目 次
防犯登録と様々なケース
自転車を購入したら必ず防犯登録をする必要があり義務です。
従前は登録は任意でしたが、平成6年に「自転車の防犯登録を行う者の指定に関する規則」が制定され、自転車登録制度として義務化されました。
自転車を自転車屋さんで新規購入すると、ほぼ間違いなくその場で説明を受けるとともに登録をしてくれます。
また、購入後引っ越しをしたり、自転車を売却したり廃棄処分にしたりした場合は、防犯登録もそれに即した変更や解除が必要になってきます。
一方、販売店がネット上の場合やフリマで購入した自転車の登録手続きなんかはどうなるのでしょうか?
そこでこの記事では、自転車の防犯登録手続きの基本とともに様々なケースについても詳しく説明していきます。
更には、現在の自転車防犯登録が抱えるシステム上・制度上の多くの欠点や問題についても言及し理解を深めたいと思います。
事務的な手続き内容とともに「防犯登録制度」の実態も一緒に知っておくことは決して無益ではないと思います。
取り扱いは各地方自治体でまちまち
まず最初に知っておくべきはこの点です。乗用車などの登録とは違い都道府県がそれぞれバラバラに管理しています。
従って、都道府県を跨ると登録内容の確認に時間がかかるし、他の都道府県に引っ越ししたり、他の都道府県から自転車を買ったりした場合の登録や変更手続きも独特の面倒さがあります(あとで詳しく説明)。
更に、手続きに伴う手数料も各自治体でバラバラです。(調べた限りでは新規登録の場合、東京500円が安く北海道650円が高い)
自転車購入店での防犯登録
最初は一番ポピュラーであろうと思われる、店舗で自転車を購入した場合の防犯登録についてです。
登録手続きに必要なもの
- 購入する自転車:本体に刻印されている車体番号が登録時に必要。また、「防犯登録シール」を車体のフレームに貼り付けなければならない。
- 自転車の車体番号が記載されている領収書
- 公的機関が発行する身分証明書:免許証・パスポート・学生証・健康保険証・外国人登録証明書など
- 手数料
自転車屋さんで買ったら、お店で(購入とセットで)ちゃんと説明してくれると同時に手続きもしてくれます。
そしてこの際発行してくれるのが「防犯登録カード」で、変更手続きなどの際に必要なので、また、もし紛失するととっても面倒なので大切に保管しておく必要があります。
<重要>防犯登録カードは大事に保管しておく
有効期限
防犯登録データには保管される有効期限(年数は都道府県によって違う)があって、それを経過すると登録データは抹消されます。
なので有効期限後は再度新規登録をする必要があります。(登録手数料が必要)
もし自宅の電話番号で登録した場合、何らかの都合(特に引越し)で番号が変わると警察からの連絡を受けられなくなるので、当然変更登録しなければなりません。
が、変更をうっかり忘れる可能性もあるので、できたら最初からスマホの番号を電話登録しておくほうがいいと思います。
登録抹消
将来、廃車や譲渡・転売などで所有者としての登録が不要になった場合は抹消手続きが必要です。
特に、譲渡・転売時には登録抹消をしておかないと、新しい所有者が登録する事で二重登録となり好ましくありません。
また、他の都道府県に引っ越しする場合もその前に登録を抹消し、引っ越し先で新たに再登録する必要があります。
抹消手続きに必要なもの
- 自転車本体
- 防犯登録カード
- 公的機関が発行する身分証明書(免許証・パスポート・学生証・健康保険証・外国人登録証明書など)
- 手数料(都道府県による200円〜250円程度<大阪府は無料>)
手続きをする場所
下のいずれかの場所。
- 購入したお店
- 最寄りの警察署防犯係生活安全課(受け付けない都道府県もあるので事前に確認する必要がある<大阪府は可能>)
<重要>抹消手続きは登録した都道府県でしかできない
購入店以外での防犯登録
ネットや通販で購入した場合は近所の自転車防犯登録所の看板を掲げている自転車販売店・ホームセンターなどで登録手続きをしてもらいます。
登録手続きに必要なもの
- 購入した自転車本体
- 保証書若くは販売証明書(販売店名・商品名・車体番号などが記載されているもの)
- 公的機関が発行する身分証明書(免許証・パスポート・学生証・健康保険証・外国人登録証明書など)
- 手数料
もし、必要書類に不備があれば防犯登録を拒否される場合もあります。
登録をお願いしたお店があなたを正規の購入者だと確認できない限り、盗難者じゃないか?と疑うことも考えられ、とってもめんどくさいことになります。
ですから、ネットや通販で購入する場合は、必ず保証書、保証書がなければ完全な販売証明書を受け取れるかどうかを、事前に確認することが大変大切です。
もし保証書がなければ販売証明書が必要なのですが、その販売証明書に証明能力が備わってなければ意味がありません。
どういう場合がダメなのか?
