奮起湖へのアクセス方法
最初にアクセス方法の解説をしておきますね。
奮起湖へは以下の4つの方法で行くことが出来ます。必要に応じてリンク先に飛んで確認してください。
- 台湾新幹線の嘉義駅からバス(7329阿里山線-A線)に乗る:時刻表・運賃表
- 台鉄嘉義駅からバス(7322阿里山線-B線)に乗る:時刻表・運賃表
- 台湾新幹線嘉義駅から台鉄嘉義駅に移動しバス(7322阿里山線-B線)に乗る
- 台鉄嘉義駅から阿里山森林鉄道の列車に乗る:ネット予約サイト・時刻表
駅間移動のBRT
新幹線嘉義駅から無料で台鉄嘉義駅までバス移動ができるので、これを利用するほうが便利な場合もあるでしょう。
新幹線の切符があれば、台鉄嘉義駅までBRTというバスが無料で利用できます。
注意点として、BRTは台鉄嘉義駅の裏側に着くので、陸橋を渡って表側にでてくる必要があります。
バス利用の場合
所要時間はどちらの駅からも約1時間50分です。
料金は、高鉄嘉義駅発:213元、台鉄嘉義駅発:175元。
一つ注意点として、7322・7329とも阿里山行きで、奮起湖は経由地です。しかも、経由しないほうが多いので、事前によく時刻表で確認しておく必要があります。
阿里山森林鉄道利用の場合
この場合は、事前にネット予約しておいく必要があります。
所要時間は約2時間30分です。
料金は、嘉義駅-奮起湖駅間:384元。
バス乗車がいいか?列車利用がいいか?
考え方は3つ。
- 発車時刻が自分の都合に合う方を選択する。
- 乗車時間が短いバスを選択する。
- 乗車金額の安いバスを選択する。
阿里山森林鉄道は、鉄道好きなら、奮起湖駅到着までにスイッチバックとループ走行が体験できるので、こちらを選択するという考え方もありますね。
もしバス利用なら、他の記事でも散々お話してますが、悠遊卡のような非接触型ICカードは必須です。
中国語か台湾語が話せる人以外は現金支払いはやめるが無難です。
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アクセスについての説明はこれで終了。では、いよいよ奮起湖の魅力を語りますよ!
奮起湖という村
湖がないのに湖?
空からの写真で見るとよく分かるのですが、奮起湖は山の斜面の少し平らな部分にすぽっと収まっているように見えます。
その形が、ちょうど塵取りのような三角形に見えるので、かつては「畚箕湖(塵取りのような形をした窪地)」と呼ばれていました。
つまり「湖」は「水をたたえた窪地」ではなく単なる窪地という意味だったのですね。なので、奮起湖周辺に湖はありません。
或いは、阿里山森林公園もそうですが、奮起湖周辺も霧がとても発生しやすく、その風景が湖に例えられたという話もあります。
「畚箕湖」ではあまりに字面が悪いので、後に同音の「奮起湖」に代えられたようです。
また、その姿から南台湾の九份と呼ばれたりしています。村の規模は九份のほうが大分大きいですが。
そうなのです、村を一周しても短時間で余裕でまわれます。
でも本家九份よりも標高が高く、台湾一高所にある村が奮起湖です。
森林鉄道鉄道敷設で奮起湖の運命が変わる
1895年から日本に統治されることになり、やがて阿里山に良質な檜の群生が発見され、檜を日本に運びたいがために鉄道が敷かれました。
この事実が、静かで穏やかな奮起湖の運命を大きく変えることになります。
蒸気機関車が奮起湖駅で石炭と水を補給しなければならなかったので、乗員乗客も同駅で一息つくことになります。
となるとそれに呼応するようにサービスが生まれ、そして賑わうことになったのです。
阿里山森林鉄道は嘉義駅〜阿里山駅間がたった66kmしかありません。にもかかわらず、木材を運んでいる当時はなんと7時間以上もかかったといいます。
蒸気機関車のエネルギー効率もたいがい悪いですが、悪条件の中を走らされるから、そりゃ短距離でも消耗したのでしょうね。
老老街
日本人観光客の多くは、持ち時間も限られているし、奮起湖駅周辺と老街を歩いて終わりというケースがほとんどでしょう。
でももし、少し時間に余裕があるなら、どの道でもいいので奮起湖駅から坂を下りていってください。ほんの10分もかからない程度です。
一番下まで歩くと「老老街」という看板があって、その小さな一角は味のある古村という風情です。
おそらく、鉄道で賑わうまでは、この場所が奮起湖の中心だったのかもしれません。
現在は、奮起湖駅周辺に人が集中してしまって、老老街はとても静かです。休日はわかりませんが、平日はお店もほとんど開いていません。
大姑媽珈琲で阿里山珈琲を飲もう
老老街には特に台湾人には有名な「大姑媽珈琲」というひなびたカフェがあります。
非常に味わい豊かな建物ですが、大正二年に建てられたと説明されています。100年以上も前の建物なんですね。
