- 煽り運転に巻き込まれない方法
- 煽り運転に遭った時の対処法
を説明します。
そして更に「煽り運転」について奥深くまで理解を進めるべく以下の項目について解説をしていきます。
- 被害者・加害者の立場と心理
- 警察に対する事情説明心得
- 煽り運転に関する法律と罰則
- 拡散行為と注意事項
それでは早速、具体的に詳しくお話ししていきます。
目 次
煽り運転に巻き込まれない方法とは?
一言で煽り運転といっても色んなパターンがあり、後で詳しく説明しますが、それらを組み合わせて「執拗に」繰り返す極めて危険な行為だと理解すればいいです。
もし煽り運転のターゲットにされて巻き込まれると、非常に危険に晒されるとともに、精神的に苦痛を受けるし、つまらん時間を取られるしで悪い事だらけです。
そして、その挙句接触されたり追突されたりしたら、車は修理行きになるし、自分や同乗者は病院行きになることもあるし、最悪命を落とす結果にさえなることもあります。
繰り返し煽ってくるような奴はまともじゃないし、道理も通りません。まさに手のつけられない異常者が煽り運転を仕掛けてくるのです。例え普段はそう見えない人であっても。
なので、日頃から、極力巻き込まれないように運転する事が何より大切です。
では、煽り運転に巻き込まれない運転とはどのような運転なのでしょうか? 以下に列挙します。
- 常に十分車間距離を取る(常に詰めていると前に煽られる)
- 前の車がイライラしているようなら特に距離をおく(刺激しない)
- 追い越し車線を走行車線と同じ感覚・速度で走らない(これやると一発で煽られる)
- 急ブレーキは絶対にかけない(そういう状態に自車を置かない)
- 後ろが急いでそうなら道を譲る(常に後方確認を怠らない)
- 縫うように走らない(車線変更を繰り返さない)
- 車線変更する時は早くウインカーを出す(変更と同時は絶対ダメ)
- マナーが悪い運転という反感をいだかかせない
- こちらに理があると思っても一歩引いて譲る(走行中の意思は運転に現れるので危険)
以上の9項目ですが、交通ルールの遵守・交通マナーの遵守・煽る可能性のあるドライバーを無駄に刺激しないという意味合いを持っています。
- 守るべきは守るという信念が我が身を助く
煽り運転を回避したくてこの記事を読んでくださった方の多くが、実は、上記9項目を無意識に犯してしまっている可能性があると推測しています。
もう運転を始めて35年くらいたちますが、毎日当たり前のように目にします。何が正しいのか当たり前なのか、わからなくなるくらい沢山沢山目にします。
本当にお互い気をつけましょう。
勿論全てを守って運転したとて煽りを受けない保証はありません。でも、確実にやられる確率は落ちます。
再度しつこく申し上げます。
- 目立つ運転をしない
- 刺激する運転をしない
俯瞰して常に状況を把握する運転
ずっと以前、三セクで府警本部の方達と仕事をした事があります。そこで、後に高速道路交通警察隊長(だったと思う)になった方から聞いた話です。
上手な運転とは・・・
- 常に前後左右を見て状況を動的に把握している運転
- その情報を元に俯瞰しているが如く自分を取り巻く車の動きを掴む運転
だそうです。
これを聞いてから、運転時には常に前方と3つのミラーを見るようになりました。そうすることで必然的に特定の車との車間距離が狭まるようなことはなくなります。
結果的に煽り運転に巻き込まれにくい運転になっていますね。
「上手な運転」・・とても大事です。
そこで次に、執拗に煽られてしまった場合の対策についてお話をします。
煽られた時の対策
人によっては強い恐怖心を抱く場合もあるでしょうが、冷静にやるべきことを実行してください。
ドライブレコーダーは必須
- 事前に車の前後にドライブレコーダーを装着
この手の事故・犯罪対策で何が大切かというと、それは証拠です。証拠こそ全てと言っても過言ではありません。
証拠があなたを救うのです。パトカーが到着して慌てて加害者が逃げても、全く無問題です。
ドライブレコーダーには、加害者の車種・ナンバー、それに加害者自身の特徴、脅迫の様子等がばっちり写っています。言い逃れの余地がありません。
逆に証拠がないと問題は一挙にややこしくなってしまいます。
