目 次
九份と金瓜石の物語
昔はその場所には九世帯しか住んでおらず、いつも色んな物資を九世帯分調達していたので九份という名称がついたのだとか。
「份」には「誰々の分」とか「何人前」というような意味があります。
今は綺麗な道路がついて誰でも簡単に行くことができますが、山が複雑に入り組んでいて相当急峻であることがわかります。
バスに乗って下から見上げると九份という街は、まるで山肌にへばりつくように建物が建っています。
台湾北東部のこんな小さな九份(そして金瓜石)にどっと人が押し寄せたのは、1890年に金鉱が見つかったからです。どこの国でも同じです。一攫千金を夢見る人が吸い寄せられるのですね。
日本統治時代に莫大な投資がされて、やがてゴールドラッシュ時代を迎えると、金瓜石鉱山と九份・瑞芳鉱山は東洋一と呼ばれるまでになりました。
それに伴い多くの人が集まり、市場や劇場もできて大いに栄えました。最盛期は「小上海」とか「小香港」とまで言われたそうです。
一時は人口が数万人を超えたということですから、それは凄い賑わいだったのでしょうね。また、働いていた鉱夫は遊び方も派手で、それをあてにして多くの歓楽施設もできたのです。
しかし、いつか鉱脈は尽きてしまいます。遂に1971年に閉山(金瓜石鉱山は1987年に閉山)となり、それとともに人は散っていき、残された場所には元の静かで素朴な空気が戻ってきました。
かつて石炭で栄え、今は天燈で有名な十份の鉱山跡もそうですが、栄華の後に残され朽ち果ててしまった残骸は哀れですよね。
じゃあ、どうして九份・金瓜石は再び脚光を浴び、人々が来るようになったのでしょうか?
それは一本の映画からでした。1989年に公開された「非情城市」のロケ地になり、これを観た人たちが、悲哀に満ちた物語とそこで暮らす人たち、そしてそれら全てを包む場所の優しさ・美しさに引き込まれ、忘れかけていた九份・金瓜石という世界を再認識したのです。
この侯孝賢監督の「悲情都市」はベネチア国際映画祭でグランプリを受賞しました。本当に素晴らしい映画です。トニー・レオンが主演。
日本では九份の「阿妹茶樓」が「千と千尋の神隠し」の舞台になったとして有名で、それ目当てに来る日本人も多いと聞きました。もっともジブリはきっぱりと否定してます。
というわけで、今回は九份と金瓜石のご紹介です。
アクセス
まずアクセスについての説明です。
台北から九份・金瓜石への行き方はだいたい次の3パターンです。
- バスのみで行く
- 電車+バスで行く
- 電車+タクシーで行く
次にそれぞれの具体的な説明です。
バスだけで行く場合
台北市内からバスだけで行く場合は、基隆汽車客運の1062番もしくは台北客運の965番に乗ります。
1062番
バス停はMRTの忠孝復興駅2番出入り口のすぐ下(南)で具体的には下地図の赤いマーカー部分です。バス停看板に「1062」が書かれていることを必ず確認してください
1.路線図はこちら
九份老街もしくは金瓜石(黄金博物館)で下車します
2.料金
- 101元
3.発車間隔
- 平日(6:55〜21:15)、ピーク10分〜15分間隔(オフ最長45分間隔)
- 祝祭日(6:00〜21:30)、
- バス停時刻表は1061番と一緒になっている(「瑞」は瑞芳止まり・「暖」は暖暖止まり)乗り間違え注意
4. 所要時間
- 凡そ1時間15分〜30分(道路状況次第)
高速道を通る関係上、立ち乗りはできません(満席の場合は次のバスを待つ)
965番
バス停は下地図の通りでちょっとわかりにくい。MRT西門町の2番出口を出て中華路一段を160mほど南下すればあります。1961番と同じ停留所です。停留所後ろの建物は台北國軍英雄館です。
1.路線図および発車間隔はこちら
2.料金
- 90元
3. 所要時間
- 凡そ1時間15分〜30分(道路状況次第)
1062番も965番も、みんなが行きたいシーズンは相当混みます。まして休日であればえらい事です。最初から、ホテルにお願いして往復タクシーを利用した方が賢明です。特に複数人で旅行されている場合は。
行き帰りも人人。現地も人人^^
悠遊カードは必携
他の記事でも何度か申し上げています。バスに乗る方は本当に必要です、どうぞ一枚持ってください。
「台湾旅行が3倍楽しくなる8つの基本情報」の「交通事情」に詳しく理由を述べています。
電車+バスで行く場合
- 台湾鉄道の電車で瑞芳駅まで行く
- 瑞芳駅でバスに乗り換えて九份(金瓜石)へ行く
