セラミド入り化粧水はよくない! 効果の正しい理解とスキンケア

セラミド



お肌になくてはならないもの

セラミド

基礎化粧品のコマーシャルでよく目にするのが、セラミドやヒアルロン酸やコラーゲンといった単語です。

これらの単語を見ただけで「プニュプニュ→魅力倍増」とかって脳が反応しませんか? するでしょう。宣伝効果ってすごいものです。

さて、これらの物質は全てお肌の構成要素で、皮膚を一定の品質にたもつ非常に重要な役割を担っており、お肌になくてはならないものです。

で、今回はセラミドについて、延いてはそれを扱う「化粧品の功罪」にまでお話を広げて一緒に考えて行きたいと思います。

元々は知り合いの女性の疑問が出発点のこの記事ですが、いずれにしても安易にコマーシャルを鵜呑みにしないで、よく理解し納得して使用するしないを決めることが大切です。

 

皮膚の構造

足の裏とかを除くと2mmにも満たない薄い薄い「皮膚」ですが、これが実は非常に複雑な構造をしているのです。

大きくは、

  • 表皮
  • 真皮
  • 皮下組織
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の3層構造になっています。そして、そのうちの一番外側の表皮はさらに

  • 角質層
  • 顆粒層
  • 有棘層
  • 基底層
  • の4層構造になっています。
表皮

薄い薄い皮膚がどうしてこんなに複雑なのでしょう? 複雑には複雑の理由があります。で、セラミドは皮膚のどの部分にあるのでしょうか。

 

角質層のターンオーバー

表皮の構造を見ると、一番内側が基底層ですね。実はここでケラチンが主成分の角化細胞が細胞分裂で誕生します。

そして、順に外側へ押しやられ、やがて表皮の上から2番目の顆粒層で死にます。それが更に上に押しやられ、角質層の構成する角質細胞となるのです。

角質細胞は、やがて垢となって体から離れていきます。

そうやって絶え間無く内側から生まれた細胞が角質層を構成し垢となる繰り返しをターンオーバーと言います。

健康な肌は、ターンオーバーが順調に行われている肌です。つまり内側から健康でなければならない、新陳代謝がきちんとされていなければならないわけです。

 

角質層の役割

皮膚の一番外側、角質層にある角質細胞は細胞膜が分厚く、更にその内側にある周辺帯が補強をしているので、全体として大変頑丈な構造となっています。

そして、角質層では角質細胞が10~20層(手や足の裏はもっと分厚い)という構成になっており、このような構造が

  • 物理的な丈夫さを実現している
  • 刺激に対して変化しにくく安定的な特質を保っている(ここを特に覚えておいてください。化粧品を考えるときの基礎知識となります)

という優れた特性を持っているために、体を外界から保護できるわけです。

 

 

 

角質層の構造とセラミド

角質層にはたくさんの角質細胞があると述べました。

そして、角質細胞と角質細胞の間には細胞間脂質という物質がビッチリ詰まっています。この構造はブロックと接着剤のような関係で、

  • 強力な保水機能
  • 強力なバリア機能

を発揮します。

細胞間脂質にはおなじみのセラミドが多く含まれています。そうですセラミド」は角質層の細胞間脂質を構成する物質だったのです

セラミドは親水性があって、細胞間脂質は脂質と水のサンドイッチ構造となっています

その角質細胞の層と細胞間脂質でできている角質層は表皮の一番外側で20ミクロンほどの厚さ(薄さ?)ですが、

  • 体内の水分の過剰蒸発を防ぎ
  • 紫外線を防ぎ
  • 病原菌や体外物質の侵入を防ぎ
  • 抗酸化作用も発揮している

極めて大事な部分です。

もし角質層が体の表面を覆ってなければ水分が蒸発して、人間は生きて行くことができません。逆に言えば、この角質層のおかげで乾燥した季節でも、お肌は柔らかく滑らかで潤っているわけです(皮膚が健康であれば)。

 

強力なバリア機能

皮膚が水分蒸発を防ぐとともに、あらゆるものが侵入してくるのを防ぐから、私たちは生存できるのです。

ですから、皮膚の中の成分が不足したからといって、「塗って補給して皮膚内に浸透させる」という考え方は体の摂理に反します。皮膚にはバリア機能があるのです。

ここが最高に重要な理解の基本です。

 

 

ヒアルロン酸とコラーゲンは?