あなたが未搭載であるなら、一刻も早く車の前後にドライブレコーダーを取り付けてください。
煽られた時の対策
- 出来るのであれば人の多い場所に駐車する(コンビニ・PA・SA)
- 土地勘があるなら警察署や交番に直行する
- 強引に路上で停車させられた場合は極めて危険なので最悪でも路側に移動停車する
- ドアはロックし窓もドアも絶対に開けない
- 一切の挑発に乗らない
- 仮に腕に自信があっても木刀のようなものを積んでいても立ち向かったりしない
- 停車しロックを確認したら即警察に電話し到着するまでは何があってもただじっとしている
車内にアプローチされない・車外に出ない事の重要性
あなたが口論に弱いからではありません。あなたが喧嘩に弱いからではありません。
執拗な煽りをする異常者の相手をしても、あなたの為になる事は何一つないからです。
そしてもう一つ重要なことを忘れないでほしいのですが、相手をすることであなた自身が罪に問われるかもしれないことです。
護身用の木刀などを使ったりすると銃刀法違反で問われる可能性があるし、素手でもボコボコにやると過剰防衛と判断される可能性があります。
とにかく警察へ電話を
車を停車させたら、ロックを確認したら、とにかく110番です。どんな精神状態であっても恐怖でビビっていても何がなんでも110番です。
パトカーが来れば安全は確保されるでしょうし、電話している姿を見るだけで煽りドライバーは退散してくれる可能性があります。
- 煽りに巻き込まれない方法
- 煽られた時の対策
この二つについて説明をしてきました。
しかし奇妙なことに、煽り運転トラブルの現場では、双方が共に被害者であると考えている場合があるのですね。
なぜそう感じるのでしょうか? またそこから得られる「やってはいけない運転」とは?
被害者と加害者の立場(実は多くが車間距離が原因)
多くの場合、全体のスムーズ走行を邪魔しない運転に対して、いきなり幅寄せをしたり急ブレーキを踏んだりはしないわけです。
じゃあ、何が発端で「やった」「やられた」になるのか?
執拗な煽り運転に発展する大きなきっかけとして「車間距離」の問題が挙げられます。
前方を走るドライバーは、後方車が車間距離をとっていないと感じているにもかかわらず、後方車は車間距離をとっている(十分かどうかは別)と感じているケースが意外と多いのです。
これはご自身で試してみればすぐに納得がいきます。
こういった場合、前方走行車は「後続車近すぎ」と感じます。また、そういう事は日常的にあります。(違法な距離なら車間距離保持義務違反)
そして、ここから負の連鎖が始まるのです。
しかし、後方車ドライバーは「そんなに距離を詰めてないから加害者ではない」という意識がある。
一方、前方車ドライバーは「煽るから仕返ししたまでで私は被害者だ」という意識です。
もしくは、一旦譲って後方車を前に行かせて、そして、後ろから仕返し煽りをするケースもありますが、ドライバー心理は同じです。
さて、再度「煽り運転に巻き込まれない方法とは?」を読み返してください。
よく理解しているつもりでも、それは相手の立場に立った理解ではない事が往々にしてあります。
- 被害者意識を持たせない・・大事な心得です。
そもそも、車両同士の事故で一番多いのは追突事故です。
煽り運転の正当化
時々ネット上で「煽られる方にも責任がある」という論調を見かけますが、結論から言うと、煽り運転を正当化できるロジックは存在しません。
そもそも煽り運転は違法行為です。違法行為はどこまで行っても違法であり処罰の対象です。
先に「加害者と被害者の立場」でお話ししましたが、加害者は理屈をつけて被害者面することで自己納得するか免責を狙っているのかもしれません。
正当化のもう一つの立場として、「私のように運転してればそもそも煽られない」という、自分を優良ドライバーとしたい心理でしょう。
いずれにしても煽り運転は危険な違法行為であり、許されるものではありません。
加害者の特徴と煽る心理
車間距離が故意じゃなくても意外と近いケースが多いことと、それがトラブルの元に発展する場合が多い話を上でしましたね。
ここではもう少し幅広い話として、加害者になる人の特徴と、なにをもって煽りに走ろうとするのか、その心理とは? を簡単にお話しします。
性別・年齢と車種
- 性別:男性96% 圧倒的!
