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LED電球の不具合について知る
LED電球といえば何と言っても長寿命が売りですよね。
LED電球が長寿命なのは、根拠のない噂が都市伝説になったのではなく、ちゃんとメーカーが40,000時間持つと説明しているのです。寿命60,000時間と謳っている商品すらあります。
(白熱電球の寿命:1,000〜2,000時間、蛍光灯の寿命:6,000〜12,000時間)
10年間使えるという説明も見たことがありますね。これは、LED電球を一日10時間使うとして計算したら(40,000÷10÷365)確かに10年強という答えがかえってきます。
ですから、そういう説明・宣伝を信じて、購入金額が少し高くでも電気代が圧倒的に安くなるので、長期間使っていれば得するはず、そう考えて購入するのです。
ところが、半年や一年以内に使用不能になってしまえば、信じていた分落胆するし半信半疑になるし、当然えらい損した気分にもなります。
そして、切れて使えなくなってしまった以上、再度購入が必要になるわけですが、流石に「もう一回LED電球でいいのか?」って疑問も湧くし逡巡しますよね。
そんなことないはずなのに・・・
実際ネットで調べてみると、購入後半年或いは1年以内に切れた・つかなくなったという書き込みがそこそこあります。
いったいどう理解してどう判断したらいいんだろう?・・・
そこでこの記事ではLED電球と上手に付き合うために、初期不良的な故障のみならず幅広く不具合全般に迫ります。
とともに、それを踏まえた上で、商品購入時に必ず確認すべき大切なポイントと、取り扱い上の注意点についても述べてまいります。
短期間に球切れを起こすわけ
そもそも何故球切れになるのでしょうか、何故光らなくなるのでしょうか。直接的な原因として考えられるのは、おそらく・・・
- 断線している(電気が通電しない)
- 通電はしているが光る仕組みのどこかに異常が発生している
この二つのどちらかでしょう。
じゃあ、たかだか200時間程度の使用くらいで何故そんな不具合が発生するのでしょうか?
その原因について以下に説明します。
初期不良か粗悪品
初期不良については、どんなに完成度の高い高級品を製造している工場であっても、必ず一定の割合で不良品は発生するものです。検査の段階で避けられればいいのですが、どうしても極僅か市場に流出します。
次に、もともとの粗悪品ですが、これはメーカーにより幾つもの原因があるでしょう。
- パーツが安物
- 電子回路設計がずさん
- 製作管理がずさん
当然、最初からの不良率は高いでしょうし、使い始めてちょっとしたストレスでダメになってしまう確率も高いでしょう。
・・・ということなんですね。
もし初期不良であれば、今時の大手国内メーカー品なら保証がついているので、ほぼ救われるでしょう。しかし、特に名前もわからない海外製だと、どうしようもないです。その分、かなり安かったはずです。
価格の差には理由がある
どんな製品についても言えることですが、同じように見えて、一つ500円の商品と5,000円の商品は全く違います。
例えば、みなさんがよく使われるUSBケーブルでも、見た目は何が違うかわからないけれど、ビニールの被覆を剥くと一目瞭然です。特に端子部分がわかりやすいです。
一流製品と安い製品では、使用されるパーツも製造工程も検査管理もアフターフォローも何もかもが全然違うのです。
ですから、「500円のものならすぐに壊れていいのか」という議論はわかりますが、それ以前に、安物を購入することは相応のリスクを引き受けることなのだ、という認識は必要だと思うのです。
アマゾンドットコムの商品購入後の感想をよく読むのですが、500円の商品に5,000円の商品に対するのと同等の感想(要求・文句)を述べている方が少なからずおられます。でも、流石にそれは違うでしょう。
買ったばっかりで、切れはしないけれど点滅する場合があります。初期不良品ではなくても。
こういう場合の原因としては、調光機能付きの照明器具との相性が考えられます。
調光機能がついた照明器具に調光機能回路が組み込まれているLED電球を取り付けると、(例えば)回転SWを左に回し光量を絞ろうとすると、二重調光が原因で点滅することがあります。
こんな場合は、調光器に対応した商品(そういうLED電球がある)を使うことで解決します。(←これ覚えておいてください)
さて、購入当初に発生する不具合についてお話ししましたが、次にもう少し広く、LED電球が不良化する原因について詳しく見ていきます。
LED電球が本来持っている弱点とでもいいましょうか。それは当然故障の原因になるとともに、故障しなくても劣化の原因にもなります。