この2つは角質層の内側(下側)にある真皮という部分に存在しています。真皮の中でコラーゲン線維の隙間を水分を含んだヒアルロン酸が埋めている、というような関係です。

ですから、当然ですがセラミド・ヒアルロン酸・コラーゲンの優劣比較なんてできません。それぞれに重要な役割を果たしています。

 

デリケートな角質層とセラミド

肌荒れ

体を外界から守る皮膚、その一番外側の角質層ですが、常に健康で役割をきちっと果たしているとは言えません。

生きていると体の変調を誰でも何度も経験しますよね。変調の原因は・・

  • 空気の乾燥のような外界の悪化
  • 病気などで体調を崩すこと
  • 体が老化していくこと

色々あります。その結果、新陳代謝にも異常が発生します。すると、細胞間物質でビチッとくっついていた角質細胞は剥がれ出して皮膚が荒れてきたりします。

そうすると、皮膚の一番大切なバリアー機能がおかしくなってきます。これは大変です。

もう一つ

細胞間物質を構成するセラミドは季節によっても量の変化があり、冬は夏に比べて少なくなると言われています。

何れにしても、セラミドを十分に確保し角質細胞をしっかりとくっつけて余分な水分蒸発を防ぎ外敵の侵入を防ぐようにしなければならないのですが、どうすればいいのでしょうか?

 

セラミドは油溶性

よくネット上で「セラミド入りの化粧水はどれがいいですか?」という質問に出会いますが、そもそもセラミドは油に溶ける脂溶性なので水には溶けません

従って化粧水には元々配合しにくくて、仮に配合がうたってあってもそれが特段の意味を持つのでしょうか。

そして、化粧水に配合するにしても「何か」を使わなければ混ざらないわけで、その何かって体にいいのでしょうか。

ネット広告でこんな要旨が書かれてました。「元々油溶性であるセラミドをお金や時間をかけて水溶性にしたメーカーは本気度が違う」

よくよく読んでみてください。あなたという消費者のメリットがうたわれていますか? 「それがどうしたん?」「だからどうしたん?」ということが書かれているに過ぎないんですよ。

以上より、もしセラミド入りの基礎化粧品を買うのであれば、美容液やクリームがまだ理にかなっているのではないでしょうか。

 

化粧水と保湿、クレンジングや洗顔とセラミドの誤解

基礎化粧品

化粧水をたくさんつけても、それは単に皮膚を濡らしているだけです。同様に、水溶性のローションパックも保湿効果はありません。かえって肌を乾燥させる要因となる可能性もあります。そもそも皮膚は水を通しません

また、クレンジングや洗顔にセラミドは不要です。単に化粧を落とすだけですから

しかしそれにしても、体が持っている新陳代謝能力や自浄効果を無視しすぎなのではないでしょうか。商品が不要ということになればお手上げなので、何が何でも商品ありきになっているのでしょうね。

 

 

 

化粧品に含まれるセラミドの種類

実際に化粧品に含まれているセラミドには種類があります。それぞれに異なる特性があって製造コストも違っていて商品によって使い分けがされているようです。

  • 天然セラミド〜我々と同じ哺乳類由来のセラミドで浸透力が高いです。馬由来が有名。高価です。ビオセラミドセレブロシドなど
  • バイオセラミド〜酵母を利用して製造したものです。人のセラミドと同じ構造なので保湿力や浸透性に優れており刺激もありません。セラミド2セラミド3など
  • 植物性セラミド〜植物油由来です。イメージは人に優しそうですが、人のものとは構造が異なり効果は劣ります。コメヌカスフィンゴ糖資質など
  • 合成セラミド〜石油を原料としてセラミドと似た成分を化学合成したものです。コストで大量に生産できますが効果は低いです。ヘキサデキロキシPGヒドロキセチルヘキサデカナミドなど

 

結局セラミド入り化粧品は結局何がいいのでしょうか?

肌はデリケートで百人百様です。ご自分にあったものをお選びください。ただし、選ぶに際し覚えておいたほうがよい事があります。

化粧品は何にせよ基剤が大事です。セラミドは上記のように脂溶性です。水溶性ではありません。また基剤がよくないと成分の安定性が保たれません。更に刺激のあるものも避けたほうがいいでしょう。

濃度に関してはメーカーがうたうほど高濃度がよいわけではありませんある一定の濃度以上になると肌の負担が増えたりします

その上で

  • 天然セラミド含有か
  • バイオセラミド配合

が望ましいわけですが、化粧品には様々な物質が入っています。忘れずにパッチテストを行ってくださいね

 

あくまでもセラミドを化粧品として利用するのであれば・・のお話です。でも頭から読んでくださっているのであれば一つの疑問があるはずです。

皮膚の持つ強力なバリア機能との関係は? ですよね。

さらにもう一つの疑問は、化学合成品だらけの化粧品。仮にパッチテストで基剤に特別な反応をしなかったからといって、本当にそれを使う(使い続ける)のがあなたのお肌にとっていいのでしょうか。

私に投げかけられた疑問は、まさにこの部分です。視点を変えてもう一考えして見ましょう。

 

セラミド100%・ヒアルロン酸100%のお風呂

風呂

こんなお風呂にゆっくり浸かって、その後シャワーでキレイに流し落とした後どうなると思います? 皮膚はたっぷりセラミドとヒアルロン酸が補給されてプルプルになるのでしょうか?

