認知症の原因と検査方法そして効果的な対策を詳しく解説



藤原
世界における認知症患者の数は、2019年時点で5,500万人以上でした。

しかも、WHOによると、この数は2030年には約7,800万人、2050年には約1億3,900万人に増加すると、とんでもない予測がされています

日本でも、超高齢社会を迎える中で既に600万人以上の患者がおられ、2025年には約700万人に増加すると予想されています。

もはや対岸の火事だと傍観を決め込んでいる場合ではないのです。

認知症になりやすい人の傾向を知り、可能な限り予防対策を講じることは、あなたの人生にとってとてもとても大切なことです。

認知症になりやすい人の傾向

認知症を理解する(厚生労働省)

遺伝的要因

遺伝的要因に関して、アルツハイマー型認知症のリスクは特定の遺伝子の変異に強く関連しています。

例えば、APOEε4という遺伝子型を持っている人は、アルツハイマー型認知症発症のリスクが顕著に高いことが知られています。

この遺伝子変異を持つ人は、持たない人に比べて認知症になる可能性が高く、発症する年齢も早くなる傾向があります。

こういったリスクの有無を明らかにするApoE遺伝子検査という検査があります。後で詳しく説明します。

ただ、アルツハイマー病になるリスクが高いという検査結果が出たとしても、必ずしもそうなると確定したわけではありません。

生活習慣の改善や予防策の実施により、リスクを管理することが可能です。

生活習慣

生活習慣が認知症リスクに与える影響は、複数の研究で明らかにされています。

  • 喫煙:脳の血管損傷を促進しアルツハイマー病を含む認知症のリスクを高めることが明らかにされている。
  • 過度な飲酒:脳細胞の直接的な損傷を引き起こし認知機能の低下を加速させる。
  • 不健康な食生活:特に加工食品や高脂肪食の過剰摂取は脳の炎症を促進し認知機能低下へとつながる。
  • 運動不足:運動不足は脳の血流減少を引き起こし、神経細胞の損傷や死につながる可能性が高まり、認知機能の低下を招く可能性がある。

これらの生活習慣は相互に影響し合い、バランスの取れた健康的なライフスタイルへの変更が、認知症リスクを低減する上で効果的です。

持病との関連

糖尿病、高血圧、心疾患は、脳への血流を悪化させることで、認知症のリスクを高める可能性があります。

  • 糖尿病:高血糖が長期にわたり続くことで脳細胞が損傷し、認知機能の低下を引き起こすことが知られている。
  • 高血圧は:脳血管にダメージを与え脳梗塞や微小血管疾患のリスクを高め、これらは認知症への道を開く可能性がある。
  • 心疾患:特に心不全や不整脈は脳への十分な血流が確保されない状態を生み出し、認知機能への悪影響を及ぼすことがある。

これらの持病は、適切な管理と治療によって、認知症リスクの低減に繋がるため、健康管理の重要性が強調されます。

***

悪い生活習慣や持病が認知症のリスクを招くんだという説明をしました。

しかし、継続的な改善努力でほぼ確実にリスクは減らせます。

一番の問題は、それを自分に言い訳せずに継続できるかどうかです。全てはここにかかってます。

 

予防対策

健康的な食生活

健康的な食生活は認知症予防の基礎です。

バランスの取れた食事により、脳の健康を支え、認知症リスクを減らすことができます。

抗酸化物質を豊富に含む果物や野菜、オメガ3脂肪酸が豊富な青魚全粒穀物やナッツを日常の食事に取り入れましょう。

これらの食品は、脳血管を健康に保ち、認知機能をサポートします。

また、加工食品や砂糖の多い食品の摂取は、極力控えることが重要です。

実践的なアドバイスとして、週に数回は魚をメインのタンパク源とし、毎食に新鮮な野菜を盛り込むよう心がけることが推奨されます。

また、間食にはフルーツやナッツを選ぶことで、不健康なスナックの代わりになります。

このような食生活の継続は、心臓病血管病リスクを低減させ、脳健康への貢献をしてくれます。

定期的な運動

定期的な運動は、脳内の血流を改善し、神経の成長を促進します。

ウォーキング、水泳、ヨガなど、楽しんで続けられる活動を選びましょう。

週に数回、30分程度の運動を心がけるだけで、認知症リスクを減少させることができます。

気まぐれで、やったりやらなかったりでは意味がありません。ご自分のライフスタイルに合った持続可能な方法を実践してください。

お忙しいなら、行き帰りで一駅歩くだけでも、何もやらないよりも100倍ましです。

もし可能であれば、高強度インターバルトレーニング(HIIT)や筋力トレーニングの取り入れが非常に良いと思います。

これらは、脳への血流を改善し、認知機能の維持に役立つのみならず、睡眠の質の向上、ストレスの軽減、全体的な気分の改善にも寄与し、全てが認知症リスクの低減に結びつくのです。

