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目 次
iPadのバッテリーはなぜ劣化するのか?
バッテリー劣化の仕組み
iPadに搭載されているバッテリーはリチウムイオンバッテリーです。このバッテリーは軽量で高出力という利点がありますが、充放電を繰り返すことで徐々に劣化します。
バッテリー劣化の主な原因は以下の通りです。
- 充放電の繰り返し:バッテリーには寿命があり、500回の充放電(0%→100%のフル充電を1回とカウント)で新品時の約80%の容量に低下します。
- 高温環境:バッテリーは熱に弱いため、40℃以上の高温環境で使用すると、内部の化学反応が加速して劣化します。
- 過放電・過充電:バッテリーを0%まで使い切ったり、100%のまま充電し続けると、バッテリーの負担が大きくなり劣化します。
- 長期間の放置:長期間使用しない場合、50%程度の充電状態で保管するのが理想です。0%のまま放置すると深刻な劣化を招く可能性があります。
劣化が進むとどうなるか?
バッテリーが劣化すると、iPadの使用感にも影響が出てきます。
- バッテリー持ちが悪くなる→ 以前は10時間使えたのに、今は5時間しか持たないなど、充電の頻度が増える。
- 動作が遅くなることがある→ 劣化したバッテリーは電圧が不安定になり、iPadのパフォーマンスを制限する場合がある。
- 突然シャットダウンする→ バッテリーの劣化が進むと、残量があるのに電源が落ちることがある。
- 充電速度が遅くなる→ バッテリーの劣化により、通常より充電完了までの時間が長くなることがある。
このように、バッテリーの劣化は使い勝手の悪化につながります。では、iPadのバッテリー劣化をどのように確認すればいいのか? 次の章で詳しく解説します。
iPadのバッテリー劣化を確認する方法
もしあなたのiPadがM2 AirかM4 ProならiPhoneのように即調べることが出来ます。
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- ① 「設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態」と開く
- ② バッテリーの最大容量(新品時と比較した現在の充電可能量)を確認する
- ③ 80%を下回っていたら、交換の検討をしてください。
その他のモデルをお持ちの場合は、下に示す2つの方法の何れかを利用する必要があります。
- Appleの公式診断サービスを利用する方
- MacやWindowsのサードパーティー製アプリを活用する
ではそれぞれについて説明をします。
Appleの公式診断サービスを利用する方法
Appleストアや正規サービスプロバイダに持っていけば確認してくれますが、わざわざそのために訪問するのは時間がもったいないですよね。
そこでご紹介するのがAppleのiPad修理サービスの一環です。
対象となるiPadで、以下のURLから入っていって行けば、チャットでバッテリーの最大容量や劣化具合を即調べてくれます。
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具体的な手順は簡単。
- ① 「iPadの修理サービス」の中の「お手続きはこちらから」をタップする。
- ② ページが変わってゆくので「バッテリーのパフォーマンス」「サインイン」とタップする。
- ③ 次に機種を選択します。
- ④ そして「チャット」をタップすればサポートセンターとつながるので申し出をしてください。
時間は10〜15分くらい見ていれば十分でしょう。
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Appleの公式診断以外にも、MacやWindowsを使って自分でバッテリー状態をチェックする方法があります。
Macで「CoconutBattery」を使う
CoconutBatteryは、MacにiPadを接続すると、バッテリーの健康状態を確認できるアプリです。
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使い方は非常に簡単で、ダウンロードして解凍したらすぐに使えます。
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- CoconutBatteryをMacに公式サイトよりダウンロード
- ダブルクリックして解凍するとアプリがあらわれる
- アプリを起動する
- MacにiPadを接続する
これで、あなたのiPadの状況がCoconutBatteryに表示されます。この内、このうち以下の2つを確認して下さい。
- Full Charge Capacity:現在の最大充電容量
- Design Capacity:新品時の設計容量
Windowsで「3uTools」を使う
3uToolsも有名な無料アプリで、ある意味評価はされているのですが、ここでは、存在のみを紹介するに留めておきます。
理由
- 3uToolsがデバイスのIMEI番号やApple IDなどの情報を外部に送信しているとの指摘がある。
- 3uToolsはiOSデバイスの脱獄をサポートしておりこれによりシステムの制限を解除できますが、セキュリティリスクや保証の無効化などの問題が生じる可能性がある。
3uToolsは、私の記事など必要でない、そこそこの知識がある方なら手を出してもいいのかもしれません。
どの方法を選ぶべきか?