例えば、販売者の住所・事業者名・印鑑が全て印刷で、また、必要記入事項は記入されておらずそれをあなたが全て記入した場合、それって販売の証明になりますか?
そうであるとは言い難いです。ですから、ちゃんとしたものを添付してもらえるかどうかを先に確認しておくことが大切です。
自転車を使う場所が他の都道府県の場合の防犯登録
実際に使う地域の自転車防犯登録所で防犯登録を行います。必要書類は「購入店以外での防犯登録」と同じで、やはり、きちんとした保証書或いは販売証明書が必要です。
所有者の引越しや姓(氏)が変わった場合の変更届
自転車購入後、既に防犯登録をしている方が、引越しで住所や電話番号が変更になった場合、或いは、結婚で姓(氏)が変わった場合などの変更届の方法についてです。
先に述べたように都道府県別に管理しているので、他の都道府県に移動しなければ登録番号は変わることなく、登録した内容のみ変更となります。
同一都道府県内に移動した場合の変更手続き
登録変更に必要なもの
- 防犯登録カード(先に「大切に保管してください」と記したのはこういう時のためです)
- 公的機関が発行する身分証明書(免許証・パスポート・学生証・健康保険証・外国人登録証明書など)
- 手数料(都道府県によってまちまち<概ね200円〜250円、大阪府は無料>)
変更手続きをする場所
以下のいずれかの場所で行います。
- 自転車防犯登録所(自転車防犯登録書の看板を掲げている自転車販売店・ホームセンターなど<購入店で行うのがベスト>)
- 最寄りの警察署防犯係生活安全課(都道府県によっては受け付けないところもあるので事前確認が必要)
警察署については、例えば東京都や近畿では奈良県や兵庫県は受け付けません(大阪府は受け付ける)。
なので、事前に管轄の警察署か自転車防犯協会で確認してください。
それに変わるもの(保証書・車体番号が明記された領収書など)が必要です。
他の都道府県に移動した場合の変更手続き
まず先に購入したお店(若くは転居前の警察署)で必ず抹消手続きをしておいてください。
つまり、旧住所での抹消 → 引っ越し → 新住所での登録という流れになります。
登録変更に必要なもの
- 自転車本体
- 防犯登録カード
- 公的機関が発行する身分証明書(免許証・パスポート・学生証・健康保険証・外国人登録証明書など)
- 手数料(新規登録と同じ)
変更手続きをする場所
- 転居先近隣の自転車防犯登録所(「自転車防犯登録書」の看板を掲げている自転車販売店・ホームセンターなど)
譲り受けた自転車の防犯登録
フリマやネットで中古自転車を購入した場合の手続きについてです。
自転車の防犯登録では「名義変更」という概念がなく、新たな登録番号での登録手続きとなります。
なのでここで大切なことは、前所有者の登録を抹消してもらってないと二重登録になってしまうということです。
二重登録状態のままで仮に盗難にあって届出をすると、前所有者が事情を聞かれる可能性があるとともに、現所有者も前所有者との関係や真なる所有者の証明を求められたりする可能性があります。
そんなややこしいことにならないためにも、必ず登録抹消していることを確認した上で自転車の入手をしましょう。(登録データは個人情報なので原則本人以外は抹消できない)
登録抹消と正当な譲渡の確認方法
例えばネットなら、商品の説明箇所に以下の書類の写真が添付されていれば確認できるのでOK。
- 防犯登録抹消済みの証(手続きの控え)
- 旧防犯登録カード
- 譲渡証明書作成の準備(決まったフォームはなく記載要件が満たされていればなんでもいい<フォームはこちら>)
<重要>防犯登録シールを添付されたままの自転車は基本買わない!
