揚げ足を取る人の歪んだ心理と3パターンの対策



この記事は社内の上役に揚げ足取りをされて困っている方に向けて作成しています。

揚げ足を取る人は直属上司で、あなたはその部下とします。つまり力関係で理不尽さを無理やり通される、そんな関係ですね。

非常によくあるパターンで、本来の業務遂行にマイナスになるだけじゃなく、心が病んでしまうことも多いです。

最後に述べますが、私も銀行員時代にきっちりやられて相当難儀したことがあります。

やられる人の性格もいろいろで、私みたいに「このグズ野郎が」とかって反発心があればまだしも、ただただ怯えて暮らすような優しい性格だと潰されてしまいます。

さあ、しっかり仕事をこなしていたのに、青天の霹靂の如くマトモな理由もなく上司から揚げ足を取られたら、そんな時はどう対処するのがよいのでしょうか?

 

どうにもならないヘタレなら

極端な例えをすると、あなたが超超超ヘタレで、何も見たくない、何も聞きたくない、逃げて逃げてただただ安全地帯に行きたい・・・

仮にこのような考え方の持ち主なら、このような性格の持ち主なら、これは結論から述べるとどうにもなりません。手の打ちようがないし、状況改善の余地もありません。

揚げ足取りをする相手がどうであれ、最初から「対処できない」「対処放棄」と答えが出てるのだから、つまり、自分の問題を自分で解決する意思ないというのだから、これは他人が助けられる話ではありません。

退職のみが唯一の道となります。

しかし、のちのちわかってくるはずですが、問題に対して背を向けて逃げる生き方は、ほぼ間違った方法だと断言できます。

なぜなら、将来また同様の問題にぶち当たる可能性が大きく、そのときに解決ノウハウが全く蓄積されておらず、またまた逃げるという人生になってしまう可能性が大きいからです。

祥子
それで生き続けられるんなら別にいいじゃんか! 何よ偉そうに。
藤原
はい、そういう納得で収めるなら、これ以上申し上げることはありません。

しかし、人生は長いので、今後も様々な問題が身の回りに発生するでしょうし、その度に逃げるばかりで解決の努力を怠れば、その結果として、収入は上がらないどころか安定しないでしょうし、目標すら持てなくなってしまうかもしれません。

目標どころか、下手をすれば、落ち着いて住む場所すらも得られない可能性があります。

勘違いされそうですが、「退職」がダメなのではありません。後にお話するような手をちゃんと尽くした上での「退職」なら、それはそれで一つの立派な判断です。

逃げる姿勢がダメなのです。

 

話ができるケース

揚げ足を取る上司はそういうところもあるけれど、話くらいはできるというケースですね。こういう場合にはどんな対応策が考えられるでしょうか?

話し合いを通じて出来るかもしれない解決策を説明します。

相手の言い分を理解する

社会人が誰かと話をする時の基本姿勢です。まず言いたいことを言うのではなく、とにかく相手の言いたいことを理解するのです。

これはもうほんとに大切な忘れてはならない会話時の基本です。

ということで、話し合いの最初は、あなたはあまり主張せず、ひたすら聞く姿勢に徹っし理解に努めます。角度を変えると、それは情報を集めるという意味でもあります。

何がダメなのか? 何が不満なのか? 何をどうしてほしいと望んでいるのか?

兎に角、一切の否定はせず、むしろ共感している風を装い、それで心を開いてもらえれば問題が深刻化するのを防げる可能性もあります。

冷静に対応する

相手の言いたいことを理解する上で重要なのは常に冷静でいることです。

話し合いのそもそも原因は揚げ足取りですから、あなたもいい加減頭にきていたりイライラしていたりという状況にある可能性が高いでしょう。

しかし、相手の言い分を真っ直ぐに理解するためにはフラットな精神状態が必要です。また冷静な対応は、相手の心を落ち着かせる効果も期待できます。

一方、こういうときに噴出するマグマを抑えられないような精神状態が続くと、話し合いの意味がなくなるどころか、つかみ合いになったりする可能性もあるので、熱しやすくなる性格を持っている場合は、かなりの自覚と自制が必要です。

私自身が正にダメな人そのもので、若い頃何度も熱くなって失敗をしています。

誤解・曲解・誤情報と自分の立場

恐らく、揚げ足取りをする上司は、進んで誤解・曲解をしている可能性があります。また、取り巻きが誤情報を与えている可能性もあります。

こういう人は、判断の基準が、最も大切にすべきものが「事実」であるという当たり前を何処かに忘れてきてるのです。

なので、ポーズにせよ何にせよ十分に相手の立場を組んで話を聞いたあとで、あなたの立場と意見を明確にし、その上で、相手と協力して縺れた糸をほぐす意思があることを示します。