そして、LED電球の弱点を理解し納得し、用途に合った商品を購入設置することがとっても大切であることをお話ししていきます。
LED電球の弱点
進化系光源であるLED電球ですが、実は、いくつか弱点を持っています。代表的な弱点を二つあげると・・・
- 熱
- 湿気
そうなんです。どこのどんな説明にも必ず述べられている弱点がこの二つです。
熱
夜を飾るイルミネーションを見てると如何にも涼やかな明かりに感じるのですが、電球では事情が違います。
小さなLEDチップを狭い場所に沢山並べて、強い光を出すために一斉に電気を流すと、LED電球の中の電源部もLEDチップそのものも発熱し高温になります。
以前主流であった白熱電球に比べれば随分マシになったとは言え、それでもLED電球が消費する電力の7割は熱になるのです。7割ですよ!(白熱電球では実に9割が熱になる)
毎日毎日高温の中で光を出し続けるLED電球の部材は、蛍光体・樹脂・電極・半導体樹脂など、どれも僅かずつ変質してゆくのです。
その積み重ねは結局寿命へと繋がってゆくんですね。
高温にしないという意味ではその都度消灯する使い方、例えばトイレや玄関や廊下なんかは、必要な時だけしか点灯しないのでLED電球には向いた使い方と言えます。
一方、設置場所として構造的に一番ダメージを受けやすいのはダウンライトのようなタイプです。
天井の一部を凹ませその中にLED電球を逆さまに設置する方式は、いかにも熱が溜まりやすい構造ですよね。
設置部分を実際に覗いてみて、もしSマークがついていたら、それは断熱材で覆われていることを示しており、いよいよ熱の逃げ場がない構造だと言えます。
極言すれば、ダウンライト構造ってLED電球の周辺に熱がわざと溜まるような構造です。熱、苦手だって言ってるのに。
さて、どうしたもんでしょう?
湿気
熱に弱いLED電球ですが、湿気も大敵です。高湿度下では樹脂は脆くなりやすいし電極は錆びやすくなります。
また、多湿状態で北国の冬の早朝などの低温なら凍結の可能性があって部材間の剥離原因になりますし、結露すれば半田やメッキ部分の化学的変化の原因になります。
では具体的に、どんな状況で使われた時が該当するかといいますと、食卓の上からぶら下がるペンダントライトなんかがそうです。
食卓で鍋なんかをすると、水蒸気がモウモウとペンダントライトに向かっていきます。また、お風呂や換気しないキッチンなんかも明らかに多湿だし、LED電球の各パーツに悪影響を及ぼす可能性があります。
このように湿気は大敵なんですが、かといって風呂場の照明取り付け具みたいに密閉してしまうと、それはそれで熱が逃げにくいことになってしまいます。
さてこのように、熱にしても湿気にしても、なんだか結構絶対的な弱点に思えてきます。どうしたらいいんでしょうか?
弱点というより欠点です。それが原因で故障したり劣化したりはしませんが・・・。
実は、LED電球は同等の白熱電球と比べるとめちゃ重いのです。
60Wの白熱電球が概ね30g強であるのに対し、6〜7WのLED電球の重さはだいたい150g以上あります(もう少し軽い商品もある)。
150g自体が軽いと感じる人にとってはどうということもないかもしれませんが、それにしても「5倍」はやっぱり重いでしょう。
ここまで、購入直後にあらわれる不良に対する説明と、LED電球が持っている本質的な弱点について述べてまいりました。
次に、購入直後のトラブルもなく使い続けていくことを想定し、そのライフサイクルと故障や寿命の関係について説明します。
照明器具とは誰でも一生付き合うわけで、ならば、初期の不良だけではなく、長く使用する上で発生する不具合についても知っておいたほうがいいと思います。
LED電球の使用期間と故障の関係 そして寿命
故障とLED電球のライフサイクルとの関係? そう、故障には使用期間に伴う特性があって、グラフ化したものを故障率曲線といいます。
この曲線を期間ごとに三分割して、それぞれの名称と故障の特徴を以下に説明します。
- 初期故障期・・・使って間もなく起こる故障の原因の多くは、製造時に発生した不具合であることが多く、使用とともにストレスがかかり発現する。つまり初期不良。この記事最初の「購入後すぐ切れた」はこの初期故障期に発生する不具合です。
- 偶発故障期・・・初期不良品はふるい落とされ、残った良品は調子よく輝いてくれます。ここは安定期ですね。それでもなんらかが原因となり一定割合で故障を起こします。落雷なんかが原因の一つです。
- 摩耗故障期・・・さしたる不具合もなくここまで働いてくれました。欠陥のないLED電球も長く使っていると、流石に各パーツの摩耗や疲労が蓄積していき、ある一定の期間をすぎると急に故障が増えてくる。いわゆる製品の寿命到来です。
でも「寿命」っていったい具体的に何を指すのでしょうか?
