目 次
キラーストレス
現代に生きる人すべてがストレスを感じているでしょう。しかも時々感じるのではなくて、連続していつもいつも感じている人が多いのではないでしょうか。
私も銀行員時代は常に強烈なストレスを感じていました。そして、いつもそれがお腹に来て下痢気味でとても辛かったです。
実はストレスそのものは太古の昔から人の心体に発生していたものです。しかし、それが原因で病気になったりはしなかったんですね。
太古のストレスと現代のストレスは種類が違います。現代型のストレスは人を死に追いやるケースさえあります。
さて、過日放送されたNHKスペシャル「キラーストレス」が非常に秀逸だったので、番組を見ていない多くの人にも知ってもらいたくて「キラーストレス」の記事を作成しました。
日常的なストレスがキラーストレスへと変わり、それが原因で
- 血管
- 心臓
- 脳細胞
- がん細胞
- うつ病
等とさまざまなところで取り返しの付かない悪影響を及ぼすプロセスとメカニズムの解明。
そして、どうしたらそのような最悪の事態に陥る前に回避できるのか、その予防法の探求をしていきます。
ストレス反応のメカニズムと影響
私たちは日日の生活において実に様々な場面でストレスを感じます。では、ストレスを受けた時に体内ではどんな反応が起きているのでしょうか。
実はストレスを受けた時に体内で一番早く反応するのは脳の中の扁桃体と呼ばれている部分で、恐怖や不安を感じた時に活動をする器官です。
ストレスで反応した扁桃体から発せられた司令は副腎に届き、副腎はストレスホルモンを分泌し始めます。
その結果ストレスで全身に反応が起こる事になり、これをストレス反応と呼びます。では、副腎から分泌されたストレスホルモンはどのような全身反応を引き起こすのでしょうか。
- 心拍数を早める
- 血液を凝固しやすくさせる
- 全身の自律神経を興奮させ、血管に巻き付いている自律神経が血管を締め付けて血圧を上げる
以上のようなものです。では何故ストレスはこのようなストレス反応を起こさせるのでしょうか。
ストレス反応は大切な機能だった
大昔の人間は自然とともに暮らしていました。周辺には様々な動物がおり、ある時は食料確保のために戦い、またある時は命を守るために必死に逃げたりしなければならなかったのです。
そこで、先ほど説明したストレス反応が非常に意味を持ってきます。つまり・・
- 瞬発力を発揮するためには心拍数の増加が必要です
- 瞬発力を発揮するためには血圧の上昇が必要です
- 敵に襲われて出血した時は、すぐに血を止めることが必要です
このように、ストレス反応は人間が生き続けていく上で超大切な機能だったわけです。それが現代ではどのようになっていったのでしょうか。
現代のストレスは危ない
現代では自然の脅威がなくなったにもかかわらず、ストレスに対する体の反応は残されたままになりました。
それが心理的な変化に反応するようになり、これこそが今を生きる私達のストレス反応なのです。
また、ストレスそのものも形を変えてきています。
大昔は、主に狩猟の時・戦いの時、そして逃走の時などにストレスが発生していましたが、それが過ぎ去れば消えてゆく一過性のものでした。
ところが現代社会に生きる私達の心では絶え間なくストレスが発生している場合が多く、一つ一つは小さくてもそれが積み重なって一定のレベルを超えると、心体に大きな障害を起こすと考えられています。
現代のストレスは大昔のストレスとは種類が違うのです。
ストレス反応暴走の恐怖
単純なストレスがどんどん重なって心を襲うと、やがてストレスはキラーストレスへと変化することがわかってきたのです。
実はその時、体内では非常に危険なストレス反応の暴走が起こっていました。
つまりストレスがキラーストレスへと変わると、副腎からは止めどなくストレスホルモンが分泌され、そしてこれが体内に蓄積します。その結果・・
- ものすごく心拍数が増加し血圧が上昇します。
- もしこの時大動脈が破裂すると即死に直結します。
- もし脳内で起こると脳出血が起こりやはり生命の危機につながりかねません。
キラーストレスの悪影響はそれだけにとどまりません。
キラーストレスと心臓
キラーストレスによる止めどないストレスホルモンの分泌は心臓にも影響を及ぼします。
ストレス反応によって自律神経が末端の血管を締めあげてしまうのですが、誤って心臓筋肉の血管までも締めあげてしまいます。