- 年齢:40歳代27%、20歳代22%、30歳代20%、つまり20〜40歳代で70%
- 車種:高級車ドライバーに加害者傾向がある(逆に被害車は軽・コンパクト・ハッチバックで46%)
加害理由
- 通行の邪魔をされた・スピードが遅い35%
- 割り込み・追い抜きをされた22%
- 車間距離を詰められた8%
- クラクションを鳴らされた5%
- 車線変更をした(その他)
加害心理
- やられたらやり返す心理
- 邪魔な車を排除したい心理
どうですか? やっぱり「煽り運転に巻き込まれない方法とは?」に帰らざるを得ないでしょう!
警察沙汰になった場合の心得
煽り運転をされ、暴力行為を受けたり、或いは物損・人身事故になった場合は警察のお世話にならざるを得ません。
こういったケースにおいて、無茶苦茶に大切な心得があります。ここで是非とも覚えておいてください。
- 感情を露わにしない、ましてや激昂しない
- 口を動かす前に(相手を問わず)まずは人の話をよく聞いて理解する
- 聞かれている事の要点を簡潔に話す
警察は状況判断をする為に、話の内容以外もよく観察しています。自ら自分を不利になるような言動や振る舞いをするのは、どう考えても得策とは言えません。
事故った場合の加害者側の保険会社に注意
もう随分前の話ですが、残業でかなり遅く帰宅したときの出来事です。
国道1号線という大きな道路を右折すべく停車していて、信号が黄色になったので(矢印はなし)右折したら、猛スピードで突進してきた車が後輪にぶつかりました。
近くに交番があったので、すぐに駆け込み確認をしてもらいました。しばらくしてお巡りさんに小声でこう言われました「100%追突車の過失ですね」
その後、加害者側の保険会社が「10対0がわからないわけじゃないが、せめて1割だけでも過失を認めてもらえないか?」。相当しつこかったです。
細かい事は述べませんが、もしそういう目に遭って相手の過失が100%ならそのまま主張すべきです。
大きい事故であればあるほど絶対に相手方保険会社に妥協してはいけません。
交渉の過程で、自分側の保険会社が対応してくれない場合は(特に昨今のネット契約なんかは10対0なら可能性大)、他のことも含め弁護士に依頼した方がいい場合もあります。
こういうこともあるので、日頃から人間関係を大切にしてください。誰かいいアドバイスをしてくれる人がいますよ。
煽り運転の要件と妨害運転罪
煽り運転なんて相当以前からあったのに遅々として法改正が進まなかったのは不思議です。
しかし、2017年6月に交通史を揺るがすような無茶苦茶な煽り事故が発生し、これがきっかけとなって、ついに2020年6月に妨害運転罪ができました。
この事故と法改正によって、「煽り運転」が厳罰対象になるという認識は、相当広まった、浸透したといえるでしょう。
しかし反面・・・
- どのような運転が煽り行為と認定されるのか?
- どのような罰則が待っているのか?
という具体的な内容まで知っている人は少ないでしょう。
そこでこの章では、これらの点について詳しくお話をしていきます。
煽り運転に関する罪を妨害運転罪といいます。では、妨害運転罪が適用される煽り運転とはどのような運転を指すのでしょうか。
妨害運転罪が適用される煽り運転とは
以下の10の運転行為が該当します。
- 嫌がらせをしたく危険を生じさせる目的で対向車線にはみ出し走行する運転(通行区分違反)
- ターゲット車両の前に回り込んで不要な急ブレーキを繰り返す運転(急ブレーキ禁止違反)
- 車間距離を極端に詰める運転(車間距離保持義務違反)
- 急な進路変更・ターゲット車両前後での蛇行(進路変更禁止違反)
- 左側(路側帯)からや反対車線はみ出し等の無理な追い越し運転(追越し違反)
- 危険で執拗なパッシング(減光等義務違反)
- 威圧目的の不必要なクラクションの反復(警音器使用制限違反)
- 幅寄せや急な加減速(安全運転義務違反)
- 追い越した車両に対する嫌がらせ行為を含む高速道路本線車道での低速走行運転(高速道路での最低速度違反)
- 高速道路での駐停車(高速道路での駐停車違反)
改めて確認すると、誰もが知っている嫌がらせ行為ばかりですね。
こんな何の意味もない、大事故につながる迷惑行為をする神経がわかりません。当然厳しい罰則があって然るべきです。
妨害運転罪に該当する場合
- 上記10項目いずれかの或いは複数行為を行った者
且つ
- 明らかに故意で反復性がある場合
