目 次
サプリを飲む動機
あなたは何かサプリメントを飲んでいますか。
- ミネラルやビタミン?
- プロポリスやタウリン?
- イソフラボンやDHA?
- 鉄や亜鉛?
おそらく何かしらのサプリメントを利用している人はとても多いはずです。でも・・・
そういう人が相当に多いんじゃないでしょうか。
要は、あなたも私も健康が気になるのです。
気にも留めなかった身体検査の各数値がいつの間にか不安を覚えるような値になり、鏡を見ればなかったはずのシワやシミが増えている。学生の頃の写真を見て唖然とする。
やっぱりできればなんとかしたいんですよね。あなたも私も。
ところが・・・・
- 真正面から問題と向き合わず
- 前向きな行動を伴わず
- 溢れかえる宣伝広告に乗せられて
- よく理解もしないまま
- 気になる問題を解決してくれるだろうと期待して
その結果、サプリメントを買ってしまうのです。
それはあなたの体やお肌のためにならないし何の貢献もないし、場合によっては悪影響すら出る可能性まであって、決していい判断ではないんだ、ということを訴えたくて記事にしました。
自分の体や体型やお肌の劣化と正しく向き合うキッカケになれば幸いです。不要で無駄なお金を使うんじゃなくて出来る努力を継続しましょう。
では、何がそんなにダメなのか、サプリってそんなに役立たずなのか一緒に見ていきましょう。
どうぞ最後まで読んでみてください。
サプリの宣伝広告は無法地帯
毎日毎日、嫌でも目に入ってくる、耳に聞こえてくるサプリの広告やCM。
- 朝起きが楽になりました
- 疲れが翌日に残らなくなりました
- 前夜深酒をしても、ほら、全然残ってません!
- 歩けないほど膝が痛かったのに歩けるようになった
- 飲むだけでどんどん脂肪が落ちる
見てるだけで読んでいるだけで元気になってシワもなくなって若返りそうな気がする宣伝広告の威力。
もしかしたら、ただただ信じて疑わずにお金を払っていますか?
でしょ! でもそれだけじゃないのよ。逆効果になってしまう場合もあるから怖いの。
そこに横たわる闇の世界を光で照らして姿形をはっきりとさせて、あなたにとってのメリットは何もない、その実態と根拠をわかってもらえればいいなと思います。
効果抜群なのに小さく「個人の感想」?
消費者はサプリをどんどん買います。なぜ? それは申し上げるまでもなく宣伝文句通りの効果を期待しているからです。
しかしながら、これだけ派手に宣伝合戦をやっているサプリ業界ですが・・・
「〇〇に対して効果がある」と断言しているCMはただの一つもないのです。ご存知でしたか?
宣伝ページからはCM画面からは、ありえないほどの効果確約臭が漂っているのに、絶対「効果がある」とは言わないのです。
- 「〇〇や△△といった成分がギュッと凝縮されてます」と誇らしげに語り
- 何人もの登場人物が「朝が楽になった、疲れが残らなくなった、飲み過ぎても翌日起きられる」みたいなことを言う
なのに・・・
自慢の成分が具体的に、
- 体のどの部分に
- どういうプロセスを経て
- どう作用するのか
- その結果何がどうなるのか
そういう具体的論理的な説明を一切せずに、効果を語る多くの出演者の隅には必ず
- お客様の意見です 効能ではありません
- 効果・実感には個人差がございます
などと見えないような小さな字で但し書きが。
商品を利用した(飲んだ)消費者が勝手に感じていることであって、メーカーはそんなこと言ってませんからね。
間接的にそう主張しているのです。
イメージで効果をありったけ訴えておきながら、具体性をボカすとはどういうことなのでしょう?
とっても大切な部分なのでもう一度申し上げますが、どんなメーカーでもどんな製品であれ、効果抜群の「ような」文句や雰囲気で消費者を引きつけますが、絶対に「効果がある」とは言わないのです。
「絶対に言わないのです」
なぜか? あなたはそれでもおかしいとは感じませんか?
