結婚前の準備
細かいことは後述しますが、結論から言うと、結婚前にお金の管理についてきっちりと話し合って、もしくは一杯言い合いをして、お互い納得できるものを掴んでおかないと、相当の確率で予期しない後悔に直面します。
もし、あなたが「この幸せ絶頂の時期にそんなこと言い出したら相手に引かれるわ」と考えているのなら、逆に、是非この先を読んでみてください。
一生に何度か「今が一番幸せだな」と感じる時が誰でもありますね。
- 結婚を決めてから式に臨むまでの期間
- 或いは新婚生活を始めてから暫くの間
でも結婚するまでには短時間に沢山のことを決めなくてはなりません。
- 結婚式一つとっても相当にややこしい複合的な事をもつれないように合理的に収めていかなければなりませんよね。
- 住居の選定から契約に至るまでもそう。
ところが、あれやこれやとあるのに面倒とか鬱陶しいとかって感情は湧いてこないのですね。むしろ二人で相談して決めてゆくのが楽しい。何でもうまくいく気がする。
「恋愛症候群」の歌詞にこういう部分があります
♪♪相手には自分の良い所ばかり
見せたくなるものであるし
相手の欠点には気づいても気づかずにいられるし
食べ物 着るもの 見るもの 聴くもの
すべて好みが合うと思うし
毎日が二人の記念日になる♪♪
さだまさし「恋愛症候群」
まあここまで極端ではなくても、大体どのカップルも似たり寄ったりでしょう。何故そういう気分になるのか?
多分、動物が持っている「命をつないでゆく自然の摂理」が存在しているからだと思います。
個体が命をつないでゆける条件が整うと、相手を探しだして子をつくるという行為に向かって心身ともに加速される。それを阻害する要因は排除される或いは奥に追いやられる。
ホルモンの身体コントロールか何かはわかりませんが、恐らくそういうことでしょう。
これは自然の摂理なので、時代や社会体制や貧富の差や、そんなものに関係なく千年後も万年後も確実に続きます。
もし、特別な要因でそうでなくなる日がくれば、それは種として人間が滅びるということを意味します。
ぐだぐだと申し上げましたが、その趣旨は「お金のことなんか事前に話し合わなくても、愛いっぱいの二人なら何とかなるんだ」と「自然の摂理」が心に考えさせる事に気づいてくださいということです。
実はそうじゃなくて事前に思いっきりキチッと話し合っておくことが不幸回避に繋がるということを申し上げたかったのです。
以下は、話合いを実り多いものにするための事前の知識や考え方のようなものです。参考になれば幸いです。
結婚前の資産と負債
結婚前の資産と負債は結婚しても「二人の」資産と負債とはなりません。どこまで行ってもあなたのもの、或いは結婚相手のものです。
ところで資産と負債って何? はい、ここでは単純に考えましょう。
資産とは
- 現金・預金
- 株式・国債などの有価証券
- 土地や建物といった不動産
- 受取人が自分の保険契約
負債とは
- 借金
- 連帯保証
結婚前の資産・負債は全部すべてを明らかにするのがスッキリしていいように思いますが、それはケースバイケースです。
しかし結婚後もそれが原因でお金が出て行く場合は、確定していても不確定でも、これは絶対に結婚相手に申告をしなければなりません。
お金が出て行く場合とは・・・
借金の返済だけではありません。
連帯保証をしている場合は、もし債務者(借金人)がこけたら即連帯保証人が返済の義務を負う立場になるので要注意です。
しかも連帯保証債務は相続対象です。つまり連帯保証を引き受けた本人が亡くなったら、その人の相続人全員が連帯して保証債務を被らなければならないのです。
もう一つ注意すべき点は、不動産や保険契約は資産とはいえ、一般的には継続的な支払い(固定資産税や保険料)があるので、これはこれでやはり注意が必要です。
さて、あなたに一番関心を持って欲しいのは・・
結婚相手が持っている結婚前の借金や連帯保証は、あなたに一切関係がないのに、結局結婚後のあなたにそして家計に影響をおよぼすことになる点です。
負債
それを理解した上で結婚相手の言い分を聞きましょう。何を聞くのか・・
- 借入金の残高と毎月の返済額
借入をした理由 - 連帯保証をしている場合も借入人の借金残高と毎月の返済額
連帯保証の依頼を了承した理由 - 保険契約をしている場合は保険料支払額
保険契約継続意志の有無 - 不動産保有の場合は固定資産税その他年間付帯費用の総額
処分して現金化するのか保有を継続するのか
聞く上でもう一つ絶対に確認しべきは書類です。
- 借入なら借入れに関する契約書と返済明細書
- 連帯保証をしているなら連帯保証契約書
- 保険契約をしているなら保険契約証書
- 不動産保有なら登記簿謄本(所有者名義と担保設定関係は絶対要確認)
もちろん相手にお願いをする以上はあなたも同じことについて明らかにして説明をする必要があるのは当然ですよね。
さて、ここまでスムーズに事を運ぶことが出来たでしょうか? もし・・・
- 借入や連帯保証をしているのに「ない」と嘘をついていたら論外です。人生の一大事に判断を誤らせる嘘は犯罪と一緒です。
- 明確な説明をせず「私(俺)の事良く知ってるでしょ。信じられないの?」。と、結構よくあるケースですが、こういう逃げを打ってきた場合も以後の展開は厳しくなることを覚悟したほうがいいです。
以上、非常に申し上げににくいことを書き連ねました。ここまで読まれての感想はどうでしょうか?
