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AirPods Proは弟をどれくらい超えたか?
Appleからこの10月にAirPodsの第二弾AirPods Proが正式発表されました。
ケースに入れた状態での見た目はAirPodsの兄貴みたいな風貌で一見似たもの同士ですが、どっこい、Proの名に恥じない大進歩を遂げております。
大きく変わった事の一つは、インナーイヤー型からカナル型になったこと。私は耳の負担感がないインナーイヤー型が好きでカナル型は嫌いです。
しかし、AirPods Proのカナル型には負担感を低減するためにある工夫がなされていたのでした。それとは?
また、今回のAirPods Proの最大の目玉はアクティブノイズキャンセリング機能で、周囲の音のみならず内側の嫌な音さえ消すという。噂に違わぬ効果はあるのでしょうか?
更に肝心の音ですが、最新のハイダイナミックレンジアンプとスピーカードライバ、そしてアダプティブイコライゼーションが奏でる音とは如何なる感動を呼ぶのか?
一方、操作感とか電話での通話感なんかはどうなのでしょう?
と、確認したいことがいっぱいでワクワク感が止まらなかったのですが、うちに到着したのは11月19日でした。
早速使い倒しましたよ!
装着をしてね・・・
- 交通量の多い道路を歩き
- 人でごった返すスポットを歩き
- 地下鉄に乗り
- Apple心斎橋店ではミニセミナーをAirPods Pro装着のまま聞く
などなど、一応必要十分な条件でスペックの確認をしてきました。
この記事ではそういったことを踏まえ、基本的な設定・操作とスペックに対する感想を、AirPodsとPowerbeats Proとの比較も交え詳しく解説していきます。
先に結論を書くとAirPods Proね、どの角度から見ても死角がないです。イヤホンは有線も含めたくさん持ってるけれど、一つとして代わりになるものがない。
毎日の暮らしの中で体の一部として溶け込んで、心地よい音楽や静寂を与えてくれる唯一無二の製品です。
AirPods Proを「最高」と表現しなければ「最高」を使う機会がないといっても決して言い過ぎではありません。
三機種のスペック比較
簡単にスペックを比較します。比較表を作成したのでご覧になりながら読み進めてください。
3商品とも制御チップはH1で、これのおかげで安定した遅延のないワイヤレス接続が実現しており、AirPods Proについてはリアルタイム・ノイズキャンセリングも制御しています。(ノイキャンについては後で詳しく)
音量のコントロールについて、Powerbeats Proは物理ボタンが本体についているのでできますが、AirPodsとAirPods Proはできません(iPhoneかApple Watchで行う、もしくはSiriに頼む)。
Siriに「音量を上げて」が慣れている人や、Apple Watchを装着している人は全然問題ないと思います。
防水関係についてはAirPods以外はIPX4相当です。そう、AirPods Proははっきり「IPX4相当」と明記されています。でもAirPodsも実質同等だと考えて問題なさそうです。
↑海外ではびっくりの実験をしていますが、実際、毎日ジョギング途中汗をいっぱい書いた状態で使用していても何の不具合も起きていません。
結論:三機種とも耐汗性能は問題なし。
次は再生時間。これはPowerbeats Proが抜きん出ていてフル充電で9時間。それに対してAirPods Proは一番短くて4.5時間。
大きな差に見えますが、私はPowerbeats Proにアドバンテージがあるとは思いません。その理由は、そもそも連続して9時間も聴かないということ。
ハワイへ向かう飛行機の中で休みなく聴き続けるかって話です。それに、聞いてない間はケースで充電されていて、ケース込みなら3機種とも再生時間は24時間です。
続いて重さと大きさですが、これは無視できない差があります。
AirPodsはこの点、並みもプロもあんまり違いは感じません。プロのケースが少し横長になったけれど、それでもジーパンの前ポケットに入ります。
本体の小ささと軽さは完全にAppleマジックです。このこだわりが如何に大きな付加価値を与えているか! 毎日愛用していればその恩恵をしみじみと感じます。