私はいつもこの方法です。バスはできるだけ短い区間を。何故なら時間が読みにくいから。別にそれが良いというわけではなく、銀行員時代に叩き込まれたんです^^
まず電車についての説明ですが・・
- 発車時刻
- 途中停車駅
- 所要時間
- 代金
などは台湾鉄路管理局のサイトで簡単にわかります。(日本語に対応しているがよくおかしくなる)
サイト上で
- 「出發站」欄右側をクリックして出てくる「臺北市」→「臺北」車站を選択
- 「抵達站」欄右側をクリックして出てくる「新北市」→「瑞芳」車站選択
- その右側に年月日と調べたい時間帯を入力
- 更にに右にある「査詢」をクリックすると時刻表が出てくる
前の晩にホテルで上記時刻表を見て作戦を立てておくとスムーズです。
時刻表では左側から
- 車種
- 列車番号(これをクリックすると停車駅が表示される)
- 始発駅と終点
- 台北駅発車時刻
- 瑞芳駅到着時刻
- 所要時間
- 「注」の次に料金
となっています。
所要時間は・・
- 區間車(普通)で47分から56分
- 莒光号(急行)で39分から46分
- 自強号(特急)で35分から43分
- 太魯閣号(全席指定特急)で29分から33分
- 普悠瑪号(全席指定特急)で29分
全席指定特急以外は全車が悠遊カードで乗車でき、全車普通料金の1割引となります。つまりどれに乗っても悠遊カードを利用すると(記事を書いている時点で)44元です。
実際に悠遊カードを利用することにより、時間を節約できて安くあがる事が身に染みてわかります。
ただし注意点として・・
- 特急は立ち席のみ。しかし空席があれば座ってもよい。
- 太魯閣号・普悠瑪号は乗車券と特急券を買わねばならない
乗る電車を事前に決める重要性
時間を有効利用するためには、上にも「前夜にホテルで決めておく」と書きましたがこれが結構大切です。総本数が少ない上に、日本の新快速のような電車が極めて少なくて、普通電車はメチャゆっくりです。
次にバスの説明です。
瑞芳駅で電車を降りたらバス乗り場まで歩きます。そう、九份行きバス乗り場は駅前ではないのです。瑞芳駅前のバス停は九份から来る帰り専用です。
- 瑞芳駅では進行方向に対して左側(南側)におりる
- 駅を出たらターミナルの左側を歩き左折します(明燈路三段に入る)
- 150mくらいで右側に警察署が見える
- 警察署を越えて民権路を渡ったところが目的のバス停
実際にバス停に行った時は下記バス番号があるか(間違いなく目的のバス停か)を必ずチェックしてください
乗っていいバスは
- 788 (毎日)
- 825 (土日祝)
- 827 (毎日)
- F802(平日3回、無料)
- 1062(毎日)
ですが、1062は台北から満員でくるので乗るのは難しいでしょう。
料金は現金・悠遊カードとも15元で、所要時間は15分内外です。(時刻表チェックは意味がないです)
九份はバス停名と位置がややこしい
いよいよ山に入って、降りるバス停は「九份老街」、ところが全く同じ停留所が、路線によって・・
- 九份老街:1062
- 九彬老街(舊道):788・825・826・827
- 舊道車站[新巴士]:F802
と3つの名称になっています。が、上のマップに示す全く同じ場所です。乗るバスの番号と停留所名を必ず把握しておいてください。もし降り忘れたら大変(次のバス停が遠い)なので絶対に予習しておきましょう。
それから、九份の入り口と紹介されている7-11のあるところはヘアピンカーブの頂上部分(瑞金公路と基山街の接点)です。だからバスを降りてから、少し歩く必要があります。再度マップで確認してください。
ややこしい(その2)
上記説明は瑞芳駅から登ってきた場合のバス停で、逆に金瓜石から下ってきたバスの同名の停留所は下のマップの通りで、ヘアピンカーブの右側(東側)になります。
ややこしい(その3)
上のマップを見てください、ヘアピンカーブのはるか手前に、またもや「九份(あるいは「九彬」)」という名の停留所があります。
ここで降りても致命的ではないのですが、最下点なので老街内を延々と登って行く羽目になります。なので、やはり2つ上の「九份老街」で下車しましょう。
電車+タクシーで行く場合
電車は説明しましたので、瑞芳駅に着いてからタクシーに乗る場合を説明しましょう。
写真の通り駅前はタクシーの溜まり場になっているので、乗り場に行って順番待ちをしている黄色に乗りましょう。
