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あなたを苦しめる夜の咳
日中はそんなに咳が出ない人でも、夜寝る頃になって、或いは、布団に入ってから咳が出初めて、これがなかなか止まらずに苦労する、というケースが少なくありません。
鬱陶しいし、苦しいんですよね。安眠を妨げる大きな敵です。しかし、どうして夜になると咳が出るのでしょう。
しかも、抑えよう、こらえようとすると、余計に襲ってきて収まりがつかなくなったりします。本当にタチが悪いです。
快適な睡眠確保の上からも、夜の咳からは解放されたいところです。
そこで今回は、基本的なくしゃみの原理と誘発要因について詳しく考えて行くとともに、特に夜の咳に焦点を当てて、どう対処すれば良いのかを一緒に考えていきましょう。
咳が出るきっかけ
私たちは毎日の生活をしていく中で、風邪などの病気にかかった時はもちろんのこと、たとえ病気にかかってなくても「咳」をします。
- 単発の咳
- 連続する咳
- 軽い咳
- うずくまってしまうような酷い咳
この鬱陶しい咳の原因の大部分は気道への刺激です。
空気を吸ったり吐いたりするときの通り道、つまり・・
- 鼻腔
- 咽頭
- 気管
- 気管支
これらの所謂気道が刺激を受けると、それがきっかけとなって咳が出ます。
気道には様々な刺激要素が入り込んできます。
- チリ
- ホコリ
- 煙
- ウイルス
などですね。これらは当然不要であり有害ですからこれらを体外に取り除かなければならないとともに、病原菌などを絡めた痰も、やはり体外に排出しなければなりません。
当然そういうシステムを私たちは持っていて、その一つが咳なのです。一種の生体防御反応ですね。
では、どういう仕組みで「咳をする」という動作になっていくのでしょうか。
咳が出る仕組み
咳というのは刺激に対する反射運動です。その仕組みはおよそ下記の通りです。
- 気道に刺激物が入ってくる、或いは粘液(痰)が溜まってくる
- 刺激は気道にある受容体がキャッチします
- キャッチされた刺激は電気信号として神経を通じて延髄や大脳皮質に届けられる
- 今度はそれを受けた脳側から喉の筋肉や呼吸筋に指示が出され咳が起こる
ということなんですが、実は気道からの刺激がなくても咳の出ることもあります。
- 咳をすること自体が癖になっている場合
- 非常に緊張している場合
などで、私たちは経験的にもこれらを知っていますが、咳の出るメカニズムは本当に複雑で多岐にわたっていますよね。
夜に出る咳の原因
咳が出る大きな原因は気道への刺激だとわかりました。しかし、それは夜になぜ発生するのでしょうか、それを見ていきます。
寝具の埃やダニ
埃やダニなどをアレルゲンとして反応する人は、布団や毛布や枕からそういうものを取り除かない限り、アレルギー反応を起こして咳が出て収まりがつかなくなります。
鼻水や痰
仰向けに寝ると、鼻水や痰が鼻→喉→気管と落ちていって、これが気道を刺激して咳が出ます。特に風邪を引いたときなど、鼻水や痰の量が増えるので尚更です。
過敏な気道と副交感神経
体内のほとんどの器官や機能を支配し、私たちの意思とは関係のないところで働いている神経が自律神経です。自律神経には相反する働きをする2種類があって・・
- 交感神経・・人間が活発に活動している時に優位に働く
- 副交感神経・・食事をしたり寝たりする時に優位に働く
つまり夜寝ている時は、副交感神経が優位に働くのですね。その時の体の状況をもう少し詳しく述べると・・・
- 血圧は下がり心拍数も穏やかになる
- 血管は収縮する
- 瞳孔は小さくなる
- 気管支は収縮する
このように副交感神経は、昼間の興奮状態とは真逆の状態を作っています。
しかし、気道が弛緩すると狭くなり、空気と一緒に入り込んでくるチリなどにも敏感になります。
時には呼吸による空気の移動ですら刺激となり咳が出る原因となる事もあります。気道が非常に過敏になっている場合は以上の理由で夜に咳が出るのです。
気温と乾燥
暖かい部屋で過ごして、寒い部屋で寝たりすると防御反応で咳が出たりする人がいます。また空気が乾燥していると、それが刺激になって咳が出る場合があります。
ですから、冬の夜、暖かい部屋で過ごして、冷えて乾燥した部屋で寝ると咳が出る場合があるのです。
咳喘息または原因不明
気道が非常に過敏になる病気です。風邪は完治したはずなのに咳がしつこい場合はこれに該当するかもしれません。気道が敏感になっている場合は、副交感神経の活動で気道が狭くなる夜は咳に悩まされる可能性が高いのです。
原因はいろいろありますが、夜中や明け方に、かなり咳き込んだりします。しかも、相当にしつこくて、1年くらい続くこともあります。
夜のしつこい咳から解放される方法
寝具の埃やダニ除去対策
布団や枕は湿度の高い状態になってます。そこに、皮脂・ふけ・抜け毛といったものが付着して、ダニが繁殖します。
ダニはアレルゲンであるとともに、それが繁殖する状態は不衛生でもあります。どうすればダニ除去できるでしょうか。
- 天気の良い日に日光に当てて一日干す
- シーツや毛布を洗濯機で洗う
- 掃除機で吸い取る
これだけやれば、そこそこ成果が出るように考えがちですが、実は、これらの方法ではダニを完全に撃退することはできないのです。
なぜ撃退できないのでしょうか?