対してPowerbeats Proは大きくて重量もありますね。本体の21gはさほど気にならなくて合格です。でも、ケースは重くてデカすぎて、これは持ち歩く気になれない。
次は色ですが、AirPodsは並みもプロも白一色なのに対し、Powerbeats Proは表の通り4色の中から選べます。
それがアドバンテージになるかどうかは完全に主観の問題ですが、私は色の違いそのものに興味がありません。
色とは関係ないですが、AirPods兄弟のケースは傷がつきやすいです。表面がピカピカなのでキズ載せんがすごく目立ちます。
そういう意味では、後で紹介しますが、気になる方はケースカバーを使ったほうがいいかもしれません。
コントロール方法(曲のスタート・ストップ等)についてですが、AirPodsは軸の付け根あたりをタップし、Powerbeats Proは物理ボタンを押します。
対して、AirPods Proは「軸を指で挟んで押す」という方式で、これもAppleらしいというか今までにない方式ですね(後で詳しく説明)。
それぞれの方式の使いやすさは「好き嫌い」の違い程度で大差はないと思います。
本体で音量コントロールができるのはPowerbeats Proだけです。
AirPods兄弟はiPhoneかApple WatchもしくはSiriでコントロールします。
ワイヤレス充電については、AirPods兄弟は可能ですがPowerbeats Proは有線充電だけです。まぁこれも、個人的にはどっちがどうというほどのことはないと思います。
はい、そんな感じでザザ〜っと違いを確認してきましたが、次は音について違いを見ていきます。これはちょっと別建てにします。
三機種の音の違い
AirPodsとPowerbeats Proの音の違いについては以下の記事に詳しく述べているので読んでみてください。
で、いよいよ最も大切でお伝えしたいAirPods Proの音質についてです。
はっきりいってAirPods Proの音は相当進化しています。何がそんなに?
傾向としてはAirPodsの延長線上にありますが、AirPods Proの音はとってもバランスが良くてモヤがなくすっきりしています。
「低音が」とか「高音が」ってレビューは多いのですが一番大切なのはそこじゃありません。バランスです。
合唱団の指揮者を経験された方はよくご存知ですが、4つのパートが其々どんなにまとまったいい音を出していても、バランスが悪いと気持ち良いハモリには聞こえないのです。
それを踏まえてAirPodsの音質をもう少し突っ込むと、AirPodsよりも音の輪郭がよりはっきりして、だから音ごとの空気感や音楽全体の響きがよくわかるようになりました。
そして低音がより良く伸びるようになりました。音量をマックスにして聴くとよくわかるのですが、コントラバスとかキックの輪郭じゃなく芯の音が出ています。低域全体をブーストしてるんじゃなく、音そのものを再現しています。だから音像がボケないんでしょうね。
再度言いますが、それもこれもバランスが崩れない中での話です。
こういったバランスのよいどんな音楽にも合う高音質の実現したわけは・・・
- (新しく設計された)周波数帯を幅広くカバーする高偏移で歪みの少ないスピーカードライバとハイダイナミックレンジアンプの存在。
- 今あなたが聴いている音楽を一緒に聞いて、周波数帯別にレベル調整をして最適な状態で聞かせてくれる内向きのマイクロフォンの存在。
- 耳の形状に合わせて音楽を自動調整し、常に一貫した高品質の音楽を届けてくれるアダプティブイコライゼーションの実装。
この3つの仕組みがあるからこそ、高品質の安定した音楽を聞くことができるのです。
結果的に、聴いていてとてもバランスが良くナチュラルで疲れません。イヤホンは生活の友なので「疲れない」というのもまた重要キーワードです。(←これホント大事)
- バランスの良い音
- 聴いていて疲れない音
さて、AirPods ProがAirPodsをより進化させた音だとはわかりました。では、Powerbeats Proとの比較ではどうでしょうか。
AirPods ProがAirPodsよりも音の性格がより一層際立った結果、Powerbeats Proの出す音との違いはかなりはっきりしてきました。
別記事でも述べてますが、Powerbeats Proも非常に良いバランスで音を出しています。
