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國立故宮博物院とは

國立故宮博物院といえば誰もが知っている台湾観光の最も代表的なスポットの一つです。
所蔵されている中華文物は広範囲にわたり数も非常に多く、7千年に及ぶ文化遺産のどれもが貴重な品ばかりで、その数実に696,486点にのぼります(2017年7月末現在)。
所蔵文物はお宝であり逸品ばかりで、芸術美術に特段の関心を持たない人が鑑賞をしても、思わず感動してしまうでしょう。
これらは、申し上げるまでもなく、元は歴代中国王朝の所蔵品です。その多くが現在台湾にあるのは、ある意味歴史の気まぐれでしょうか。

1931年の満州事変から北京や天津の情勢は急を告げ、ここから「お宝」の流浪の旅が始まります。
1933年には上海に運ばれ、更に1935年には南京へと運ばれ、1937年に盧溝橋事件が勃発すると、またもや三箇所に分けて避難へと旅立ったのです。
大東亜戦争終結後、1947年に「お宝」は再び全て南京へと移されました。
ところがこれで落着したわけではなく、今度は中国共産党との内戦で、「お宝」所有側の中国国民党が劣勢となり、1948年から翌年にかけて台湾へ移されることとなりました。
それ以後も変遷はあるのですが、兎にも角にもようやく今の地に落ち着くことになったのです。(実際の流浪はもっと複雑です)

台湾に移されてからも、さらに新たな「お宝」を収集し続け収蔵品の拡充を図るとともに、保管環境の改善・目録作成など管理体制の強化、文物の歴史考査と研究結果の解放など、ハード・ソフトの両面で積極的に改革を行ってきました。
20年の間に何度も訪れてますと、私にも、積極的に努力し変化していることを確かに感じることができます。敷地内の建物も随分拡充をされていて、とっても素敵にとっても便利になってきていますよ。

さて、そんなこんなで國立故宮博物院の今があるわけですが、今回の記事で詳しくご案内をいたします。まだ一度も行かれてない方は是非ご一読の上、世界4大博物館の一つである國立故宮博物院へお運びください。
アクセス
國立故宮博物院は台北市の北側に立地しています。今地図を見ていて気がついたのですが、建物の東側に外雙溪の水を持ってきているのは風水の関係でしょうね。
最寄りのMRTの駅は淡水線だと士林駅で、ここから約3km。文湖線だと大直駅か剣南路駅で、それぞれ國立故宮博物院までやはり約3kmです。以外に駅から近いんですよね。
交通手段はバスかタクシーで、道が空いていれば駅から10分強くらいで到着します。しかし、通勤時間帯というかラッシュ時には団子状態になって結構時間を食います。これは覚えておいてくださいね。
最悪、士林駅まで歩いてもしれてますから暑くなければそれでもいいですが、日が暮れてからは、ちょっと寂しいのと道が碁盤の目になっていないのでお勧めはできません。
バス
バスは9系統走っています。系統ごとに必要項目を入れて一覧表にしましたのでごらんください。

バスの説明
一覧表に基づき、少し説明を加えます。
バスは上記の通りMRT淡水線と文湖線の系統に分けらます。ですから宿泊しているホテルの場所で選択すればいいと思います。
ただ、MRT淡水線に絡むバスが圧倒的に多いのに対して、MRT文湖線に絡むのは2系統だけで本数も多くはありません。上手に利用してください。

表の緑色に塗っている系統は、國立故宮博物院敷地内に入り、第一展覧エリア(本館)前の停留所に止まるので、そういう意味では便利っちゃあ便利です。ただ本数が少ないので、使い勝手は悪いです。

