目 次
新たな感動が生まれる場所
あなたはこれまでに何回台北を旅行されましたでしょうか。おそらく多くの観光地に足を運ばれたことでしょう。
でも、博物館や美術館や公園には行かれてないんじゃないですか? 案外観光の盲点ではないでしょうか。理由はよくわかりませんが、一つには情報の偏りが大きい気がします。
事実、そういった場所に行っても日本人はほとんどいないんですよね。実際に行けば感動したり記憶に残る要素はいっぱいあるんですよ。
行かないのは勿体無い。であれば何かがきっかけで「行こう」という動機に繋がればいいな。そういうわけで作ったのがこの記事です。
「興味がない」と一蹴されるかもしれません。でも、興味が出るのか価値を感じるのか、とにかく、行かないことには判断のしようがないじゃないですか。
- 超有名な観光地に行く
- 超有名な食堂・レストランで有名な料理を食べる
- 夜市を散策する、B級グルメを堪能する
- マッサージを受ける
- ショッピングをする
それだけが台北の観光じゃありませんって。
人間どこで感動を覚えるかわかりません。事実「全く関心がない」とグズっていた人をある場所に連れて行ったら、涙を流して「感動した」、ということも現実にあったのですから。
今回ご紹介する博物館や美術館や公園は、一例を除いて、公立なので極めて安い料金で入場することが出来、大変リーズナブルに有意義な時間が過ごせます。
もし、この記事を読んでいただいても尚気が向かない方は、雨が降る身動きが取りづらい日に限り行く場所(公園は別)として記憶していただいてもいいかと思います。
それでは早速ご一緒しましょう。
国立歴史博物館
MRT松山線の小南門駅から南へ徒歩10分くらいの場所、ちょうど台北植物園の南側に隣接しています。
もしくはMRT松山線・淡水線の中正紀念堂駅で降りて西に歩いても同じくらいの時間で行くことができます。
ということは中正紀念堂の近所ということになるので、セットで行くのも効率的でいいかもしれませんね。
正面に立つと堂々とした佇まいを感じますが、日本統治時代の建物によく見る様式とは違って、赤と緑を基調にした中華風の建物です。
正面右側には綺麗なお庭がありますので、こちらも忘れずに見てくださいね。
中に入るとすぐ右側が入場券販売所で左側が荷物一時預かり所です。傘や荷物はこちらに預けて入場してください。
さて、国立歴史博物館は蒋介石国民党が日本と入れ替わりに台湾に入ってきて、初めて作った国立の博物館(1955年)です。
??国立故宮博物院が先では・・そういう疑問が浮かんできますよね。
実は、中華民国が大陸を統治している頃の話ですが、故宮博物院は1925年10月に紫禁城を拠点として設立されているのです。
その後中国大陸は内乱が続き、故宮博物院のお宝は各地を転々とし、1949年頃から順次台湾に持ち込まれました。(中国の内乱当時の歴史は複雑でややこしいですね^^)
そして、台中県にある北溝という場所で一般公開がされるようになりましたが、台北市士林区の、つまり今の場所に新築されたのは1965年8月の事なのです。
従いまして、設立は国立故宮博物院が早いけれど、建物ができた時期は国立歴史博物館が先ということになります。
国立歴史博物館は開館当初、文物が揃わず購入予算もなかったので、鑑賞に耐えるような展示品が揃いませんでした。なので一部では「真空館(何もない館)」と揶揄されたそうです。
しかしそれにしても、数といい質としい圧倒的なお宝を保有していたのに、どうしてそれらとは関係のない博物館を別に作ろうとしたのでしょうか? ちょっとよくわかりません。
開館の翌年になると、中国河南省立博物館の展示物が到着し、また、日本軍が中国から持ち去った文物の返還を受け、これらを持ってやっと「文物美術館」の名に恥じない展示をできるようになりました。
以上からわかりますように、国立歴史博物館の当初保有文物は中国文化そのものです。これら文物は今でも三階に常設展示されています。
今ではそれ以外にも・・
- 台湾の現代アートの展示
- 台湾内にある各博物館保有の文物の展示
- 国際交流展として世界各国文物の展示
など、定期的に内容を変更して多彩な展示を行っています。
展示内容
各階における最新の展示内容はいつでもこちらで確認できます。(日本語可能とあるが上手く表示できない)
