目 次
本人は気づかない加齢臭
まだ幼少の頃、加齢臭という言葉はなかったですが、おじいさんの側に行くと独特の臭いがしていたことはよく覚えています。
一様にポマードのような臭いで、ずいぶん時を経ても尚覚えているので、かなりはっきりとした臭いだったのでしょう。
しかし、食べ物のせいか又は別の理由によるものか、今の加齢臭は昔の懐かしいポマード加齢臭とはちょっと違ってきてるように感じます。
さて、独特の油臭い匂いは高齢者に特有のものと考えがちですが実はそうではないのです。さらに、この加齢臭は男性特有なものではなくて、女性にも存在するのです。しかもかなり早い年代から。
そして、臭いの原因物質は一つではありません。年齢とともに変化或いは積み重なっていきます。一般的には歳をとるほどキツい匂いの成分が出るようになり、その分認識されやすくなります。
でも自分の臭いは自分ではわかりません。どんなにキツい体臭も、近くにいる人が顔をしかめるくらい酷いものであっても、一切自分では感じないのです。
ところが人の臭いはよくわかりますよね。自分以外の人の臭い・・・のはずなのに、或る日突然親しい人から「あなたの加齢臭がすごい」とか指摘されると大ショックですね。
男性ならまだしも、女性であればかなり相当気になるでしょう。どうしたらいいのか真剣に悩んだりもするでしょう。
ということでこの記事は、男性だけでなく女性にもある加齢臭の原因に対する理解を、そして有効な対策があるのかないのか。その辺を深く掘り下げてみたいと思います。
加齢臭は30代からある
スポーツクラブの脱衣場のにおいは独特ですよね。学生時代の部室のにおいともまた違います。
油臭いことは事実ですがどう表現すればいいのでしょうか? 高齢になってからの加齢臭ともまた違うような。あるいはそれも混ざっているような、複雑な臭いです。
実はもう30を過ぎると加齢臭が始まっていて、それは男性だけではなく女性もなのです。
もう一つ、年齢に関係なく若い頃からある汗由来の匂いもありますね。こちらはちょっと酸っぱいような癖のある匂い。
実は一口に成人の体臭と言っても原因となる物質は一つではありません。
- 30代の男性を中心に比較的早く出て来る油クサイ臭いは脂肪酸の一種ペラルゴン酸が主成分。
- 40代頃から男性の頭から来るキツい臭いはジアセチルという分泌物質が原因です。
- 50代以降の加齢臭と呼ばれる独特の臭いの主原因がノネナール。
もちろん30代40代50代というのは目安に過ぎず、年代ごとに原因物質は一つづつ出て来るというわけでもなく、複数の原因を持っている人もいます。
こうした3つの原因から出る匂いを加齢臭だとするならば、もう30台から加齢臭は始まるということになります。
何れにしてもキーワードは皮脂。「皮脂を制するものは加齢臭を制する」と言っても過言ではないかもしれません。
ですがその前に・・・
もっと若い時から続く汗由来の匂い対策を先に考えちゃいましょう。30才を過ぎても当然汗は出ますし、汗臭い匂いも続くのです。
((o(> <)o))汗臭さ+加齢臭((o(> <)o))
汗からくる匂い対策
汗が原因の匂いは年齢に関係がなく、加齢臭とは全く別の原因で付きまといます。
したがって、これはこれで匂う理由を知って、特にワキガの方は対策を継続的に行う必要があります。
汗が出る腺は2種類
汗を出す汗腺は2種類あります。
- エクリン腺・・全身にある
- アポクリン腺・・脇の下や性器周りにある
エクリン腺から出る汗の量は、普通に暮らしていて一日約1リットル、運動すればその2倍3倍と出ます。
そして体温が上昇すれば汗が出て、その気化熱によって体温が上がらないように調節しているところから温熱性発汗といいます。気温が上がるとよく汗をかくのはそういう理由なんですね。