料金は一律固定で205元(この記事を作成している時点)です。詳しくは新北市政府のサイトで確認をしてください。ぼられたりすることがないの安心です。
ページ中段に「瑞芳地區計程車運價」というタイトル下の一番上に「瑞芳火車站-九份」というのがあります。
九份から帰る手段
アクセスに関してはこの項が一番大切です。そしてこれが一番の難題です。最初から心得ておいてください。
何故ならば、九份は提灯の灯る頃が綺麗から、みんなそれを見てお茶を飲んで写真に撮って帰ろうとします。そうすると、同じような時刻に帰りの人がどっと出てきて大変なバス待ちラッシュになるのです。
そこで事前に知っておいたほうがいいことが幾つかあります。
バスに乗る場合、上に既出ですが基山街の一番上(へピンカーブの頂上・7-11のあるところ)からバス道に出て右約100mにある「九份老街」(九彬老街(舊道)・舊道車站[新巴士])バス停を使います(上のマップ参照)。これはマストです。
間違ってもそれより下の(瑞芳駅側の)バス停で待ってはダメです。上の「九份老街(舊道)」バス停で既に満員になってしまうからです。
乗っていいバスは
- 788
- F802
- 825
- 827
- 1062
です。しかし826だけはダメです。
タクシーを使う
タクシーでも乗れたらラッキーですし、乗り合いを募っていれば、瑞芳駅まで100〜150元くらいなら(台北市内まで500元くらいなら)乗ってしまったほうがいいです。(「ぼりやがって」とか考えてたら朝になってしまう)
一番大切なことは「山を降りてしまう」ことです。躊躇っていたら延々と待つことになり、いつまでも下山できません。そのうち雨でも降ってきたら、もう最悪です。
反対方面に乗ってしまう
奇策としては、反対方面「金瓜石」行きのバスに乗って、折り返しそのまま瑞芳駅まで乗る方法もあります。
ひどい時は7-11からバス停まで長蛇の列になっている場合もあるので、そんな時はあっさり「金瓜石」行きのバスに乗るのがいいように思います
バスは瑞芳駅下車か基隆駅下車か
もしバスが基隆駅行きであれば終点まで乗ってしまう方法もあります。当然基隆駅まで時間はかかりますが、台北方面の電車の本数が多いので、トータルの時間は必ず損するとは限りません。
下山の時刻をずらす
以上のように「行きはよいよい帰りは大変」な九份ですが、混雑の時間帯を避ける、つまり・・
- 明るいうちか
- 9PM以降の遅い時間帯
に下山する、という発想もありだと思います
ツアーに参加する
この場合は専用の小型バスで移動しますから帰りの心配をせずにすむので非常に安心感があります。その上、案内人が上手だと歴史なんかも織り交ぜて面白く解説してくれるので、九份ツアーは一考の余地があるでしょう。ただ、玉石混合なので選択の難しさはありますが。
蔡英文政権になってからは、中国共産党得意の嫌がらせ政策で向こうからの観光客が減っていますが、それでも九份は平日昼間であっても歩きにくいくらい人は多いです。
過去の経験では、一番多い時は基山街の一番上から、たった100mすら進めないこともありました。それぐらいの混み方になると、もう怖くて先に進もうという気力すらなくなります。ましてや帰りは・・・
以上、下山の方法については最悪の事態を想定してくどくどと説明しました。勿論、そんなのは杞憂だって日もあるでしょう。
スマホに電車・バスのアプリを入れよう
スマホをお持ちの場合は、現地で利用する電車やバスのアプリを入れておいてください。そして使い慣れておいてください。ものすごく役に立ちます。
リアルタイムで現在の時刻表が確認できたりバスの進行状況を把握できたりすることは非常に大切です。タイムロスや判断間違いを防いでくれるのです。
特にオススメしたいアプリが「台湾等公車(Bus Tracker Taiwan)」です。バスも電車もこのアプリ一つでOK、めちゃくちゃ便利です。
九份
最初に解説しましたように、金鉱が廃坑になった以上、多くの人はみんな霧散し衰退して寂れて、わずかな人たちだけが住んでいる場所になってたかもしれないところです。
そこを悲しくも美しい場所のロケ地として見つけ選んだ名監督・侯孝賢(ホウ・シャオシェン)が凄いのか、映画を見て気がついて再認識した台湾の人たちが今日の繁栄のきっかけなのか。
何れにしても九份は台湾を代表する観光地として蘇ったのです。
さて、そんな九份へ行って観光客としてどう過ごしたらいいのでしょうか、どう楽しんだらいいのでしょうか?