これは大問題で、心臓を動かす筋肉に十分な血液が流れないと健全な鼓動に悪影響を及ぼしてしまいます。
一方において、ストレスホルモンは心拍数をあげています。
つまり、キラーストレスは
- 鼓動の障害要因になっておきながら
- 心拍数をあげる
という無茶の原因となっているわけで、相反する両反応の同時進行は心不全に繋がるのです。
更にキラーストレスはがん細胞にありえない作用を及ぼします。
キラーストレスとがん細胞
絶え間なく多重のストレスがかかり続けると、がん細胞が急速に増加するメカニズムが明らかになってきました。
免疫細胞が正常に働いている状態ではがん細胞が発生しても、殆どはその増殖を食い止めることが出来ます。
実は、免疫細胞の中にATF3という免疫に関わる遺伝子があります。通常はATF3のスイッチはオフになっており、これが正常な状態です。
ところが、ストレスホルモンが増加して免疫細胞を刺激するとATF3遺伝子のスイッチが入ってしまい、その結果免疫細胞はがん細胞への攻撃をやめてしまうのです。
もし、ストレスホルモンが減少すればATF3遺伝子のスイッチはオフとなり、再び免疫細胞はがん細胞を攻撃し始めます。
しかし、ストレスホルモンが減少しなければATF3遺伝子のスイッチはオンのままで、免疫細胞は攻撃をしない状態が継続します。
そうなると、がん細胞はどんどん増殖をし続けて歯止めがかからなくなります。
ストレスが複合的に慢性的に体内に蓄積されていると免疫システムそのものに悪変化を及ぼして、ガンを悪化させていくのです。
キラーストレスは、特に害を及ぼす事無く体内に住んでいる細菌にも、とんでもない悪さをします。
キラーストレスと体内細菌
ストレスホルモンが体内に普通にいる細菌を恐怖の殺人細菌へと変化させ、それが原因で突然死へと繋がることもなるというお話です。
私達の体は約37兆個の細胞で出来ていると言われていますが、体内に住んでいる細菌を主とする微生物は100兆個を超えています。
このとんでもない数の細菌たちは常在菌と呼び、人間と共存していて通常は無害です。
こうした細菌は何かの原因で(例えば口内炎で出来た傷)血管に入り全身を巡ることがあります。通常は免疫機能で排除されますが、何らかの事情でその一部が血管内に住み着きます。
その状態だけで悪い影響が出るわけではありませんが、ストレスホルモンが加わると血液中の鉄分が切り離され、これを栄養素として細菌が大増殖します。
大増殖した細菌はやがて血管の壁を溶かし大出血へとつながります。
それが起こる場所により・・
- 脳卒中であったり
- 心臓発作であったり
- 大動脈破裂であったり
と、どれも突然死に繋がることを意味しています。
このように複数のストレスが重なると、ストレス反応が暴走して何の警告もなく突然体に危機的状況を発生させるのです。
以上の事例だけではなく、最先端の研究でキラーストレスの恐ろしさが次々と明らかになっています。
キラーストレスとうつ病
ストレスは心の病も引き起こします。ストレスと心の病といえば、やはりうつ病ですね。
しかし、一体どうやってストレスは現代の心の病の代名詞のようなうつ病を発症させるのでしょうか。
実は脳の中には海馬という記憶を司り感情にも関係する場所があります。うつ病になっている方の海馬を調べると萎縮して隙間ができています。
どういうことなのでしょうか。
ストレスに真っ先に扁桃体が反応し、その司令を受けて副腎がストレスホルモンを分泌させるお話は既にしました。
さて、ここで関連してくるのはストレスホルモンの一種、コルチゾールです。
コルチゾールは分泌されると脳に届いて吸収されますが、一定量以上になると脳の一部を破壊することがわかってきたのです。
変化が起きていたのは海馬を構成する神経細胞でした。ストレスを受け続けると海馬を構成する細胞の突起の数が減少するのです。
脳に必要以上にあふれたコルチゾールが海馬を構成する細胞の突起を蝕み減少させていたのですが、この損傷こそがうつ病発症に繋がる可能性の一つだと指摘されています。
太古の昔、緊急事態に対応するために心拍数を上げるなどして素早く体を動かせる状態を作ったのですが、緊急事態が去ればストレスホルモンの分泌は止まりました。
ところが現代では、天敵の代わりに人間関係や仕事上の問題が不断のものとしてのしかかり、絶え間なくストレスホルモンを出していなくてはならなくなりました。
このように、自然とともに暮らしていた時代には考えられなかったような現代のストレスが、コルチゾールの過剰な分泌を招き脳を破壊していたのです。