→https://www.nmh.gov.tw/activitysoonlist_66.html
入場料は30元と滅茶苦茶に安く、中で貰える価値と比較すれば嘘みたいな価格ですが、ただ、モネやミケランジェロのような特別展があるときは、その展示室は別料金になります。
おそらく私たちが一番注目するのは、やはり常設の展示文物でしょうが、これは3階だけではなく、1階の廊下にも展示されており、圧倒されます。
3階には、日本でもちょくちょく目に耳にする唐三彩の陶器がたくさん展示されており、これを鑑賞するだけでも来る価値があるのではないでしょうか。
4階も写真で紹介したかったのですが、行った時はあいにく準備中で閉鎖されてました。
さて、展示物以外のおすすめがあと2つあります。それは・・
- 2階の「忘言軒」という珈琲館
- 1階のお土産ショップ
です。
忘言軒でお茶しましょう。植物園が隣接していて、その風景がすごく綺麗です。なんとも言えずまったりした気分になれます。
カウンターのおばちゃんのところに行って注文して、そして窓際に座りましょう。
1階のお土産ショップは買わなくてもいいので店内を見て回ってください。実に多彩な商品が所狭しと置いてあります。見て回ると、展示品鑑賞とはまた別の楽しさがありますね。
もちろんお気に入りが見つかれば購入してください。
国立歴史博物館基本情報
住所:台北市南海路49号
電話番号:02-2361-0270
開館時間:10:00〜18:00
休館日:毎週月曜日(但し国定休日と特別イベント日は開館)
入場料:30元(特別展は別料金)
サービス:無料コインロッカー、車椅子・ベビーカーなどの貸し出し、3階に授乳室あり
ホームページ:http://www.nmh.gov.tw/(日本語あり)
台北植物園
国立歴史博物館の真北に隣接しておりMRT小南門駅から博愛路を南へ徒歩5分です。
博愛路をまっすぐ南下すると台北植物園の裏門に到着するので、そこから入ってください。正門は真逆の南側にあります。
先に国立歴史博物館へ行った場合は、上に紹介した忘言軒の窓から植物園の風景を見て「わぁ〜綺麗なぁ〜」って吸い寄せられるんですよね。
広さは約8ヘクタールで東京ドーム1.7個分くらいの広さですか。確かに広いですが、一通り巡るのが困難なほどでもないです。
市民の憩いの場所として・・
- 散歩する人
- 語らう人
- 写真を撮る人
- 太極拳をする人
みんなそれぞれに楽しんでいます。こういうところや博物館で写真を撮る人ってヤングも年配者も、結構みんなちゃんとしたカメラを使ってるケースが多いですね。私なんかいつもスマホですけど^^
ここの歴史は古く、1895年に台湾総督府殖産課の管理下、植物研究場としてスタート。戦争のおかげで紆余曲折あるも、今も尚林業試験場の管轄下、教育・研究の場として守られています。
園内はテーマごとに細かくエリア分けて整備されており、非常に理解しやすい工夫になっています。
しかしチューリップと朝顔と桜くらいしかわからない植物オンチの私は、難しい話とは無縁です。それでも、住居がここの側にあるなら毎日散歩したいジョギングしたい、そんな場所でもあるのです。
詳しく知らなくても、歩けば日本でないことは確実にわかります。背の高い椰子やソテツが道の両側にバ〜ンと立っていて、各エリアに入れば熱帯植物群ですからね。
大きなハスの池も見事ですよ。そして小鳥やリス達も可愛いです。
南門町三二三
それから、割と最近ですが「南門町三二三」と命名された平屋の和風建築が、園の東側・蓮池の北側に大修理の末にお目見えしました。
日本統治時代、植物園の休憩所だった建物が、いつしか忘れ去られ荒廃していました。これを民間の団体が資金を提供し、日本の建築士も協力して現代に甦らせたのです。
その建物の場所は日本統治時代の住所が「台北市南門町六丁目323番地」だったところから「南門町三二三」と命名されたんですね。
日本庭園も含め、「頑張ってリニューアルしたね」、思わずそう言いたくなる素晴らしい出来栄えです。
植物園に来られたら、忘れずにこちらにも立ち寄ってください。
最後に・・植物園は全部無料です。
台北植物園基本情報
住所:台北市中正区南海路53号
電話番号:02-2303-9978
