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あんまり遠くなければ、自分家のお墓は出来るだけちょくちょく行って掃除して綺麗にしておきたいですよね。
何と言っても今の自分があるのは、両親や祖父母やもっともっと前のご先祖のおかげです。そういう人たちが眠る場所を綺麗にしたいというのは、ごく素直な思いじゃないでしょうか。
ところで、墓石はいわば野ざらしで非常に厳しい環境下にあります。年中風雨にさらされ、空気中のチリや花粉やその他いろんなものが付着します。
つまり、汚れやすく変質しやすい場所にあるのが墓石です。
なので、掃除といってもやり方一つで、年月の経過とともに、かなり状態にばらつきが生じてきます。
同じ掃除をするなら、できるだけ隅々まで美しい姿を残せる方がいいわけです。掃除のたびに「あ〜綺麗になったね」と実感できる方がいいのです。
というわけでこの記事では、お墓をより綺麗にする掃除について、あなたと一緒に考えて行きたいと思います。
いつ掃除をすればいいの?
特に決まりはありません。あなたのご都合の良い時でいいのです。
でもお墓は雨ざらし野ざらしなので、それだけ汚れやすいので、出来るだけ小まめに掃除した方がいい事は間違いないです。
キッチンでもお風呂でもそうですが、少し手を抜いていると、ちょっとした汚れがなかなか落ちなくなるでしょ。そうなんですよね、ましてお墓はね・・・。
とはいえ、そうちょくちょく行ってられない環境の方もいます。そういう方は、必然的に掃除の日=お参りの日となるでしょう。
とすると、お墓の掃除をする日は、お彼岸かお盆になるでしょうね。
期間の確認
彼岸
彼岸は年により日が若干変わります。
- 春の彼岸は、前三日・春分の日(3月21日前後)・後三日、で合計七日間。
- 秋の彼岸は、前三日・秋分の日(9月23日前後)・後三日、の合計七日間。
最初の日は彼岸の入り、春分・秋分の日は彼岸の中日、最後の日は彼岸の明けと言います。
盆
行事としてのお盆或いは旧盆の日は地方により異なりますが、休日としてはほぼ下記の通りです。
- 休日として定着しているのは8月13日から8月16日の四日間。
意味合いの確認
春分の日・秋分の日は、昼と夜の長さが同じ日です。太陽が真東から昇り、真西へ沈んで行き、この世とあの世が最も近くなる日とされています。
一方お盆は、13日の迎え火でご先祖を向かい入れ、16日の送り火であの世に送り出します。つまり、お盆はご先祖が我が家に帰ってくる日です。
ルールはありますか?
掃除の際の一般的なルールというものはありません。でも、管理するお寺や霊園には存在するかもしれないので、事前に確認をしておく必要はあります。
掃除の都合で土台や墓石に登っても、それ自体が良いとか悪いとかっていう謂れはありません。手が届かなければしょうがないのですから。
では具体的なお話に入って行きましょう。まずは掃除道具からです。
掃除に使う道具は何が必要?
ザザ〜っと並べますと、おおよそ以下のようになります。
- 雑巾
- 大きいタオル
- ハケ
- 歯ブラシ(歯が硬くないもの)
- 柄付きスポンジ(柄のしっかりしたもの)
- 台所洗剤のボトル(口が細くなって水鉄砲のようにできるやつ)
- バケツ
- ホウキ
- ちりとり
- 軍手
- ザル
- 鎌・植木バサミ
- 柄杓
- 除草剤・じょうろ
- 防虫スプレー(特に夏)
- 防寒ゴム手袋(特に寒い日)
これくらい揃えれば、かなり便利に掃除できます。墓苑に備え付けがあって共同利用できれば、もちろん持って来ずにそれを使います。
では次に、実際の掃除手順・方法、そして、やらない方がいい事も合わせてお伝えします。
掃除の順番と方法は?