多くのお客様が効果を実感しておられます
あるメーカーに効用を問い合わせると
「多くのお客にご実感をいただいております」
と返されました。
どんなに論理的な根拠を問いただしても絶対に明確な答えは返ってきません。
「多くのお客様が・・・」。
多くの客の実感が正しいと証明する方法はありません。逆に考えると、個々人の感想を「効果の根拠」のように説明し、しかも問い詰められたらいつでも逃げられるようにする事が何故必要なのでしょうか。
人間の五感ほど不確かなものはないのです。
- 見えないものが見える
- 聞こえるはずのない音が聞こえる
- 甘い食品を苦く感じる
などなど。五感はいい加減です。
プラシーボ効果
思い込みが効果となる有名な現象ですね。効果の全くない偽薬を本物の薬だとして投与すると、あら不思議、回復してしまったという効果がプラシーボ効果です。
幽霊の正体見たり枯れ尾花
リアルに幽霊を見たはずなのに、夜が開けて確認に行ってみると、それはただのススキだった。
人間の五感なんてそんなものなのです。客観的な根拠にしようという方が無茶です。もちろんメーカーは言うでしょう「お客様がおっしゃっただけで私どもの見解ではございません」
とにかくですね、そんな人間の述べる感想をメーカーが根拠っぽく見せるのは、当然ながら虚偽誇大広告と言われてもしょうがないです。まさに紙一重です。
さも権威が裏打ちしているように
- 〇〇サプリは特許出願中の成分を配合しています
- 〇〇サプリはアメリカの専門誌に発表された論文の主要テーマである××を△△mgも含んでいます
- 研究成果がマスコミで取り上げられ、今話題沸騰中の××を初め20種類以上の栄養をこの一粒に云々
これらはぜ〜んぶ「それがどうしたの?」程度の意味のない説明です。
- 学者や博士が言ってようが
- 学会で発表されようが
- マスコミでどんなに派手に取り上げられようが
- 試験管内や動物実験で効果があるとされようが
そのサプリ商品の客観的な科学的根拠にはなりえないのです。そんなものを抱き合わせにして宣伝効果を狙うって、わざとミスリードしたいんじゃないか?と勘ぐりたくもなりますよね。
なんか購買意欲をそそるために狡猾で巧妙な罠を、業界あげて仕掛けているような気がしてなりません。
これまで述べてきたような言わば「インチキ広告」と揶揄されても仕方がないような活動を、メーカーはどうしてやり続けるのでしょうか?
それは・・・
- 法律に隙間があるからです
- 会社を解散しなければならないような厳しい罰則がないからです
- 本当の根拠を示すと差し障りがあるからです
- 製品品質の保証は簡単ではなく多くの費用を伴うからです
- 今のありようが一番儲かるからです
それにしても、日本のGDPの約6割が個人消費です。つまり国内経済において個人消費の果たす役割は物凄く大きいのです大切なのです。
なのにその大切な個人がこんなに蔑ろにされても、メーカーは平気だし、国もそれを律することができないってどういうことなのでしょうか?
サプリは健康食品
様々な効能を謳いたいサプリですが、
身体の構造や機能に影響する表示ができるのは医薬品だけです。
サプリは医薬品ではないのでそう行った表示ができないんですね。
消費者庁の説明によると、「医薬品以外の口から摂取できるものは全て食品」です。だからサプリも食品というくくりになります。
しかし実は、サプリメント自体の行政的な定義はないのです。ややこしい。
もう一つ理解をとてもややこしくしているのは「保健機能食品」という制度です。この制度で認められた食品(健康食品)は
特定の保健の目的が期待できる場合はその機能について、また、国の定めた栄養成分については、一定の基準を満たす場合にその栄養成分の機能を表示することができる。
となっているのです。
つまり、あるサプリが「保健機能食品」として認められていると、限定的ではありますが機能表示ができるのです。
本当にややこしい。更に更に理解をしにくくしている理由は、この「保健機能食品」が何と3つもあることです。
- 機能性表示食品(届出制)
- 栄養機能食品(自己認証制)
- 特定保健用食品<トクホ>(個別認可制)
3つあるということはそれぞれに定義が違うわけで、一体全体何のためにこのなややこしい制度を作るのでしょうか?