店主が栽培している珈琲の実を一粒ずつ手摘みし、自家焙煎して目の前で淹れてくれます。
奮起湖まで来て、この美味しい珈琲を飲まないのは、月まで行って地球の写真を撮らないのと同じ、若しくは満開の桜の樹の下まで来て目を閉じて開かない詩人みたいなもんです。
コーヒー豆も数種類販売しています。
私は単純に「最上級ってどんな味?」と興味を持って阿里山藝妓珈琲なる豆を買いたいと言いました。
すると奥さんが「そんなに高いの買わなくてもこれもあれも十分美味しいよ」みたいな事を仰ってました。
確かに飛び抜けて高かったのですが、後で調べて納得。世界でトップクラスの評価を受けている希少品種だって。
帰国後、家で飲んだ時の感想を書こうとしたのですが、どう頑張っても適切な表現が浮かびませんでした。
もう一つのカフェ「好望角珈琲」
もう一つカフェを紹介します。場所は老老街ではなく線路沿いです。
なかなか趣のある建物の屋上にあって時間の流れがゆったりした空間です。
コーヒーも美味しくて、スマホのニュースを見たり、時々席を立って下の風景を見たり。
急ぎの旅でない場合は、是非お立ち寄りください。
奮起湖はハイキング村
正にその通りで、周囲には滝や渓流、奇岩怪石など、ここならではの自然の景観を楽しむことが出来ます。
案内板が要所要所にしっかりと整備されており、また遊歩道も歩きやすくて高評価です。
遊歩道、いいですよ〜。
- 大凍山登山歩道
- 奮起湖杉林歩道
- 奮起湖木馬桟道
- 奮起湖桧木歩道
老老街から奮起湖駅の方を見て左手には有名な竹林の遊歩道があるので、あまりゆっくりしてられない方は、ここだけでも散歩してはいかがでしょうか。
少し高い場所から村を撮りたい
はい、そういう希望がある場合は遊歩道を「奮起湖観景台」まで歩きましょう。
宿泊するなら「奮起湖大飯店」
泊まるなら歴史ある奮起湖大飯店を当然のように推します。
日本統治以降の歴史そのものと言っても差し支えない当ホテルは、本当に一度は宿泊したい。
これ以上ない便利な場所で、ホテル内のレストランも美味しいです。
奮起湖はホタルが有名で鑑賞ツアーもありますよ。夏だけじゃなく、冬ホタルのツアーもあります。
宿泊予約間違いの怪
私も予約しましたよ。・・のつもりでした。
ところがカウンターで「名前よく似てるけど違うホテルだ」と言われましてね。
ここに泊まるのをメチャクチャ楽しみにしていたのでショックは大きかったです。
如何に年を食ったからと言ってこんなアホをするなんて信じられない。
結局予約した宿泊施設は奮起湖バス停の真ん前にあって、おばちゃんが一人で切り盛りする民宿のようなものでした。
おばちゃんいい人だったし、悪くなかったんだけど、、
奮起湖駅と奮起湖弁当
奮起湖駅は重要な駅だった
奮起湖駅は阿里山森林鉄道の中でも特に大きく重要な駅でした。
というのも、嘉義駅からスイッチバック一回、そしてスパイラル・8の字という獨立山ループを経て登ってきた蒸気機関車は、奮起湖駅で給水と石炭の補給をする必要があったからです。先にもお話したとおりです。
だから 停車時間は必然的に長くなり、乗員や乗客はここで休憩し、食事を摂るようになりました。
そうするとニーズが生まれ、それに伴うサービスも出てきたという流れですね。
また、元々奮起湖駅は貨物の集積場所でもあったので、賑わう要素が複数あって重要な駅だったのです。
現在の駅舎は、見た目でもわかるように、日本統治時代の木造のものから鉄筋コンクリート造に建て替えられています。
出入り自由 写真撮り放題
文字通り、駅舎もプラットホームも線路上も、どこでもどこからでも出入り自由です。
そして、プラットホーム横には蒸気機関車や客車が置かれていたりもするので、好きな角度から自由に写真を取ることが出来ます。
線路上で子どもたちと遊んでいるお母さんや、犬や猫を連れて線路上を散歩している人もいましたね。
運行している列車が近づいてきたら、そのときは勿論駅員さんが危険のないように誘導しています。
人は多いのですが、なんかいいですよね、どことなくのどかで。
列車は二駅先まで行くことができる
阿里山森林鉄道は阿里山駅まで通っているわけではありません。
度重なる災害で、今は奮起湖駅の先、多林駅から十字路駅までとなっています。
十字路駅からはスイッチバックの連続で面白いのですが、全線開通までもう暫く待つしかありません。
てか、空中写真を見ればよく理解できますが、鉄道なんか敷けない場所に無理やり敷いている上に台湾は自然災害の多い国なのですよ。
崖が崩れて線路は寸断するし、トンネルも崩落します。
これだけ長く部分運転が続くと、本当に全線開通の日が来るのか、なんだか不安になってしまいます。
奮起湖弁当
最初は麺
奮起湖といえば奮起湖弁当というくらい、池上弁当と並び超有名な弁当です。