相手は上司なので仕事上の立場が違うことはちゃんと理解できている旨が伝わることも大事です。

で、すぐ下で説明しますが、話し合いの際には必ず録音をします。これはもうマスト中のマストです。

実際に実行してみると非常によく分かるのですが、録音してるのですよ。いざという時はこの最強の黄金の武器が役に立つと思うと、とても勇気が出てくるし、苦手な相手に対しても真っ直ぐに顔を見て堂々とすることができます。

むしろ、有効な言質を取るためならどんな芝居だって出来るという、普段の自分では不可能な振る舞いが出来たりします。

勿論、話し合いだけで解決するのが一番ですし、何も私は「こじらせましょう」と言ってるわけではないですよ。

録音は必須

後になってより一層紛糾する可能性があります。揚げ足取り上司も自分が不利だと知るや、平気で前言撤回などということをしないとも限りません。

なので、ゆくゆく上司の上司や人事部の人に仲裁に入ってもらうことまで考えて、デジタルレコーダーでの録音は絶対的に必要です。

話し合う前に録音の了解を取ることは、できればそうするに越したことはないですが、話し合いそのものを拒否されたり、録音という行為自体をネタにして罵られたりする可能性もあるので、ケースバイケースです。

録音行為を告げないほうがよいと判断した場合は黙っていても構いません。要は、証拠を残すことが大切です。

録音拒否された時の録音手段

デジタル録音機器を相手の承諾を得てテーブルの上に堂々と置ければいいですが、むしろそんなケースはレアでしょう。

だいたい人の揚げ足を取るような人はズルくてセコいんですよ。だから堂々と正面突破は出来ないケースが当たり前だと思います。

そこで私が使ってる「脅威のどこでも録音」を紹介します。

何を使うのかというとこれ↓です。Apple Watchです。

相手と対面する前にタップしておくとレコーディングがスタートします。専用の録音機器はいらないしiPhoneも持ってこなくていいです。

Apple Watchの画面をいつも通りにしていても録音できるので、つまり上司に警戒心を持たせないで済むわけで、ここが最高のメリットです。

Apple Watchのマイクを使うのですが、事前に何度か練習しておいて、品質の良い音確保のための腕の置き場なんかを確認しておくのがいいです。

実は、このレコーディング・ソフトの本体はiPhoneに入っていて、Apple Watchで録音したデータはiPhone内に自動的に保存されます。

アプリ名は”Just Press Record“で、価格は今現在800円です。歴史のある世界的に有名なアプリなので相対的に安心感があります。

ただし、録音後のテキスト変換には現時点では難があるようなので、そこに大きくひっかかりを感じる方は別の選択がいいかもしれません。

Just Press Record

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話し合いができないケース

「話し合う」とは相互には自分の考えや立場を述べ合うことですが、それは同時に相手の話している内容を理解するという意味も含まれています。

話し合いが出来ないとは、あなたがものを言えないということではなく・・勿論威圧的で喋りにくいムードを醸し出す上司もいるでしょうが、そうはいえあなたの心得次第で幾らでも思いは述べられます。

そうではなく、寧ろ相手があなたの言い分を理解をする気が一切なくて、一方的に自分の考えを押し付けてきて、あなたがそれを飲むことが唯一の解決策だと決めつける上司である場合です。

こういう人を相手にすると、どんなにきちんと真っ直ぐに理論武装して対抗しても、返って対立が深まってこじれる可能性があります。

そもそもの根源が上下関係の誇示や支配欲にある場合は、正論で上司の行動が改善することはないのです。

こういう人とは話し合いが出来ないし、話し合う意味もありません。

ただ万が一、上司の言い分に少しでも理解が出来て、あなた自身が自身の改善の必要性を感じるなら、揚げ足取り的な言動は不適切であっても、上司の意を汲んで頭を下げて改善に取り組むことでその場を収めるという方法もあるでしょう。

最後まで空中分解的な方向を避けるという考え方は基本的には正しいと私は思います。

一方、本当に単なる嫌がらせ的揚げ足取りで、且つ、話し合いもできないとなれば何か別の解決策を見つけなければいけません。

ここで再び「録音」。面と向かって話し合いをしなくても、日常の社内において、上司の悪態を録音する機会は幾らでもあるはずです。録音しておいてください。

あなたを守る手段としてどうしても必要です。

客観的な評価を求める

あなたの話を全く聞く気がない理解する気がないとなれば、二者間での解決は無理なので、第三者に入ってもらう必要があります。

それは上司の上司、或いは人事部となるでしょう。

ただし、道理が通らない社風を持つ会社であれば、もはや社内での解決は無理であるばかりか、無駄な消耗に苦しむことにもなりかねないので、そういう場合は退職が視野に入るのはやむ無しです。

