目 次
多くが天皇に親近感を持つ今こそ議論を
この4月30日に天皇陛下が退位され、翌1日に皇太子が新天皇に即位されました。時代は令和へ。祝賀ムード一色でしたね。
上皇陛下が30年にわたって上皇后とともに、象徴として積み重ねてこられたお気持ち行いを、多くの日本国民は自然に受け入れているように思います。
また、新天皇陛下ご夫妻についてのアンケートを見ると、7割以上の日本国民が肯定的な気持ちを持っているようです。
かつてないほど現在は、皇室と国民が近い関係にありますね。
でも・・・もう誰も覚えていないでしょうが、上皇陛下が天皇に即位された時は大変だったのですよ。
即位された日に、東京周辺には迫撃砲が飛び交い、ゲリラ事件は何十件も発生し、神社などには放火が相次ぎ・・・まあ大変でした。考えられないでしょ。
本当に時代は変わりましたね。
さて、上皇陛下は天皇時代の2016年8月に「お気持ちの表明」をされ、今日の譲位となったわけですが、当時は、誰も考えつかなかった事を仰ったのでえらい騒ぎとなりました。
「・・・象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ・・・」
この部分ですね。超高齢化が進む社会で、宮中祭祀はもとより、国民に寄り添う公務をできなくなってきても、尚、天皇であり続けるのが良いのか?
まぁびっくりしますよね、学者も政治家も、その思慮の深さに、事の重大さに。
この記事は、現在、誰もが皇室に親近感を抱いている今だからこそ、天皇が発信された皇室の危機に関する重大事を解説し、それを読んで欲しいと考え作成しました。
ちょっと長くなりますが、最後までご覧いただき、天皇制度をより深く考えるきっかけにしてもらえれば幸いです。
天皇に関する法的制度
日本国憲法の一条から八条までは天皇について書かれています。そう、憲法の一番最初に述べられているのです。
それから、皇位の継承の資格や順位などは別途、皇室典範に記されています。
日本国憲法 第一章 天皇
- 第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
- 第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
皇室典範 第一章
- 第一条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
- 第四条 天皇が崩じたときは、皇嗣(こうし)が、直ちに即位する
(一言一句にわたるまで細かく議論されているのですが、それらはとりあえず置いといて・・)
上の憲法や皇室典範の条文に述べられていることは・・・
天皇は日本の象徴であり、その地位(皇位)は世襲されます。
また、継承資格については・・・
- 男子であること
- その父親が天皇の血を引いていること(皇統)
この二点が絶対条件です。
それから・・
天皇が崩御された時は皇位継承第一順位のもの(皇嗣)が直ちに次期天皇として即位される
とだいたいこんなような内容です。
専門家や学者はともかく、私たち一般国民からすると、上の各条文を読んでも別に特別な印象や感想はないように思います。「ふ〜んそうなんだ」くらい。
ところが、これらの決め事は実は相当の絶対性を持っていると考えられており、そうではないこと(例外)を実現しようとすると、とんでもない揉め事に発展するのです。
「えっ、そうではないことってなんのこと?」
それは、今一番ホットな話題では「譲位」です。
皇位は譲位できないのに譲位された?