開館時間:5:30〜22:00
テーマ別エリア開放時間:8:30〜17:00(夏季は随時延長)
休館日:年中無休
入場料:無料
ホームページ:台北植物園(日本語なし)
台湾当代芸術館
今回ご紹介している博物館や美術館の中では最も便利な場所にあるのが台湾当代芸術館です。
MRT台北駅から雙連駅の間は路線の上を中山地下街が通っていますが、その中山地下街のR4出入り口を上がり、長安西路を西へ100m歩いたところです。
MRT中山駅からR4出入り口までは南向きに400mくらいです。
正面を一目見ると日本統治時代の建物であることがわかります。赤煉瓦のそれは国立歴史博物館とは対照的ですね。
1919年に建成小学校としてできたこの施設は、日本の引き上げ後、1993年まで台北市政府官庁として利用されてました。台北101の横にある市政府庁舎が以前はここだったんですよ。
1994年に市政府官庁が移転ののち、しばらくは放置されてましたが、古跡再利用政策の基づき、2001年5月に現代アートを扱う台湾当代芸術館として蘇りました(北側2/3は建成国民中学校として再利用)。
古跡を整備してそのものを見せる、というのではなくて、芸術館に転用し成功した初めての例なんですね。
抽象性の高い現代アートは正直よくわからないけれど、その分想像力が掻き立てられて面白いです。
当館は日本人をはじめとする海外アーティストの作品も展示されており、志を持った台湾の若者に教育やスペースの提供も行っています。
大きな前庭は野外展示場になっていて、多くの人が作品にカメラを向けてますね。そういえば、当館は圧倒的に若い人が多いです。
建物に入るとすぐ左手が入場券売り場で、その奥がコインロッカーです。入場券を買って、荷物や傘を預けて、左側(西側)に入っていきます。
長い廊下とそれに沿って並んでいる部屋がいかにも元小学校らしいですね。
そして一番西の階段で2階に上がり東へと移動して、一番東の階段から1階に降りるという回り方です。
1階には子達が遊んだり学習をしたりする場もあって、ぱっと見保育園のようで、みんな楽しそうに創作をしています。
1階に降りてきて、一番東側は「罐子書館」というカフェです。休憩はここで。
さて、罐子書館から最初の出入り口に向かうと、左側に「芸術商店」というお土産ショップがあります。
このショップ、展示が上手くてオリジナル商品もあって、なかなかですよ。是非立ち寄ってみてください。
ちょっと残念なのは、ガイドツアーやオーディオガイドなどのサービスが日本語に対応していないところです。そういえばHPも。サービスカウンターにある館内説明リーフレットがかろうじて日本語対応です。
台北当代芸術館基本情報
住所:台北市大同区長安西路39號
電話番号:02-2552-3721
開館時間:10:00〜18:00(入場券の最終販売時刻17:30)
休館日:毎週月曜日
入場料:50元
サービス:無料コインロッカー、車椅子・ベビーカー・オーディオガイド(北京語・英語)などの貸し出し、1階西側に授乳室あり
ホームページ:http://www.mocataipei.org.tw/index.php(日本語なし)
国立台湾博物館
台湾総統府の北東側、二二八和平公園の北側に建てられた、正面はギリシャ神殿様式、中に入るとルネッサンス様式の豪華な建物が「国立台湾博物館」です。
MRT台大医院駅で降りて二二八和平公園に入ったら、すぐ右側に見えます、徒歩5分かかるかかからないか。
日本統治時代に建てた他の建物を鑑みて、元は何に使われていたのだろうと考えるわけですよね。ましてこの立派さですから。ところが、この国立台湾博物館は日本統治時代から博物館なのです。ちょっと稀有ですよね。
2台の蒸気機関車
今の国立台湾博物館の敷地内、正面右手に2台の蒸気機関車が展示されています。これは上記「台湾総督府博物館」の名残でしょうか。
実はちょっとややこしい話ですが、1908年、台湾総督府の裏に、台湾南北縦貫鉄道の開通を記念して「台湾総督府博物館」ができたんですね。
もう一つの話として、1915年に児玉総督と後藤民政長官を記念して「今の場所」に「故児玉総督及び後藤民政長官記念営造物建設会」が博物館を作ったんです。
