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ホテル自体に関心がない男
もう20年近く訪台していますので、ホテルもいろいろなタイプを経験しました。
ホテルオークラ台北のような5つ星クラスから、階段が抜けそうなホテルとは呼べないようなところまで、それこそ様々です。
しかし・・私はホテルについては、「安けりゃ安いなり、高けりゃ高いなりに、まあどこに泊まってもそれなりだ」以外にはあんまり特別な感想を抱いたことがなかったんですね。
但し、宿泊者については頭にきたことは何回もありましたよ。夜中まで大声で喋ったり、騒ぎまくったり。
まあ、そんなわけですので、まさか特定のホテルを推薦する記事を書くなんて、夢にも考えたことがありませんでした。
朝食が口に合わなくても、シャワーの出が良くなくても、設備が多少くたびれていても、ほとんど気にしない、ホテル自体にあまり関心がない男がどうしてこの記事を書きたくなったのでしょうか?
その辺の事情を詳しく述べていきたいと思います。このホテルの良さが少しでも伝わればいいなって思っています。
尚、あまりホテルに興味のない私の選択基準については下記別記事で詳しく述べています。
東京国際飯店
私が推薦しようと思うほどに感心したホテルは「東京国際飯店」です。このこじんまりとした一見何の変哲も無いホテルのどこがそんなに気に入ったのか、説明していきましょう。
ロケーション
MRTを使いやすい立地
まず場所ですが、グーグルマップを見ていただくとわかります通り、林森北路と長春路の交差点を60mほど東に入ったところです。
- MRT中山駅まで約750m徒歩10分
- MRT松江南京駅まで約1km徒歩13分
という非常に絶妙の位置にあります。何が絶妙か? はい、2つの意味があります。
- MRT淡水線・松山線・中和新蘆線と、どの路線も利用しやすい
- 朝行動を開始するのに、駅まで散歩として丁度いい距離
有名レストラン・マッサージ店・飲み屋街がすぐ側
その通りです。 ドアを開けて歩道に出れば、
- すぐ左にマッサージ店が
- すぐ右には小籠包の京鼎樓や鶏料理の雞家莊が
また、50m西に歩けば林森北路に当たり、南下すればその辺一帯は日本人御用達の街であり、また、日本語の通じる飲食店が星の数の如くあります。
そういうわけで、日本人旅行者として要求されるお店は、ホテルを中心にした半径500m圏内にほぼ揃っていると言っても過言ではありません。
部屋や価格など
部屋と朝食
私の宿泊した部屋は5階のデラックス・シングルで30㎡、ゆったりクイーンベッドでした。凄く新しい、ということはないですが、清潔で、特に不快感を抱かせる要因はありませんでした。
かなり大きいキャリーを持って行ったのですが、店開きしても足の踏み場がなくなるといったことはなく、結構いい広さでした。
無料のティーバッグにミネラルウォーター2本にお菓子、そして冷蔵庫といったところは普通でしょう。
バスタブがいい長さで、足をほぼ伸ばして浸かることが出来たのはなかなかグーでした。
アメニティーの質なんかはわかりません。タオルやドライヤーなど一通り揃っており、特に困ることはありませんでした。
そしてそして、何より嬉しかったのは、トイレがウォシュレットだったことです。これは後発の強みであり高得点です。
朝食については、和洋中でしたが特にコメントはありません。こんなもんでしょう。まあ値段が値段なのであれですが、欲を言えばもう少し選択肢を増やしてもらえれば嬉しかったです。
価格
上記のような内容で、10月23日から11月3日迄の11泊で支払金額は合計114,653円でした。ですから、1泊あたり10,423円ということになりますね。
あの界隈であの部屋でこの値段というのは、非常にリーズナブルだと思います。もっと不便でもっと内容が悪く、同じような価格のホテルはいくらでもあります。
以上のような内容であったので「なかなかいいホテルだなぁ」と感じたわけです。が・・
それだけの理由であれば、その程度の良さであれば、これは記事にはならないのです。実は、もっと本質的な大切な理由が他にあったんですね。
本当に推薦したいと強く感じた理由は、以下の2つです。
夜中の静寂
ホテルに宿泊して何が困るかって、私の場合は十分な睡眠が取れないことです。
寝つきがよくなくて、且つ夜中の物音に反応したりするので、私にとってホテル滞在中最も大切なことの一つは、夜に音がしないことです。
こんな当たり前のことがなかなか安定的に実現しないのには当然理由があります。もちろん構造上の問題もあるでしょうが、それ以上の問題は宿泊者の質です。
周囲を顧みなず、平気で大きな物音を立てる、大声で延々喋る。つまりは、これが最大の原因なのです。
東京国際飯店に約2週間宿泊したわけですが、夜は本当に静かでした。一日も「うるさい」と感じた事がなかったわけですから。
しかし、まだ寝る前の時間に時々聞こえる廊下の喋り声を聞く限り、そんなに防音にお金をかけているようにも思えませんでした。
で、フロントで質問したんですね「日本人の宿泊客は何パーセントくらいですか?」。そうしたらなんと「95パーセント以上です」と返ってきました。
なるほどね。そういえば朝食時も穏やかで静かでした。
せっかく海外のホテルに来て宿泊客が日本人ばかりってのどうだ? という声もありそうですが、私は、落ち着いて泊まることができる最高の条件だと思います。
「海外の観光地が日本人ばかり」というのとは、ちょっと意味合いが違います。
あと静かであった理由として、団体客がいなかったというものあると思います。いつもいないのかどうかはわかりませんが。
ホスピタリティー
東京国際飯店には約2週間滞在したので、少なくともフロントと朝食会場で働いている人たちを全員見ているはずです。
で、ほぼ全員日本語が話せます。
- 人によって話せる
- 人によっては親切
- 人によっては気がきく
台北にはそういうホテルが数多く存在します。
しかし東京国際飯店はそうじゃないんです。特にフロントは・・
- 全員が日本語を話せます
- 全員がホスピタリティー精神に溢れています
ここまで徹底しているホテルは過去記憶にありません。
もちろんホテルオークラ台北のようなホテルの人的サービスは相当なものです。が、宿泊費が5倍も6倍も違うホテルと比べても意味がないですよね。
では、海外のホテルで、日本語でホスピタリティー精神溢れるサービスを受けることが、どれくらい旅行を楽しくするかについてですが・・
それは(主にフロントの対応になると思いますが)彼らをどれくらい活用するかによって変わってくると思います。実際に・・
- ここから近くの台湾料理の美味しいお店を紹介してください
- 今日は雨が降ってますが、おすすめの観光スポットはどこでしょうか?