天皇からの問題提起
よくご存知のように、平成の明仁天皇(現上皇)は平成31年4月30日に譲位され、それに伴い、現在の徳仁天皇が令和元年5月1日に即位されました。
私たち一般の日本国民からすれば、こんなにご高齢になられるまでご公務をお勤めになり、国民に寄り添い続けられて、だれもが「ご苦労様でした。ありがとうございました。」という気持ちでしょう。
だから、徳仁天皇に交代されても、違和感を持つ人は、まあいないだろうと思います。
ところが・・・
上記の条文にはそもそも「譲位」という考え方はなく(排除されており)、皇位の継承は天皇が崩御された時だけと専門家を含め誰もがそう考えていたのです。
しかし、明仁天皇(現上皇)は「高齢化社会の到来に伴う譲位制」について問題を提起されたのです。
これを受け政府関係者や専門家・学者は蜂の巣を突いたように大騒ぎとなりました。なぜそうなったのでしょうか?・・・
- 皇位の継承は法律により決められていることであり天皇自ら判断することはできない
- 明治憲法以来、天皇の譲位については意識的にこれを排除してきた歴史があるのに天皇自らそれに言及された
そう、天皇からご発言されることがないはずのない事が問題として提起されたから大変です。
譲位に秘められた意思
明仁天皇(現上皇)は、民主主義国家日本の象徴天皇として憲法を遵守するとはっきり仰っていました。
ですから皇位継承についても、国会と内閣の判断に委ねるとも仰っていたわけです。
その同じお方が「譲位」について言及されたのですから、矛盾というか、ただただびっくりであったというのは想像に難くありません。2016年8月のことでした。
こういった言動に対し、反射的に明仁天皇(現上皇)に批判的な人たちが出るのは、ある意味しょうがないかもしれません。
なぜなら、今の日本の社会的な枠組みが破綻しないように、決めたこと(法律や決め事のプロセス)をみんなが守る、というコンセンサスがあるからです。
そう、天皇は内閣の承認を得ないで政治的な発言をすることができないのです。憲法で禁じられています。
でも・・・
そのことを天皇制にきっちりあてはめようとするなら、今後、天皇制を継続させる上で発生するかもしれない危機を、事前に皇族以外の人たちが認識管理解決することが前提でしょう。
遠い将来のことではなく、目の前の危機さえ天皇以外誰も気づかなければどうするんですか?
明仁天皇(現上皇)が「譲位」について触れられたのはそういう危機感の表れであったと思います。
それって具体的にどういうことなのか?・・・
明仁天皇(現上皇)は、テレビで見ている誰もが「ご高齢になられたなぁ」と実感するご様子です。加えて、陛下はガン手術や血管手術といった大病も経験されています。
本当にご高齢なのです。
現法律に従うと、仮に明仁天皇(元上皇)が100歳で崩御されたとしたら、徳仁皇太子が天皇に即位される時の年齢は74歳です。
74歳! 体調に大きな個人差が現れる高齢で新天皇として即位して、果たしてどれだけ期間ご公務をこなすことができるのでしょうか。
人生100歳時代の天皇制は、人生60年の時代には想像もできなかった問題に直面しているのです。
つまりは、陛下はそういう事をご心配されていたのです。
社会が、人生100歳時代に突入しようとしている時に、そうではなかった時代の決め事を適用するのには無理がある。
言われてみれば本当にその通りで、逆に、何故天皇がそこまで心配させられるのかって思うほどじゃないですか?
しかし、「では譲位を!」と簡単にはならない難しさ。
事態は動く
明仁天皇(現上皇)のお気持ちを受けて、手続き上の瑕疵なく譲位が可能になるように、14回!にわたる有識者会議の開催しました。
また、ヒアリング、全政党代表者での事前会議などを経て、政府は法案を作成・国会に上程して衆参両院の全会賛成をもって、やっと新法が成立し2017年6月16日に発布されたのでした。
このようなプロセスを経て誕生した「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」ですが、第二条にこう記されています。
第二条 天皇は、この法律の施行の日限り、退位し、皇嗣が、直ちに即位する。
つまり、陛下一代限りの退位を認める法律です。だから「特例法」。
しかし、これで陛下のご心配は解決し一件落着・・・とはいかないのです。
なぜなら、「特例法」で一時しのぎしただけで、実質的な解決には踏み込んでいないからです。
そこには「譲位」に潜む難しく面倒な問題が隠されているのです。
「譲位」の問題点
今回の天皇退位と新天皇即位の報道をご覧になって、「譲位」に何の問題があるのか?と思われるかもしれません。
ところが、歴史的に見ると、これがおおありなんですね。
今までに即位された天皇は126代。で、そのうち約半数は譲位されています。
しかし、今回の譲位とは違って政治的な思惑が背景にあるものが沢山で・・・
- 時の権力者に譲位を強いられた
- わざと譲位をしたのち上皇として院政を敷いた
などなど・・・
そんなことは昔の話であって、天皇が政治的能力を有しない現在の憲法下ではいらぬ心配に過ぎない。そういう考えもあるかもしれない。
でも、一旦、生前譲位が法律で認められれば、天皇の地位を利用すべく、どんな大義で交代させようという権力が現れるかわかりません。
どこの国でもそうでしょうが、日本にもややこしい権力亡者は一杯います。
もう一つ難儀な問題は、生前譲位を(どんな理由づけにせよ)天皇の意思で出来ることにすると、皇嗣が絶対的に即位せねばならないというのは、法律的にバランスが崩れてしまう。
つまり、片方(譲位する方)には自由意志があるのに、それを受ける方(即位する方)には自由意志が認められないことになるからです。
それって矛盾するでしょ、みたいな。
更にやっかいな問題は、生前譲位によって前天皇と現天皇が同時に存在すると、国民の総意は必ず両方を好意をもって歓迎するのか?という点です。
例えば、今の徳仁天皇が近い将来何らかの理由で生前譲位され、秋篠宮皇嗣が天皇に即位された状況を国民はどう思うと考えられますか?