そして、この記念館を台湾総督府に引き渡すおりに名称を「台湾総督府博物館」としたんですね。なお先の「台湾総督府博物館」は後に連合軍の空襲により焼失しています。
現在も日本統治時代とまったく同じ目的で使われているのはとっても珍しいことで、そういう意味では台湾でも最も歴史ある由緒正しい博物館と言えます。
歴史ある博物館が最も戦火に遭いやすい場所にありながらなんとか逃れ、現在も当時と変わらぬ現役そのままで活躍しているのはうれしい限りです。
さて、正面玄関から建物を見てみると、本当に惚れ惚れするような美しさです。そして中に入れば5つ星ホテルのようなエントランスホール。
下から上へと目線を移すと、息を呑むような精巧な作りの吹き抜け。その大空間に照明器具のオレンジとステンドグラスを通して光るブルーのコントラスト。
この空間に浸るだけでも、ここに来る値打ちがあると思います。
中に入ってすぐ右側に入場券売り場があります。これが驚きの30元。しかも本館の正面にある襄陽路の左前には姉妹館の土銀展示館(もと台北勧業銀行)があって、ここにも同じチケットで入場できます。太っ腹すぎ。
次に展示に関してですが、他の博物館と同様に常設展と特別展があります。私が写真を撮った時の特別展は台湾の自転車の歴史展をやってました。
2階の常設展は、台湾原住民の生活や文化に関するエリアと台湾の生物に関するエリアがあります。
台湾の生物エリアでは、高い多様性を有する台湾の生物を・・
- 海洋エリア
- 陸上エリア
- 渓流エリア
- 中高海抜エリア
などに分けて、観る者が理解しやすいように工夫されています。
もう一つの台湾原住民に関するエリアは、私がこの国立台湾博物館で最もおすすめしたいエリアです。
台湾は九州くらいの広さしかないにもかかわらず、認定されているだけでも16のも原住民が暮らしています。16部族ですよ!(実際はもっと多いと言われてます)
その上に大陸から渡ってきた人たち、本省人や客家人や戦後に来た外省人などが暮らしているのです。どんだけ複雑な社会なのか。台湾理解の大切な切り口の一つが多民族国家に対する理解です。
日本人はそれを考える前に、そもそも関心のない人が多いです。
でも日本のテレビでは、しょっちゅう「日本を訪れる外国人は、日本の文化や歴史に興味を持っている」「それに触れて見て知って感動している」とかって言ってじゃないですか。
私が申し上げているのは、単にその逆バージョンです。ただそれだけです。
もし国立台湾博物館に行かれたら、是非台湾原住民展をじっくりと鑑賞してみてください。
国立台湾博物館 基本情報
住所: 台北市中正区襄陽路2号
電話番号:02-2382-2566
開館時間:9:30〜17:00
休館日:毎週月曜日・旧暦大晦日元旦(但し国定休日と連休は開館)
入場料:30元(16:30からは無料)
ホームページ:https://jp.ntm.gov.tw/(中国語)
二二八和平公園
国立台湾博物館を含み、南側に伸びている公園を二二八和平公園といいます。MRT台大医院駅の真横ですね。
公園の北側は今お話しした国立台湾博物館と、これに付随し日本統治時代の面影が残る美しい庭園があります。
また、それより南側は美しい木立に囲まれて、市民の憩いの場所になっています。晴れていれば、毎朝必ずいくつかのグループが太極拳をしています。
そして公園内東側には台北二二八紀念館があります。
この公園はもともと「台北新公園」と呼ばれていましたが、1995年に現在の名称に変更されました。「228」にはいかなる意味が込められているのでしょうか。
二二八事件
1945年に大東亜戦争に敗れた日本が去り、入れ替わりに入ってきた蒋介石中国国民党が台湾を統治し始めました。
日本統治時代に築かれたソフト・ハード共に近代化された社会が、知性も教養もない国民党によって一変してしまいました。
暴力・略奪・汚職・食糧不足・衛生環境悪化など、昨日までの台湾はなんだったのだという変化ぶりに加え、日本教育を受けた台湾人に対し徹底的な弾圧を加えるのでした。
そうこうしているうちに台湾の人たちのフラストレーションはどんどん高まっていき、そして遂に象徴的な事件が起きました。
1947年2月27日、二人の子を持つシングルマザーの林江邁さんが生活のために闇タバコを売っていたところ、取り締まりを受け、殴られた上、お金もタバコも没収されてました。