国の言い分は・・・
国が有効性(機能性)及び安全性について定めた基準に従った、あるいは、その基準に基づき評価された食品を国民が適切に選ぶことができるよう、保健機能食品制度が創設されました。
しかも一番最後に制定された「機能性表示食品」は形式主義でノーチェックです。これにより関連産業は研究や検査にかかる費用がなくなり、つまり負担がなくなって万々歳な制度です。
消費者庁は本当に消費者の方を向いていると言えるのでしょうか?
私は消費者庁にそのまま疑問をぶつけてみました。
質問をした意味がまるでありませんでした。
たまたま電話に出た消費者庁の女性は最低でしたが、だからと言ってみんながダメだとは思いません。
今の公務員の質は昭和時代と比べたら全体的には相当向上していると感じます。電話でもちゃんとこちらを向いて喋ってくれることが多いです。真摯に聞いてくれる方も多いです。
さて、サプリの行政的に明確な位置付けがないだけでなく、例えば「保健機能食品」として届出すれば、上述の通り、書面さえ整っていれば全くのノーチェックでそのサプリは「保健機能食品」として成立します。
でもだからと言って「保健機能食品」が薬になるわけではないのです。
では、一般消費者に誤認を与えるという違反行為に対する罰則はどうなっているのでしょうか?
景品表示法第36条では、
措置命令に違反した者は、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科され、懲役と罰金が併科されることもある。
また、景品表示法第38条第1項第1号、第2項第1号では
措置命令に違反した事業者(法人、自然人又は法人でない団体)にも3億円以下の罰金刑が科される
さらに景品表示法第39条では
措置命令違反の計画を知り、その防止に必要な措置を講ぜず、又はその違反行為を知り、その是正に必要な措置を講じなかった当該法人(当該法人で事業者団体に該当するものを除く)の代表者に対しても300万円以下の罰金刑が科される
とあります。
しかし・・・
これらのルールは関連事業者にしてみれば2つの意味で大したことがありません。
- 金銭的罰則なんて稼いでいる金額からすれば微々たるものです
- 人的罰則なんてそもそも発動すらしません
お時間があれば下のリンク先を読んでみてください。生ぬるい!
ここまでは、かなりの文字数を使い、一般消費者を欺くような誤解させるような広告表示の実態について、そしてそれを取り巻く国のあり方などについて述べてまいりました。
次に「サプリメント」という食品を高額のお金を出して口に入れる意味があるのか、入れていいのか、ということを具体的にお話ししていきます。
サプリには期待する効果がない
とにかく手軽に健康を維持するためにサプリを利用する方が多いです。その需要を満たすべく多くの種類が出回っています。
多くのサプリメントが購入者の期待通りに効果を発揮すればいいのですが、現実にはほとんどそういった事例はありません。
CMでは出演者が一応に笑顔で効果があったようにいってますが・・・
では次に、沢山あるうちの幾つかのサプリについて、何がどうなのか具体的にみていきましょう。
プロテインだけで筋肉はできない
- サプリは食品であり特定の効果は期待できない
- 広告もインチキまがいが横行している
とサプリの世界を批判していますが、「全てのサプリは意味がない」と申し上げているわけではありません。
そう言う意味において、まず最初に、とても有用なサプリを一つご紹介します。それはプロテインです。
プロテインはスポーツの世界でその効用が広く知られているサプリです。プロテインは純タンパク質で、牛乳か大豆が主な原料となります。
これは継続的な需要が必ず一定量ありますし、ややこしい広告も見た事がありません。私も体調管理にスポーツと合わせ長年愛用しています。
タンパク質は体に一番大切な3大栄養素の一つです。絶対に必要不可欠です。
ところがタンパク質を脂肪なんかを伴わないで食事で100g摂取するのは、これはなかなか大変なんですよね。一方、特に激しく筋肉を使う人にとってタンパク質は絶対必要です。
こういう人たちにとってプロテインは本当に手軽に安心してタンパク質を補給できる手段なのです。もちろん一般の生活をしている方でも、肉や魚などのタンパク源をあまり摂らない方にはおすすめです。
ある程度負荷の高い運動をし、プロテインでタンパク質を補給するから筋肉がつくのです。運動をしないでプロテインを不要に多く飲んでも脂肪に変化することはあっても筋肉にはなりません。
ヒアルロン酸とコラーゲン
サプリの代名詞みたいなヒアルロン酸とコラーゲン。セラミドも含めて、それを塗ったり飲んだりが役に立つのか、正しい理解とは何なのか、を詳しく解説しているのが下にご紹介する記事です。
よろしければ是非ご一読ください。
さて、これらを朝夕に飲んで果たして肌がプニュプニュになるのか? 関節の状態が改善するのか?