「こんな警察の尋問みたいなことは質問を、これから結婚する相手に根掘り葉掘り聞けません」そう憤慨されるかもしれませんね。
私はお金に特化した道を歩き、その道すがら多くの家庭の経済と及ぼす影響を見てきました。その経験を元に、事前にやったほうが後悔しなくて済むと思われることを纏めています。ただそれだけです。
とりあえず読むだけは最後まで読んでみてください。お願いします。
さて、結婚相手に聞くこと見せてもらうものを列記しましたが、実際に実行する際は上手にやってください。あくまでも幸せを実現するためのステップですから。
もし結婚相手が日経平均225先物などのマネーゲームやパチンコなどのギャンブルをやっていたら、やめてもらったほうがいいです。
相場やギャンブルの好きな人が結婚相手であれば、相当の確率で難しい局面が訪れる可能性がある事を覚えておいてください。
相場とは・・
株式やFX、日経225先物とか日経225先物オプションなどのことで、興味がなくても名称くらいはどこかで見たことがあると思います。
これらのうち、特に要注意なのが派生取引(デリバティブ)と呼ばれている取引です。
手持ち資金で遊んでいる間はいいのですが、自己コントロールが十分に効く人はいいのですが、それでも参加者の95%以上が負けると言われている世界です。
レバレッジがすごくて悲惨な話が跡を絶ちません。
私の知人で、仲間内では日経225先物オプション取引の天才と呼ばれている人がいました。
この人は2年で純利益3億円を稼いだのですが、たった一回の取引で3億円全部のみならず家もなくなり、今は行方知れずになっています。
ギャンブルは・・
もう言うまでもありません。胴元が勝つようになっています。依存性が高くやめるのが難しいと言われています。最も身近なのがパチンコですね。
パチンコ依存症で崩壊した家庭は私の知っているだけでも結構ありますよ。
資産
定期的な出金を伴わない資産については、必ずしも結婚相手にいう必要はないと思います。法的にも、結婚後も相手に請求権は発生しません。純粋にあなたのものです。
銀行員時代には数から言えば圧倒的に主婦とお話をしたわけですが、結婚前に貯めたご主人の知らないお金を持っている主婦は結構いましたよ。
どうして秘密のへそくりを持っているのか、と聞くと答えの中に家庭が垣間見えて勉強になりました。
一番多かった答えは・・・
- いざという時、緊急時にすぐに出せるお金を手元においておくと安心できるから、です。
- その裏返しで、主人に簡単に当てにされると困るから、も多かったです。
リスク管理を自分でやる、このお金も家計の一部、という発想が意外に多くて興味深く感じたのを覚えています。
いえね、そうじゃなくて・・
もともと自分のお金なんだからじぶんのもので家庭は関係ない、みたいな返答が多い筈とず〜っと思ってたのですが、6年くらいの間に聞いた範囲では以外にも少なかったです。
いずれにしましても、もしあなたが貯めておられたのなら或いはご両親から内緒でもらったのであれば、黙っていて不都合が起きないのであれば、そのまま黙っておくメリットは有ります。
自分のためにも家庭のためにも、「最後の切り札」が手の内にあれば安心感も違うとも考えられますよね。
大きな費用の確認
それぞれの資産・負債の話がきちっとできて、少なくとも新婚生活に悪い影響は出ないと確認できたら、次は長い結婚生活を送る中で発生する大きな費用の大雑把な確認です。
代表的な大きな費用は
- 子供を成人させるまでの費用
- 自宅購入費用
の二つでしょう。二人であれこれ調べながら大雑把なところを掴んで、その金額の大きさに二人で驚いてください。
そして、もう少し突っ込めるのなら、下に述べる生活費の算定と残していけるお金の計算の絡みで大きな費用を見ることも大変にいいことです。
生活費の確認