そして、生活に困るから返して欲しいと訴える林江邁さんの頭を銃で撃ち殺したのです。さらに、集まった民衆にも銃口を向け何人も殺しています。
その翌日2月28日に怒りを爆発させるべく立ち上がった台湾人は台北市専売局へと大規模なデモを行い二二八事件が始まります。これに対し国民党は機関銃を乱射しました・・・
それから今日まで、いったい国民党はどれほど多くの台湾人を殺したでしょうか? 国民党は未だに正確な人数すら発表していません。
以上のような暗黒の歴史に対する台湾人の悲しい思いが詰まっているのが二二八和平公園です。
今は、木漏れ日の中を鳥が飛び、リスがちょこちょこ動き回る、静かで平和で美しい場所になっています。
袖珍博物館
次のご紹介はちょっと趣を変えて民間の博物館です。
袖珍(シウジェン)って日本語にもありますが、あんまり見ない単語ですよね。これは「小型のもの」という意味です。
つまり袖珍博物館はミニチュアアートの博物館なのです。ここまで充実した展示内容のミニチュア博物館はあまりないと思います。
なかなか楽しいですよ。館内には若いアマチュアカメラマンが沢山いて、みんなアングルを考えて写真を撮っています。
場所ですが、MRT松江南京駅から南京東路上を東に行き、建国北路を100m強南下したところにあります。どんなにゆっくり歩いても10分以内です。
但し、一般ビルのB1なのでボ〜ッと歩いていると見逃す可能性があります(以前の私^^)。
袖珍博物館が誕生したワケ
本館に展示されているものは全て林文仁さんご夫婦の個人所有コレクションなのですが、始まりは、自分たちの子供を喜ばせることにありました。
お人形さんに始まり、人形が住む家、人形が遊ぶおもちゃなど、次第に所有点数が多くなっていき、いつしか家族全員が楽しむ世界になっていったのです。
さらに加熱していき、世界の展示会やオークションなどでも多くを購入し、独自にアーティストに依頼した作品も増えてきて、ついに1997年に博物館が誕生しました。
実際にご覧になればよくわかりますが、展示アートはとにかく多種多彩です。日本人の作品や日本の昭和の街を再現したアートもありますよ。
そんな中でも特に高い評価を受けている・・
- ローズハウス
- バッキンガム宮殿
- 木の上の炭鉱
などの大作や、数多くの人形の家・部屋、そして様々な種類の人形や車や小道具の数々。そのどれを取っても緻密で精巧で、本当に感心と驚きの連続です。
細部にわたるまで、あまりにもよくできているので、目を凝らして見ていると飽きなくて、動けなくなります^^
最後はお約束のショップとカフェですが、ショップがまた博物館の特質に合わせた商品を沢山置いていて、見ていてホント楽しいです。
本館は大人は大人の目で、子供は子供の目で、それぞれが楽しめるので、親子連れで来るのにも最適です。
もう一つ、多くの作品においては日本語の解説がなされており、これは高得点です。
ただ惜しむらくは欧米調が主流でそれ以外があまりない点ですね。特に大作の中にアジアンテイストな作品が入ってくるともっと楽しいかな、と個人的には思います。
袖珍博物館の基本情報
住所:台北市建国北路一段96号地下1階
電話番号:02-2515-0583
開館時間:10:00〜18:00(17:00入場券販売終了)
休館日:毎週月曜日(月曜が休日の場合は火曜が休館日)、旧正月の前二日間
入場料:180元(ショップも含めVIZA•JCB•MASTER各カード支払い可)
サービス:コインロッカー
ホームページ:http://www.mmot.com.tw/
花博公園
台北では2010年に「2010台北国際花の博覧会」が開催され大成功をして終了しました。日本でも花博は行われているので、イメージできる方も多いでしょう。
現在ある花博公園は博覧会場の跡地で、当時の美しさを継続維持していこうと、台北市が運営しています。
公園内は非常に綺麗に整備されていて、また博覧会当時の展示館も爭艷館・舞蝶館・夢想館・未來館・天使生活館などが残されいます。後の3館についてはまだ中に入ったことがありませんので、近いうちに行こうと思ってます。
元銀行員なのですぐにお金の心配になってしまうのですが、これね、維持管理にどれほどお金がかかるのでしょう?