個々人の主観や主張はともかく(←ここ重要)、お肌がプニュプニュになったり、膝が楽になったりはしないのです。
なぜか? 大切なのはここからです。
食べ物は消化されて体に吸収されますが、どういう状態で吸入されるのでしょうか。
- パンは?
- ご飯は?
- 鶏肉のソテーは?
- 秋刀魚の塩焼きは?
実は、何を食べても最小単位に分解されて、つまり、元の食べ物の性格を消して吸収されるのです。まさにポイントはここです。
例えば3大栄養素であれば・・・
- 炭水化物はブドウ糖に分解されて
- タンパク質はアミノ酸に分解されて
- 脂肪は脂肪酸とグリセリンに分解されて
体内に取り込まれてゆくのです。
これではっきりとしました。パンはパンとして、鶏肉は鶏肉として体内に取り込まれるわけではないのです。
それと同じように、ヒアルロン酸はヒアルロン酸として、コラーゲンはコラーゲンとして吸収はされません。
体は食べ物を最小単位にして吸収し、必要に応じて体の各部で必要な物質を再合成します。決して人間の意志でできるものではないのです。
例えばコラーゲンはタンパク質の一種です。ですから最小単位のアミノ酸に分解されて吸収されます。上述のプロテインもアミノ酸として吸収されます。
もうこれでお分りいただけたと思いますが・・・
浴びるようにヒアルロン酸やコラーゲンを口に入れたところで(塗りたくっても)、それが直接の原因で、体がメーカーの宣伝のように変化することは100%ないのです。
悪影響が出る場合もある
さて結構な出費をして毎日飲んで意味がないだけならまだしも、悪影響の出る場合があるのでよく含んでおく必要があります。
ヒアルロン酸については特筆すべき副作用の報告は見当たりませんが、3年5年と長期に亘って服用した場合の結果についてはほぼ報告は皆無です。
ですから、服用していても副作用はないだろうけれど長期間に亘る場合はよくわからない、というところです。
一方、コラーゲンはアレルギーを誘発する可能性を持っています。ですからコラーゲンカプセルを飲んで蕁麻疹が出たりした場合は疑う必要があります。
添加物に注意
またサプリ全体に言えることですが、サプリはカプセル状にせよ錠剤にせよ添加物がてんこ盛りです。物によっては表記されているサプリ物質より遥かに添加物の量が多い場合もあります。
どうしてそんなに添加物が? はい、ちゃんと理由があります。
- 原材料の粉が混ざりやすいように
- 粉を固めるために
- カプセルを作るために
- 保存料として
- 味・香り・色などをつけるために
- 量を増やすために
などなど、幾らでも添加物を使う理由はあります。
そんな添加物を飲みたくてサプリを買ったんじゃない、という感情もさることながら、毎日毎日不要な添加物を摂取していたら確実に肝臓に負担をかけてしまいます。
また、ドリンクとして摂取する場合は、ほぼ間違いなく甘味料が入ってますから、余計なカロリーの摂取となるし、もしダイエットしていれば逆効果です。
余談ですが、以前、美容関係を多角的に経営している知り合いが、シワの増えてきた私に言いました(多分冗談で)。
「顔のシワを伸ばしてみる?」。