また海馬はうつ病の大きな原因である一方、記憶を司っている器官でもあり認知症にも非常に大きく関係しています。
副腎から分泌されるホルモンで、三大栄養素である
- 糖質(肝臓で代謝)
- タンパク質(筋肉で代謝)
- 脂質(脂肪組織内で代謝)
の代謝に関与する極めて重要な必須ホルモンです。またその他の作用として
- 免疫作用
- 抗炎症作用
などがあり非常に大切なホルモンです。ところが上記のように過剰分泌はうつ病の原因になるだけではなく、糖尿病のリスクをも増大させます。
マインドワンダリング
途切れないストレスと止めどもなく分泌され続けるストレスホルモン。そういった状態の悪化をさせる要因としてもう一つの仕組みが明らかになってきました。
それは我々人類に備わった記憶力や想像力です。例えば上司に大叱責させたことがいつまでも記憶に残り・・
- 過去の記憶として何度も何度もぐちぐちと思い出す
- 近い未来に再度同じことが繰り返されると考えてしまう
だれにでもよくあることですが、実は、こうした思考は非常にストレスを呼びストレス反応の原因になるのです。
このように現在ではなく過去や未来に頭を巡らせてしまうことをマインド・ワンダリング(心の迷走)といいます。
ある調査によると人は一日の半分近い時間をマインド・ワンダリングに費やしており、つまりその間ストレス反応がずっと続いているのです。
ほぼ無意識に行っているマインド・ワンダリングの負の連鎖は結局脳を蝕み心の状態を悪くすることになるのです。
現代社会の2つのストレス
現代社会で慢性的に起こるストレスには2通りあります。それは・・
- 「頑張る」ストレス
- 「我慢する」ストレス
の2つです。
「頑張る」ストレスはアドレナリンなどの放出によって心臓血管系など体の反応を引き起こします。
一方「我慢する」ストレスは落ち込みや不安などといった心の反応を引き起こします。
頑張るだけではうまくゆかず、我慢を重ねる状態が続くとコルチゾールが放出され、だんだん心が蝕まれてゆくのです。
ストレスに強い人弱い人
同じストレスを受けても強い人と弱い人がいますが、どのような違いでそうなるのでしょうか。幾つかの原因が考えられています。
1.ストレスに弱くなる原因として、幼少期の環境が大きな要因の一つと言われています。
子供の頃に受けたストレスが強いと、大人になってからの扁桃体が大きくなる傾向があることがわかってきました。
扁桃体が大きいと小さなストレスにも反応し、ストレスホルモンをどんどん出してしまいます。
子供の頃に受けた強いストレスは、将来のストレスの感じ方や受け止め方にも悪い影響を及ぼしてしまいます。
2.遺伝も要因の一つです。
3.性格
冷静さを失ってか〜っと考える人や、物欲が激しく手に入れるまでそれが頭から離れない人はストレスに弱いと言われてます。
ということは逆にゆったりとした心持ちで現状にある程度満足している人はストレスに強いといえます。
いずれにしても継続的にストレスがかかりストレスホルモンが分泌され続けると、体も心も蝕まれてゆくんですね。
では、複雑な社会環境下で心身ともに忙しい生活を送っている私たちは、どのようにすればストレスが引き起こす世界に陥らなくできるのでしょうか。
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ライフイベントストレスチェック
ストレスに一番最初に反応する器官は扁桃体でしたよね。しかし同じストレスでも住でいる環境によって扁桃体の反応の度合いが変わるのです。
複合要因に囲まれ忙しい環境下にある都会の住民が一番反応します。つまり、日常の刺激の多さが扁桃体の反応に影響しているのです。
太古の昔は狩猟時や獣に襲われそうになるといった時にだけ扁桃体が活性化していましたが、現代の都市生活においては常に活性化した状態に陥っています。
では、一体どれくらいストレスが積み重なるとキラーストレスになってしまうのでしょうか。
ストレスの重なり具合をチェックして数値化するライフイベントストレスチェックというテストがあります。
このチェック表にはストレスに繋がる様々な項目が並んでいて、それぞれの項目のストレス度が点数化されています。
この表でチェックした結果の合計点数が260点以上であったら要注意です。300点以上であったら重大な病気の可能性があります。
ここで一つ注意したいことは、嫌なことでなくても「変化」そのものが扁桃体の活性化に繋がると考えられていることです。