まぁですから、ケツにビタっとついてパッシングして、その後いきなりギリギリ真横をフルアクセルで前へ出て、ブレーキ踏んで低速運転したりしたら完全アウトです。
罰則
状況に応じて段階的に罰則の基準が変わります。
妨害運転罪が成立した場合の罰則
- 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金それに加えて免許取り消し
- 違反点数25点、欠格期間2年(過去歴ある場合は最高5年)
煽り運転で更に著しい危険を生じさせた場合の罰則
煽り運転の中でも、高速道路上で走行妨害目的で故意にターゲット車を停止ないし徐行させ暴力をふるい、更に事故を発生させたりした場合はもっと厳しい処罰が課されます。
- 5年以下の懲役または100万円以下の罰金それに加えて免許取り消し
- 違反点数35点、欠格期間3年(過去歴に応じて最大10年)
被害者が死傷させられた場合の罰則
煽り運転(高速・低速を問わない)によってターゲット車の運転手や同乗者が死傷した場合は、危険運転致死傷罪が適用されます。
- 被害者が怪我をした場合:15年以下の懲役(第3条)
- 被害者が死亡した場合:1年以上20年以下の懲役(第2条)
罰則の内容についての個人的評価は人それぞれでしょうが、私は、特に欠格期間の短さに不満を覚えます。
というか、一連の煽り運転という無茶苦茶をする人間が更生するとは思えないので、特に、過去歴がある場合は永久欠格でいいと考えます。
拡散行為と違法性
悪質ドライバーの情報をネットに晒す行為ね。色々見ますよね。
つまり煽り運転だけじゃなく、信号無視、右折ラインから直線ラインへの割り込み、当て逃げ、迷惑駐車などの動画や静止画をネットに晒す行為。
これらの拡散行為は悪質なドライバーの情報を多くで共有しようという目的ですね。
ただややこしいのは、悪ふざけや筋違いな腹いせなどで、悪質運転・煽り運転とは全く関係のないナンバープレートを晒したりする輩がいる点ですね。
いずれにしても上手にアップしないと、それがYouTubeであるにせよその他SNSであるにせよ、個人が特定されてしまう可能性があります。
そうすると、名誉棄損・肖像権侵害・プライバシー権侵害などの損害訴訟に発展する可能性がでてくるのですよ。
どう整理してどう考えるべきなのか?
個人情報とは特定の個人を識別できる情報
悪質者からみんなを守ろうとする情報開示行動と個人情報に関する問題ですが、ここに総務省の見解があります。
総務省は、車やバイクのナンバーは個人情報には該当しないというふうに述べています。(リンク先の10ページ)
合わせて、個人を特定できる運転手の顔などが写っていてもぼかしをかける等の措置を講じていれば個人情報には該当しないと書かれています。
どうしても晒したい気持ちと心得
あなたがドライブレコーダー搭載車を運転していて手酷い煽り運転を受けたとしましょう。
幸い事故もなく終わったが、あなた自身の気持ちが収まりつかない。そこで「ドラレコの画像をアップしてやる。このままで済むと思うなよ!」と考えた。
この仮定話はいつでも現実化する可能性があるし、その気持ちを私は否定しません。
ただ、どうしても「やってやる」と決心したなら、実行に移す前に再度この章を読み返してください。
司法社会はかならずしもあなたが想像している正義社会とも言えない部分があります。
訴訟を招く可能性があると思うなら、細心の注意を払う必要があることを忘れないでください。
まとめ
という具合でしたね。
実は、運転してから35年間、一度も煽られた事がありません。
客観的な理由はわかりませんが、常に心がけていたことは、いつも流れの中にいる(流れに同化しているような感覚)ことと、そして本文中でも説明しました「俯瞰的な運転」を心がけていたことです。
とにかく、自分を守る運転を心がけましょう。
運悪く煽り運転に絡まれた時は本文中の「煽られた時の対策」を落ち着いて実行しましょう。
この記事は基本、被害者側に立った説明をしていますが、あくまでも、こちらサイドはルールを遵守するという建前です。
それを破っていてはなんのことかわからなくなってしまいます。
煽り行為だけじゃなく別の危険行為も、例えば、運転中のスマホとか。絶対やめましょうね。
最後に、
警視庁・JAF・保険会社、計3つのリンクを貼っておくので、よければ参考になさってください。
車を運転するなら、あなたも他人事ではありません。「明日は我が身」ですよ。