仕事の遅い人が激変!出来る部下を育てる指導術5選

藤原
この記事は、仕事の遅い部下のことを日々悩む管理職であるあなたに読んでほしくて書きました。勿論、自覚して悩んでいるご本人にも大いに役に立ちます。

 

部下の「遅さ」にイライラしていませんか?

あなたは、部下の仕事の「遅さ」にイライラした経験はありませんか?

  1. 期限が迫っているのに進捗が遅い
  2. 言われたことしかやらない
  3. やるべきことが後回しになっている

そんな部下を見ていると、つい「何でこんなに遅いんだ!」と声を荒げたくなることもあるでしょう。

しかし、感情的に指摘するだけでは、部下の成長にはつながりません。

それどころか、部下のモチベーションを下げ、ますます効率が悪くなるという悪循環に陥る可能性もあります。

この記事では、「仕事が遅い」と見える部下に共通する特徴と、その改善策を具体的にご紹介します。

「どうせ変わらない」と諦めるのではなく、部下の成長をサポートすることで、チーム全体の生産性を向上させるきっかけにしていただければ幸いです。

 

仕事が遅い人の特徴5選

1.ゴール設定が不明確

特徴

タスクの目的や成果のイメージを具体的に理解していないため、無駄な作業や手戻りが多くなるケースです。

具体例

「A社向けに提案資料を作って」と指示した際、目的を理解せず、単にデータを羅列した資料を作成してしまうことがあります。

対応策

部下がゴールを正確に理解し、そこに向かって効率よく進めるようにするには、以下の具体的なアプローチが有効です。

ゴールを具体化して共有する

「競合との差別化を強調して、新商品を導入するメリットを伝える」といった形で、提案資料のゴールを明確に伝えます。

また、ゴールを共有する際には、「具体的なイメージ(例:競合商品の比較表を盛り込む)」を例示することで、部下の理解を助けます。

ゴール設定のプロセスを共有する

部下が自分でゴールを設定できるようにするため、

  • 目的(提案の成功)→目標(A社の納得)→行動(具体的な資料作成)

というプロセスを示し、ゴールを設定する思考法を伝授します。

これにより、部下は指示がなくてもゴールを明確化する力を育てられます。

「完成形のイメージ」を一緒に作る

必要な項目やデータについて部下と一緒に考え、方向性のズレを防ぎます。

例えば、「どの項目を入れるべきか」「グラフを使うならどのデータが必要か」など、完成形の骨組みを共有することで、方向性のズレを防ぎます。

進捗確認でズレを早期修正

ゴールが共有されても、進捗中にズレが生じることは珍しくありません。

そのため、作業の途中段階で状況を確認し、「ゴールに合致しているか」をフィードバックする仕組みを取り入れます。

「今の内容は、新規商品のメリットを伝える部分が薄いね」といった具体的な指摘が効果的です。

成果を評価し次回につなげる

作業がゴールに達している場合、その成功を部下にフィードバックします。

「この資料は、競合との差別化がしっかり伝わっている」といった具体的な評価をすることで、部下が次回以降もゴールを意識した作業を継続できるようになります。

2.優先順位がつけられない

特徴

全てのタスクを同じように処理しようとし、重要な仕事が後回しになる。あるいは、合理的な順序ではなくなる。

具体例

クライアントからの急ぎの問い合わせを、他のタスクに気を取られて対応が遅れた。

対応策

優先順位の判断基準を共有する

タスクを「緊急度」と「重要度」に分け、どれを先に行うべきかを明確にします。

タスクの共有リストを作る

重要なタスクが目立つようにデジタルツールやホワイトボードを活用し、部下が迷わずに行動できるようにします。

3.計画性が欠如している

特徴

タスクを細分化せずに進めた結果、進捗が遅れたり、締切直前に慌てて作業をすることが多い。

具体例

「来月のプレゼン準備をして」と伝えたが、計画を立てずに進めたため、最終的な準備の質が低下してしまった。

対応策

スケジュールの大枠を示す

「まずどの資料をいつまでに用意するか」「次にデザイン案を考える」など、作業を段階的に示し、大まかなスケジュールを共有します。

「リバースプランニング」の指導

プレゼンの締切をゴールとし、その日から逆算して「2週間前にはデータが揃っている状態にする」「3週間前にはデータ収集を終える」といったスケジュールを逆算して立てさせます。