つまり、昇進や昇給、結婚や新築一戸建てへの引っ越しなど、望む方向へ事態が進んで嬉しさいっぱいでも、その「変化」自体が扁桃体の活性化に繋がるのです。
さて、危険信号が出ている人はそれを自覚して早期の対策を講じていかなければなりません。最新の研究はどのような対策と効果を見つけているのでしょうか。
いよいよ次からが対策です。
対策1 運動と延髄
適度な有酸素運動を継続することによってとても優れた効果が発揮されることがわかってきました。それは・・
- 過度な自律神経の興奮を抑えられる
- ストレスホルモンの暴走を防ぐことが出来る
- 結果的に心臓や脳や肝臓など体内の臓器を守ることに繋がる
というものです。では、どうして有酸素運動の継続がそんな素晴らしい結果を導くのでしょうか。
扁桃体が反応して出す電気信号は延髄を経由して自律神経に伝わり、或いは副腎へ伝わります。そして、この延髄の神経細胞の突起が多いと電気信号が過剰に伝わり非常にまずいことになるのです。
ところが、適切な運動を継続すると延髄に大きな変化が起こります。つまり延髄の神経細胞の突起の数が半減します。この突起の半減こそがストレス反応暴走を抑える鍵になるのです。
ここで非常に大切なことは、運動をやめてしまうと突起の数は元に戻ってしまうということです。ですから運動は継続的に行わなければなりません。
じゃあどれくらいの運動をすれば効果があるのかという話ですが、少し息が上がる程度の負荷がかかる有酸素運動を一回30分で週3回が目安です。
目安ということは最低それだけはしましょうということです。
一番手軽で継続しやすい運動はウォーキングではないでしょうか。ウォーキングについては別記事にありますので、是非合わせてお読みください。
対策2 コーピング
ストレス対策の2つ目でコーピングという手法です。
まずはリストアップです。
ストレスがかかった時にどんな気晴らしをすれば気分が上がるのか、その対策をリストアップしておきます。
この時のコツというか大切なことは、どんな日常的な些細な事でもいいので、質より量で出来るだけ多くリストアップすることが大事です。
「何かをする」コーピング
と同時に、
「思い描く」認知するコーピング
も有効です。
例えば、過去一番好きだった人とのことをひたすら思い出す、とか。(←私の得意技)
そして、いろんなストレスが掛かるたびに
そのストレスに見合った気晴らしを選択し或いは組み合わせて行いストレスの解消につなげていきます。
その結果、ストレスが減少したかどうかを自分で判断し、まだダメであれば気晴らしを続行したり別の気晴らしをしたりします。
このように自らのストレスの観察と対策を意識的に徹底的に繰り返すという手法がコーピングです。
もう一度申し上げますが、コーピングで大切なことは、できるだけ沢山書き出しておくことです。
そしてストレスを感じたら、コーピング一覧をすぐに取り出して、今のストレスに合う対策を行います。
そして、効果があったかどうかをその都度検証して学習効果として心に残しておくのです。そうすると同じようなストレスがかかった時に使えます。
もし効果がなければ別の対策に切り替えたらいいのです。
更に一歩進んだ方法としての数値化
広島大学で行っている医療プログラムですが、リストアップした行動の一つ一つを実践して
- どれくらいの達成感があったか
- どれくらいの喜びや楽しみがあったか
を10点満点で評価します。
どの行動がどんな成果に繋がるかを客観的にわかるようにします。それによって気分と行動の関係に気づくようにします。
もしある行動がよかったら、それを繰り返して習慣化してゆくのです。
こうした対策を行うことにより閾値下鬱(うつ病予備軍)の人の気分の落ち込み度合いが、健康的なレベルにまで回復するという実績を残しています。
ストレスを数値化することで心の健康を取り戻した人の脳を調べたところある変化があることがわかりました。
ストレスに反応して扁桃体が活動するときにもう一つ脳のある部分が強く活動するようになっていたのです。それは認知を司る前頭葉の一部です。
自分のストレスを認知しつつ対策を繰り返した結果、認知を司る前頭葉が活性化して扁桃体の活動を抑制し、これが心の健康を取り戻せた理由であると考えられています。
古い脳である扁桃体をコントロールしているのが新しい脳の前頭葉ですが、扁桃体が暴れすぎるとコントロールが効かなくなるので、再度コントロールを回復させる練習がコーピングです。