それ以外のバスは博物院の前の道路(至善路二段)に停留所があるのでそこで降りて、正面の牌坊をくぐって第一展覧エリア(本館)へ歩きましょう。約300mあります(広い!)。
剣澤駅始発のバス(紅30・小18区・小18・小19)は全て士林駅のバス停を通りますので、剣澤駅よりも士林駅からバスに乗った方がトータルでは早いと思います。
本数が多く非常に使い勝手のいいバスは255区と304(重慶)と815です。
304(重慶)は本数が多い上に更にいいのは、MRT西門駅・中華路北駅・MRT北門駅といった停留所を経由して重慶北路を北上していくので、宿泊先のホテルの位置次第で停留所が近くにあれば、このバス一本で國立故宮博物院まで行けます。
各バス路線図へのリンク
各バスが止まる全ての停留所などを確認するときはリンク先までお願いします
(行き)バス停「捷運士林站(中正)」の位置確認
國立故宮博物院へ行かれるほとんどの方が捷運士林駅からバスを利用されると思いますので、位置の確認をしておきます。「棕」系以外のバスは全て地図上に示された場所にある停留所から乗れます。
位置はMRT士林駅の1番出口を出て、そのまま進行方向(北方面)へMRT高架下を歩くと、大きな中正路にぶつかりバス停は右側にあります。
國立故宮博物院までの料金は15元です。
バス内の両替は、日本はできるケースが多いですが、台湾ではできません。悠遊カードをお持ちでない場合は、必ず事前に小銭を用意しましょう。
(帰り)バス停「故宮博物院」の位置確認
國立故宮博物院から帰るときのバス停です。
もし第一展覧エリア(本館)前のバス停で、棕20・紅30・小18區を利用されるなら、停留所は本館に隣接しているので説明の必要はないでしょう。
それ以外の全てのバスの停留所は、第一展覧エリア(本館)から300m先の正面の牌坊前にあるロータリー内の右側にあります。多くの人はこちらを利用されるでしょう。
悠遊カード 本当に必要不可欠です。関連記事の「交通事情」をご一読ください。
台湾等公車(Bus Tracker Taiwan) 交通機関利用者必携のスマホアプリです。関連記事に使い方を詳しく解説しています。
以上2つは、台湾旅行者にとってなくてはならないものです。
タクシー
タクシー料金のルールについては関連記事の「料金」の項で詳しく説明していますのでご一読ください。
「料金」の項の一番下で紹介している「taxideco」という料金概算アプリで調べたところ・・・
- 士林駅-國立故宮博物院 125元
- 台北駅-國立故宮博物院 275元
おおよその目安にはなると思います。
渋滞での料金加算ルールは「時速5km以下走行累計1分40秒ごとに5元追加される」です。ラッシュ時にはこれ結構くらいます。
帰りのタクシー
行きの乗り場はMRT士林駅ですぐ見つけられるので問題ないでしょう。ホテルから乗る場合はフロントで呼んでもらいましょう(これが堅くて安心)。
問題は帰りのタクシーです。
正面の牌坊から外に出ると、ロータリー正面からやや左寄り(下の写真では右側)にタクシーが止まってます。
このタクシーは、市内中心部であれば行ってくれるでしょうが、MRT士林駅には行ってくれません。過去2回お願いして2回とも「前の道で走っているのを拾うといい」みたいなことを言われました。
もし拾う場合は、前の道(至善路二段)を左から右へ走っているのをつかまえてください。でもそんなには走ってないです。

この場合は棕20番や小18區が止まるバス停(第一展覧エリア)まで来てくれるので、300m先の牌坊まで歩く必要がありません。
國立故宮博物院ご利用案内
第一展覧エリア
バスを降りて正面から敷地に入ったらその広大さに思わず感心してしまいますが、まっすぐ前方奥に見えるのが第一展覧エリア、そして左側手前に見えるのが第二展覧エリアです。
主な展示は第一展覧エリアで行われ、不定期な特別展は第二展覧エリアにて行われます。

ほとんどの方が第一展覧エリアをご利用になるので、ここでは、第一展覧エリアの情報を記しておきます。
- 開館時間 8:30〜18:30(金曜土曜は21:00まで)年中無休
- 入場料 250元(国際学生証を提示すれば 150元)1階正面右側が売り場
- 手荷物預り チケット売場の右側にあります。ここで車椅子とベビーカーの無料貸出しサービスもやっています。
- 音声ガイド 150元。日本語の音声ガイドを1階正面左側専用カウンターでレンタルしてくれます。(日本語の人による説明サービスはありません)
- バリアフリーエレベーターとバリアフリートイレ 両方完備されているので障害をお持ちの方も安心して見ることができます。
- 授乳室 B1へ降りた両サイドにあります。