十分な質の良い睡眠

質の良い睡眠は、脳の健康維持に不可欠です。

睡眠不足は認知機能の低下につながるため、快適な睡眠環境を整え、一定の就寝時間を守ることが大切です。

寝室を暗く静かに保ち、就寝前はスマホやPCの使用を避けるようにしましょう。

質の良い睡眠を得るための条件

  1. 7〜9時間の睡眠時間の確保
  2. 一貫した就寝時間と起床時間の維持
  3. 睡眠を中断しない環境の確保

ストレス管理

日常生活のストレスは脳に負担をかけます。

瞑想、深呼吸、好きな趣味の時間を持つことで、ストレスを効果的に管理しましょう。

ストレスを感じたときは、自然の中で深呼吸をする、音楽を聴く、友人と話をするなど、リラックスできる活動を見つけてください。

スマホは手から離すべし

だからといってスマホのゲーム熱中は問題ありです。

継続的な画面凝視はドライアイへ繋がります。

画面のブルーライトは、眼精疲労の原因になりますし、体内時計の変調の原因となり良質な睡眠の妨げとなります。

スマホべったりの場合は、特に注意が必要です。

知的活動の継続

知的活動の継続は、脳の構造と機能を保つために重要です。

研究によれば、新しいことを学ぶ活動は神経可塑性を促進し、脳の異なる部位間の接続を強化します

例えば、新しい言語を学ぶことや楽器を演奏することは、記憶力や注意力を高めることが示されています。

また、定期的な社会的交流は、感情的なサポートを提供し、ストレスを軽減することで認知機能を保護します。

これらの活動は、特に定年後の生活において、認知能力の維持に不可欠であり、日々のルーチンに取り入れることで、認知症のリスクを低減することが期待できます。

ピアノ演奏のおすすめ

知的活動の継続としてピアノの演奏を続けることをおすすめします。

楽譜を見て、指で弾いて、耳で聞く、これがワンセットなので同時に複数の感覚を訓練できます。

笛などの単音楽器は音の色である和音表現ができないので、そういう意味でも良い姿勢を保つためにもピアノは最適です。

今は音が良くて安価な鍵盤楽器が沢山あるので、そういう電子楽器でも十分です。

加えて、自分の伴奏に合わせて歌を歌ったら、更に効果的です。

定期的な健康チェック

年1回の健康診断を通じて、血圧、血糖値、コレステロールレベルをチェックすることは、認知症リスクへの関心を高め、改善や治療をする動機になります。

例えば、血圧が高い場合、適切な食事、運動、必要に応じて医薬品による管理を行うことで血管の健康を保ち、脳への損傷リスクを低減できます。

さらに、定期的な健康チェックを受けることで、生活習慣病の早期発見に繋がり、それらが認知症のリスク要因となることを防ぎます。

成功事例として、定期的な健康管理を行い、血糖値を適切にコントロールすることで認知機能の低下を遅らせた事例が挙げられます。

この方は、定期的な診察と医師のアドバイスに従い、食生活の見直しと適度な運動を取り入れることで、糖尿病を管理し、認知症リスクを減少させました。

このように、定期的な健康チェックとそれに基づいた生活習慣の改善は、認知症予防のための非常に効果的な戦略です。

健康診断を定期的に受け、潜在的なリスクを早期に発見し、適切な対策を講じることが、認知症予防において非常に重要となります。

 

認知症とアルツハイマー病の違いと検査

認知症の原因となる病気(厚生労働省)

改めてですが、認知症とアルツハイマー病の意味を説明します。

認知症は、記憶力、思考力、判断力、言語能力などの認知機能が衰え、日常生活に支障をきたす一連の症状です。

一方アルツハイマー病は、認知症を引き起こす最も一般的な原因の一つです。

アルツハイマー病は、アミロイドベータペプチドという老廃物が脳の内部に蓄積して脳細胞にダメージを与え、その結果発症します。

認知症の原因はアルツハイマー病以外にも、、

  • 血管性認知症
  • ルイ体型認知症
  • 前頭側頭型認知症

など、他にも多くの種類が存在します。

何れにしても、症状のないときから対策を講じるのがメチャクチャ重要なわけです。

そこで、それを事前に知る手段になり得る検査を2つ紹介します。

MCIスクリーニング検査

認知症の状況(厚生労働省)

MCIは認知機能の軽度な低下を示しますが、日常生活には大きな影響を与えない状態です。

もし、仮にあなたがMCIだったとして、日常生活に差し障りがないと軽視しているとえらいことになりかねません。

なぜなら、何の対処もしないでいると、その後約5年でMCI該当者の半数以上が認知症に進行すると言われているからです。

では、どうしたらMCIであるのかないのかを知ることができるのか?