とっても素晴らしい施設なので、ず〜っと残っていくことを願ってはいるのですが・・・
さて、最寄りの駅はMRTの圓山駅です。
すでに別記事でご紹介している台北市立孔廟(孔子廟)は圓山駅の西側ですが、花博公園は駅を降りたすぐ東側に隣接して東側に広がっている広大な公園です。。
ここは文化の宝庫みたいなとこでして、上に列記した施設のほか、今回ご説明する台北市立美術館・原民生活美学館・台北故事館・林安泰古厝など訪れたいところがいっぱいあります。
しかし広すぎて、しかも花博公園の中央には軍の施設があって左右に分断されるような配置になっているので、歩いて回るのはなかなか大変です。どうしましょう?
そこでYouBikeです。晴れてさえいれば、安価で快適なYouBikeを使わない手はないです。3段変速で超快適ですよ。
YouBikeさえあれば広くても大丈夫
台北市立美術館
花博に隣接した施設トップは台北市立美術館です。MRT圓山駅から公園内を歩けば7〜8分くらいです。
1983年12月に開館してるので台北における近現代美術を扱うフラグシップになるのでしょうか。でも正直、上にご紹介した台湾当代芸術館との違い・住み分けがどうなのかよくわかりません。
しかし、国民党が中国から持ってきた文物とは全く関係のない、近現代の台湾人作品を中心に扱っているところに、間違いなく大きな意味があります。
オブジェがさりげなく置かれたお庭がある建物は現代美術館にふさわしく相当奇抜です。その奇抜さは外観だけではなく、中に入っても同様の感想を抱きます。
特に2階3階はベタな床がある構造ではなく、廊下の組み合わせのような作りになっています。吹き抜けが多く、天井が高くとってあるので、圧迫感がなくて鑑賞しやすいですね。
出入り口についてですが、正面は北側です。でも訪れた人はほぼ必ず南側からやって来ます。まあ正面にぐるっと回ればいいだけでしょうが、裏の入り口「南西エントランス」を利用しましょう。
長いエントランスには展示品とは別に、台湾の様々な工業製品が並べられており、これはこれでなかなかのプレゼンスです。
エントランスの突き当たりで、向こうに圓山大飯店を見て、右側正面の入場券売り場に向かいます。
正面玄関はものすごく広い吹き抜けのロビーで贅沢な作りで気持ちがいいです。
地下には幼児の遊び場や図書室兼学習室、そして芸術書がある書店やカフェやレストランなどもあります。
地元の学生なら、お金が必要なスペースには入らずに、勉強してお茶して帰るなんて使い方もできますね。
私の好きなお土産ショップは正面を入って、すぐ左側にあります。入場券不要なので、ショップだけ見るのもありです。ユニークな商品がありますよ!
さて、展示はいくつかのテーマに分かれていて、年に4回程度入れ替えがあるそうです。
撮ってきた写真を見ていただけばわかりますが、現代アートは自由ですね。いろんな角度からいろんな感覚・手法で表現されたいろんなものは、鑑賞する側に制約を求めないのでしょうか。
そこがいいような、ちょっと手持ち無沙汰のような・・・
最後に、ホームページも鑑賞ツアーも日本語対応はしていませんが、リーフレットだけは日本語版があり、これがよくできていて見やすく利用価値大です。
当館の奥には次に説明する台北故事館があり、手前には(今回説明はしませんが)原民生活美学館(無料です)があります。
台北市立美術館基本情報
住所:台北市中山北路三段181号
電話番号:02-2595-7656
開館時間:9:30〜17:30(土曜9:30〜20:30)
休館日:毎週月曜日(但し月曜が休日の場合は開館)
入場料:30元(土曜は17:30から閉館まで無料)
ホームページ:http://www.tfam.museum/(日本語なし)
台北故事館
台北市立美術館の正面を出てすぐ左前にあって、なんかディズニーランドで見そうな可愛い洋館が台北故事館です。
この建物ができたのは日本統治時代の1914年ですから、もう100年を超える歴史を刻んできたのですね。
それにしても、台北駅の南側にある当時の政治の中心地、あるいは袖化街のあたり、あるいはMRT淡水線沿いの当時のいろんな建物、どれを思い出してみても台北故事館のような建物ってありませんよね。
可愛くて珍しい建築物です。
台北故事館の生い立ち
実は陳朝駿という茶商が商売用の別荘として建てたもので、建設当時は庭が広く、裏は基隆河に船着場を置くといった豪華なものでした。
しかし陳氏が亡くなった後、この建物は刑場になり、高官の住宅になり、あるいは商品展示場になりと、かなり複雑な運命を辿っていきます。
なぜ、今、こんなに綺麗に可愛く残されているのでしょう?