これにより、部下は期限を意識しながら進める習慣を身につけられます。

進捗確認の仕組みを作る

部下が計画を立てても実行しない或いはできないことを予め想定し、週に1回「進捗確認ミーティング」を設定。

進捗が滞っている場合、どこが問題かを具体的に掘り下げ、その場で修正計画を立てます。

「時間割り作業」の提案

部下が日々の作業をスケジュールに落とし込みやすいよう、「午前中はデータ収集」「午後は資料作成」という時間割の考え方を共有します。

細かく割り振ることで作業が進みやすくなります。

4.過度な完璧主義

特徴

細部にこだわりすぎて全体の進捗が遅れる。

具体例

部下が提案資料を作成する際、内容が十分に揃っているにもかかわらず、

  1. もっと見栄えを良くしたい
  2. 細部を修正しなければ

と何度もやり直しを繰り返し、全体の完成が遅延してしまう。

結果的に、肝心な提案のポイントを磨く時間が足りなくなり、プレゼン当日には全体のクオリティが低下してしまう。

対応策

「完璧主義」を単に否定するのではなく、部下にとって納得感のある方法で適切なバランスを取れるよう導きます。

「80%完成で提出」のルールを設定する

「まず全体を80%完成させて提出する」ことで、部下に細部より全体を重視する意識を持たせます。

初稿の段階で上司がフィードバックを与えることで、部下は修正に集中しやすくなります。

「完璧の定義」を共有する

部下にとって「完璧」とは何かを確認し、それが本当に必要な基準かを考えさせます。

例えば、「提案の内容が明確であれば十分」という基準を示すことで、部下の過剰なこだわりを抑えられます。

優先順位を付けさせる

完璧主義の部下は、全てに同じレベルの完成度を求める傾向があります。

そこで、

  1. どの部分が一番重要か
  2. ここだけは完璧に仕上げよう

と優先順位を付けさせる指導を行います。これにより、重要な部分に集中できるようになります。

フィードバックの頻度を増やす

部下の進捗に対して簡単なフィードバックをこまめに行い、「どこで終わりにするか」の基準を与えます。

5.コミュニケーション不足

特徴

疑問や課題を相談せずに自己判断で進め、結果的に修正が必要になる。

具体例

顧客ニーズを確認せずにカタログを作成し、内容の全面修正を余儀なくされた。

対応策

相談しやすい環境を作る

「進捗どう?」と積極的に声をかけ、部下が気軽に相談できる雰囲気を作ります。

定期的なミーティング

定期的に進捗確認の場を設け、問題が大きくなる前に解消します。

 

部下の仕事の遅さを改善する3つのポイント

部下の仕事が遅いと感じたとき、焦って感情的に指摘したり、一方的に改善を求めたりするだけでは、長期的で恒常的な解決にはつながりません。

ここでは、部下の「仕事の遅さ」を根本的に改善し、チーム全体の生産性を向上させるための基本的な指導スキルをご紹介します。

1.原因を特定する:部下ごとの課題を見極める

部下が仕事を遅らせる原因は一人ひとり異なります。

重要なのは、「どこでつまずいているのか」を正確に把握し、的確な対応を行うことです。

具体的なアプローチ

行動の観察

部下の作業プロセスをよく観察し、「どの部分で時間がかかっているか」を見極めます。

例えば、「資料作成に時間を費やしすぎている」「優先順位の判断に迷っている」などを把握します。

1on1ミーティングで直接ヒアリング

「最近、どのタスクに一番時間がかかっている?」と部下自身に状況を説明してもらいます。

具体的なヒアリングによって、本人が気づいていない課題も浮き彫りにできます。

客観的なデータを活用

タイムログやタスク管理ツールを活用し、部下の作業時間や進捗をデータとして可視化することで、課題をより明確にします。

2. 改善策を一緒に考える:部下が納得しやすい計画を立てる

原因が明確になったら、部下が自発的に取り組みやすい改善策を一緒に考えることが大切です。

上司が一方的に指示を出すのではなく、部下が「これならできる」と思える具体的な計画を共有しましょう。

具体的なアプローチ

タスクを小さく分ける

「この1週間で、どこまで進める?」と、部下と一緒に現実的な短期目標を設定します。

タスクを細分化することで、着手のハードルを下げられます。

「得意」を活かす改善策

部下の得意分野に注目し、それを活かしたタスク配分を行います。例えば、数字に強い部下にはデータ分析を、アイデア力のある部下には企画作成を任せるなど、本人の強みを引き出す工夫をします。

フィードバックを繰り返す

改善策を進める中で、部下の進捗をこまめに確認し、適切なフィードバックを与えます。

「ここは良かった」「次はこうするとさらに効率的だ」と具体的な改善点を伝えることで、部下の成長をサポートします。

3. 進捗をこまめに確認する:継続的な改善を支える

改善策は、一度教えただけでは定着しません。部下の進捗を定期的に確認し、進展を共有することで、継続的な改善を促します。

進捗確認は「監視」ではなく「支援」の一環であることを意識しましょう。

具体的なアプローチ

定期レビューを設定する

毎週または隔週で「進捗レビュー」の時間を設け、成果や課題を確認します。進捗を共有することで、部下の目標意識を高めます。

進捗を見える化するツールを活用

デジタルツール(例:TrelloやGoogleスプレッドシート)を活用し、部下のタスク進捗を一目で確認できる仕組みを整えます。

これにより、上司も部下も状況をリアルタイムで把握できます。

達成を評価する

部下が短期目標を達成した場合、すぐに認め、具体的に評価します。

「資料作成が前回より30分早くなったね」といったフィードバックを与えることで、部下のやる気を引き出します。

 

 

まとめ:継続的な改善こそがチームの成長につながる

「部下の仕事の遅さ」を改善するには、単なる叱責ではなく、原因を見極めた的確なサポートが求められます。部下の遅さにはそれぞれ理由があり、上司の関わり方が解決の鍵を握っています。

思い返すと、私は42年間、管理職として部下に向き合い続けてきました。よく破綻せずに全うできたもんだと、我がことながら少し感心したりしています。

最後にもう二つのことを述べます。それは、管理職自身の能力維持と向上に関する内容です。

管理職の視野を広げる努力を続けること

管理職は多忙な業務の中で、割と自然に視野が狭くなっていきます。

それを避けるためには、職場とは関係のない研修やセミナーに定期的に参加したり、読書を通じて新しい視点を取り入れることが不可欠です。

これにより、より相対的で柔軟な思考を持つことが出来るようになります。

プレッシャーに打ち勝つための心得を持つこと

管理職は、部下を導くことに加え、自身の業務を持つ場合が多く、独特のプレッシャーに24時間さらされています。

このプレッシャーに打ち勝つためには、自分流の平常心を保つ心得を確立することが重要です。

私の場合、基本的には作曲やピアノ、そしてジョギングが無心になれるという意味で役に立ちましたが、どうにもならない時は真夜中に妻を乗せてドライブするということもありました。

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あなたには、あなた自身のやり方があるはずです。そのやり方を信じ、時には試行錯誤しながら、部下とともに困難を乗り越えてください。

その先には、あなたとチームの成長がきっと待っています。