- Apple公式の診断を受ける → 正確な結果が得られ、必要なら交換店を探し予約までスムーズに対応。
- Macのツールを使う → 自宅で簡単にチェックしたい場合に便利。
いずれの方法でも、バッテリーの劣化度を把握することで、交換のタイミングや使用方法の見直しが可能になります。
「Full Charge Capacity」と「Design Capacity」の意味と確認の目安
iPadのバッテリー健康状態を判断する際に重要なのが、先の章でも述べた通り「Full Charge Capacity」と「Design Capacity」の2つの指標です。
これらの数値が示すもの
- Design Capacity(設計容量):新品時のバッテリーが持つべき理論上の最大容量(mAh単位)。
- Full Charge Capacity(最大充電容量):現在のバッテリーが満充電時に蓄えられる最大容量。
バッテリーの健康状態を計算する方法
バッテリーの劣化度は、次の計算式で求められます。
- バッテリー健康状態(%) = (Full Charge Capacity ÷ Design Capacity) × 100
例えば、
- Design Capacityが10,000mAh
- Full Charge Capacityが8,000mAh
の場合、
- (8,000 ÷ 10,000) × 100 = 80%
この数値が80%以下になったら、バッテリーの劣化が進んでいると判断できます。
交換すべきタイミングの判断基準
- 90%未満 → 持ちが悪くなったことを実感できる。
- ◎ 80%未満 → AppleCare+に 加入している場合は 最大容量80%無料交換が可能です。交換推奨。
- 70%以下 → バッテリーの持ちが明らかに悪くなり落ち着いて作業できない。
交換にかかる費用
交換にかかる費用は正規かそうでないかで相当違いがあります。
正規とは
- Appleストア
- Apple正規サービスプロバイダ店(カメラのキタムラ・ビックカメラなど)
を指します。
正規の交換料金
- iPad(第6〜第9世代)・・・15,000円
- M2 iPad Air 13・iPad pro 11(第4世代)・・・25,800円
- M4 iPad pro 11・iPad Pro 12.9(第6世代)・・・30,800円
- M4 iPad Pro 13・・・34,400円
- それ以外のiPad・・・20,800円
☆AppleCare+に加入している場合は、モデルを問わずバッテリー交換の追加費用は発生しません。☆
修理業者の交換費用
お店によってばらつきがあるようですが、調べたところでは
- iPad・・・12,000円〜13,000円程度
- iPad Pro・・・18,000円程度
が目安です。
Apple正規交換をおすすめする理由
個人的には、Apple StoreまたはApple正規サービスプロバイダでの交換をおすすめします。その理由は以下のとおりです。
- Apple純正のバッテリーが使用され品質保証がある
- 交換後も安全に使用できるという安心感
- 多少高価であっても長期的に見ればトラブルが少なく結果的にコストパフォーマンスが高い
iPadのバッテリーを長持ちさせるコツ
過充電・過放電を避ける
iPadのバッテリーを長持ちさせるためには、
- 過充電(100%のまま長時間放置)
- 過放電(0%まで使い切る)
を避けることが重要です。
適切な充電範囲を意識する
20%~80%の範囲を維持するのが理想的(特に毎日使用する場合)。
0%まで使い切るとバッテリーに負荷がかかるため、20%程度になったら充電を開始。
100%の状態で長時間充電ケーブルを挿したままにすると、バッテリーに負担がかかるため、充電が完了したら外すのがベスト。
高温環境を避ける
バッテリーは熱に弱く、高温環境での使用や充電は劣化を早めます。
高温環境を避けるためのポイント
- 直射日光の当たる場所での使用を避ける。
- 充電しながら高負荷のアプリ(動画編集・ゲームなど)を長時間使用しない。
- iPadを布団やクッションの上で充電すると放熱が悪くなり、内部温度が上がるため注意。
最適な充電サイクルとは?
充電の仕方によって、バッテリー寿命は大きく変わります。
推奨される充電方法
- 小刻みに充電するより、適度な範囲で充電する方がバッテリーに優しい。
- 就寝時の充電はiPadのバッテリー管理機能があるため過充電の影響は少ないが、できる限り80%で止めると長寿命化しやすい。
- Appleの「最適化されたバッテリー充電機能」(iOSの一部機種に搭載)を有効にすることで充電を賢く管理可能。
これらのポイントを意識すれば、iPadのバッテリーをより長持ちさせ、交換の必要性を減らすことが可能です。
まとめ:iPadのバッテリーを最適に管理するために
iPadのバッテリーは消耗品であり、適切に管理することで寿命を延ばし、快適に使い続けることができます。本記事で解説したポイントを簡単に振り返りましょう。
バッテリーの劣化を理解する
- iPadのバッテリーは充放電を繰り返すことで劣化する。
- 90%を切ると「バッテリーの減りが早い」と感じることが多い。
- 80%未満になると、連続使用が難しくなる可能性がある。
バッテリーの健康状態をチェックする方法
- Appleの公式診断サービスを活用する。
- MacのCoconutBatteryアプリでセルフチェック可能。
バッテリーを長持ちさせる習慣を身につける
- 過充電・過放電を避け20%~80%の範囲を維持する。
- 高温環境を避け、充電しながらの高負荷作業を減らす。
- 最適な充電サイクルを意識しiPadのバッテリー寿命を延ばす。
バッテリー交換の適切なタイミングを知る
- AppleCare+ 加入者は、最大容量が80%未満になったら無料交換が可能。
- 未加入者は交換費用を確認しバッテリーの状態とコストを比較して判断。
バッテリー交換はApple正規サービスで行うのが安心
- Apple純正バッテリーを使用し品質保証がある。
- 非正規業者での交換にはリスクがあるため慎重に検討。
結論:iPadのバッテリー管理を最適化し、快適に使い続けよう
iPadのバッテリーは適切な管理と定期的なチェックによって、長く快適に使うことができます。
「最近バッテリーの減りが早いかも?」と感じたら、まずはAppleの診断を受けるか、外部ツールで確認しましょう。
バッテリーの状態を正しく把握し適切な対策を講じることで、iPadをより快適に使い続けることができます。