LED電球「寿命」の定義
よく、LED電球の寿命は4万時間といわれてますが、4万時間ってなんのことでしょうか。
「4万時間を超えてもちゃんと光っているからこのLED電球の寿命はまだ来ていない」と言えるのでしょうか。
実は、「どんなに暗くなっても光っていればいい」というのではありません。業界は限界値を設けていて、それ以下に明るさが低下した場合を寿命と規定しています。
ひょっとしたら、「LEDは原理的に切れない」という内容を読まれたことがあるかもしれません。
しかし、光を実現するためにパーツを組んで商品にし、電気を通した瞬間から必ず劣化が初まるのです。パーツは痛んでくるし、パーツで構成されている電子回路も劣化していきます。
目に見える故障はなくても経年劣化が進むと、それに伴い、LED電球は明るさを少しずつ失っていきます。
では(社)日本照明工業会の定めた「寿命」の定義とは・・・
「光束維持率が初期全光束の70%まで低下した時点」
つまり、初めて点灯した時の明るさを100%とすると、それが70%になった時を「寿命」と定義したのです。
冒頭の方に記した40,000時間や10年の意味するところはこれではっきりしましたね。LED電球の明るさが、当初の7割まで下落する時間・期間が経過した時だったのです。
仮に、寿命を迎えて尚光っていても、あちこちガタが来ていて危ないし、明るさも落ちて目によくないから「買い換える時期ですよ」という意味もあるのでしょう。
明るさの単位
明るさと寿命のお話が出てきたので、ここで、LED電球で使う明るさの単位を説明しておきます。
「LED電球の」というわけでもないのですが、それまであんまり見ることのなかった単位で「光束」といいます。
光束って何? 光源(LED電球)が出す光の量のことで、単位はルーメン(lm)です。
よく20Wの電球とかっていうからWは明るさの単位みたいに錯覚しますが、W(ワット)は消費電力のことでしたよね。
Wが明るさの単位ではない証拠に、60Wの電球と60Wの蛍光灯は同じ明るさではありません。当然蛍光灯の方が明るいです。
ところで、各商品が発する(人間が感じる)明るさはルーメンに比例するかというと、必ずしもそうではないんですね。
なぜなら実際に感じる明るさは、それ以外の多くの要素に左右されるからです。
例えば・・・
- 部屋の大きさ
- 部屋の反射率
- 照明器具の取り付け位置
- 器具から出される光の形
- 色温度
- 輝度
などなど
実際、同じルーメンでも、暖かいオレンジ系色の光と寒い青系色の光の下では、明るさの感じ方はまるっきり変わります。
ですから、旧来の白熱電球からLED電球に変える場合も、ワット・ルーメンの関係とともに色選びも忘れないでください。
次に買い替える時の目安として、ワットとルーメンの関係を記しておきます。
ルーメンはLED電球の箱に記載されてますが、白熱電球の箱に記されているワットとの関係は、だいたい以下のようになっています。
- 20W電球:170lm
- 40W電球:485lm
- 60W電球:810lm
- 100w電球:1520lm
トラブルを避けるためには
さて、LED電球が持っている本質的弱点や、使用時間経過と不具合発生の関係、更には寿命についても説明してまいりました。
その上で、球切れなどのトラブルを避けるためにはどうしたらよいのでしょうか? もうお分かりだと思いますが・・・
- 信頼できる高品質な商品を買い求める
- 用途に応じた適切な商品を設置する
この2点につきます。
ところで「高品質」って具体的にはどういうことなのでしょう。それは以下の通りです。
- 高効率・・・より発熱と消費電力を抑える。また商品の一層の改善による低コスト化。
- 部材寿命の向上・・・高性能を長く維持するために、商品を構成する各部材の長寿命化。
- 特性の一定化・・・LED電球には幾つもの発光体が設置されているが、個々の品質のばらつきは照明全体の質を落とすので、全体として一定以上の品質にする。
以上3項目を実現できている商品が高品質です。
今は便利な世の中になって、ネット上で細かく商品の検索ができる上、簡単に購入もできます。
でもその際、「トラブルを避けるために高品質を求める」という意味では、むやみに低価格を追い求めるのは必ずしも適切ではないと思います。
「高品質」にこだわるなら、今は、国内大手メーカーだろうと考えます。
ちなみにPanasonicの「パナソニックLED電球の特長」というサイトを覗いてみると・・・