下手をすると、賛成派反対派に分裂し、無責任なマスコミがこれを助長して、かなり大きな混乱を招く可能性もないとは言えません。
国民全体の象徴が分裂の象徴では本来の意味がなくなるわけで。
以上述べてきたように、「譲位」には難しい問題が内包されているのです。
そんなわけで、今回は皇室典範の内容を変更しないで、そこに付随する特例としたわけです。
でも、特例というからには一時的なものに過ぎず、皇位継承にかかる本質的な問題点を引き続き議論していく必要があります。
ということで、特例法には「付帯決議」というものがついています。
この中には、安定的な皇位継承を確保するための具体的な方策を早急に考えましょう、みたいなことが書かれています。
では次に、ズバリそのこと、皇位継承の危機について説明していきます。
皇位継承者が不在になる危機
上にも述べましたが、皇室典範の第一条には・・・
皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
こう記されています。
男系とは:夫婦のうち夫の方を辿っていく家系・血筋のこと
細かいことをさておけば、天皇の子のうち男の子が次の天皇になり、その天皇の子のうち男の子が更に次の天皇になり・・・・
こうやって継承されなければならないのですよ、と皇室典範の第一条に記されているのです。
ところが、それじゃ今後やっていけないという状況が近づいており、議論が活発化しているのです(その割には前進しないけど・・)
5月1日に行われた剣璽等承継の儀をニュースでご覧になった方も多いと思います。
ご覧になって何か感じませんでしたか?
皇族でこの儀式の参加資格を持つのは「皇位継承資格のある成人の男性皇族」だけですが、何人いたでしょうか?
そう、二人です。たった二人!
しかも、そのうちのお一方常陸宮殿下は既に83歳、もうお一方の秋篠宮殿下は53歳。
これが何を表すかと言えば、実質的な次の皇位継承可能者は悠仁親王ただお一人という事実です。
この事実が突きつける意味は強烈です。2000年以上にわたって続いてきた皇位の男系継承が崩れるかどうかの瀬戸際なわけですから。
歴史上こういう危機はなかったのか?
実はありました、三度。
- 118代後桃園天皇が崩御された時皇子(天皇の男子)がいなかった
- 101代称光天皇が崩御された時皇子がいなかった
- 25代武烈天皇が崩御された時皇子がいなかった
これら3人の天皇は、22歳・28歳・18歳と、みんな若年で崩御されており、いずれの場合も皇女はおられても皇子はおられなかったのです。
じゃあどうして皇位の安定を図ったのか?
方法は一つ、猶子(天皇の兄弟・親戚の子)を迎え入れたのです。そして当然ながら、猶子として迎え入れる子は、その子の父の父の父の・・・・と辿っていけば必ず神武天皇にたどり着く子が選ばれたのです。
女性天皇の存在は?
