目 次
喪中はがきはしきたり
近しい人が亡くなると「喪に服する」というしきたりが昔からあります。故人の死を悼み行動を慎む、ということですね。
その際、お付き合いのある方に出すのが、今回のテーマである「喪中はがき」です。喪中はがきの意味する主なところは・・・
- 誰が亡くなったかを知らせること
- 喪中につき欠礼すること(年賀状を出せない)こと
この2つです。
ですから淡々と出せば良さそうですが、法律やその他文書で明確に決まっていることではなく、あくまでも「しきたり」なので曖昧な部分、つまり迷ってしまうことが少なくありません。
- 故人との関係と喪中はがきの要不要
- 誰に出すのか出さないのか
- 年賀状が来たらどうするのか
- 仕事上の相手にはどういう原則で出すのか出さないのか
- どんな文章が良いのか
このように結構迷う部分がありますので、1つ1つ解説して行きます。
ただし、社会でほぼほぼ認められて定着している考え方もあれば、私自身の考え方も含みます。なので、その辺はご了解ください。
故人との関係と喪中はがきの要不要
喪中とは近しい人が亡くなった時、一定の期間喪に服することです。
喪に服している期間とは本来・・・
- 世間とは一定の距離をおいて
- 神社へのお参りをせず
- 娯楽や飲酒をせず
- 死者を悼んで暮らす
そういう期間でした。
しかし今日ではほとんどの場合において、何日も喪に服するということはなくなっています。
次に、喪中の範囲についてですが、一般的には二親等までとされています。では、二親等の範囲を確認しておきましょう。
下の図をご覧ください。
- 夫婦は0親等(ブルー)
- 父母と子は1親等(ベージュ)
- 祖父母と兄弟姉妹は2親等(ピンク)
という関係になっています。
ですから一般的には、故人がこの範囲におられる場合に喪中はがきを出すということになります。
以下、ケースバイケースのお話をしていきますが、まず私自身の結論を先に申し上げておきます。
私は、二親等以内の人が亡くなった場合は、血縁であろうと妻側であろうと全ての場合において喪中はがきの対象と決めています。
法律や指針がないので、私は自分の考えでそう決めています。どういう考えを持ってもいいのです。
明治時代に発布されて昭和22年に撤廃された「太政官布告」には喪に服する期間の定めがあって、主だったものは次の通りです。
- 実父母・夫 13ヶ月
- 義父母・父方祖父母・夫の父母 150日
- 母方祖父母・妻・子・兄弟姉妹 90日
- 養子 30日
取り決め自体が撤廃されていますし時代背景も違いますが、参考にされる場合もあり、知識としては持っておいたほうがいいでしょう。
配偶者・子・両親
が故人となった場合、迷うことはないと思います。たとえ、生前どんなに仲が悪くても、このケースで喪中はがきを出さないことはあり得ません。
この場合、一般的に喪中期間は1年間と考えて差し支えありません。
祖父母・兄弟姉妹
二親等の方が故人となられた場合は迷うケースも多いようです。
法律や決まりがあるわけではないので状況で判断せざるを得ないのですが、では状況とは?
- お住いの地域社会のしきたり(特に人間関係の変動が少ない地方では守るのがベターです)
- お家のしきたり(◯◯家のしきたり)
- 同居か否か
- 付き合いの濃淡
などですね。
地域や家のしきたりがはっきりとしている場合はそれに従います。また、同居していた場合は喪中はがきを出します。この場合も一般的に喪中期間は一年間とします。
しかし、別居していた場合は、付き合いの濃淡が大きな判断基準にあります。
- 長年犬猿状態にあった
- 長年電話していないし年賀状もやりとりしてなかった
- 音信不通で相手の状況にも興味がなかった
以上のような場合は、血縁関係にはあっても人間関係はないわけです。極端な場合は、故人に対し心も動かないといったケースもあるでしょう。
ですから、決まりがない以上、喪中はがきを出さないのもありです。それ自体はなんの問題もありません。
配偶者側の二親等
夫の或いは妻のおじいちゃんおばあちゃん、そしてそれぞれの兄弟姉妹、つまり血縁にない二親等の方が亡くなった場合に喪中はがきを出すのか否かという問題です。
結論から申し上げますと、一番大切なのは夫婦の意見を一致させておくことです。夫婦の意見が一致していれば、それに従ってその通りに出す(出さない)だけです。
話し合いに際しては、「祖父母・兄弟姉妹」のところで提示した判断材料を参考にしてください。
夫婦が年賀状を別々に出しているのであれば、妻方の祖父母が亡くなった場合に、妻は喪中はがき、夫は年賀状ということもあり得ます。
連名で年賀状を出している場合でも、「今回だけ別々に出す」という判断もあるでしょうし、連名で喪中はがきにする場合もあります。
困るのは意見が一致しない場合です。特に同居している親や子が話し合いに割って入ってくると収拾がつかなくなったりします。
先に示した「太政官布告」もよく読むと夫婦は同じではありません。そういう男尊的な考え方が夫側にあると、意見の一致は更に難しくなる可能性が大です。
どうしても歩み寄れない場合はトコトンまで行ってしまわないで、お互い適当なところで矛を収め、それぞれの考えに基づいて別々に出すしかありません。
三親等
三親等の方が亡くなった場合は絶対に出さないかどうか、という疑問です。三親等にあたる方とは・・・
- 曾祖父母
- 曽孫
- 叔父叔母(伯父伯母)
- 甥・姪
が該当します。
先に述べましたように、一般的には喪中はがきを出しはしません。というか、ほとんどの場合において喪に服することもないでしょう。
そうではあるのですが、何度も申しますが取り決めはないのです。ですからケースバイケースで判断するしかありません。
例えば、三親等の方と同居していて非常に親密な関係にあった場合、もしお亡くなりになったりすれば自然と心は喪に服するでしょうし、喪中はがきを出しても全然おかしくはありません。
喪中はがきを出す相手は?