ボトックスじゃなくヒアルロン酸注射の類です。
口元や額に注入するらしいですが、効果は確実に出るそうです。ただし、程なく元どおりに。どんなに長くても効果は一年くらい。値段も高い・・・
しかも芳しくない場合や失敗も結構あるらしい。
知人経営者曰く「自然に逆らうものは自然を失う」
私「お前が言うな」
グルコサミンとコンドロイチン
この2つのサプリのCMもやたらと目につきます。
テレビなら膝が痛そうな階段が上りづらそうな仕草表情をし、そしてグルコサミンやコンドロイチンのサプリを飲んでいるおかげで「楽になった」とか「気にならなくなった」と言います。
雑誌やネットなら、「痛そうな動画」は写真で、「笑顔で改善したという動画」は活字で。もちろん「効果がある」と言っているのは個人であってメーカーじゃないと、顕微鏡級の極小文字で付け加えています。
要は膝や関節の痛みが引いてすり減った軟骨を回復させる効果があると伝えたいわけですが、もしこれが本当なら医薬品でしょう。
ところがグルコサミンやコンドロイチンのサプリは食品です。どうなっているのか? じっくりお話ししましょう。
体にはたくさんの関節があって、だからこそ思うように動かすことができます。
もし関節で骨同士がぶつかったり擦れたりしたら大変なことになります。それを防止するために軟骨が存在するのです。
軟骨を組成しているのがお馴染みの
- コンドロイチン
- ヒアルロン酸
- コラーゲン
であるわけです。
- コンドロイチンは水を大量に含み軟骨のクッション性を確保し
- ヒアルロン酸は軟骨同士の緩衝役を果たし
- コラーゲンは軟骨細胞同士をくっつけ
それぞれは軟骨が軟骨であるための重要な役割を果たしています。
しかしコンドロイチンは大きな分子でそのままで吸収はできません。吸収できるように分解されてしまうのです。当然コンドロイチンの物質としての性格は消えます。
当然体の中の都合のいい部位にそのまま行くわけがありません。何のために摂取するの? という話です。
しかもその含有量表示がデタラメなものが多いのです。
1.コンドロイチン硫酸量が表示されていた銘柄は、表示量に比べて実際の含有量が大幅に少なかった。
2.サメ由来のコンドロイチン硫酸を含有する原材料を配合している旨の表示があった16銘柄のうち、陸生哺乳動物由来のコンドロイチン硫酸を含む原材料が配合された可能性が高い銘柄が6銘柄あった。
そのうち3銘柄は陸生哺乳動物由来の原材料名の表示がなく、JAS法上問題がある可能性が高いと考えられた。
デタラメぶりがよくわかるでしょ。
ね、もうボロボロなんですよ。もし虚偽表示があれば薬品なら完全にアウトですよ。それがサプリという食品は「注意」で済んでしまうのです。
グルコサミンについては確かに軟骨に必要なヒアルロン酸の原料ではあります(正確にはN-アセチルグルコサミンとグルクロン酸が順に繋がった構造)
一方、グルコサミンの原材料は体内に大量にあるブドウ糖です。体は作る材料がないわけではないのです。それを一日に1g前後の僅かばかりのグルコサミンサプリを飲んでどうなるというのでしょうか?