ショップ

B1には大きなショップ「多宝格」、そして2階にはミニショップが2ヶ所、更に2階には本格的な書店「停雲書店」もあります。


買う意思がなくても、特にB1のショップは覗いてみる価値があります。是非行ってください。
例の白菜などのレプリカや関連のお菓子・Tシャツ・文具・レプリカ絵画・日本語の解説本など圧倒される品数で見ていて面白いです。
カフェ閒居賦
1階正面右側にあります。立ち疲れしてきたらここで休憩しましょう。ミュージアムの外側になりますが、半券を見せれば再度入場可です。
鑑賞ルートの決め方
第一展覧エリアの各部屋と展示内容の関係を纏めてみましたのでご覧ください。

各階の平面図(リンク)
展示エリアへ「入口」から入るとそこは左右対称に造られている建物の真ん中で、右手が奇数番、左手が偶数番の部屋になっています。そして、常設展と特別展に分けられて展示されています。
第一展覧エリアのまとめ的な部屋はオリエンテーション・ギャラリー102号室なので、もしあなたがじっくり派なら、ここからスタートしてもいいですね。勉強になります。

あなたは何に興味がありますか? 仏像、書、絵画、陶磁器、家具類、精巧彫刻品? お好きな部屋に行ってください。

どっちにしても「散歩のように素通り」しない限りは全部見ることは不可能です。であれば、好きなところをじっくり巡って、後は時間と体調との相談で、更に見て回るかどうか決めましょう。
観覧必要時間と入館タイミング
よく「時間はどれくらいかかりますか」と聞かれます。これは答えがあってないような問いです。

興味があれば一つの部屋を観て回るだけでも1時間くらいすぐに過ぎてしまいます。説明書きを克明に読むこともさることながら、本当に好きな人なら見惚れてしまう展示品が一杯あります。
こういう方はゆっくり1日をここで過ごすのがいいと思います。後ろに予定を入れて、泣く泣く去るのはいい思い出にはならないでしょう。

反対に、そもそも興味がないのに付き合いで来る方は、敷地内に立って雄大な建物の風景を見て、そして3階に行って「白菜」とか「角煮」を見て、それだけで十分かも。そうすると30分かからない。あとは他の方が出て来るまで1階でお茶するのがいいでしょう。

その中間の方は、上記のように、まずは見たい展示物があるところに行くのがいいと思います。どこに何が展示されているのか事前に確認せずに、順番に回っても疲れるだけで心には何も残りません。

次に入館のタイミングですが、当然土日祭日は混みます。それに、観光バスから大量の人がどっと押し寄せるのにぶつかるとうんざりしますよね。
特に中国人の団体に当たったら最悪で、日本人が持っている社会的マナーはゼロで、もう本当に嫌になります。(当然ながら、悪口を言ってるのではありません。全く異なる社会に暮らしているということです。)

じゃあいつ入館すればいいのか、ですが、これが結構難しいです。
朝一がいい、とか、昼食時がいいとか言われてますが、私の経験ではどちらとも言えないです。短時間ならうまくいくかもしれませんが、好きな人はやっぱり時間かかりますしね。
経験則的には金曜か土曜の夕方6時に入って、そこから3時間が一番落ち着けるでしょうか。

以上、第一展覧エリアのご利用案内と入管のタイミングについてお話をしました。次に、同じ敷地内にある素晴らしい場所を2つ紹介します。
レストラン「故宮晶華」
「故宮晶華」というレストランが2年半の歳月をかけて2008年に本館西側にオープンしました。國立故宮博物院内のレストランとしてふさわしい拘りが一杯あります。