エクリン腺の汗が出る原因は温度の他に味覚があります。例えば、から〜いカレーを食べたら汗が一杯出てくる現象がそうですね。これは主に顔に現れるのが特徴です。
一方、アポクリン腺は緊張したり強いストレスがかかった時などに汗を出します。緊張して脇の下や手のひらがびっしょりする、などという現象がそれに当たります。
さて、それぞれの成分についてですが・・・
- エクリン腺・・・水分、塩分
- アポクリン腺・・脂質、糖質、たんぱく質、アンモニアなど
何れにしても両方の汗そのものは(ほとんど)無臭です。
ところが汗が皮脂腺から分泌される皮脂と混ざり、それらを皮膚に常在している菌が分解することにより悪臭が出て来ます。
成分の複雑なアポクリン腺の汗は、よりきつい匂いの発生源となります。したがってワキガの方はこのアポクリン腺から出る汗の量が多いということになります。
大昔は匂いも判断基準の一種(同じ種族かどうか等)で必要だったようですが、今の社会生活においては全く不要になっています。特に日本人は「無臭」に拘りがあります。
また、汗の匂いは衣服に吸着するので体からは匂わないように清潔にしていても、同じ服を毎日着ていると服から匂うということにもなります。
日常生活における汗の匂い対策
1. 一日の終わりにお風呂にゆっくり浸かる
体に染み付いている汗とともに毛穴の老廃物やゴミが取れます。
また、血行が良くなって乳酸の除去が進んで、汗の匂いの原因物質の一つであるアンモニアの生成を抑えます。
2. 脇毛や隠毛の処理
脇毛や陰毛は汗を蒸発しにくくし、匂いをより長く続かせる役目がありますが、現代の人間にとっては意味がありません。
ではそういった毛を剃ったり脱毛したりすることの悪影響はあるのでしょうか?
結論は、ありません。そういった毛が皮膚の保護の役目をしているとしても、人間は他の動物と違って文明の中に服を着て生活をしています。
したがって寧ろ、匂いの原因を一つ取り除き清潔にしておくという理由で、積極的に毛の管理はした方が良いと思います。
脱毛クリーム
たくさん種類があるので気に入ったものを体にあったものを使えば良いと思います。
私の使っているのは「ソランシア」というクリーム状のものです。
私の毛は太くて硬く、こんなクリームで取れるのかな? と使う前は思っていたのですが、両脇の下にベトっと塗って待つこと15分。お風呂で流したら嘘のように完全に毛が取れてビックリしました。
クリームは少し匂いがしますが洗い流せばいい話ですし、毛が落ちた後は痛くも痒くもなく、特に不満がないので他の商品と比較したことがありません。
容量が250gとたっぷりで、数ヶ月とか半年に一回くらいしか脱毛しないので、なかなかなくなりません^^
ということで、私にとっては非常にいい商品であります。
3. 汗をかくことが必要
汗の粘性が高いと、それは水以外の成分がたくさん入っている証拠です。
それは決して良いことではなく、ミネラルなどが汗でどんどん出ていく事は、体調が崩れる要因になります。また、匂う原因にもなるのです。
では汗を出さないように生活するのが良いのか、というとそうではありません。汗を出さないと汗腺が汚れ詰り、それらが汗と一緒に出てきて匂いの原因となります。
水以外の物質を含まないサラサラの汗は、運動をよくしている人に多いことがわかっています。
ですから、できる限り運動を日常生活に取り入れて暮らすことが嫌な匂いの元を断つことにもつながるのです。
もちろん運動には、様々な点において体を活性化させるという別の大きな利点もあります。
どんどん運動してガンガン汗をかきましょう!!