両者を言葉で差別化するのは難しいのですが、例えて言うなら・・・
- AirPods Pro・・凛として涼しいはっきりくっきりな音
- Powerbeats Pro・・少し包むような温かみのある音
こんな感じでしょうか。
音だけでジャッジするなら引き分けです。どちらも個性があってバランスが良くていい音です。ですから、好みで判断すれば良いと思います。
但し、後でもう一度言いますが、トータルスペックでの比較なら圧倒的にAirPods Proに軍配をあげます、私は。
カナル型のイヤホンはイヤーチップを耳に差し込むと逃げ場のない空気が耳を圧迫するように感じたりしますが、AirPods Proではそれがありません。
理由は、本体に通気孔を設けて圧力調整をしているからです。これは地味に凄い。
ノイズキャンセリング機能
今回比較している3機種の中で唯一AirPods Proだけが持っている機能、それがアクティブノイズキャンセリング機能です。
AirPods Proが持つ機能の中でも目玉中の目玉。詳しくお話しします。
この機能ね、AirPods Proを耳に装着しただけで効果がオンになります(音楽を鳴らさなくても)。
実に特徴的な効果の現れ方で、外音が「消えますよ〜」という消えかたではなく、ホワっとす〜っと消えます。
当然完全には消音されません。また、一律な規則で消音されてはいないようで、例えば、外国人観光客で溢れかえっている道頓堀や心斎橋筋でも大勢の声が遠くに小さく聞こえます。
また車がバンバン走っている御堂筋の歩道を歩いていても、やはり騒音が遠くに小さく聞こえます。地下鉄の列車に乗って対抗列車とすれ違うときの大きな音も遠くで小さく聞こえます。
外音の音量に応じてもっと大きく聞こえるように思う場面でもそうでないところが不思議。
でも、すぐそばでトラックがアクセルを踏んだエンジン音や、隣を歩く坊やの「おかあさ〜ん」という音は遠いながらも割とはっきり聞こえ、地下鉄の車内放送も遠いながら7割〜8割くらいはわかりました。
時々耳からAirPods Proを外すとね、「わぁ、こんなに喧しいんだ」と外音の大きさにびっくりします。やっぱり効いてるんですね。
そういえば、カナル型特有の体とイヤーチップ部分に起因するイヤな雑音もほぼ全く聞こえないのが不思議だけど快適です。
音楽を聴くと外音はほぼ影響しません。ある程度は聞こえる時もありますが、それでも気にはならずボリュームをあげようとかは思いません。
また、ノイズキャンセリング機能そのものは、聴いている音楽には全く影響しません。ON/OFの切り替え時もそうです。
次に「外部音取り込みモード」にしてApple心斎橋店でのミニセミナーを聞いた時ですが、これがびっくりするくらいはっきり聞こえます。
AirPods Proを外し聞き比べを数回しましたが、「外部音取り込みモード」は音が大きくなるわけじゃなくて声がはっきり聞こえるんですね。それ以外の音(雑音)にはすこ〜しだけノイヤンがかかっているような感じ。
以上のレポートは誇張なんかは一切してなくて事実そのまんまです。
さて、こんなマジックみたいなノイキャン機能はどうやって生み出されるのでしょうか。
本体の中には、オーディオコアを10個採用したH1チップがあって、これが遅延のないオーディオ処理やノイズキャンセリングを実現してるんですね。(高速ゲームをやっていても遅延は感じない)
そして、音が消えるマジックは、本体についている外向きのマイクロファンが外部音を検知し、また、内向きのマイクロフォンが耳の内側の不要な音を検知するという合わせ技を使い、それぞれアンチノイズ機能で取り除くのです。
また、ノイズキャンセリング機能は毎秒200回という超高速で自動調節されて、音楽や通話など聴きたいものだけを聴けるようにしています。
さらに特筆すべきは繰り返しになりますが、ノイズキャンセリングモードから外部音取り込みモードへの切り替え時、或いはノイズキャンセリング機能そのものは、聴いている音楽に一切悪影響を及ぼしません。
モードの切り替えをしたいときは、本体の軸を長押しするだけです。
いやぁ〜、凄い機能が超便利なように都合よく使えるよう・効果が発揮できるように設計されていてただただ感心。いままでのノイキャン概念が覆る。
毎日使っていて「これはいい」と感じたことがあったので追記します。