先出の国民生活センターは同一サイトの下の方で消費者にこうアドバイスしています。
- 関節痛の緩和など具体的な疾病の治療を目的とする場合は医薬品を使用するのが良い。
- 「健康食品」は、錠剤やカプセルが胃の中で溶けにくいものがあるなど、品質上も問題があった。
グルコサミンとコンドロイチンのサプリは稼ぎ頭であり、メーカーも販売量を落とすわけにはいきません。
「いろいろ言われるけど本当は〜なふうに効果がある」とあっちにもこっちにも刷り込み効果を有効にしようと対策しているので、どれほどそういう文言に出会っても賢明さを失わないでください。
マルチビタミン
13種類のビタミンと5種類のミネラルがあれこれ入っっているのがマルチビタミンと呼ばれるサプリです。
「マルチ」に定義はありません。どれを何種類入れてもマルチビタミンです。
以前ビタミンは全て医薬品でした。しかし、今は同じものが・・・
- 医薬品であり
- 医薬部外品であり
- 食品でもあります
なんども申し上げますが、一般消費者の方を向いてできた決め事とは到底思えません。あくまでも個人的見解ですが、枠をどんどん緩くしてゆくのは、単に商売をしやすくするためです。
それはさておき・・・
もし何かの事情で特定のビタミンが不足して体調がおかしくなったら、それを直すのは医療の仕事。サプリメントじゃないわ。
ここが大事です。体調が狂うようなビタミン不足が発生したのなら医者に行って、ちゃんと診断を受けて処方をしてもらわなければなりません。
そして処方してもらった高単位のビタミン剤を短期間飲んで症状を改善するのが体に適した考え方です。
ただ漫然と食事のように毎日毎日よくわからないままマルチビタミンサプリという食品を飲んでもお金がかかるだけでいいことは何もありません。
それどころか摂取のしすぎが害になることもあると報告されています。
また、抗酸化作用とくっつけて宣伝する場合も多いですが、だからマルチビタミンサプリを飲んだら良いというのは全く説得性にかけます。
よっぽど酸化が気になるようなことを体にさせていて(超激しい運動など)、それが症状になって出るというのであれば、これも適切な処置を医者に聞いて対処すべきです。
この分野はまたまたサプリ分野の柱なので超混戦状態です。あらゆる言葉で効果や正当性を主張してきます。
サプリメーカーは学会を作ることだってできるし、そこのお抱え学者はいくらでもその学会で有利な主張ができるのですよ。
どんなに魅惑的な言葉が並んでも信用する必要はありません。それよりも本当に信頼できる主治医を一人持つことの方が100倍大切です。
酵素ドリンク
もし酵素に興味をお持ちであれば、こちらの記事も読んでみてください。
「酵素ダイエット」で人気のある商品分野です。
上でご紹介した記事を読んでいただければ一目瞭然ですが、口から摂取する酵素なんて何の意味もありません。
酵素やビタミンは確かに健康な体を維持する上で大切ですが、特に酵素は口から摂取する意味が全くありません。
口から摂取してもアミノ酸に分解されて吸収されるだけです。
体内に吸収されたアミノ酸がどの部分で何に再合成されるかは体が判断することです。ですから酵素を飲むこと自体意味がないし、ましてやダイエットとは何の関係もありません。
さらにドリンクとなれば、だいたい甘い味付けが施されていて、それを飲むことはカロリー摂取とイコールです。むやみに血糖値を上げてどうするのですか?
それと、ダイエットに関心がある方は、何を使うとか何を飲むとか考える前に、体重管理の基本を学ぶことが10倍大切です。それがわからずしてダイエットなんてそもそもできはしません。
プラセンタ
プラセンタとは胎盤のことです。これもまた強烈な宣伝の元一定の根強い支持者がいるサプリメントです。
宣伝サイトをのぞいてみると何が書いてなるのか?・・・
- 体の一部の材料になる
- 体づくりに働く
- 新陳代謝を助ける
- シミやくすみを解消する
- シワ・ニキビ跡・毛穴の開き・たるみなどを解消する
- バストアップ効果がある
- 育毛に効果がある
- 髪や爪に良い
- 抗酸化力や抵抗力を高める
- 精神のバランスを安定させる
何という凄い効果の数々。
これね、提灯サイトだけじゃなくて医者ですら、さも本当そうに言う人がいるのですよ。
昨日、かかりつけの皮膚科の先生(寒冷蕁麻疹なので年中お世話になっている)に質問して見ました。
そうしたら先生曰く、
何という言い回し!!