4. デオドラント
体臭の発生を抑制する効果を持つ薬剤あるいは商品です。
よく制汗剤もデオドラントの範疇に入っているような記述がありますが(メーカーのサイトでも)、消臭は消臭、制汗は制汗で別物です。
デオドラントに対して制汗剤はアンチパースピラントと言います。
もっとも「汗を抑えつつ細菌をやっつけて消臭する」という両方の効果を持つタイプも出ています。
商品はたくさんあるので、効果があって痒みが発生しないようなものを、家族などの意見も聞きながら(←これ大事)選ぶといいでしょう。
ちなみに全ての商品は、医薬品・医薬部外品・化粧品のどれかに該当し、その効果の強さは・・
医薬品>医薬部外品>化粧品
となります。特に医薬品は病気の治療を目的としていて効果は歴然としていますが、医者の処方箋が必要です。
但し・・・
- 消臭効果はイコール殺菌効果であり、これの利用は皮膚の常在菌のうち良玉菌も殺してしまう
- 制汗剤で(体温調節の)汗を止めるのは生理的には好ましいとは言えない
効果はデメリットとのバーターになるので、皮膚の状態をよく観察しつつ、効果のほどを親しい人に確認しつつ利用していくのが良いでしょう。
制汗消臭商品
私がかなり長期にわたって利用しているのはデオナチュレ クリスタル・ストーンという地味な商品です。
制汗作用は大した事ないものの消臭力は結構はっきりとあります。天然アルム石が原料で要はミョウバンです。
なんでこんなものがとも思うのですが、間違いなく効果はあります。しかも、「無香料、無着色、防腐剤なし」!
使い方は簡単。塗りたい部分をちょっと濡らしてデオナチュレをそのままズリズリと擦り付けるだけ。足の指の間も効果的です。
全く刺激がないのもいいです(全ての人にそうかはわからない)。安くて使っても使ってもなかなか減らない^^
5. 手術によるアポクリン腺の除去
ワキガの強い方が選択できる究極の手段で、外科手術によりワキガの源泉であるアポクリン腺を取り除くという方法です。
元がなくなるのですから効果は大きく術後は相当精神的に楽になるでしょう。
しかし、アポクリン腺の存在する場所は脇の下以外にも、性器周りや肛門周り、乳首や耳やへそ周りとあちこちにあり、またその数も多いため、完全除去は不可能です。
何しろ外科医がアポクリン腺を一つづつ手作業で除去していくのですから・・・。
完全除去ができない以上完全に匂いが消える事もありません。しかし相当軽減する事は事実で、手術を実際におこなった方の感想でもよくわかります。
ただし、外科手術で術後の患部の安定に至るまでが大変で、当然傷も残ります。その辺の覚悟は必要です。
ということで汗が元となる匂いの対策を考えました。発汗作用は20才前後をピークとして次第に衰えてゆくので汗が原因の匂いも加齢とともに少しずつ低減してはいきます。
では次に、いよいよ加齢臭の本丸に迫りましょう。原因物質ごとにお話をしていきます。
ジアセチル
加齢臭の3主要因の一つ。トップバッターはジアセチルです。
年齢を重ねると皮脂の量が多くなり、これの化学変化による匂いが加齢臭のとなるのですが、油臭いジアセチルという物質はちょっと違います。
皮脂ではなく、汗に含まれる乳酸が、皮膚常在菌の内2種のブドウ球菌に分解されてできます。そしてそこに皮脂の匂いが加わると匂いはさらに強くなるのです。
つまり、匂いの主成分は乳酸を原料としており、牛乳加工食品の主要な匂いの成分と同じです。そしてわずかな量でも広がってゆく厄介者です。
ジアセチルの臭いは特に女性に不快感をもたらすと言われています。
ジアセチルの発生は二十歳過ぎから始まり、その濃度は40才前後がピークになります。20才台と40〜50才台の匂いの比較では、実に倍くらいの開きがあります。4〜50台は臭い!
さてこのジアセチルの匂いは頭頂部・後頭部で強く、つまり頭が臭い・枕が臭い中年の主要因はジアセチルというわけです。
非常に臭いジアセチルの匂いですが、実は大きな特徴を持っています。それは「感じない人は感じない」というものです。
つまり、普通に匂う強度の何百倍も強いジアセチルの匂いでも気にならない人たちが存在するのです。不思議ですね。
女性が最も嫌いな匂いの一つなのにあまり感じない女性もいるんですね。
そういえば以前NHKで、複数の男性が着た汗だくのTシャツの匂いを女性に一枚ずつ嗅いでもらう実験がありました。
ある女性は「ゲ〜〜」としかめっ面で吐きそうなのに、別の女性は同じTシャツの匂いをなんとも感じないのです。「この匂いがどうしたの?」みたいな。本当に不思議です。
でも、どの匂いでもそうなのかというと、後でご説明するノネナールなんかは誰が嗅いでも臭いと感知されます。
ジアセチル臭対策
運動
乳酸が根本的原因なのだから体内に乳酸を発生させなければ良い?