大まかに言って九份の魅力は4つあると思います。
お茶と景色
山々とその向こうに見える海の一体的な美しさを、お茶屋の席で美味しい高山茶をいただきながら見る。
有名なのは「阿妹茶樓」や「九份茶坊」ですね。もうどの雑誌にも紹介されてますし。お茶の入れ方の味方などを教えてくれるので、気に入れば美しい景色を見ながらゆっくりできます。
しかし・・近年あまりにも多くの観光客が押しかけ、逆に店の質を落としてしまったのはまぎれもない事実です。
露骨に団体客優先な態度を見せ邪険に扱われると「そこの花瓶投げたろか」と思いますよ、マジで。酷いのにあたると、もう愛想が悪いとかってレベルじゃないですから。
喫茶店はたくさんあるし私ならガイドブックに載っていないお店を選びます。少なくとも大型バスの客がどっと来そうな店は完全スルーです。
もし、あなたがお茶を飲みながら美しい眺望を見ようとするなら、落ち着いた店を選択してよい店員さんに当たることをお祈りします。
ノスタルジックな建物を見る
急な斜面に林立している歴史の香りを強く感じさせる建物を見つつ、そういう建物の間を縫うように通っている石段を歩き、そこにしかない空気を感じる
そういう意味では、冒頭「九份と金瓜石の物語」で述べたようなことを、少しでもいいので頭に入れておいたら、現地に行って、より想像力も働くし、より豊かな思い出を作ることができると思います。
同じ理由で、上に紹介した映画「悲情都市」は予告編だけでも見ておくことをおすすめします。より感慨が深くなるはずです。
基山街の周辺はお土産やさんと観光客ばかりなので、ちょっと別の筋に外れていくと落ち着いて九份独特の建物風景が見られます。
また、歩いているとだんだんわかってきますが、この街には犬と猫が多く生活しています。多分、街の一員なのでしょう、なんとも言えない一体感があります。可愛いけど触らないでくださいね。
日が暮れて基山街中心部に戻ってくると赤い提灯に明かりがついて本当に綺麗ですね。ついつい写真に収めたくなります。あなたはこの赤い情景を見て何を思うでしょうか。
私が一番最初にその風景を見たときは、炭鉱景気で賑やかな頃、多くの鉱夫が嬉々として遊んでいる風景が心の中をよぎったのを覚えています。
お土産屋を見て回る
九份一帯には星の数ほどお土産屋さんが軒を連ねてますが、これらを見て回るのもなかなかです。私なんか元々全然興味がないのですが、それでもここのお土産やさん観光は面白いです。
それこそ・・
- 食べ物
- お菓子
- お茶
- 衣類
- 箸やスプーン等の木製品
- 民芸小物
- おもちゃ
- 置物
- バッグ
- 履物
- アクセサリー
- 筆
- オカリナ
- 石鹸
- 雑貨
- アイデア商品
などなど、よくもこんなに種類があるなってほど多種かつオリジナリティーのあるお土産屋さんが並んでいます。
気に入ったのを見つけて買ってくださいね。ただし、自分の失敗から申し上げますが、あとでガッカリしたり、顔を真っ赤にしたりしないで済むように、タグの類だけは必ず見るようにしてください。これ大事です。
