やっぱりおかしい?
日常会話で使う日本語と「バイト敬語」と呼ばれる言葉にはかなりの違いがありますね。どうして違うのか、その原因は何ででしょうか。問題はあるのでしょうか?
- よろしかったでしょうか
- ハンバーグのほう、温めますか
- 5千円からお預かりします。
- こちらワインになります
こうやって並べてみますと、やはりおかしい気がします。私たちは普段こういう言い回しをしませんし聞きません。
なのにコンビニやスーパー或いは飲食店などの店員さんが、なぜ特殊な言い方を恒常的に使うのでしょうか?
新聞の読者がもう20年以上前から、こういう言い回しに対して批判の投稿をしていることから、あんまり最近の現象でもないと理解できます。また、必ずしも誤用ではないとする見解もあるようなので、ややこしいですね。
よろし『かった』でしょうか
お互いの目の前に「今」あることを確認するのに『かった』という過去形にするのは、単純に変だと思います。
ところが「この表現は自分の認識を確認する表現で、その背景には相手への配慮
があり、直接的な返答を迫るのを避けるという意味で相手への気配りが含まれている」このようなご意見もあるんですね。
ハンバーグの『方』
対象物に対してお互いが「別の物」と誤解することがない状況で「〜の方」というやや遠回しな言い方をする理由がないと思います。
ただし「〜の方」という使い方がないわけではなく「白い方ですか、赤い方ですか?」というような使い方はあるでしょう。
これにつきましても、ある方は「特定の人を指す場合に、直接的な言葉を避け、例えば身分の高い人の奥さんを『北の方』と言ったり、目上の人を『御前様』とよんだりして曖昧に表現していたが、これはマナーであり丁寧な表現である。従って
『ハンバーグの方』と言う表現も間違いとは言えない」と仰っています。
5千円『から』
特に釣銭がある場合は、ほぼ間違いなくこの言い方をしてくるのではないでしょうか。
目の前の5千円『を』お預かりするのであって、5千円「『から』お預かりするのではないのです。
あらためて助詞を調べてみても「から」が「を」を代替するというような記述は見当たりません。もちろん感覚的にもおかしいと思います。
ところが・・・これにつきましても、「受け取るお金『から』一部を預かり、残りはおつりとして返す、という意味の省略形で、間違っているとは言えない」というような説もあるんです。
こちらワイン『になります』
『なる』という動詞は、ものが変化するとき若しくは数値の1が10になる、というように一定の値に到達するような場合に主に使われます。
なのでこれも『です』や『ございます』の代替語として使うには無理があるのではないでしょうか。
どうあるべきか?
さて、このようなバイト敬語に一定の肯定的な解釈をする学者や教授がおられても、以前からかなり否定的な意見が新聞やネットに多数あがっているのは事実です。
ですから、おかしい、気持ち悪い、と感じる人は確かに多いのです。ではなぜこうなっていったのか? 諸説はあるものの理由は特定できません(私が見つけられなかっただけかもしれません)。
日本の敬語は確かに難しいですね。人前で仕事としてそれなりに使いこなそうとすれば、やはり一定期間の研修や勉強は不可欠であろうと思います。
それを、いきなりバイトとして店に立つ学生さんたちにレベルを要求するのは無理があるようにも感じます。
一方、バイトの使い手が、もう少しマニュアルを整備をするなど、力のいれどころは色々あるとは思います。
事実、コンビニやファミレス各社もバイト敬語の問題は認識していて、たとえば「サークルK」や「ロイヤルホスト」や「すき家」などでは店員の言葉使いについて改めて教育しているそうです。
少しでも気持ちの良い接客ができるお店が増えればいいですね。
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