外観も室内も、重要な要素として宋朝青磁器の冰裂紋(ひび模様の一種)を取り入れており、他の建物との調和を崩さず独特な世界を表現しています。
綺麗な建物です。特に日が暮れてから見ると、計算された照明が建物を包んでいて、本当に美しいです。
室内空間は日本人デザイナーの橋本夕紀夫さんが設計しており、一歩足を踏み入れれば非常に贅沢な空間を感じるでしょう。

もし予算が許すのであれば、ここでどうしても食べていただきたい料理があります。それは故宮晶華のスペシャルメニュー「故宮晶華國寶宴」です。
これは國立故宮博物館の重要収蔵品を料理として再現したもので、それこそ、物凄い研究に研究を重ねて完成させたそうです。
価格は3,800元(+サービス料10%)で確かに安くないですが、しかも前日までにメールで要予約(silkspalace@regenthotelsgroup.com)ですが、食べる価値は十分にあります。(この情報はH30.4.8メールで確認)
その模倣度が半端じゃなく、目でも思い切り楽しめます。味はリンク先の説明文にある通りめちゃくちゃ手が込んでいて、ま〜美味しいです。上品です。
二度は不要でしょうが、一度は是非是非経験してみてください。感動しますよ〜。
- 昼/1:30〜14:30
- 夕/17:30〜21:00
至善園

國立故宮博物院内には5,687坪という広大な敷地を持つ中華庭園があります。
「至善園」という名ですが、正面の門をくぐると右側にあって、奥の第一展示エリアまでの右側全部ですから相当広いことがわかります。

庭園内の建物や池は、その一つ一つに中国の逸話・故事と関連性があるそうです。

ここね、もし博物院まで来られたのなら入りましょうよ。無視して帰ったらもったいなすぎます。
たった20元です。しかも第一展覧エリアに先に行かれてチケットの半券がある場合は無料です(半券があれば当日中なら再度第一展覧エリアに入ることもできます)。

これだけの規模でこれだけ完成度の高い中華庭園てそう見れるもんじゃないですよ。大きくて美しい公園は台湾にたくさんありますけどね。でもここはちょっと趣が違います。

写真好きの人なんかにも最高の場所ですよ!
まとめ
今回は國立故宮博物院のご紹介記事でした。大切なことを少しまとめておきますね。

交通情報はややこしそうですが、本記事でバッチリ理解してもらえると思います。
書いてある通りなんですが、ここでもう一度繰り返したいのは、もしバスを利用されるのであれば、紹介している「台湾等公車」というスマホアプリを使いこなせるようにしておくのが、あなたを本当に楽にしてくれます。是非利用してくださいね。

第一展覧エリアを巡る前には、部屋番号と展示内容の一覧表を再度ご覧になって、行きたい部屋をしっかり確認してください。
故宮晶華と至善園も本文の通りですが、ここで再度、寄られることを推薦しておきます。他では決して経験することのできない素晴らしい体験ができます。
最後にあと2つを・・・

國立故宮博物院は嘉義市に南院を持っています。南院は2016年にオープンしたばかりで台北市の本院よりも広大で美しく開けていてとても新鮮です。
展示品の傾向はやや異なりますが、当然本院のお宝もここに来ます。私はここで去年「翠玉白菜」を見ました。
ということで、是非南院にもいらしてください。
もう一つ。
せっかくこちらまで来られたのなら、そして日暮れまで時間があるなら、是非「士林官邸」にも寄ってみてください。

蒋介石の元自宅とその前に展開する贅を凝らした広大な庭園が広がっています。お金と権力を持てばこんな立派で広大なお庭が造れるんだと感心しますわ、きっと。
とともに、こんなに雄大で美しい観光ポイントを、なぜ日本のガイドブックではあまり紹介しないのか不思議に思ったりもします。
元自宅内以外は無料です。

場所は、帰りのバス(どれでも)に乗ったら「捷運士林駅」バス停の2つ手前「士林官邸(中正)」で降りてください。すぐそばです。
台湾旅行でたくさんいい思い出を作ってくださいね。台湾はあなたを待ってま〜す。
✈ Time for Taiwan !!
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