それと、全くの推測で根拠はありませんが、時々お店に見る、恐らくは売り物ではない結構いい置物とか骨董とかは、その店の先先代くらいが炭鉱華やかなりし頃にお金を儲けて買ったのかなって思ったりしています。
名物の食べ物
九份で有名な食べ物といったら・・
タロ芋やサツマイモで作るプニュプニュの芋圓というお団子
台湾のスィーツを語る上で欠かせないのが芋圓です。芋圓そのものには味を加えないで、熱いのも冷たいのも甘い蜜で食べます。心地よい歯ごたえと程よい甘みが素朴で美味しいですよね。九份の九份阿柑姨芋圓は名店です。出来立てを食べてください。
九份阿柑姨芋圓
基山街を7-11の入り口から下っていき、阿妹茶樓方面と反対側に入って(左側)少し歩くとあります。入り口から約450m。
魚丸という魚のすり身団子や海鮮もの
歯ごたえが抜群の魚丸。魚のすり身団子ですが、これうまいですよね。海産物に恵まれている台湾の代表的な食べ物です。九份を下りるとすぐ下に基隆港があるからでしょうか、九份にも魚丸湯の名店があります。どんどん作ってどんどん食べられる、これがいいですよね。
張記傳統魚丸
基山街を7-11の入り口から下っていき、50mくらい歩くとあります。
草餅をはじめとする餅菓子
阿蘭草仔粿は草餅の名店です。出来立ての草餅を頬張れば、ほのかに広がる草の香りと餡子のハーモニー。特別な食べ物ではないけれど、美味しい店は美味しい。だからいつもすごい人気です。
阿蘭草仔粿
基山街を7-11の入り口から下っていき、右に直角に曲がったら、次の角にあります。入り口から約250m。
肉圓
金枝紅糟肉圓
基山街を7-11の入り口から約160m歩いたところ。
紅糟肉圓
九份ではよく食べる紅糟肉圓ですが、残念ながら日本人には馴染みがないんです。金枝紅糟肉圓の肉圓、うまいんですけどねぇ。
日本人には少し慣れが必要な食べ物かもしれません。私が過去同行した日本人の反応では・・
- 美味しい2割
- どちらとも言えない4割
- ちょっと・・・4割
くらいです^^ 慣れたら美味しいんですけどね。
肉圓
さつまいもを中心とした粉を固く水溶きして、その中にざっくり言えば豚まんの餡(筍も)を入れて包み込み、それを蒸して、さらに低温の油でゆっくり揚げて出来上がり。
これを皿に盛りピンクがかったニンニク風味のソースをかけて食べます。
肉圓については・・
- 彰化
- 新竹
が特に有名です。また作り方やソースの色は地方により微妙に違ったりします。
金枝紅糟肉圓の特徴は豚肉に紅麹を使っている点ですね。
以前どっかの夜店で「なぜさつまいもの粉なのか?」って聞いたことがあります。そしたらおばちゃんが「さつまいもの粉は冷めても溶けないんだよ」みたいな事を言ってました。
花生捲冰淇淋
クレープみたいな皮に、ピーナッツを飴で固めた大きな石状のものをカンナで削り粉状にして皮に乗せ、その上でアイスクリームを置いて包みます。これがなんか美味しくてね、そして最初に食べとくと、結構ボリューミーなんで歩けるんですよね。
九份名物ではないと思いますが、自分がいつも九份で食べるので紹介します^^
九份阿珠雪在燒
入り口から約120m右側。とりあえず食べよ〜と思うのにちょうどいい距離!