よく乳酸は運動によって発生する疲労物質って言われます。じゃあ運動をしないことがジアセチル臭対策になるのでしょうか?
実は全く逆です。継続的な有酸素運動は確実に匂いを低減します。
継続的な有酸素運動で心拍数を上げ適度に筋肉に負荷をかけると、そうすることで発汗が促進され、血液がどんどん流れます。
- 新陳代謝が促進され
- ホルモンバランスが改善され
- 抗酸化力を維持し
- ストレスも軽減され
つまり動物としての人間が健康を維持するためにはどうしても運動が不可欠なのです。そして、これらの改善は全て匂いの改善につながります。本当に継続的な運動は大切です。
洗髪
ジアセチルは特に頭にかく汗の乳酸が原因。とともにミドルエイジは頭皮脂が増えてきてこれも混ざって匂いがよりひどくなるのでした。
ということは入浴時の洗髪が大切だとわかります。
現代は空調の完備で冬でも汗をかきます。毎日、頭皮脂が溜まるわけですから洗髪も隔日というわけにはいきません。
特に油質のベタベタする頭は毎日洗うことが大切です。
さて、その洗髪ですがなんでも洗ったらいいというものではありません。
- 爪を立てないで
- 時間をかけて
- 丁寧に入念に
洗う必要があります。
特に匂いのひどい・・・
- 頭頂部
- 後頭部
は念入りに洗いましょう。
洗髪でもう一つ大切なことはシャンプー液をよく洗い流すことです。私の行きつけの散髪屋さんの方がよく言っているのは「とにかくよく洗い流していない人が圧倒的に多い」のだそうです。
そして洗い終わったら必ず乾かしてから寝ましょう。乾かさないと雑菌が繁殖して、また悪臭の原因となってしまいます。
ドライヤーの高温はダメです。低温でゆっくりと乾き残しがないようにするのがコツです。
フラボノイド含有シャンプー
最後に有効性の高いシャンプーについてですが、ジアセチルを見つけたマンダムは、フラボノイドがジアセチルの発生を抑制する効果があると発見しています。したがってフラボノイド含有のシャンプーを使いたいところです。
選ぶ際の基準は効果と価格の釣り合いが大事。継続利用となるのでバランスに対する納得ができる商品を選びましょう。
そのためには(何度も言いますが)近い人たちの意見も大切ですね。自分で自分の匂いはわかりませんから。よく聞いてください。
と言いながら私ですが、今の所特に問題がないので、実はシャンプーに関しては無頓着です。ただ上記の洗い方はちゃんと実践していますが・・・
ペラルゴン酸
年代別の匂いの変化を調べるために、10才台から70才台の幅広い層148人が着たTシャツの匂いについてライオンの研究所がサンプリングしました。
そうしてわかったのは、30才台の男性が着たTシャツだけが他にない独特の匂いを発していたのです。
- 若い汗からの匂いではない
- 高齢者のノネナールの匂いでもない
独特の油臭さ。
研究所ではこの匂いの主成分が皮脂の酸化によってできる脂肪酸の一種ペラルゴン酸であることを発見。
30才台は特に皮脂の分泌量が多く、且つそれが酸化する速度が早くなる年齢でもあるので、つまりより多くのペラルゴン酸ができて不快な油臭さを振りまくことになります。
毎日社外のあちこちに出向く営業職は30才前後から40才くらいまでが活動のピークでしょうか。
同じスーツをある程度の日数着てますから付着している体臭には要注意です。
特に夏ですね。時計を見ながら忙しく動けば、汗も半端なくかくでしょうし、臭いの元があれこれスーツに移るのは当然です。
得意先に嫌な思いをさせないためにもスーツについた匂いチェックは毎日行なってくださいね。
帰宅後必ずスーツにすべき事
- ブラッシングする
- スチームアイロンか湯の入った霧吹きでスーツにかける
- 型崩れしないハンガーで2日くらい陰干しする
したがってスーツは2〜3着の着まわしをするのがよいでしょう。
ペラルゴン酸消臭対策
洗い方
皮膚上には・・・
- 垢やゴミ化した角質
- 汗成分や化粧品の残りカス
- 常在菌
など、様々なものがあります。これらは全て皮脂腺を詰まらせてしまう原因になります。