食べ物販売の発端は上記の通り、乗員や乗客がここで下りて休憩するようになったことです。
ただ、当初から弁当を販売していたのではなく、当時は麺だったようです。汁そばをお盆に乗せて駅に運び、乗客が食べ終わったらお椀を回収していました。
弁当登場
戦後、林務局玉山林管処の福利委員会がその従業員に弁当を支給するようになったのですが、これが高温多湿の気候が影響して変質してしまう。
そこで、奮起湖で作られたものを利用するようになりました。
1960年代に入り、奮起湖で弁当が売られるようになり、これが安くてうまいと評判になりました。
奮起湖の観光地化と弁当の成功
そして1963年に観光列車「中興號」が投入され、奮起湖の人気が一気に爆発し、弁当も飛ぶように売れ最盛期は一日2000食も売れていたそうです。
それで『沒吃過奮起湖便當,彷彿沒到過阿里山(奮起湖弁当を食べずして阿里山に行ったとは言えない)』というフレーズまで流行りました。
自動車道完成でピンチ
しかし、阿里山への自動車道路が1980年代に開通すると、今までの活気が嘘のように人が遠のき、奮起湖弁当の一日の販売量も20個足らずになりました。
実際に乗車体験をすればよくわかりますが、元々走行出来ないような場所に無理して線路を敷いており、とにかく遅い。
加えて、JR在来線の線路幅より30cmも狭い軌道で、だから車内も狭いしおまけに曲線だらけで長時間乗ってられない。
そりゃ自動車道路が開通したら、みんなそっちを使うでしょって話です。
森林鉄道と弁当の巻き返し
ところが、鉄道は再起を目指し観光路線として着々として改善を図り、弁当も負けじと2002年には7-11と共同開発した奮起湖弁当がマスメディアに注目され復活の狼煙を上げたのです。
それ以降も節目節目に期間限定弁当を発表するなどして、これらがことごとく功を奏し、現在の安定した販売個数実績につながっています。
奮起湖弁当といえば奮起湖大飯店
現在は駅での販売はなく、ホテルや食堂で食べることが出来ます。
なので、好きなところで食べればいいのですが、私は断然奮起湖大飯店を推します。
奮起湖弁当といえば奮起湖大飯店と言ってもいいくらい切っても切れなく歴史があります。
今回私が食べたのは写真の通り↓、豚肉と鶏肉が乗ったものです。これは190元で一方の肉の乗ったのが160元。
豚肉と鶏肉は味付けが完全に別物で、味がしみて柔らかくてとても美味しかったです。そしてご飯がおいしい!
結構底が深く、どこぞの弁当みたいに上げ底じゃないので、いい具合にお腹が満足します。
奮起湖老街
超有名な老街
奮起湖駅を出てすぐ前にあるのが奮起湖老街です。簡単に説明すると商店街若しくはお土産店通りで全長は300mくらいです。
台湾の観光地にある老街としては超超有名です。
台北にあるお土産店とは違い地元色が強い商品が沢山軒先に並んでおり、これが大きな魅力です。
名産紹介
奮起湖周辺の名産といえばワサビや愛玉子や香糖(黒糖)、それに樹番茄(タマリロ)のジュースや阿里山珈琲や奮起福餅も有名。
また何故か甜甜圈というドーナツも有名で、確か列をなしているお店もありました。
街仔尾おばあさんの草仔粿という草餅の様なのもよく知られています。甘いあんこの入ったもの、切り干し大根&ネギみたいなのが入ったもの等数種。
あと鉄蛋というウズラの卵も名物。煮ては乾かしを繰り返し固く固くした食べ物で、一度口にいれるとやめられなくなります。中毒性高し。
食べ物以外にも色々あるので、ゆっくり見て回るのが良いかと思います。
個人的には「檜木」というアロマオイルの香りがとても気に入っていて、買ってよかったです。
本物の檜の香りを嗅いでみたら、とても想像がつかない芳香がするんですね。当然ですが、アロマオイルもそれと同じ香りです。
思い出に残る老街
気のせいかもしれませんが、人は一杯なのに、殺伐とした空気感がなく、どことなくのんびりしているのもいいです。
奮起湖まとめ
奮起湖の旅は、阿里山の高地にあるこの隠れた宝石のような地を訪れることで始まります。
老街の風情ある街並み、歴史を感じさせる駅、忘れられない奮起湖弁当の味、そして歴史を感じる老老街の風景。
これら全てが、奮起湖が台湾で最も魅力的な観光地の一つである理由です。
奮起湖への訪問は単なる旅ではなく、記憶に残る体験へと変わるでしょう。
この地の美しさと温かみを自らの目で確かめ、その魅力を是非とも体感してください。
しばしば「南台湾の九份」と称されるこの地は、その唯一無二の美しさで訪れる人々を魅了し続けています。
では、何が奮起湖をここまで特別な存在にしているのでしょうか。
この記事を通じて、その魅力の核心に迫り、訪れるべき理由を明らかにします。
遠方からの訪問者にとってアクセスはややし辛いのですが、ここで紹介する奮起湖の魅力が「訪れてみたい」という思いに繋がれば幸いです。