実は、MCIスクリーニング検査というのがあります。これは記憶力や思考能力など、さまざまな認知機能を評価するための検査です。

この検査を通じて、MCIの兆候を早期に発見することができれば、生活習慣の改善や適切な治療によって、認知症への進行を遅らせることが可能になります。

また、MCIだとの診断を受けた場合には、定期的なフォローアップやさらなる継続検査が非常に大切です。

ApoE遺伝子検査

ApoE(アポリポプロテインE)は、脂質の代謝に関与するタンパク質で、アルツハイマー病のリスクと関連があることが知られています。

ApoE遺伝子には、主にε2、ε3、ε4の3つのアレル(遺伝子のバリエーション)があります。

これらは2つ一組で6パターンの遺伝子型を構成していて、検査によってどのタイプに属しているかを判定し、リスク度を4段階(健常〜MCIリスク高め)で評価します。

ε4アレルを持っている人は、アルツハイマー病を発症するリスクが特に高くなるとされています。

ApoE遺伝子検査は、個人のアルツハイマー病の遺伝的リスクを知ることができるため、予防につなげることが出来ます。

***

さて、これら2つの検査に関してですが、

MCIスクリーニング検査は、認知機能に関する現在の懸念がある場合に利用します。

一方、ApoE遺伝子検査は、今の状態ではなく、特に家族歴がある場合などに利用される検査です。

もう一つ、検査についてですが、可能性を見ることは出来ても、発症するかどうかはわかりません。

何科に行けば良いのか?

  • 脳神経内科・脳神経外科
  • 老年科
  • もの忘れ外来
  • 心療内科

以上のような科が該当しますが、必ず行く前に電話で確認をしてください。

 

検査の結果に真摯に向き合う重要性

ここで私が述べてきた予防対策を継続的に行って、そしてその結果、健康な生活が送れていればそれにこしたことはありません。

しかし、何かがきっかけで検査を受けることになり、「やや疑わしい」とか「遺伝的に可能性がなくはない」というような結果が出たらどうしますか?

ここでは、それを考えます。

結論を言いますと、放置する人は最悪です。自分の愛する大切な人達への裏切り行為です。それを念頭に以下を読んでください。

結果を直視する勇気

あなたが直面するかもしれない最大の試練の一つは、自分自身の健康に関する真実を直視することです。

特に、認知症のような深刻な状態が疑われる場合、その現実を受け入れることは容易ではありません。

しかし、どんなに恐ろしい結果が待っていようとも、それを自覚し、改善に向けての一歩を踏み出す勇気がなければ、その検査自体が無意味になってしまいます。

「まだ大丈夫だ」と自分を偽り、無茶な行動を続けることは、自分だけでなく、配偶者や子どもたち、愛する人たちにも大きな負担をかけてしまう可能性があります。

検査を受けること、そしてその結果を受け入れることは、あなたのためだけではありません。

あなた自身と、あなたの周りにいる大切な人たちの未来のためです。

結果を受け入れるからこそ対策も有効になる

認知症の診断を受けたとしても、それは終わりの始まりではなく、改善に向けた新たなスタートラインです。

早期発見により、適切な対策が可能となり、生活の質を維持、あるいは向上させることができます。

生活習慣の改善、適切な治療やサポートの利用など、改善に向けた努力は多岐にわたります。

それには、まず現実を直視する勇気と、前向きな姿勢が必要です。

このプロセスは決して一人で行うものではなく、家族、友人、医療専門家などと一緒にです。

早期発見と予防対策で深刻な事態を避ける

大切なのは、現状を理解し、自らの状態を管理すること、そして何よりも、自分自身と向き合い、改善に向けて努力を続けることです。

この努力は、あなた自身への最大の敬意であり、また、あなたを愛する人たちへの最大の贈り物でもあります。

認知症に直面するかもしれないあなたにとって、検査は恐れるべき終わりの告知ではなく、より良い明日への一歩を踏み出すための重要な手段です。

あなたができることは、現実を受け入れ、支援を求め、そして改善に向けて共に歩むこと。

それによって、認知症の旅は、一人ではなく、愛する人たちと共に乗り越えることができる試練へと変わります。

 

関連するサイトと書籍の紹介

  1. 認知症を理解する(厚労省)
  2. 認知症施策の総合的な推進について(厚労省)
  3. アルツハイマー病についての情報とリソース(Alzheimer’s Association)
  4. アルツハイマー病に関する記事一覧(NHK)
  5. アルツハイマー病・認知症の診断・治療(近畿大学病院)

 

 

結論

認知症予防は、個々人の日常生活に根ざした取り組みから成り立っています。

私たち一人ひとりが日々の生活習慣の見直しを行うことで、健康で充実した未来を築くことが可能です。

  • 食生活の改善
  • 適度な運動
  • 精神的な活動の継続

など、手軽に始められる予防策が数多く存在します。

この記事を通じて、認知症の予防が決して難しいものではなく、日々の小さな積み重ねで大きな差を生むことを理解していただければ幸いです。

そして、もし検査を受ける事になって、認知症が疑われるような結果が出た場合は、絶対に放置しないようにしましょう。

今なんともなくとも、「その今」が変わらないうちに手を打つことが何より大切です。

あなたとあなたの大切な人々の健康で活動的な未来のために、今日からでも予防に取り組んでみましょう。

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