皮脂腺が詰まると活性酸素が発生するので皮脂を酸化させ悪臭の元になる皮脂酸などができます。そのプロセスで更に活性酸素が発生する悪循環に陥ります。
したがって皮膚上の不要物をそして皮脂を取り除いて清潔にしておくことが大切です。ところが難しいのは、
むやみにゴシゴシと洗うのは良くない
という点にあります。
皮脂は皮膚を保護するのに必要だから出てくるのであって決して邪魔者ではありません。そして皮膚上には常在菌が住み着いており必要な菌もいます。
それらを根こそぎ取ろうと刺激性の強い化繊タオルでゴシゴシやると、綺麗になった皮膚は保護しようとして、かえって皮脂を過剰に分泌します。
その結果、洗い落としたつもりでも、より早く皮膚上の皮脂量は増加し、匂いの復活も早くなります。
じゃあどうすれば良いのか?
意外ですが、特に皮脂のよく出る部分(胸・背中・目鼻を中心とした顔・首など)を・・
- ソープの泡で優しく洗う
- ちょっと強いシャワーを十分にかける
このどちらかが一番効果的で長持ちします。実際にご自分でやって見て、周囲の人に確認して見てください。
ポイントは、「皮膚上から皮脂を全て落とす」ゴシゴシ洗いをしない点です。
ストレスのコントロール
もう一つ大切なことはストレス・コントロールです。
ストレスは副腎皮質ホルモンの分泌を促し皮脂腺を活発化させて皮脂の分泌量を増加させるので、これがまた匂いの元になります。
その他の悪影響も含め、ストレス・コントロールは大切です。
簡単で効果の大きいストレス・コントロールはウォーキングかジョギングです。
懸案事項が頭に引っかかり大きなストレスを感じているときは散歩なんかできる気分じゃありませんが、そこを押して無理して1時間大きめの音で好きな音楽を聴きながらちょっと早足で歩いてみてください。
1時間後には、人により差はあるでしょうが、必ず効果を感じることができるでしょう。
そしてゆっくりと入浴して、できるだけ睡眠時間を確保することです。
もちろんストレスのかかる環境を変えることはできないでしょうから、心身をストレスから解放する努力も継続的でなければ意味がありません。
ノネナール
加齢臭といえばこれ、非常に有名な悪玉物質・ノネナールです。これさえなければ加齢臭・老人臭と付き合わなくていいのに・・・
ということでノネナールはは1999年に資生堂が発見した匂いの原因物質です。
ノネナールは高齢化するにしたがって増える皮脂中の9-ヘキサデセン酸が過酸化物質や皮膚の常在菌に酸化・分解されることで発生し、独特の油臭い匂いを撒き散らすのです。
主な発生場所は胸・背中・頭・首・耳の裏・脇などです。
一口にノネナールの匂いといっても「これだ」と断定するのはなかなか難しいかもしれません。その理由は上述の通り加齢臭の原因が一つではないことも大きいと思います。
また、人によって感じ方が違うこともあるでしょう。
- 私の幼少の記憶のように「ポマードのような匂い」
- 倉庫に何年も眠っていた電話帳のような匂い
- 腐った蝋のような匂い
しかし何れにしても誰が匂っても、ある種油臭い匂いという点では一致しているのではないでしょうか。いい匂いとは言えないですよね。
お子さんとかお孫さんから「くさ〜い」などとストレートに言われるとショックでしょう。
ノネナール消臭対策
清潔な衣服を身につける
上記の通り、匂いは衣服に残ります。ご家族に手伝ってもらって簡単に確認できますが、一日着たシャツを脱いで、裸の体とシャツとどちらが臭いか確認してもらってみてください。
或いは、裸でいても寒くない季節の休日に、朝、よくシャワーをしてショートパンツ一つで一日暮らし、夕方に体の匂いを嗅いでもらってください。一日着たシャツの匂いとの差は歴然です。裸でいるとそんなに体って臭くはないものです。
更にですが、枕カバーやシーツを一週間も同じものを使っていると、まさに、ノネナールに包まれて寝ているような状態になっているでしょう。