- 布団を干しても、水分は蒸発するが、その程度の温度や紫外線ではダニは死なない
- ダニは乾燥には弱く湿度が低下するにつれ動けなくなるが、しかし死なず、湿度が上がるとまた活動する
- 布団を叩けば、糞や死骸は相当除去できても、生きたダニはしがみついて布団に残る
- 掃除機で吸い取っても吸い取れるのは糞と死骸で、生きているダニは容易に寝具からは離れない
- 洗濯についても同様で、糞や死骸は綺麗にできても、生きているダニはしぶとくしがみついています
なんとしつこいダニ。弱点はないのでしょうか? 確実に寝具から消すことはできないのでしょうか?
実はあるのです。キーとなるのは熱です!! 他の一般的な生き物と同様に高温に弱いのです。ではどうやって高温状態を作り出したらいいのでしょうか?
衣類乾燥機・布団乾燥機とスチームアイロン
はい、それは乾燥機です。乾燥機の中を50度以上(できれば60度)にして30分以上置けば確実に全滅させられます。家電製品の衣類乾燥機は標準で70度くらいですから十分対応できます。
しかし、確かにシーツや毛布や枕は衣類の乾燥機に入れられますが布団はどうしたらいいの? ですよね。
はい、布団は布団乾燥機を使って、衣類の乾燥機と同じように、布団全体を50度以上にして30分以上を保っておくと撃退できます。
ところが、布団乾燥機の難点は布団全体を万遍なく高温にすることが難しい事ですよね。ダニが布団の低温の場所に逃げるようではダメなわけです。
おまんじゅうの包み紙のように、敷き布団と掛け布団で布団乾燥機を包んで、各部分の温度ムラをなくすという方法も、以前NHKで紹介はされてました。が、もっと確実な方法はないでしょうか?
布団にはスチームアイロンを使うという手もあります。スチームは50度どころかほぼ100度ですから。しかし・・
- 高温すぎて、当て布をしても、寝具の素材によっては合わない
- 寝具の隅々まで高温状態にするには非常に時間がかかる
と、原理的には十分なのですが、忙しいあなたにとって現実的なのか? というような問題は残ります。
コインランドリーの高温乾燥機
以上を踏まえ申し上げますと、布団のダニ退治については、現実的で一番確実な方法はコインランドリーの高温乾燥機を使うという方法です。
手順は以下の通りです。
- コインランドリーの高温乾燥機に布団を入れて高温でダニを完全に死滅させる
- コインランドリーの布団洗濯機でダニ退治をした布団を洗う
- 再度コインランドリーの高温乾燥機でその布団乾燥させる
布団についてはこれで完璧です。
コインランドリーの高温乾燥機利用作戦は3ヶ月に一度程度でいいですが、ダニの糞や死骸がその他のゴミ除去の掃除はこまめにしましょう。
でも、改めて掃除機について考えてみるわけですが、一体どんな掃除機がいいのでしょう?
掃除機はどんな商品が良いのか
ゴミを吸い取ってくれればなんでも良いように思いがちですが、実は選択の際に持っておきたい知識があるのです。
また、布団専用に別の掃除機を買うのもどうかな?ですよね。ですから、最初から良いものを1台買いましょう。
おさらいですが、掃除機で生きているダニは除去できません。あくまでも、ゴミ・ホコリ・糞・死骸などを寝具から取り除くのが目的です。
では、何を考えれば、何を判断基準にして選べば良いのでしょうか? 問題はいろいろあります。
- ヘッド(アタッチメント)に工夫がないと、布団掃除に必要な吸引力と使いやすさが実現できないです。
- 掃除をする以上、ゴミ・チリ・アレルゲン物質を除去したいわけです。しかし、掃除機本体の排気口から、吸った微細ゴミが吹き出たのでは、たまったものではありません。
- 排気口からの風で床の埃などが舞い上がるのは好ましくありません。
- また、吸い集めたゴミは必ず捨てなければなりません。例えば、サイクロン式で集めたゴミを部屋の中でゴミ袋に入れたりすると、集めたアレルゲン物質が再度部屋に浮遊する可能性があります。
そこで・・・
- 布団掃除でも動かしやすく吸塵能力のあるヘッド
- 超高機能フィルターを搭載し、かつ、排気が逃げる隙間がない構造の掃除機
- 排気がソフトで上向きの掃除機
- サイクロン式との比較で、集塵能力で遜色のない、かつ隙間から埃が逃げない、「ゴミの吸入口を塞ぐシール」付き紙パック方式の掃除機
- どうしてもサイクロン式がいい場合は、集めたゴミを圧縮する能力がある掃除機。静電気対策があればもっといい
以上を兼ね備えている掃除機が、当然価格もそれなりになりますが、いいと思うのです。例えば次のような商品です。
今、私の使っているのがPanasonicの旧型なので、Panasonicに目がいくのですが、記事にする前にはメーカーに電話をして、納得できるまでくどいくらいに質問をしています。