以上、ここに紹介したお店は超有名店ばかりで、口に合う合わないはあるにせよ老舗の安心感は間違いなくあります。
もっとも、私はず〜っと以前に台湾人に連れてきてもらったきりで、九份阿珠雪在燒を除き、一人で来た時はあまり店を選んではいません。
いつも、お腹の具合や疲労感や気分で、適当に店に入ります。近年ごった返しているので、余計に気分次第です。
有名店に入るよりこっちの方が損だってことはありませんし、むしろ合理的ですらあるってことは、実際に行けばわかってもらえると思います。
3.11義援金のお礼
九份は3年くらいご無沙汰していて記事を作成できなかったので久しぶりに行きました。その時の出来事。
10月下旬なのに連日33°超えとかっていう台北人もびっくりの高温。九份の坂道を歩いていたらたちまちの大汗で、たまらずかき氷屋で休憩しました。
お店のお姉さんは私が日本人と知るや「これトッピングして」とサービスしてくれたのが上に紹介した芋圓です。プニュプニュして美味しかった。
そしてお姉さんは「3.11東日本大震災の時に日本を助けてくれておりがとう」みたいなお礼文言が書いてある名刺大の紙をいっぱい持ってきて見せてくれました。「日本人が持ってくてくれたんだ」って。
お姉さんのお話を聞いていて、ついウルウルしてしまって「本当にありがとうございました」とかって言っていたら、店の名称も写真を撮ることも全て飛んでしまったのでした。たった一枚のかき氷の写真を除いて。
金瓜石黄金博物園区
先にも触れましたが、天燈で有名な十分や猫の村・猴硐から九份一帯、これ全て日本統治時代に鉱山で賑わった場所なんですね。
金に関しては、まず九份で鉱脈が見つかり、程なく金瓜石でも見つかりました。特に金瓜石は金鉱山(銀・銅も掘られていた)として有名で、最盛期は東洋一の金鉱山と呼ばれていました。
1945年に日本と入れ替わりに台湾に入ってきた中国国民党が後を引き継ぐも1987年には完全閉山になっています。
そして歴史は下り、金瓜石鉱山を再整備して2004年に開業したのがここにご紹介する「金瓜石黄金博物園区」なのです。
位置としては九份から東に2km強くらいです。ただ地形はかなり厳しくてバスが通る道もクネクネです。
ですが、九份に来られたなら是非金瓜石黄金博物園区にも寄ってください。九份のような意味での観光地観光地した所ではありませんが、九份の何倍も日本と台湾の歴史が、そして日本人と台湾人の関わりがわかる場所です。
さて、それにしても新北市は、険しい山奥の廃鉱となったこんな場所を、よくも観光用に再開発したものだなと感心します。
金瓜石黄金博物園区はまだ開発が続いており、その敷地内では綺麗に整備されている所と放置されている所(当時の関係者の宿舎など)があるわけですが、その落差がすごいです。
つまり放置していたら、こんなにも建物はボロボロに朽ち果て、庭は草ぼうぼうになるんだってことがよく分かります。ですから、逆に、よくぞ再開発したなって思ったわけです。
ではもちょっと具体的に見ていきましょう。
交通手段
バスについては既に一通り説明していますが・・
- 788番
- 825番
- 1062番
の何れかに乗って、金瓜石(黄金博物館)で下車してください。
上の金瓜石黄金博物園区のマップというか俯瞰図をみてください。これと全く同じものが「遊客服務中心」に置いてあります。
結構広くていろんな建物が建っているので、予備知識なしに行くと、どう歩いているのかよくわからないことになる可能性があるので、必ず遊客服務中心でマップをもらってみてください。
またトイレの位置も描かれているのでそういう意味でもマップは必要です。
さて、バスを降りて目の前の入場券売り場で料金を払って直進すると遊客服務中心です。ここで左折をすると、すぐに四連棟です。
四連棟
四連棟は1930年代に建てられた宿舎で、いわゆる日本の長屋ですね。綺麗に整備されています。私が幼少の頃に住んでいた貧乏長屋ではなく、もちょっと高級なものです(多分)。
1時間おきですが中にも入れます。ただし電話予約者優先なので、特に休日に行く場合は事前にホテルで予約してもらうことをお勧めします。