- 屋外器具(玄関等など)
- 密閉型器具(浴室灯など)
- 断熱材施工器具(絵図からダウンライトと判断できる)
など、「さまざまな照明器具に幅広く対応」と説明されています。
ここまでLED電球の弱点を縷々説明してきましたが、そして都度「どうしたもんでしょう?」と疑問を投げてました。
しかし、実はそれら問題を綺麗に克服している商品が、現在の日本には普通にあるのです。まさに、Panasonicの説明の通りです。
更に、日本の主だったメーカーは概ね5年間の保証制度を導入しており、故障した場合にもしっかり対応しています。
実際問題、LED電球の歴史が浅すぎて、10年以上持つかなんてわからないけれど、家の中の何箇所にも取り付けて安心して長期間使いたいなら、やっぱり国内の大手メーカー品かなと思います。
ただし、現在でこそ上記三社が圧倒的販売シェアを誇っていますが、今後はどうなるかわかりません。
その理由としては、莫大な投資をしなくても生産ラインを比較的容易に構築できるので、資金力のない会社でも容易に参入できることが挙げられます。
つまり、現在多くを販売している大手だけでなく、新規参入会社も素晴らしい性能のヒット商品を生み出す可能性があるのです。私はこちらに期待しています。
現に、今でも多くの国内メーカーが競い合っていますよ。
LED電球に替えるメリット
一番後回しになりましたが、最後にLED電球のメリットについても触れておきます。以下の通りです。
- 長寿命:先にも述べましたが寿命を全うすれば40,000時間。或いはそれ以上の寿命を謳う商品も出ており、少し前はどこかで「10万時間に挑戦」という記事もありました。
- 省電力:消費電力は白熱電球の1/5程度しかかからない。蛍光灯との比較では1/2までもいかずその点やや微妙。
- 高速点灯:スイッチを入れた瞬間に点灯する。蛍光灯はSWの入り・切りの繰り返しで寿命が短くなるが、LED電球は全く影響しない。
- 虫コナーズ:光に紫外線を含まないので虫が寄って来ず、美術品・工芸品にもやさしい。
- 超低温耐性:発光そのものは低温に強く、零下10°でも20°でも点灯するし、発光効率も落ちない。
- 耐震・耐衝撃性:白熱電球や蛍光灯は落ちれば割れるし、電球のフィラメントは振動で切れる可能性があるが、その点LED電球は振動にも落下にも強い。
- 調色可能:一つのLED電球で電球色から昼白色まで何段階にも色の調節ができる商品もある。
こうやって並べるとメリット多いですね。
まとめ
世界的に省エネが叫ばれて久しいですが、この潮流は今後も変化することはないでしょう。エネルギーは有限ですから。
そういう意味では、LED照明にスポットライトが当たり認識され始めてから急速に進歩してきているのも、時代の求めであるからでしょう。
この記事では、早期球切れの理由から入って、LED電球の全ライフサイクルと不具合の関係を解説してきました。
とともに、不具合に繋がるLED照明固有の弱点を理解し、正しい使い方に結びつけていきました。
本文中にも述べてますが、LED照明の技術的発展は著しくて、問題視されていたことや弱点はほぼ克服されているのです。
そして、そういったことを踏まえた上での商品選びにも言及し、安全安心を最優先するなら大手国内メーカーの製品が一番との私見を述べました。
とともに、使用環境に適した商品を選んで購入することが極めて大事であることもお話ししました。
決して国内大手メーカーの宣伝をやっているわけではありません。申し上げている趣旨にそえば今は「こうなるんじゃないでしょうか」という話です。
(国内メーカーならどれでもいいということではありません。例えば、広告表示の内容が酷くてまともに信用できないケースがあるし、実際、改善命令が出たりもしています)
近い将来、信頼できる高い技術が大小多くのメーカーに浸透し、市場ももっともっとこなれてきたら、安価で安定した高性能商品が買えるようになるでしょう。
実は、なんだかんだ言っている私も過去は結構色々パチモンなんかも買ってみて、結局は、LED電球は全て国内の同一大手メーカーの商品に統一しています。
今の時点ではわからないけれど、きっとそれが一番手間いらずっていうか気にしなくても10年間持ってくれるだろうと信じているからです。
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