「そんなに活動しなくていいよ」と前頭葉が扁桃体にブレーキをかけるのです。
自分独自のコーピング手段を見つけ出す
いろいろ試す中で本当に自分に合う手段・方法を見つけ出すことが大切です。人からすればバカバカしく見えるとか、そんなことはどうでもいいのです。
- 繁華街に出てタイプの女性(男性)を10人見つける
- 雑草の上に腹ばいになってひたすら土の匂いをかぐ
- 50音(あいうえお・・)を10回言う
- 2時間5,800円のマッサージに行って癒される
- 車内が潰れるくらい大音量を流して車を運転する
- YOUTUBE見て好きな歌手にあわせて好きな歌を3曲歌う
みたいな感じです。ってこれ全部私のことです^^
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対策3 マインドフルネス
対策の最後は、今やヨーロッパやアメリカを中心にメンタルヘルス対策として企業や学校や刑務所がこぞって取り入れている手法で、マインドフルネスと言います。
その方法とは一切の宗教性を排除した瞑想で、やり方や注意点は・・
- 体の力を抜いて背筋を伸ばして座る。少し体を揺らして真っ直ぐな位置を確認する。
- 目を軽く閉じて顔の力も抜く。
- 呼吸に意識を向け、その様子を感じるようにします。
- この際呼吸をコントロールしてはいけない。
- お腹が膨らんだりしぼんだり鼻を通る空気の温度などをただ感じる。
- 体が自然にする呼吸を言葉にして心中で呟く。吸った時は「膨らみ」吐いた時は「縮み」
- 意識を呼吸に向けて自分の注意がそれを追いかけてゆく。
- 浮かんでくる雑念は考えない追求しないようにする。
- 常に今の瞬間の体や呼吸の感覚に意識を戻す。
- 最初は毎日10分程度から始める。
- 終了時は瞼の裏に注意を向けて目を開く
というものです。これって強制的に「今」を意識させてるんですよね。
今に注意を向けることでストレスが低減する理由
マインドワンダリングで説明したように、嫌な過去や未来に思いを馳せるたびにストレスを感じ、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されてました。
マインドフルネスでは意識を「今」に集中させることで、この悪い連鎖を断ち切ります。
悪い連鎖の切断は、記憶や想像でストレスが貯まりそれが原因で放出されるコルチゾールを抑えられる可能性があります。
コルチゾールが海馬萎縮の原因の一つで、うつ病発症のの大きな原因であると述べましたが、マインドフルネスを継続していると、海馬の一部が増加していることがわかったのです。
マインドフルネスを継続することで、ストレスで萎縮した海馬が回復する可能性が見えてきました。それと同時にストレスに反応する扁桃体が減少することもわかってきました。
扁桃体が減少するということはストレスへの過敏な反応が抑えられるわけです。
というわけで、最新の科学はマインドフルネスが、
- ストレスに蝕まれた脳を
- 幼少期に強いストレスを受けた脳を
正常で健康な脳に戻す可能性を示唆しています。
一日10分の行為です。しかも誰でも簡単にできます!
まとめ
以上見てきましたように、ストレスは本当に恐ろしく、甘く見てはいけません。積み重なれば時に命をも奪うのがキラーストレスです。
しかしこんなに恐ろしいストレスも、きちんと向き合ってきちんと対応すれば決して取り返しのつかないことにはなりません。
だから、ストレスが暴走を始める前に自分自身できっちり対策を取りましょう。まずはとにかく
- 1回30分を最低週3回の有酸素運動です。これで、余計な司令を副腎に飛ばさないようにして、
- ストレスを感じるつどコーピングを実施します。しかし頑張りつつコーピングをしていると、やはりそれはそれで疲れが溜まってくるので、
- マインドフルネスも生活の中に組み込んで、両方をできるようになるのが一番です。
大切なのはストレスをキラーストレスにしないための意識革命です。地道に継続して対策を実施して、つまり運動やコーピングやマインドフルネスを駆使して脳をいつも健康な状態に保つのです。
- 自分をストレスから守るのは自分自身の努力です。
- ストレスをキラーストレスにしないのも自分自身の努力です。
お互いに頑張りましょう!
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