さて、その内部が素晴らしく当時の日本式生活を再現していて、外見共々完全再現になっております。
日本敗退ののち国民党が引き継ぎますが、彼らは畳の座る寝る生活ができないので自分たち用の家具を入れて生活してました。それも再現しています。
その辺も含め、特にあの時代を知らない方は特に一見の価値があります。
と、わかったようなことを言っている私は建物前の説明だけ読んで入らないで通り過ぎたんですね。暑くてボ〜ッとしてたのでしょうか。ちゃいます。予約なしで行って、列がすごくて諦めたんです^^
環境館と錬金楼
四連棟のすぐ先には、環境館と錬金楼があります。昔の事務所だったり来客宿泊所だったりしたところです。
宿泊所だった錬金楼のような様式は当時の流行だったんでしょうね。高雄や淡水なんかにも似たような建物がありますしね。
ここや九份で取れた鉱石の展示と解説、金属を用いたアートなど。特に錬金楼は錬金の様々な工具の展示や作業工程が復元されており、かなり必見度が高いと思います。
当時の街
その奥には警察署や郵便局など当時の街が復元されています。この一角はカフェや飲食店が連なるところです。それにしても建物の復元度がすごいです。知らない間に飲食店が増えています。
金瓜石太子賓館
更に歩くと、金瓜石黄金博物園区の最重要建築物「金瓜石太子賓館」があります。ここに入り巡り見るだけでも金瓜石を訪れる価値があるのではないでしょうか。
この一角は、昭和天皇が皇太子時代に視察されるご予定に基づいて休憩所として1922年に造られました(実際には来られなかった)。しかし実際に宿泊された皇族もいたそうです。
建築様式は和洋折衷様式で当時流行していたそうです。私には純和風木造建築にしか見えませんが。お庭がまたすごくて本当に綺麗です。池には鯉が沢山泳いでいます。
お庭の崖側(建物と反対側)に行くと眺めがいいです。私が行った時はかなりガスってましたが、晴れていれば相当素晴らしい眺望になるようです。眼下の家々から、遠くは海まで。
日本建築や日本庭園にあまり興味がなくても、日本人としてここに立てばやはりある種の感動を覚えると思います。
主寝室からお庭が一番いい角度で眺められます。
いつか専門家に、この皇室専用として造られた建物と庭園がどれくらい凄いのか教えていただきたい気がします。
そして、ここまで完璧に復元していると、もちろん今の姿に感動しますが、もしあるなら復元の過程を記録した動画を見てみたい気がします。
さて、太子賓館を出て石段を上がると線路が延びています。
鉱山にはつきものの、掘り出した鉱石を運ぶトロッコ用の線路ですね。線路が見えたら左に曲がって線路沿いに歩いてゆくと、一番奥の施設である・・
- 本山五坑
- 黄金館
そして一番奥には売店があります。また、見上げると高いところに金瓜石神社の跡があります。
本山五坑
本山五坑は本物の坑道です。別料金が必要ですが貴重な体験になります。
ヘルメットをかぶって中に入れば、整備されている突き当たりまでトロッコ線路が敷かれていて、当時の様子が伺えます。
V字ターンして、今度は登り坑道に入り歩いてゆくと、木の杭で支えられた天井が崩れないのか、ちょっと怖くなったりもします。
やがて朱色の灯篭が立っていて、人形が採掘現場で作業していて、発破安全区には耳を塞いでいる作業員の人形が。
トロッコに積んで運び出す作業員、休憩区域で一服する作業員などなどを見ながら地上に出ます。
人形以外は本物なので空気感も含めて非常に迫力があります。私が坑道に入った時は誰もいなかったこともあり、時空を超えてきてるような気分になりました。実に貴重な体験です。
黄金館
次に一つ奥の建物が黄金館です。ここは以前、会社の事務所だったところで立て直しをしています。
1Fは金瓜石鉱山の実物資料館です。様々な作業用具や関係者の遺品や人形を使った作業風景の再現、それに文献など。
私が特に興味を持ったのは、鉱山の模型で、坑道は断面を切って中全体が見えるように工夫されており、これは勉強になりました。よくできている!