次に、喪中はがきは誰に出すのかについて考えていきます。
- 毎年年賀状をやりとりしている相手
- 生前故人と何らかのおつきあいがあった方
大きくは上記の2つのケースで喪中はがきを出します。
- 1.の場合に出す喪中はがきは、あなたの知人に「年賀状を出せません」とお知らせする意味合いが強いです。
- 2.の場合はたとえあなたが相手をご存知なくても、葬儀の芳名帳や故人が残しておいた年賀状などから交流のあった人たちを探し、喪中はがきを出します。
2.は結構大事なことで、特に故人と最近直のお付き合いのなかった方は、喪中はがきで事実を知ることとなります。
対して、お付き合いのある親戚で故人になったことを知っている方達には喪中はがきは出しません。(もちろん年賀はがきも)
出す相手が仕事関係者の場合は?
毎年年賀状を出している仕事の関係者の場合はケースバイケースです。
- ある程度親しくお互いにプライベートのことも話しているような間柄であれば喪中はがきを出します
- 全くのビジネスライクな付き合いのみの場合は年賀状を出します
寒中見舞いを出すケース
何らかの事情で行き届かずに知人から年賀状が届いた場合は、松の内(1月7日)が過ぎてから「寒中見舞い」を出すようにします。
寒中見舞いは暑中見舞いと同じく季節の挨拶なのですが、今回のようなケースや松の内を過ぎてからの年賀状の返礼にも利用します。
喪中はがきを出す時期はいつからいつまで?
喪中はがきの一番大きな目的は、それを受け取った方が「はがきの出し手が喪中である」ことを知るところにあります。
ですから、相手が年賀状を出さなくても済むように、12月の初旬までに出すのが良いでしょう。しかし、あまりに早すぎると忘れてしまう可能性もあるので10月くらいからがいいと思います。
一方、不幸が年末近くにあって、喪中はがきが12月初旬までに間に合わないケースもあるでしょう。そういう場合は松の内(1月7日)が過ぎてから「寒中見舞い」として出しましょう。
はがきの文例や印刷について
喪中はがきや喪中に関連する寒中見舞いは、当然ながら、年賀状のように毎年毎年出すものではありません。
そして、年賀状よりもより一言一句に気を使います。
そこで文例を必要とされる方、或いは、印刷を依頼したい方に専門業者を3件ご紹介します。
まとめ
喪中はがきについて、私が実践してきたことを中心に記事にしました。
- 誰が亡くなったら喪中はがきを出すのか
- 誰に喪中はがき出すのか
といったことを少し踏み込んだ部分まで、一般的な考えと自分なりの考えを述べてきました。
年賀状とは違い、機会自体がそんなにちょくちょくあるわけではないし、その上、はっきりとした法律や取り決めがないために、いざとなると迷うことが多いのですね。
特に、細かい部分になると、大原則論みたいなものだけでは判断がつかず、かなり悩んだりもします。
また、喪中はがきの経験によって、人間関係というものがいかに複雑であるかも、改めて思い知るところになります。
そういったことを意識しながら記事に仕立てましたが、少しでもお役に立てたでしょうか。
最後に・・・
もし、喪中はがきを出すべきか年賀状にすべきかについて、どうしても迷われたら、最終的に何を根拠にどういう判断を下されますか?
一応、私なりの判断基準は上に述べていますし、亡くなった方が一親等や同居であったりすれば悩むこともないのですが・・。
これって結局は「あなたの亡くなった方への思い次第」ではないでしょうか。そこで判断したらいいと思うのです。
以前、十数年間飼っていた猫が亡くなって喪中はがきを出された知り合いがいます。悲しくて新年を祝えないから、というのがその理由でした。
知り合いから喪中はがきを受け取った方達は、きっと、みんな差出人の辛さが、思いのほどがわかったことでしょう。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
年賀状関係はこちらの記事を!
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