それは、1998年に台北市が史跡に指定したからです。その後傷んでいる部分を修復し、台北故事館としてカムバックしたんですね。
今は庭は80坪しかなくこじんまりしています。が、ものすごく綺麗に手入れされており、かえって建物とのバランスがいいようにさえ感じます。とにかくとっても可愛いです。
建物は2階とその上に屋根裏部屋があります。設備や調度品から結構贅沢な作りであることがわかりますね。
昔は2階のベランダから基隆河の流れが遠くまで見通せて、それは綺麗な景色であったそうです。
今は・・高速道路の高架と堤防で台無しになっています^^
それでも、ベランダに立つと、当時船を浮かべて顧客を接待していた様子が心の中に浮かんできます。
台北故事館としての用途は、当時の様子の再現とともに、企画ものの展示なんかもやっていて、私がいった時はペルシャジュータンの展示でした。
説明をしてくれる人がボランティアで詰めてられるんですが、日本語が堪能な方もおられるので、うまく当たると本当に有意義なひと時になります(私がそうでした)。
お土産ショップももちろんあります。小物を中心に数多く揃えています。ただ、ここのオリジナル商品は私は見つけられませんでした。
故事茶坊
台北故事館の斜め前に白い建物のカフェレストランがあるので、ここでお茶したり食事をしたりしてもいいと思います。ホテルの経営で、結構本格的なものを食べさせてくれます。
また、季節がよければ外でも飲食できるので、晴れていれば風に吹かれてまったりできるのではないでしょうか。
台北故事館基本情報
住所:中山北路三段 181-1号
電話番号:02-2587-5565
開館時間:10:00〜18:00
休館日:毎週月曜日、旧正月
入場料:50元
ホームページ:台北故事館(観光局)
林安泰古厝
この花博エリアで最もびっくりしたのが林安泰古厝の存在です。マップで見ると北の外れのいかにも地味なところに、こんなにも素晴らしい史跡があるとは・・
ただし、花博公園エリアにあっては最も行きにくい場所の一つです。でも、道を間違えなければMRT圓山駅から徒歩16〜7分なので大したことはないのですが。
やっぱりYouBikeがいいと思います。
林安泰古厝というのは閩南(びんなん)建築と呼ばれる様式を用いた中国の伝統的な住宅古跡です。建設をされてから200年以上が過ぎているにもかかわらず、非常に保存状態の良くて見ごたえがあります。
林安泰古厝ストーリー
この立派な住宅を建てたのは林志能という人です。
1754年に中国福建の安渓から林欽明一家が台湾へ渡ってきました。安渓といえば高級鉄観音茶の里として有名ですよね。
そして、欽明氏の息子のうち志能氏に商売の才覚があって財をなし、今の大安区に大きな屋敷を建てたのでした。ということは現在地よりだいぶ南の方ですね。
主家の完成が1783年で、そこから完全完成まで更に数十年を要しているというからすごい話ですね。
「安泰厝」というのは自分の屋敷に志能氏がつけた名前です。
時は過ぎて1978年当時、道路新設工事計画により取り壊される運命にあったところ、専門家たちの尽力により再配置計画が起こりました。
これを受けて台湾市政府が解体して今の場所に組み立て直したのです。一部破損して補修が効かないものは取り替えられましたが、ほとんどのパーツが当初よりあるもので、だから古跡として価値があるんですね。
花博開催期間中は展示館にもなっていたそうです。
さて林安泰古厝を訪れたら誰もが同じ感想を抱くと思うのですが、門を入って左側に巨大で変なコンクリートオブジェがあって非常に存在感を放っています。
最初に見た時はこの邸に似つかわしくないし、なんか趣味悪過ぎやろと思ったのですが、後になって、それは単なる自分の無知であったことがわかります^^
風水は絶対
もうだいぶ以前ですが、台湾の友人の話として、自分の知り合いが家を新築して風水師に見てもらったら、玄関の「何か」の配置がよくないと言われて、そこをぶち壊して作り直した、そんな話でした。
完成した家を一部とはいえわざわざ潰すか?