さて、ヒトプラセンタ注射剤について、日本で薬事法の承認を受けているのはたった2つのみです。
リンク先にそれぞれの製薬会社の詳しい説明が書かれています。少しピックアップしてみますと・・・。
臨床例は両方とも僅か数十例だけです。そして、薬効・薬理の根拠としては人間以外の小動物から得た結果だけです。う〜ん・・・
次に有効成分に関する理化学的知見ですが
メルスモン
本剤は、ヒト胎盤由来成分として、多種の微量成分を含有するが、特定の物質を有効成分として表記することはできない。
ラエンネック
本剤はヒト胎盤抽出物であり、種々の生理活性物質を含有している。しかし、本剤の有効成分を単一または数種の物質に特定することはできない。
「注射薬の有効成分に関する理化学的知見」と先出の「プラセンタサプリの広告宣伝文句」をよくよく見比べてみてください。なぜこのような極端な差が出てくるのでしょうか。
役所も目をつぶっているわけではないのでしょうが、数々の取り決めも全く功を奏していないのが実情です。
消費者庁の消費者へのメッセージは非常に違和感があります。
メーカーへの縛りをゆるゆるにしておいて、一般消費者にこんなことを警告するってどういうことなのでしょう。「消費者庁は何もできないので消費者の皆さん自身が気をつけてくださいね」
サプリメント同士や薬との飲み合わせ
各種あるサプリの単体の効能だけを信じて、その他のサプリや処方された医薬品と併せ摂取すると、吸収が阻害されたり増長されたりするケースもあるので、むやみにサプリを摂取しないほうがいいのではないでしょうか。
いくつかの参考サイトのご紹介をしておきます。よろしければリンク先を読んでみてください。
- 大分大学医学部:Q&A 健康食品と医薬品相互作用(33ページ〜)
- 愛知県薬剤師会:医薬品との併用に注意のいる健康食品
- 厚生労働省:健康食品の正しい利用法(8ページ〜11ページ)
まとめ
サプリメントについての実態について詳しく述べてきました。
- サプリメント業界の広告の具体的な手法
- サプリメント含有成分の実際の効能と謳い文句の乖離の大きさ
- 国の取り決めの煩雑さ・内容の乏しさ・指導力のなさ
- サプリ同士や薬との飲み合わせの怖さ
私なりに、意味のないサプリメントに頼る生活はやめましょう、と多角的に訴えてきました。
当然ながら、あなたも私も健康に関心があるし健康でいたいです。そして、歳を重ねてくると次第に無関心だった体の調子が気になり出します。
健康診断の結果や体型や髪の毛など、何もかもが劣化の一途をたどるから、気にならないはずがありません。
ところが誘惑が多すぎて健康な生活を維持できないのが現代人です。
- 偏らない食事
- 規則正しい生活
- 適度な運動
それだけでいいんですよ。
ところが、たとえ時間を持っていてもなかなか実行できないんですね。ましてや、仕事に忙殺されていれば尚のことです。
そこがサプリメントの狙いどころで、ガンガン訴えてくるのです。ここでも散々例示しましたが、その前に、本当はあなたも十分によくご存知の筈なんです。
なのに、つい手が出る、試してみたくなる。その気持ちもよくよく理解できます。でもね、本記事で訴えている通りで意味がないのです。
今や巨大なマーケットを築きビッグマネーを吸い上げているサプリメント会社。
もし、本当に広告CMが訴える通りなら、世の中がもっと若く明るく活気に満ち溢れているでしょう。もっと弾んでいるでしょう。
それくらい多くの人がサプリメントを愛用しているのですから。
あなたがサプリメントにお金を割いているのなら一度立ち止まってご自身のために再考してみて下さい。この記事がほんの僅かでもお役に立てるなら幸いです。
目に見えた効果があって何かが変わるって体験したことあります? 見たことあります?