はい、確かに7事例もあります。しかしこれらは、別の一例を除き、全て中継ぎ登板なのです。
つまり・・・
- 天皇予定皇子が幼少すぎる
- 候補者が数人いてすぐには決めかねる
というような理由で、繋ぎとして即位されたのです。
猶子も女性繋ぎ天皇も、全ては万世一系を守るための先人の知恵です。こういう策がビシッと決まった大きな要因は何だったのか?
今、どうして改めて皇位継承問題が騒がれているのか?
GHQの犯した大罪
ここで述べるお話は・・なぜ万世一系の天皇制が危機に面しているのか・・に繋がっていく、敗戦直後の事情です。
戦後すぐ、各皇族たちは臣籍降下(民間人になること、現在は「皇籍離脱」という)すべきかどうか考えたといいます。
当時の東久邇宮総理は臣籍降下派で、要は、それが責任の取り方だと考えられていたようです。
その他の皇族の中にも臣籍降下を考えられてた方はおられるようで、それぞれに、戦中戦後の状況を鑑みて身の処し方を熟慮されたのでしょう。
しかし、多くの皇族はこれに反対し、皇族のままでいることを望んでいたようです。
「皇族には皇族の使命があるのに、それを捨て卑下して、時代の成り行きにへつらうような考え方は反対だ」(意訳)とお書きになった皇族もおられます。
ただ、その他多くの皇族がたの心中が如何であったかはわかりません。
しかし、そのような考えをぜ〜んぶ踏みにじったのがGHQです。何をやったのか?
GHQは、皇室の財産を凍結し、皇族が継続的に存続していくための経済パイプをぶった切り、その上で累進税率90%という無茶苦茶な財産税で(実質強制的に)皇室・皇族の財産を国有化したのです。
ここからわかるように、自らの考えなんて関係ないのです。皇族は、否応無しに無理矢理に臣籍降下させられたのでした。
その結果が現状の通りです。
以前、皇位継承の危機があっても猶子という策で乗り切ることができたのは、十分な数の皇族がいればこそのお話です。
しかも、十分な皇族の数があれば、女性皇族は一般人と結婚せざるをえないということもなかったのです。
しかし、絶対数が減り、しかたなく一般人と結婚した女性皇族は皇族の身分を離れなければならなく(皇室典範第十二条)、更に皇族の数は減っていったのです。
こんなに数を絞ってしまったら、男系継承を続けようとしても、そう遠くない日にどうにもならなくなるってわかっていたわけで、いくら戦争に勝ったからといって、日本の国体までも潰していいのかって話です。
さて、原因理由はともかく、皇位継承者不在の抜本的危機に日本国が陥ってしまった以上、私たちみんなが関心を持って、今後安定して皇位が継承される方策を検討していかなければなりません。
・・・にしても、何故政治家や有識者がこれほどいるのに話が前進しないのでしょうか?
皇位継承の危機
本当に大変な事態になっているのです。
徳仁天皇と同世代の皇室男子は秋篠宮皇嗣殿下お一人で、その下の世代でも悠仁親王ただお一人です。
しかも、悠仁親王の世代では皇室の全人数がたった4人なのです(愛子内親王・眞子内親王・佳子内親王・悠仁親王)。
その他は誰一人いないという恐ろしい状態です。
そして、悠仁親王以外は全員女性ですから、仮に3人とも一般男性と結婚するなら(今の法律では)皇室から離れなければなりませんから、皇室を構成する人は悠仁親王お一人になってしまうのです。
たったお一人ですよ!!!! お話をするご相談をする皇族が一人もいないのです。
こうなってくると、皇位継承どころか皇室そのものの存亡に関わる危機じゃないですか。それに、過去、何人もの皇族がなさってきた多くの公務も当然消滅せざるを得ないのです。
今更ながらもう一回言いますが、こうなることはGHQが皇族を締め上げた時からわかっていたことです。
もうとっくに呪縛は消えているのに、路線を変更できなかった政治家(与党だけではない)、むしろ呪縛の中にいることを望んでいるようにさえ見える新聞・テレビ。
あと半歩下がれば谷底に落ちてしまう状況なのに、進まない改革議論。
結局は見えない糸で「皇室消滅」へと引っ張っていかれているのか???