 

セラミド化粧品に対するもう一つの考え方

バリア機能と化粧品

セラミド含有に限らずヒアルロン酸含有でもコラーゲン含有でも化粧品についてはどれも同じですが、広告に非常によく出てくる文言は

「肌の奥深くまで〜成分を浸透させる」「肌に〜栄養分を与える」

ねっ、よく見るでしょ。ほぼ必ず出てくる必殺文句ですよね。しかし、ここで少し冷静に考えて欲しいのです。

超超特大級の矛盾があるとは思いませんか?

上に皮膚はバリア機能があるって書きましたよね。バリア機能は液体も気体も病原菌も通さない機能です。通さないことによって体を守っているのです。

化粧品メーカーの必殺文句は「浸透させる」なので、もし本当に浸透できるなら、それは

体を守るバリア機能を壊す

ってことじゃないですか。壊しておきながら「肌を守る」って、どう考えても矛盾でしょう?

 

バリア機能も敵わないケース

体を保護するために絶対必要なバリア機能。でも、それを持ってしても皮膚を通過してしまう物質があるのです。それは人間の作ったものです。

  • 貼付薬(皮膚からの吸収で効果を発揮する薬)
  • 化学兵器(毒ガスって言われてますね。皮膚を通過するタイプが多くあります)

つまり良きにせよ悪しきにせよ人間がそうするために作った物質は皮膚を通過してしまうのです。じゃあ

セラミド化粧品は?

程度のほどはわかりませんが、皮膚を通過するのは間違いないようです。なぜか? 界面活性剤を使っているからです。

 

セラミド化粧品と界面活性剤

界面活性剤とは
→http://www.jp-surfactant.jp/surfactant/nature/index.html
もしくは、こちらがわかりやすいかも。
http://www.nicca.co.jp/05recruit/iaa.html

要するに、シャンプーやクレンジング・洗顔、もっと端的に言えば食器洗い洗剤なんかに含まれている物質で、これがないと汚れが落ちないのです。

混じり合わない物質の表面の性質を変えて、混じりあうようにするのが界面活性剤です。この性質を利用して、皮膚のバリア機能を弱めてセラミドを皮膚内に透過させるのです

 

セラミドは自然の摂理を壊して化粧品として肌に入れるのがいいのか?

化粧品はクレンジングでも透過性基礎化粧品でも口紅などの塗り物でも界面活性剤だらけです。まさに「だらけ」です。

こんなものを何十年にも亘って塗り続けることが果たして皮膚の健康にとって良いのでしょうか?

化粧品を塗れ塗れと煽って、その一方で自社の洗顔フォームを使えと煽る。

もちろん化粧品を作っているメーカーのサイトに答えはありません。その息のかかった学者や研究者の言葉にも信ぴょう性はありません。

こういったことの真偽をネットで調べるのは難しいのです。それはあまりにも無数の「商品ありき」の記事が多くて、読みたい記事にたどり着けないからです。

私なりに出した答えがこちらです。↓↓

塗ることが当たり前になっているお肌ケア。しかし本質は全く逆さまで、内側から考えなくてはならないのです。

 

最後に

肌荒れと化粧品

この記事には3つのことを載せました。

  • 肌の仕組みと一番外側の角質でなくてはならないセラミドの話
  • セラミドを補い補給する化粧品を使う立場
  • セラミドを補給する化粧品利用に疑問を持つ立場

こういう記事を読んで、すぐにメーカーと対峙する姿を想像する方がいます。しかし残念ながらそれはハズレです。

私はメーカーの非難を目的とすることはありません。自分自身が長い間大企業で仕事をしていましたし、企業サイドの考え方はよくわかります。それはそれなのです。

じゃあ、なんでこんな記事を書くのか?

この記事を読まれるのは、ほとんどがあなたと同じ消費者です。消費者への心配、消費者へのおせっかいがいつも根底にあります。

だから具体的な事例を説明することで「少し考えましょ」と促しています。あまりにも商業主義ベースで世の中が動きすぎています。「まず商品ありき」は単なる製造販売側の都合です。

宣伝広告が真実・正義であるはずがないのです。大切なのはあなた自身であり、あなたの体であり、あなたのお金です。

そう、セラミドもそうです。体の一番外側・角質部分で超重要な役割を担っています。セラミドをいつも十分に供給するにはどうすればいいのか?

メーカーの宣伝や提灯記事を鵜呑みにしないで考えましょ、と申し上げています。もし買うにしても、事実・真実を理解して納得して買いましょう。

お金の損だけじゃなく、お肌のトラブルまで抱えたら、それこそ踏んだり蹴ったりですもんね。

何かを塗ることが当たり前になっているあなた、やはり一度立ち止まって考えるのは悪いことではないと思いますよ。

これもいいかげんヒドイぞ!



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