毎月の収入と支出から生活費と繰越金の予想を立てることは、二人にほんの少しの根気さえあれば簡単にできることです。
この際よく漏れるのが、年払いの保険料であったり冠婚葬祭費などの臨時費用で、これらも上手に入れましょう。
大切なことは、月間収入と月間支出のバランスをだいたい掴んでしまうことです。これを二人でするところに大きな意味があります。
できたらエクセルなんかを使って具体的な数値を入力しながら話を出来れば尚いいと思います。
ただ、「二人の収入を合わせて家計として考える」ところから、つまづく場合もあります。
片方が一生懸命収支計算を合わそうと計画している時に、もう片方が「こういう場合はこういう支出があってもいいよね」的な安易で不用意な支出話ばかりするというケースも有ります。
ここで述べている費用に関する確認や話し合いは、算数的な意味合いともう一つ、ものすごく大切な要素が秘められています。
お金の話が出来るのは愛情がある証
大きな費用や生活費の確認について述べましたが、今後発生する収入費用の概算を二人で確認することは大切なのですが、もう一つ大切で意味があると私が考える部分は・・
二人で揃ってそういう一つの作業を行うことによって「価値観のすり合わせ」が出来ることです。
生まれも育ちも何もかもが違う他人同士が、長きに亘って価値観をすり合わせ続けるのは至難の業です。だからこそ、最初に愛情一杯のうちに少しだけ努力しておく事が後々に活きてくるのです。
逆に、二人でそういった作業をしてゆく過程でなされる意見交換から「はっ」とする場合もあると思います。
- 「なんか根っこの部分で考え方が違う」とか
- 「二人で頑張ればなんとでもなるのに、なんでこの人はこんなに細かいのだろう?」とか
そういう場合は突っ走らないで、止まって少し考えてみることも必要になってきます。
家庭を育ててゆく或いは守っていくのは泥臭い作業の積み重ねです。キレイ事や精神論で乗りきれるものではありません。
そんなことを一切考えずに生活が出来るほど潤沢な資金を持っている家庭は超超一握りです。殆どの家庭が限られたお金でやりくりをしていきます。はっきり言って大変です。
だから・・・
お互いの家庭人のしての立場を尊重してお金の話が出来る人は、間違いなくあなたに愛情があります。
そういうことをお互いに確認して確固とした意志固めが出来るのは、結婚前の今しかありません。
同じことを結婚後3年してやったら取り返しの付かない分裂状態になったりします。いとも簡単にそうなる可能性があります。だから結婚前の今が最高のタイミングなのです。今しかないのです。
まとめ
これから結婚しようとしているあなたにお金のことをお話しました。それも結婚費用の件ではなく・・
- 結婚してから響く現在の資産・負債の話。
- 結婚後に必要な生活費と大きなお金の話。
そういった事を二人で話し合い確認しあう作業のプロセスで浮き上がってくる結婚相手の素顔をシビアに見つめ、道を踏み外さない判断をする大切さ。
ま〜でも多分あなたにとっては鬱陶しい話でしたよね。出来れば避けたいような。
しかし結婚して、あなたは毎日切り詰める努力をしてるのに、旦那はそんなこと知らん顔して毎日パチンコ浸りじゃあ悲しいでしょ。後悔するでしょ。
だから、そんな現実を迎えないように、あえて鬱陶しい話をしました。
すごく切り出しにくい、ものすごく言い難い話。それを一番しやすいのが結婚前の「今」です。
「今」こそ喧嘩の種になりそうな、それでいて大切な話を、結婚相手と沢山してください。結婚してから必ず「よかった」と思う日が来ます。
実は今回のお話は、私の結婚式の祝辞ネタの一つでもあります。もちろん失礼のないように面白おかしく工夫はするのですが^^
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