定ですが・・・

  • 2021年・・・84両(12両編成7セット)
  • 2022年・・・180両(12両編成15セット)
  • 2023年・・・192両(12両編成16セット)
  • 2024年・・・144両(12両編成12セット)

変更がなければこのような予定で進行します。

12月29日から正式営業運転を開始するとアナウンスされてます。

11月末で試運転を終了し、後、営業運転実施日までに各種試験を済ませて関連書類を取得する段取りです。

ここまでくればもう安心?

しかし、台中市のMRTが開業間近に不具合が発覚し、結局約4ヶ月も遅れたのは記憶に新しいところです。油断大敵。

 

 

編成と配置計画

現在走っている太魯閣号と普悠瑪号は8両編成ですが、EMU3000は12両編成になります。

この理由は急増する需要に応えるためです。特に、花蓮と台東間は単線であるため、12両編成は必須だったのでしょう。

普通車両の席は両サイドに2席・2席、そして、6号車は商務車(ビジネス)になっており1席・2席という配置です。

商務車には「騰雲座艙(テンユンズオツァン)」という愛称がついており、車内ではアイスクリームやパイナップルキーキなど、そして飲み物としてコーヒー・ラテ・ミネラルウォーターなどが用意されています。

とりあえずは、上記の通り需要の急増に追いついていない東部幹線(宜蘭線・北廻線・台東線の総称)に投入する予定です。

更に、台湾海峡側の西部幹線(縦貫線・屏東線の総称)投入も予定しているようですが、こちらは台湾新幹線との競合上、一足飛びに好きなようにはできないみたいです。

 

 

(おまけ)台鐵夢工場

台鐵夢工場は台鉄が運営する鉄道関連グッズ販売店で主要駅の中にあります(台北駅・南港駅・台中駅・高雄駅など)。

文具や各種雑貨それに模型など数々の商品が取り揃えられています。

なかには期間限定品・数量限定品など、マニアだけではなく一般観光客のお土産としても喜ばれそうな商品が沢山あるので、今度台湾へ行けるようになった時には是非お立ち寄りください。

もちろんEMU3000関係もありますよ。

私が欲しいのはこれ↓。

2022年台湾鉄路カレンダー

 

 

まとめ

photo by Cheng-en Cheng

この記事は、台湾鉄路でデビューする新型特急EMU3000について、その構想段階から、台湾に運び込まれ、テストを受け、一般営業運転をする手前までをお話ししました。

大体の流れは理解していただけたと思います。

とともに、また一つ日台の本当にメモリアルな新事業がスタートしたことに大きな感慨を覚えます。

ただ全くの主観ながら、普悠瑪号が大好きで、見る度にいつも「かっこいい」と感じていただけに、EMU3000の侘び寂びみたいな色を含めた車体を台湾の人たちは気に入ってくれるのだろうか?と不要な心配をしています。

それからもう一つ、日立は過去よく似た列車をイギリスにも納めてますが、営業運転がスタートした途端天井から水漏れして座席がずぶ濡れになるという事件を起こしています。

どうか、そういった不具合が起きないように、迷惑がかからないように、何事もない営業運転が続くことを祈るばかりです。

最後に、台北-台東間の運賃と所要時間のお話をします。

一般座席の価格は普悠瑪号と同じ783元です。一方、ビジネス席は1,145元になります。

それから所要時間ですが、普悠瑪号が3時間30分なのに対し、EMU3000は何故か3時間45分です。

以上でおしまいです。

1日も早く台湾へ行ける日が来て欲しいし、1日も早く乗りたいですね。

シェアをお願いします!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です