ということで、周囲から加齢臭と言われている(自覚している)方は、やはり、こまめに着替えることが一つの対策です。
さて問題は、普通の洗濯ではノネナールが衣服から落ちにくいこと。ノネナールが落ちにくいということは匂いが落ちにくいということです。ちょっと一工夫しなければなりません。
- 1. ちょっと高温で洗う・・油料理に使ったフライパンに熱湯をかけて見てください。それだけでかなり油が落ちるのがわかるでしょう。ノネナールも油なのでお湯が効果を発揮します。繊維の質にもよりますが、そこそこ高温で(火をかけて)30分くらい置いておけば、かなり効果を発揮します。
- 2. 漂白剤の利用・・1.に加え、酸素系漂白剤を入れると、効果はより顕著になります。
- 3. 重曹を利用・・漂白剤の変わりに重曹を利用する手もあります。油は酸性で重曹はアルカリ性。つまり中和を狙ってるんですね。そこそこ熱い湯に重曹を加えて1時間くらいつけておいて、その後洗濯機で洗いましょう。(薬局で買えます)
- 4. 弱アルカリ性洗剤を利用・・上記の通りノネナールは酸性なので弱アルカリ性洗剤を使いお湯で洗います。ただし、生地の色合いや風合いが落ちる可能性もあるので、その点は要注意です。
- 5. ミョウバンを利用・・上でも説明しましたが私が利用しているクリスタル・ストーンはミョウバンです。ミョウバンは油落としの効果はないものの、優れた消臭効果があるので、仕上げに加えます。(スーパーで買えます)
以上ですが、お湯の温度やつけて置く時間、一緒に使う洗剤などの量については、匂いのキツさも関係するので、実践の中であなたが納得できる値を見つけてください。
基本生活の改善
ジアセチルとペラルゴン酸の項も参考にしてください。
若い頃に発生しない匂いが歳とともに出てくるのは、やはり一種の老化現象と考えることができます。
そこで、抜本的な改善策をお話しするのがこの項になりますが・・・
私自身が20年以上にわたり実践している、老化を加速させない生活を継続することこそが加齢臭低減に一番効果的があると思います。
どんな生活かは以下の通りで誰もが知っていることです。
- 規則正しい生活
- タバコは絶対に吸わない
- 深酒をしない
- ストレスから解放されることは不可能なのでコントロールする
- バランスのとれた食生活をする
- 有酸素運動を継続する
当たり前の事ばかりですが、本当に大切な事ばかりです。
「医療行為による激烈な変化」のようなことを期待して、世に溢れている製品を買って使っても、それのみで加齢臭から逃れることはできないのです。
一方、体に現れる変化は、匂いも含め、日常生活を正すことで随分コントロールができます。それは長年自分で行なっているのでよくわかっています。
人は「よくそんなストイックな生活ができるな」とかって私に言いますが、私からすれば、「毎晩唐揚げのようなものばかり食べてビールを飲んで、よくそんな老化促進行為をできるな」と思います。
ご自分の加齢臭が気になるなら是非上記6項目を実行してください。でも、消臭効果が出るのは、チキンラーメンを作るよりもう少し時間がかかりますよ。
ノネナール原因物質の怪
1. 歳とともに増加するのか減少するのか?
ノネナールの元になる9-ヘキサデセン酸は慣用名をパルミトオレイン酸(パルミトレイン酸)といいます。
資生堂は「知って、なるほど化粧品 どう防ぐ? 加齢臭対策」という記事の中で
ノネナールは、年を重ねると増加するパルミトオレイン酸(脂肪酸)が、過酸化脂質や皮膚常在菌によって酸化したり分解されることで発生します。
つまり、歳をとっていくと体表にパルミトオレイン酸の量が増えるといっています。ところが・・
「パルミト(オ)レイン酸 30才 減少」とかで検索して見てください。
書きかたはともかく、「肌に必要なパルミト(オ)レイン酸が30才頃を過ぎると減少していくから〜で補充すべし」みたいな記事がたくさん出てきます。
一方は「年齢とともに増える」と言い、他方は「30才をピークに減る」といってます。これってまるっきり正反対じゃないですか???