登録に必要なもの
- 自転車本体
- (前所有者が持っている)登録カードの控え
- 譲渡証明書
- 公的機関が発行する身分証明書(免許証・パスポート・学生証・健康保険証・外国人登録証明書など)
- 手数料(新規登録)
手続きをする場所
- 近隣の自転車防犯登録所(「自転車防犯登録書」の看板を掲げている自転車販売店・ホームセンターなど)
防犯登録は原則購入したところでするのがベストです、たとえ通販であっても。
なぜなら、自店で購入していない自転車の登録は、お店側からすると単なる手間以外の何者でもないからです。それに個人情報の管理を担うという理不尽さもあります。
つまり、手間に見合うだけの報酬が自転車防犯登録所たる自転車販売店に支払われてないのです。
それのみならず、そういう登録希望者の中には自転車の所有者として特定できるものを所持していないケースもあり、依頼人が尊大だったりすると非常にややこしいことになりかねません。
勿論引越しの場合はお願いしなければしょうがないです。
システムや制度上の欠点
実は致命的な大きな欠点を持っています。それは「防犯」とうたいながらその役割が全く果たせていない点です。
そうでしょ。盗まれて届け出て、そして運良く見つかって登録のおかげで自転車や所有者を特定できて戻ってきても、それって全部盗られた後の話じゃないですか。
「防犯」の意味はどこにある?
もう一つ大きな問題としてもっと根源的なことですが、警察の情報登録保持期間は有限です。また、登録ステッカーは経年劣化で判別不能になる恐れがあるし、そもそも剥がされれば終わりです。
つまり、せっかく登録していても、いざ照会をかけた時に登録内容がなかなかわからないという事態も発生するのです。
さらにもっと根源的な欠点を指摘すれば、登録当初警察は内容の確認を郵便などで行わないため、仮に誤入力してしまうとデータが全く役に立たないばかりか、所有者に迷惑をかけてしまう事態すら想定されます。
次に制度上の問題点ですが、新規登録にせよ変更登録にせよ手数料を取られます。
全国何千万台という自転車の手数料はどこへ行ったのでしょうか? 誰か知っている人はいますか? いえ、ただの一人もいないのです、関係者以外は。
交通安全協会の闇を思い出しませんか?
まとめ
自転車の防犯登録に関する、主に手続きを中心に説明する記事でした。
本文で詳しくお話ししましたように、とにかく欠点の多い制度です。
その中でも運輸省などが一括管理しないで都道府県任せにしている事に起因する欠点はかなり強烈にひどいものがあります。
全国ベースのデータ一元管理であれば不要なはずの、引越しに伴う登録抹消→再新規登録なんかは迷惑以外の何者でもありません。
また、都道府県単位の管理であるため、跨ってのデータ照会にはどうしても不要な時間がかかってしまいます。
勿論、義務であるし、それに実際に役に立つこともあるので登録は必要です。でも国は責任を持って法の精査と改善をしなければなりません。
最後に・・・
防犯登録は先に説明しましたように「防犯」の役目は果たしていません。そう、防犯は自分で行わなければならないのです。
高価な自転車ほど盗難に遭うと戻ってくる確率が低いと言われてます。また、一番盗難に遭う場所は(意外にも)自宅であるというデータもあります。
年間20万件以上もの膨大な自転車盗難事件発生件数です。
施錠など、しっかりとした盗難対策とともに、高価な自転車であれば盗難保険の検討もしたほうがいいかもしれません。(ただ、年間盗難件数が非常に多いため保険料はあんまり安くはありません)
あっそうそう、自転車に貼った防犯シールをその状態で写真に撮っておいてください。役に立つかもしれません。
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