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さて布団関連では、毎年襲ってくるアレルゲンとして花粉対策を怠ってはいけません。
その季節の晴れた日に布団を外に出して干したりしてはいけません。これは絶対にやってはいけません。
うっかり干して、カラッとふわっと気持ちよくなった布団に寝たら、それはもうひどいことになります。同居人(奥さんやお母さん)にも、よくお願いしておく必要があります。
もう一つ、花粉の季節、外出から帰宅時には体にも衣服にも花粉がついているので、それを寝具に付着させないようにすることも大切なポイントです。
鼻水や痰の対策
横向きに寝る
仰向けに寝ると、どうしても鼻水や痰が逆流してきやすくなるので、横向きに海老の姿勢で寝ると少しマシになります。
しかし、鼻水や痰が増える風邪などの直接原因を直さないと、結局抜本的な解決にはつながりません。
タバコをやめる
気道に入った異物を吐き出す手段が咳でしたね。タバコの煙は当然異物です。それを自分で体内に入れてどうするのか、っていう話です。
同居していれば或いは旅行で同室になると、ヘビースモーカーは夜中から朝起きた一時まで激しく咳き込むのを見るという体験をよくしますよね。
しかも周りの人たちにも甚大な迷惑をかけるのですからやめたほうがいいに決まってます。
飲酒を控える
アルコール飲料を飲んで寝ても咳が出ます。アルコール飲料を飲むとヒスタミンが出てきて、これが気道を弛緩させて狭くなります。
寝ている時は副交感神経の作用もあって余計に咳が出やすくなります。
しかもアルコールの利尿作用で就寝中に何度もおしっこをすると、気道が水分不足になって痰が絡み咳の原因となります。
以上から、特に風邪を引いている時などは飲酒を控えるほうがいいのです。
更にもう一つ、アルコール飲料の原料である麦や米やさらには発酵させるための酵母ですらアレルゲンになります。
ですからそういう体質の方は、余計に寝る前の飲酒は控えた方が良いのです。
乾燥した空気や冷えた空気の中で寝ない
私は加湿機能を持った暖房機を寝る1時間くらい前から稼働させておいて、「冷え+乾燥」状態をなくしてから寝るようにしています。
マスクをするのもいい方法です。が、それが鬱陶しくて寝られないという方もおられるので、少し電気代はかかりますが、部屋の状態を変えるのがいいと思います。
病院で治療を受ける
風邪やインフルエンザのように目立ったはっきりとした症状がある場合は、当然病院で治療を受けなければなりません。
が、咳喘息や心因性の咳など、原因が表に出にくい咳もあります。咳が長期にわたって続く場合は病気を疑う必要があります。
- アレルギー性の咳
- 肺炎
- マイコプラズマ
- 肺結核
- 肺がん
など、他にも疑われるものは沢山あります。いづれにしてもいつまでも咳が取れない場合は診断を受けて適切な治療を受けることが最も大切です。
まとめ
「あ〜今日も一日よく頑張ったな。さあ寝よ」と布団に入ったら咳が出る。これってホント最悪ですよね。
しかし原因要因はいくつもあってインスタントラーメンを作るようには簡単に解決しないのでした。
もう一度原因を並べてみると・・・
- 寝具などにいるダニなどのアレルゲン物質に反応する
- 低温と乾燥が刺激になる
- 仰向けに寝ることで鼻水や痰の逆流現象を起こし刺激になる
- 眠りに導く副交感神経の役割が気道を狭め刺激を誘発する
- 病気にかかっている
などでした。これらの対策は既述の通りなのですが、環境問題にしても病気にしても、きちっと対策をとれば、それなりにはっきりとした効果が出ます。
ですから、とにかく早急に行動しましょう。
しかしそれにしても・・・
咳はこれまで述べてきましたように生体防御反応です。異物を体外に出すために必要なのです。なのに我々を苦しめる原因にもなるのですね。
副交感神経が活発化することは、体を休めたり睡眠をとったりするために必要不可欠です。なのに、やっぱり時として我々を苦しめる要因になるのですね。
皮肉なものです。
最後にもう一つ・・
実は、直接的対策ではないですが、もっと抜本的な対策として・・
- 継続的な運動
- 節制ある飲食
この二つをセットで続ける事が非常に大切です。
体は連続的な化学反応によって生命を維持していますが、これが変調をきたさないようにするためには、運動と飲食の管理が何よりなのです。
こういう地道な健康体維持対策が、基本的には夜の咳対策になるのです。20年間継続し、身を以て実感しています。
どうか、毎夜、咳に悩まされることなく、安らかに寝られますように。
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