さらに・・・
2. 不飽和脂肪酸は肌にいいのか悪いのか
資生堂、毛穴の皮膚特性を科学的に解明~不飽和遊離脂肪酸が「毛穴の目立ち」に関与していることを発見~
では
・・・・皮脂中の代表的な不飽和遊離脂肪酸にはオレイン酸やパルミトレイン酸が知られている・・・・
・・・・オレイン酸を実際に顔面皮膚に塗布したところ、塗布部位ではキメが乱れ、肌が荒れた状態となり・・・
とあり、皮脂中の不飽和遊離脂肪酸で肌が荒れると主張しています(2ページ目の上3行目から9行目)。
一方で、肌美容関係の記事では「不飽和脂肪酸が肌に良い」との記事がたくさんあります。
???これも正反対。
最後に、名称についてですが・・・
3. 同じ物質か異なるものか?
ノネナールの元を私は「9-ヘキサデセン酸で慣用名がパルミト(オ)レイン酸である」と説明してますが、これがまたちょっとややこしいのです。
何がややこしいかというと、私の説明だと、単に呼び名が違うだけで・・・
9-ヘキサデセン酸=パルミト(オ)レイン酸
となるはずですが、そうであるというサイトもあれば、「異性体」を根拠にそうでないというサイトもあります。
ちなみに資生堂は「9-ヘキサデセン酸とパルミトオレイン酸は構造的には、異性体の関係にありますので、違う物質です。」という主張です。
分子式は同じながら、科学的・物理的性質が異なる物質のことです。例えば、エタノールもジメチルエーテルも化学式で表せばC2H6Oです。
さて、なんでこんなにも見解が違うのでしょうか。インターネットの読者は何を信じたらいいのかわからなくなってしまいますね^^
女性と加齢臭
加齢臭の原因になる3つの物質について説明をしてきました。
- ジアセチル
- ペラルゴン酸
- ノネナール
よく「ノネナールによる加齢臭とジアセチルなどが原因のミドル脂臭は別物」とかって書いてありますが、私に言わせたら、どっちも加齢臭です。ぜ〜んぶ加齢臭です。
若い年代でこのような物質が出る人はいないのですから。
原因物質が違うのだから匂いも違うに決まってます。ですから、3種類の加齢臭があって、その他汗の匂いもあるという纏めで良いと思います。
さて、この加齢臭の原因は男特有ではないところが悩ましいところです。残念ながら上記3つの物質は女性にも発生します。
女性も30半ばを過ぎると次第に卵巣ホルモンの分泌量が低下してきます。そして閉経とともに卵巣からの女性ホルモン分泌は終了します。
そうすると女性体内の男性ホルモンのバランスが相対的に増加するために、男性と同じように生活習慣病やその他の病気にかかりやすくなるのです。
そして見た目も明らかに衰えが出始めます。
とともに加齢臭の原因物質も当然男性と同じように出てくるから、こうなると加齢臭は男特有のものではなくなります。
対策はそれぞれの原因物質のところに説明していますので、女性も適齢期?になってきたら、それなりに怠らないようにすることが必要です。
男性の場合は加齢臭に無神経でも「まあそういう人もいるよね」くらいの認識はあるでしょうが、女性はなかなかそういうわけにはいかない繊細な辛さがあると思います。
そして当然ご存知でしょうが、世に溢れる「香り製品」では一切解決しませんからね。それどころか根本を放置してそんなものを利用すれば、余計に臭い印象を与えかねません。
女性も、ご自分の匂いに悩んでおられるのなら、是非この記事を参考にしてくださいね。
よく「〜を含有している食品を食べるといいですよ。」みたいに書かれているじゃないですか。当たり前みたいに。
でも、これ意味ないです。まさに「サプリを飲んでいれば」と同じ思考です。体で気になるのは、何も匂いだけじゃないはず。
体のいろんな悩みに良い食べ物をあれもこれも考えてたら毎日お料理ができないでしょう。意味ないです。
本当に大切なことは、偏りのないバランスの良い食事をとり続けることです。