- 〜に行きたいのですが、一番いい行き方を教えてください
- 〜に行きたいのですが予約をしてください
- 〜日朝7時にタクシーを呼んでください
などなど。確認をしたりお願いをしたり質問をしたりと、フロントの人と話をする機会は多いと思います。一度話をして気持ちよければ「また話そう」ってなりますしね。
旅行におけるホテル・ライフでは、めちゃくちゃ大切なことです。気軽に利用して、納得のいく反応がその都度もらえれば、本当に助かるし嬉しいです。
口先だけではない、言葉に心がこもっている、そういう真摯な対応に感謝の気持ちが湧いてきますし、また来ようという気にもなります。
私のサイトを読んでくれて・・
フロントの女性とあれこれお話をしていて、私の台湾旅行記事サイトのアドレスを教えることになりました。
驚いたことに、彼女はたった数日でかなりの数の記事を読んでいました。それのみならず、内容についての・・
- コメント
- 疑問点
- サジェスチョン
などをメモしていて、詳しく熱心に話してくれました。
帰国後彼女の指摘を受けて、早速ある記事の内容を最新の情報に書き直しました。
適当に話を合わせておけばいいものを、「そこまで時間を割くか」と思うと頭が下がります。真心あるサービス精神に敬意を表したいと思います。
それにしても、これほど日本人の心情にフィットしたホテルがなぜ誕生したのでしょうか? その謎を紐解く鍵はオーナーの心の中にありました。
東京国際飯店のオーナーは大の親日家
オーナーは徐銀樹さんという方です。
1957年に生まれ、1981年から1988年まで日本の大学及び大学院で学ばれました。そして現在、私がお世話になった東京国際飯店と、その斜め向かいにある京都商務旅館を経営されています。
さらに、中華民国旅館商業同業公会全国聯合会の理事長という要職を務める傍ら、台湾の大学で教鞭もとっておられます。
そういうわけで元々日本に深い関心と理解のあった徐氏ですが、特に東日本大震災の直後来日、そして現地入りし義援金を手渡され、視察そして放射能スクリーニングを受け、帰国後いち早く「日本は大丈夫だ」とメッセージを出されたのでした。
震災当時、外国人の誰も逃げたかった場所に、わざわざ台湾から来て行く理由がどこにあるでしょうか。氏の心情を思うと頭が下がります。
また徐氏は「台湾も2003年のSaas騒ぎのとき、旅館業も大変でした。私は日本と日本人に大きな恩と親しみを感じます。苦しいときはお互い様。共存共栄をすることが本当に大切です」ともおっしゃっています。
現在経営している2つのホテルはそういう過去の積み重ねの上にあるのだと思います。人的サービスが日本人にとって行き届いていると感じるのも、間違いなく徐氏の考え方が浸透している証しだと思います。
まとめ
以上、東京国際飯店の紹介記事でした。
台湾は過去日本に50年も統治されてました。統治をされるというのは大変なことです。逆の立場で考えればすぐにわかります。ある日突然に、我々の国語が強制的に北京語に変えられ、氏名も同様に変えられ・・。
来る日も来る日も朝から晩まで恨み言を言うネタは山のようにあるはずです。
しかし、国民党の人たちを除く元からの台湾人は、過去を冷静に是々非々で考えてくれています。そして多くの台湾人は日本を好いてくれています。何度リサーチをしても結果は同じです。
そういった心情の形になったものの一つが東京国際飯店なのかな?って思ったりしています。徐オーナーの行動言動からしてもそうですし。
一方、旅する人の心は感じ方はは画一的でなくバラバラです。まさに人それぞれです。
なので、この記事を読んで実際に東京国際飯店に泊まってもそれほど満足感の得られない方もおられるでしょう。その辺はよく承知しています。
しかし、それでもなお、私はこのホテルが日本人にとって宿泊しやすくホスピタリティー溢れるホテルであると、自信を持って申し上げたいです。
台北旅行の際には是非一度宿泊してみてください。
東京国際飯店基本情報
住所:台北市中山区長春路39号
電話番号:02-2564-3733
チェックイン:15:00
チェックアウト:12:00
支払いクレカ:VISA、MASTER、JCB
日本語:可能
ホームページ:http://www.tokyohotel.com.tw/about_jp.php(日本語)
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