- 「これから掃除をします」「綺麗にするからね」と手を合わせる。
- 植木や植栽がある場合は先に剪定などの手入れをし、草をむしる、スコップが使える場所も。草によっては先に鎌を入れる場合もある。
- 敷地をホウキで掃き、墓石にある落ち葉などのゴミを取り除く。
- 上記で出たゴミを用意してきたゴミ袋に入れる。
- バケツに汲んできた水を柄杓で墓石にかける。
- 雑巾で上から下へこすり洗いしてゆく。ここで使うのはタオルではなく、ちゃんとミシンの入った雑巾が使いやすくていい。
- 手の届きにくいところは、柄付きスポンジで洗う(歯ブラシを細長い板に合体させた自作がより使いやすい)。
- 一通り洗ったら、再び柄杓で水を掛け流し、もう一度上から下へ雑巾で擦り洗う。
- 墓石の縦横の継ぎ目や細い溝を、歯ブラシで擦ると泥が出てくるので、洗剤ボトルの水で水鉄砲をし、流し出す。
- 文字が彫られている部分や水鉢は湿らせた軍手をはめて丁寧に擦る。
- 花立や線香皿が金属製で取り外せるなら外して綺麗に洗う。花立は細長いので柄付きスポンジを使う。
- 最後にもう一度上から全体に水を掛けて流す。
- 用意した大きいタオルで水気を残さぬように丁寧にふく。大きいタオルが俄然効率がいい。
- ザルに玉砂利を入れて洗い場まで持って行って、水道水で綺麗に洗い、そしてよく水分を切って敷き直す。
- ジョウロに除草剤を定量いれ水道水で薄める。
- これを敷地に満遍なくまく。
- 掃除で出たゴミは全部用意してきたゴミ袋に入れ、所定場所に捨てるか、ない場合は持ち帰る。
以上で終了です。まあ一回これを参考にやってみてください。すごく綺麗になってスッキリしますよ。
除草剤の使用は特に問題ありません。特に戦後にできた比較的新しい墓苑で、区画がはっきりしているところでは問題ないと思います。
草ぼうぼうの中でご先祖にいてもらうより、抜くのに難儀して腰を痛めることを思えば、非常に有効な一つの方法です。
私の場合、歩きなので重いものや大きいものは持っていけません。除草剤も出来るだけ万能で少量、ジョウロも小さいものをという希望で、以下のものを選びました。
また、実際に作業をしてみればよくわかりますが、水垢・苔・カビといったものは、そう簡単には落とせません。しかしだからと言って、先に述べたように洗剤はNGです。
丁寧にこすり洗いして落ちるものだけ落とします。
掃除をする上での注意点は?
歯の硬いタワシ(特に金属製)は墓石が痛むので使わないほうがいいです。細かい傷が一杯つくと、そこが元となり将来大きなダメージになって行く可能性があります。
またクドイですが、洗剤は使わないほうがいいです。墓石と一言で言っても何十種類もあります。それぞれに異なった性質を持っていて、どの石にはどういう洗剤が合うのかは素人にはわかりません。
特にpHの偏った洗剤(アルカリ性・酸性)はやめたほうがいいです。
シミやサビなどが原因の変色は普通に洗っても容易には取れないことがほとんどです。無理無茶をして墓石を傷つけてしまっては元も子もありません。
墓石には無数の穴(細孔)が空いており、年月と共にこの中に、水に染みた微粒子や花粉や鳥のフンやなんだかんだが入り込んで汚れや変色の元になります。
また、長年の潮風や酸性雨なども変質変色の原因となります。
こういった墓石そのものの色の変化は掃除で取れるものじゃないです。よほど何年も放置しない限り、上に付着した苔などは丁寧に擦れば取れるのですが。
出来ることをしてできる範囲で綺麗にする、という割り切りも大切かなと思います。
もっと綺麗に変色も取りたい場合は?
もっと綺麗にしたい場合は、プロにお願いするよりありません。
プロは専用の機材、高圧スチーム洗浄機などを使い、またそれぞれの墓石にあった洗剤を駆使して非常に綺麗にしてくれます。(手洗いに徹するところもある)
しかし相場が3〜4万円と、一般のサラリーマン的感覚ではチト高いかなあという気もします。
更に、染み付いた変色(変質)を取るとなると、掃除ではなく磨き直しになります。これは墓石の研磨作業です。
その場で行う場合と墓石を取り外して工場で作業する場合があります。墓石の経年劣化の状態にもよりますが、何れにしてもびっくりするくらい輝きを取り戻すことは間違いありません。
ただし、費用は大きさや状態でかなり違いが出てきますが、何れにしても数十万円はするでしょう。けして安い作業ではありません。
実際に依頼を検討する場合は慎重に行ってください。きっかけはネットでいいとしても、地元で実績があることをしっかりと確認してください。
そして、方法や金額などをよく話を聞いて質問をして、十分に納得してからお願いすることが大切です。
まとめ
今まであなたがなさってきたお墓掃除と比べて、この記事の掃除方法はどうでしたか?
大雑把な水洗いに、石に切った溝や石と石の継ぎ目に溜まっている泥を丁寧に歯ブラシで掻き出す作業を加えるだけで、仕上がりがうんと違ってきます。
それらにプラス、柄の長いスポンジ(細長いボトルを洗うブラシ:柄のしっかりしたもの、か、細長い板を取り付けた歯ブラシも有効)などを使って、今まで無視してきた手の届かないところを掃除すると、仕上がりはもっと見違えるようになります。
ところで・・・以前は、長男長女が家の跡を継ぎ、お墓の世話もするのが一般的でした。特にうちの田舎のように農村であれば、どこもそうだったでしょう。
しかし世の中は劇的に変化し、核家族化が進みそれに呼応するように個人主義が当たり前になってきました。
今後、日本社会の中でお墓の位置付けってどうなるのでしょうね? 日本人は先祖とどう向き合っていくのかいかないのか。少しね、心配な部分もあります。
知り合いに葬儀会社の経営者がいますが、彼がこんなことを言ってました。
「亡くなった方が尚生き続けるのか、それとも単なる物質に帰するのかは、残された人たちの考え方による」
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