複雑な体の機能を健康に維持するために、もっとも重要な食事に関する考え方は「バランスを崩さない」です。
まとめ
加齢臭について色々と述べてまいりました。
動物にとって発する匂いには意味があり、それなりに大切なものですが、こと人間に限っては大抵不都合なんですよね。
しかも歳を重ねるにしたがって嫌な匂いが出てきて、さらに種類も増えてくるって、なんという鬱陶しい話でしょう。
人が嫌がる匂いを出したくはない。でも私たちは自然の法則に逆らうことはできません。ですから、結局、「できる努力をしていこう」という代わり映えのない結論になります^^
でも、私がここで強調したいのは
市販されている商品の直接利用だけでは解決にはならない
ということです。これは滅茶苦茶に大事なことです。
現代はあまりにも酷い広告宣伝社会で、問題やトラブルが起きるたびに、なんらかの商品を使うことで解決しようと、多くの人たちが刷り込まれています。
もちろん、そういった商品も大いに利用はしますが、抜本的には自助努力しかありません。嫌でも忙しくても解決に近ずくにはそれしかないのです。
じゃあ、何を努力するのか? ズバリ・・・
老化を遅らせる
ことです。
匂いの原因別の直接的な解決法・緩和法はすでに述べました。しかし、もっと根源的な方法は老化を遅らせることです。
そのために為すべきことは、すでにご説明しましたように簡単なことばかりです。要は継続的にそれをするかしないか? 5年10年で取り返しのできない差がついてしまうのです。
特に・・・
- 体内放出されるホルモンの種類減少と分泌量低下を遅らせる
- 毛細血管の消滅を遅らせる
- 基礎代謝量を落とさない
この3点を最重要視しています。もしこれらを守ることができたなら、相当老化を遅らせることができるわけで、見た目も匂いもまるでよくなります。
重複しますが、大切なので再度老化しないための生活行動を申しますと・・・
- リズムある規則正しい生活を送る
- 規則正しい7〜8時間の睡眠をとる
- ストレスと上手に付き合う
- バランスの良い食生活を送る(油物や肉や炭水化物に偏らない)
- アルコール類はほどほどにする
- タバコは絶対吸わない(他人にも超迷惑)
- ストレッチのパターンを覚えて隙間の時間に少しずつ行う
- ある程度心拍数の上がる有酸素運動を毎日行う(階段の上り下りを組み入れれば最高)
これらは、私自身がもう20年以上にわたって実際に行なっていることです。ですから、実世界においても周りの人たちに勧めています。
ところが・・・
みんな口々に「出来ない」言い訳をします。ほぼ「パブロフの反射」状態です^^ それぞれの生活の中でできることをやっていくことがそんなに難しいのでしょうか・・・?
まあ、それでも良いかもしれません。それも人生です。
でも・・・それなら結果として体におこる現象も受け入れないとしょうがないでしょう。加齢臭であろうと高脂血症であろうと糖尿病であろうと。
あなたなら、どちらを選びますか? 加齢臭なんて、あなたには似合わないですよ・・・!
オススメの香り
長々と加齢臭について述べましたが、対策をちゃんとやった上での品のいい香りはあなたにプラスとなるはずです。
香りは本当に微妙で種類も星の数ほどあるのでジャストフィットするものを見つけるのは難しいですが、私は下に紹介するものを使ってます。
白いクリーム状で、肌に塗ると本当に甘い癖のない上品な香りが漂います。ベトつきはしません。
そして、女性が利用しても全然問題のないものです(知り合いの女性も使っています)。
ただ難点は香りの消えてゆくのが結構早くて、朝塗っても夕方には感じなくなります。
でも、その夕方の微かな香りがいい、と言われたこともあるので、個人的にはこれくらいがいいのかな、とも思います。
3,000円程度と手頃なお値段でもあり、もしよければ一度お試しください。