天皇と共に歩んだ2000年を守る方法
目前に迫る危機と対応のまずさを考えると怖くなるばかりですが、単なる一国民としては何もできません。
それはそうとして、具体的な対応策としてどのようなことが考えられるのか、それを説明します。
女性宮家
上記のように現行法下では、女性皇族が一般男性と結婚したら皇籍から外れるので絶対数が減っていきます。
それを食い止めるための方策として、一般男性と結婚しても皇族のままでいられる、とするのが女性宮家の考え方です。
しかし、話はそう簡単ではないのですよ。問題点が色々・・・
- 対象とする女性皇族を内親王までとするのか女王までとするのか
- 女性皇族が結婚した一般男性やその間に生まれた子供は皇籍に入るのか否か
喫緊の課題ではあるのですが、こうして問題を並べてみると、私にはどうしていいか、どう判断していいのか、実は真剣に考えてもわかりません。
多くの方も同じだと思います。
ただ直感的に感じるのは、少なくとも、ややこしい借金問題を抱える家の息子が(ここ数年のあり方も含め)皇族になるのは違うだろう、資質なさすぎだろうという思いは強いです。
皇室典範第6条に以下のように説明されています(全て嫡男系嫡出)
- 内親王・・天皇直系の子と孫にあたる女性皇族
- 女王・・天皇のひ孫およびそれ以降の代にある女性皇族
男系女子の天皇と女系天皇
女性皇族であっても、その父の父の父の・・・と遡り神武天皇に辿るのであれば、その人は男系なんだから女子であっても天皇になれるでしょ、という考え方が男系女子天皇です。(現行法では無理)
それそのものは男系として筋が通っているように思えますが、男系女性天皇のお相手が皇族にはいないので一般男性と結婚します。そうすると・・・
- その一般男性は皇族になるのでしょうか?
- その間に生まれた子は皇位継承権があるのでしょうか?
ね、問題は簡単に考はえられないのです。勿論現行法ではそうではありません。
さて、この男系女子天皇と一般男性の間に生まれた子が天皇になった場合、この天皇を女系天皇と呼びます。
女系天皇の男系は、お父さんである一般男性の父の父の・・・と辿って、そう、どこまで遡っても皇統ではありません。
延々と2000年以上にもわたって続いてきた皇統が切れてしまうのです。
よく皇室問題における世論調査ってあるじゃないですか。
その結果、国民の大半が女性皇族について肯定しています、とか。
これって意味あると思いますか?
何かを考えるためには、それに関する知識が沢山なければいけません。そうでなければ、それは考えではなく、単なる根拠のない想像や周囲の空気に流された結果になってしまいます。
そこらへんがわかると、何故マスコミは敢えて世論調査なるものを実施するのか、結果を公表するのか? その理由が見えてきます。
それにしても、どうしたらいいのでしょう? 何か妙案はないのでしょうか?