2Fは金細工の工芸品が多く展示されており、中には非常に細かい細工をされた昆虫なんかもあって感心したりため息が出たり。
そして、何と言ってもこのフロアの目玉は、「世界最大の金塊」としてギネス認定されている220.3kgの金塊です。ケースには丸い穴が空いていて、みんなここから手を伸ばして金塊をナデナデしてました。
ケース前にはデジタル表示でこの金塊の時価が表示されています。金相場と為替相場の絡みがありますが、だいたい日本円で10億円くらいですか。これ一個で何回人生送れるのかな^^
奥の売店
さて、一番奥の売店にはここだけのオリジナル商品があるので、気に入ったのがあれば買ってください。
お土産は、置き回しがきくというか、どこにでも置いてあるものよりも、やっぱりそこにしかないものがいいですよね。
金瓜石神社
次は金瓜石神社に登りましょう。とはいうものの・・これが実に急勾配で厳しいんです。写真でわかるでしょうか。もし履物がハイキング用でなければやめたほうがいいでしょう。
急勾配の上に石段も結構ガタガタで捻挫の危険があります。私が登った時にすれ違ったのは地元?の学生だけでした。
しかしまた、何でこんな厳しいところで神社を作ったのでしょうね。当時の人でも毎日手を合わせには行けなかったでしょう。
それだけに登り切った時の達成感は確かにありますね。景色も最高だし。
下からも確認できますが、今は柱以外はほとんど何も残ってなくて、神社らしく感じるのは鳥居と灯篭くらいでしょうか。
チャレンジ精神のある方とこういう場所にノスタルジーを感じる方は登って見てください。結構感激する可能性大です。
ただし、登る前に水かお茶を忘れずに買っておいてくださいね。
金瓜石神社リニューアル(2022/7/30追記)
2017年から行われていた金瓜石神社跡地の修復作業が遂に終了し、新しく蘇った様を見ることが出来ます。
神社跡地部分の整備に加え、参道に桜の木が100本以上植えられました。いずれも過去の文献を参考にしているそうです。
また、新たな試みとして、AR技術を使って日本統治時代の様子を見れるようにしたそうです。
よくはわかりませんが、例えばiPhoneをかざしながら歩くと、画面の中の現実風景に当時の様子が重なって見えるということでしょうか。
また一つ再訪の楽しみが増えましたね。
放置された社宅
さあ、出入り口に戻りましょうか。帰りはマップ上に見える遊客服務中心と環境館の間の石段を降ってきてください。
完全放置された、おそらく当時の幹部クラスの家が、左右に荒れ放題にあれた姿をさらけ出しています。ホント、整備しないとこんな風にぐちゃぐちゃなってしまうんですよね。
さて、ざらっと表面をなでただけの説明でしたが、金瓜石黄金博物園区は本当に見応えがありますよ。九份の楽しさと金瓜石の奥深さを、是非両方体験してください。
新北市黄金博物館の基本情報
開館時間:平日9:30〜17:00(休日9:30〜18:00)
休館日:毎月第一月曜日(祝日に当たる場合は開館)、旧暦の大晦日と元旦、選挙投票日
入館料:80元
本山五坑体験:50元
砂金取り体験:100元(黄金館)
ホームページ:http://www.gep-jp.ntpc.gov.tw/(日本語)
最後に
九份・金瓜石は観光地としては第一級と言って差し支えないと思います。寂れゆく運命だったこの地をたった一本の映画「悲情都市」が救ったのも運命じみてます。
- 風景が抜群にいい
- 日本統治時代の歴史がふんだんに残されている
- この一帯の経済の原動力であった鉱山の現場や作業状況を多くの資料やリアルな再現でわかりやすく説明している
- ノスタルジーを心一杯感じさせる建物群
- 他に類を見ないオリジナリティー溢れる商品を扱う多くの土産物屋
- 歴史があって美味しい食べ物を扱う多くの食堂
- 全体を通して日本と台湾の関係や栄華と悲哀がとてもよくわかる
じっくり1日かけて回れば、楽しくて美味しくて心に刻まれて。間違いなく印象深い観光になるはずです。
最後に、少し注意しておく事項とオススメのアプリについて述べます。まず注意事項ですが・・
- 特に九份の石段は狭く、人が多い休日に行くと(下手をすると平日でも)歩行に困難をきたすこともあります。
- 九份・金瓜石あたりは特に天気が変化しやすく雨の多い地方です。しかも九份の石段では人が多く傘をさすのは難しいです。雨カッパを用意しておいたほうがいいです。
上記注意事項は心得が大切です。とともに、最悪の日に当たるとテンションがガタ落ちし、イライラが募ってどうしようもなくなります。雨が降るわ動けないわ・・どうかそうならないようにお祈りしています。
以上です。楽しい旅、一生心に残る思い出ができる旅、そんな旅を九份・金瓜石でしてくださいね。
九份・金瓜石に行ったら、その次はやっぱり猴硐と十分でしょう
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