AirPods Proを耳にセットするとそれだけでノイキャン状態になるのは先に述べた通りです。すると周辺の騒音はう〜んとデシベルが下がって、すごく思考力が上がるんです。
だから、移動しながら考え事をしたい時は、ノイキャン状態だけもらって音楽は聞かないんですよ。目的地に着くまでに考えをまとめて喋らなくてはいけない、なんて時にかなり効果的です。まぁ一回試してください。(12/2追記)
もう一つ、スタバで原稿作成したり、大きな集中力が必要な作業で外音に邪魔されたくないとき。作業効率が格段に上がります。(2020/3/10追記)
設定について
AirPods Proとその他の2機種ともiPhone(勿論iPadでもMacでも)との接続は簡単で、iPhoneの側でAirPods Proの蓋を開けるだけです。すぐにペアリングされます。H1チップのおかげですね。
一度ペアリングされたら、あとは耳に装着する都度自動でペアリングしてくれます。この相性の良さが地味ながら素晴らしいところ。
その上で、購入したらまずすべき事は↓↓
イヤーチップ装着状態テスト
AirPods Proにはシリコンイヤーチップが大・中・小と三種類用意されています。
このうち耳に一番合うと思われるものを装着してイヤーチップ装着状態テストを行ってください。耳に合っているかどうかを判定してくれます。
「設定」アプリ > Bluetooth > AirPods Pro
と進み、あとは以下の通りです。
長押しの設定
AirPods Pro本体を長押しで得られる効果の設定です。
初期状態では左右両方とも・・・
- ノイズキャンセリング
- 外部音取り込み
の切り替え変更になっています。
片方または両方をSiriに設定することもできます。私は左側をSiriに設定しています。
オーディオ操作
以下の操作はデフォで割り振られていて変更はできません。
- 本体の軸部分を押す(親指と人差指で摘む感じ):停止
- 再度軸部分を押す:ストップしたところから再生
- 軸部分を二度押す:次の曲を再生
- 軸部分を三度押す:一つ前の曲に戻る
軸の部分を押すとは「感圧センター」を押すことです。
実際にやってみるとすぐにわかりますが、押すたびにカチッと音がするので確実に「押す」動作を自分で確認できます。
ケースカバー
AirPods Proのケースは傷がつきやすく凄く目立つので専用カバーを被せておいた方がいいです。
たくさんの種類が出ているのですが、どれにしていいのかがわからないですよね。
ものによっては綺麗にはまらず少し隙間ができたり、ケースの蓋を開け閉めするたびに蓋のカバーが外れたりするものもあるので、どれでも良いというわけにはいきません。
そういう意味では、実際に購入して取り付けたりする検証がない記事の紹介文は全く役に立ちません。
私はこの↓YouTube動画を参考にしました。この管理人が全部購入して自分で確認しているので信頼が置けます。
そして、管理人が1位押ししていたのを購入しましした。なかなかいいです。
まとめ
いやぁ、本当に完成度の高いイヤホンができたものです。使えば使うほど感心するし価値の重みを感じます。
もう一度素晴らしい点をまとめておきますね。
- ケースも含め軽く小さい(毎日の生活の一部として使う上でメッチャ重要)
- 音の質感がしっかりして低音を軸としたバランスが良くそれでいて暑苦しさがない
- 耳に空気圧がかからない構造とイヤーチップの形状と柔軟性が優れており聴いていて疲れない
- ノイズキャンセリング効果と外部音取込機能が絶妙で取り外す必要がない
- どんなに騒音の多い場所でも装着のままクリアな音で電話通話ができる
最後に・・・
音を聞くのはあなた自身です。
人が「音がいい」だの「悪い」だのいったところで、あなたには関係がありません。是非ご自分の耳で確かめてください。
最終的には、判断する上で頼るものは自分の耳だけです。そう、人の聞こえる音とあなたが聞こえる音は同じではありません。
なんてことを言いながら、AirPods Proの音についてせっこらせっこら解説するのは、なんか矛盾ですね^^
でもまぁ、この記事が少しでも参考になったならとっても嬉しいですし、記事を作成した甲斐があります。
iOS14で進化したAirPodsの情報はこちらです。
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