側室の役割の重大性
今年(2019年)の4月30日に放送されたNHKスペシャル「日本人と天皇」をご覧になった方も多いでしょう。
ここで驚くべき事実が報じられていました。
つまり・・・神武天皇以来即位した天皇の多くが側室の子で、過去400年に限って見れば、第109代・第124代・第125代の天皇以外全員側室の子だったというのです。
また、前大阪市長の橋下徹氏もプレジデントオンラインで「複数の配偶者が必要となり、男系男子による皇位継承には側室制度がワンセットとなる。これは否定しがたい事実である。」
こう述べておられます。
そうなんですね、側室なくして皇位継承を永続させることはできません。
しかし、これだけ歴史的に明らかになった事実をもってしても、現在では、それを支える有効な手段にはならないのです。
理由は簡単、まず、天皇が嫌がるでしょう。天皇も今の教育を受けて育ってこられています。同様に、大多数の国民も理解を示さないでしょう。
私個人は、この側室制度こそが歴史が教えてくれている良い方法だと思います。なんでもかんでも今の社会的常識をもって考えるのは、流石にそれは違うでしょう。
旧皇族の復帰と猶子
他に考えられる方法はあるでしょうか。
側室案が広く認められないなら、次に、現実的な案として、もっとも説得力があると考えられるのが旧皇族の皇籍復帰です。
上記の通り、無理やり皇室を離脱させられた(全てがそうではないが)11の宮家を、再度復帰させて、特に男系男子を復帰させるのは理にかなっていると思います。
もしくは、男系男子を猶子として受け入れるプランも有力ではないでしょうか。
というか、営々と続く男系を守ることができなくなる危機を、とりあえずでも回避する方法はこれ以外にはないのではないでしょうか。
にもかかわらず、かなり以前より議論の俎上に登っているにも関わらず、肝心の旧皇族方の反応がまるで見えないんですね。
あるジャーナリストは、「復帰の意思がない」などと雑誌に書いていましたが、意思があるないというよりも、旧皇族全体が黙っていらっしゃるという方が状況認識としては適切ではないでしょうか。
もっともっと本当に国全体が渇望する、という状況が鮮明にならない限り、復帰の意思はどなたも示されないような気がします。
ここが国全体の踏ん張りどころじゃないかという気がするのですが、安易に女系天皇待望論を唱えたりする人が現れたり、それを助長するマスコミがいたりするからどうしようもないです。
こういう議論をする人は一体何を見ているのでしょう?
皇室の歴史を見ると一般女性が沢山迎え入れられてます。明治天皇以降だけを見ても、皇后は全員民間人の女性ですよ、全員!!
ところがそれに対し、民間人の男性は歴史上ただの一度も誰一人として皇族になったことがないのですよ。
これこそが歴史を重ねた皇室の知恵です。
父親を遡っていけば必ず神武天皇にたどり着くことを守ってきたのは、一重に家系の問題であり、女性蔑視とは何の関係もないのです。
先にも申し上げましたが、何でもかんでも今の常識や考え方で理解するのは無理だし不適切です。
まとめ
この記事では皇位継承にかかる問題について色々と述べてきました。
特に以下の四点については、この際、多くの人の理解が深まればいいな、と考えています。
- 譲位に関する問題点
- どれほど間近まで危機が迫っているか
- 現在考えられている対策
- 容易に決定的な解決策が見つからない理由
このまま手を拱いていれば、間違いなく皇室はなくなってしまいます。
2000年以上続き、男系を継承してきた世界最古の血統です。これを途絶えさせていいものでしょうか。
一旦途絶えれば、途絶えた事実を消すことはできないのです。
こういう記事を読むと、こいつは右翼だって言う人が必ず出てきます。同様に、国旗に敬意を評し国歌を斉唱する人を快く思わない日本人結構いるから驚きです。
でも、私は特定の思想を持たないし、思想活動もしていないごく普通の日本人です。
国旗と国歌の話なら法律に従っているだけです。そう、国旗国歌法ってのがあって・・・
- 第一条:国旗は、日章旗とする。
- 第二条:国歌は、君が代とする。
ちゃんとこう記されています。一個人が好きとか嫌いとかって問題ではないのです。
私は法律に定められた国旗に敬意を表し、同様に定められた国歌を大きな声で歌います。
何故か? 日本人だからです。
もし、国旗国歌法内容が変更になり、国旗や国歌が新しくなれば、その新しいものに同じ心を抱きます。
何故か? 当然に法律を守る日本国民の一人だからです。
天皇や皇族に関しても基本的には同じスタンスで、加えて、2000年以上の歴史的重み、そしてニュースで目にすることの多かった現上皇と上皇后の国民に対する大きな功績が私の心を動かすのです。
最後に・・・
一人でも多くの日本人が天皇存続の危機に関心を持って、これまで幾多の困難を乗り切ってきた叡智を再びここで出し合えれば、そしてその結果、安定した存続を可能にするルールができる事を切に願っています。
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