そうです風水なのです。こちらの人たちは風水の考え方を相当大切にしています。例えば有名な「台北101」も風水だらけです。
そういうわけで、林安泰古厝では風水地形を再現しなければならず、建物の真正面に、風水で言うところの「案山」の代わりに「顧渚茗山」という仮の山を作ったのです。
そしておなじみ青龍と白虎は、正面月眉池の左右の芝生の盛り上がりで表現したとか。
再度言いますが、私のように何も知らない者にとっては非合理的でめんどくさい風水ですが、中華文化においてはかなり絶対的であるように感じます。
とにかくきちんと形作らないと・・
- 「気が逃げる」とか
- 「子孫繁栄がない」とか
信じている人たちにとっては捨てておけるような話ではないのですね。
さて、顧渚茗山を背にして右側奥へ行くと凄い庭園になってます。
大小の石と花木と山水で作られた幽遠な庭園には特徴ある橋や建物が配置されていて、中華式庭園というか園林の知識が全くなくても思い切り魅了されてしまいます。
林安泰古厝の中で、私が最も感動したのがこの庭園で、長い時間いました。
次に、庭園に隣接して全体の中心にある母屋群(どう呼んでいいかわからない)は、正面奥に廟が建てられていて、その左右が手前・奥と二重構造になっていて、全部合わせると34もの部屋があります。
実際その場に立てば感じると思うのですが、なんか陰気臭いというか採光を考えてないというか、暗いというか、そういう感じです。理由はあるのでしょうが・・
見所としては、鉄釘を使わない建て方・建物の一部になっている彫刻などのほか、当時実際に使われていた家具や調度品も展示されており、それは手が込んでいて豪華で見事です。
その他当時の食文化などを説明するものもいろいろ置かれていて勉強にはなるのですが、ちょっと予算不足気味でこれだけはちぐはぐかな、という印象です。
なんだかんだと素直な感想を述べてますが、これ無料ですからね。こんなすごい場所が無料なんてありえないですよ。
今まで台北も大概あっちこっち見て回りましたが、とりわけ林安泰古厝は感動的です。
結婚記念写真のメッカか?
実は私が行った時、母屋群に結婚衣装に身をまとったカップルが3組もいて、プロのカメラマンや助手が撮影をしていました。
私は私で自分の写真を撮っていたら「すいません、ちょっとどいてください」みたいなことを2回も言われて・・なんか居心地が悪くなって外に出ました^^
写真で観光しよう
今回ご紹介した各場所の写真をまとめましたよ〜。記事を読まれて心に残った場所を開いてみてください。
(写真はクリック(タッチ)すると大きくなります。大きいままで見てゆくこともできます。)
- 国立歴史博物館フォトギャラリー
- 台北植物園フォトギャラリー
- 台北当代芸術館フォトギャラリー
- 国立台湾博物館
- 袖珍博物館フォトギャラリー
- 花博公園フォトギャラリー
- 台北市立美術館フォトギャラリー
- 台北故事館フォトギャラリー
- 林安泰古厝フォトギャラリー
最後に
今回の博物館・美術館・公園シリーズはいかがだったでしょうか?
文中何回も「安い!」とか「ただ!」とかって感嘆していますね。これは実額が安いという事もさることながら、受けるインプレッションの強さとの対比で、本当に安い、不釣り合いなくらいお得だと感じたのです。
博物館・美術館や公園は異国文化が凝縮された場所なので、それらに触れることは間違いなく感動や理解につながります。
- 古い文物あり
- 絵画あり
- 彫刻あり
- モダンアートあり
- 整備された美しい自然あり
どうです? 何かはわからないけれど、必ずあなたの心の琴線に触れるものがあるはずです。
また、ショッピングにも博物館や美術館のお土産店は最適です。いいオリジナル品が結構あって購買意欲をそそられますよ。
さあ、あなたも是非台北の博物館や美術館、そして美しい公園を訪れてみてください。
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