ここでは、会社は一応まともであるという前提です。

で、上司の上司や人事部に話を持ってゆく前にやっておくべきことがあります。

根回し・レポート・音声データのまとめ

日頃の人間関係は大切です。同僚や今は別の部署に移った元上司など、自分の状況を話せ、わかってくれる人が社内にいることが大事です。どこかで助けてもらえる場面がないとも限りません。

兎に角「周りは味方」という状況が好ましく、逆に、そういう環境が作れない場合はあなた自身の会社における評価も芳しくない可能性があり、望むような方向性は難しいかもしれません。

理屈ではなく、形にしにくい問題の解決には「空気の色」や「雰囲気」も大切な要因となることが大いにあります。

次に、事の経緯をレポートとしてまとめておくことが必須です。更に、証拠となる上司との会話の録音ファイルの文字起こしもあったほうがいいです。

ここまで揃ってから初めて上司の上司或いは人事部にお伺いです。注意すべき点としては、お願いする時の、お伺いを立てる時の姿勢です。

「自分の主張はしっかりするがどこまでも丁寧で頭を低く」、これが日本の会社ではほぼ絶対的な条件であると肝に銘じておいたほうがいいです。

「自分は間違っていない」と胸を張りすぎた主張や「正義は私にあるんだ」と上から目線的な主張は、あなたの主張の正当性のいかんに関わらず、そもそも組織人として不適合というレッテルを貼られる可能性があります。

態度とともに、あなたを有利に導くもう一つの大切なことは、口頭の説明にせよレポートにせよ、客観的な立場で述べていると印象づけることです。

上司の上司にしても人事部の人にしても、会社人としてのあなたを見ているので、会社人としての客観性を持たせた話でなければ、下手をすると逆効果となってしまう可能性があります。

メリット

こうした努力の結果、揚げ足取り上司やあなたに助言やサポートが提供され、結果として職場環境が改善されれば言うことなしです。

デメリット

一方、結果として揚げ足取り上司が報復的行動に出て一層の不当な扱いをする可能性があります。

また、先にも少し述べましたが、上司の上司や人事部への告発そのものが自身の評価ダウンに繋がる可能性もないとは言えません。

そして、訴えたからと言ってあなたの望むような解決策が提供される保証もありません。

結構なリスクを負うという自覚を持って、だからこそ冷静で客観的でルールに従い敬意を持って相談する必要があります。

弁護士と労働組合

その他相談する相手としては、労働組合や弁護士などもいて、パワハラ色が濃厚な慰謝料請求に言及せざるを得ないケース等は一考の余地があります。

しかし、こういう方法を取るのであれば、解決を見た後、それがどっちにころんだとしても、もはやその会社で勤務を続行するのは精神的にも困難な場合も多いハズで、頭から転職も視野に入れた計画をもっておくのがいいかもしれません。

それに頑張って裁判に持ち込んで勝訴しても、パワハラ関連の慰謝料金額は意外なほど低く、取れても100万円くらいであるを知っておくべきです。

 

転職という選択

例えば銀行のように、支店を数年おきに転々とする「転勤」があるような職種なら、ブチ切れる手前で我慢が終了するということもあり得るし、現にそういう頑張り方をしていた人も複数人知っています。

しかし、そういう環境にない場合、確かに揚げ足取り上司から開放されるという意味では、転職は確実で効果抜群であることには違いないのです。

ただ、望む転職に成功するのはまた別の話でとても難しいことです。

なので繰り返しになりますが、先に述べましたように、上司の上司など周りの人たちの手助けで問題が解決するなら、その方がよっぽど使うエネルギーの量や努力の量が少なくてすみます。

さて、そうはいえどうにもならず転職という道を決断をした場合についてですが、幾つかの念頭に入れておくべき点について説明します。

貯蓄はかなりの絶対条件

元銀行員なので別の記事でも貯蓄の重要性を訴えてますが、手元に金がないと手が打てないのでどうにもなりません。

収入の安定しているときに、収支に計画性をもたせ、確実に毎月お金を残していきましょう。

どんなに自分に言い訳したところで貯蓄の重要性を覆すことは出来ません。

何のためにお金を残さねばならないのか? 「今が楽しけりゃそれでいい」的な人は、よくよく考えるべきです。

転職しようとてすぐに次が見つかる保証はないし、更にパワーアップするために、すぐ転職をせず自己投資を決断する場合もあるでしょう。

いずれにしても、こういう時に役立てるお金を用意してなければ、結局は自分の歩く道の選択肢を狭めることになってしまいます。

在職中に水面下でやっておくべきこと

転職を決意すると不思議なことに、揚げ足取り上司がどうでもよくなったりして心が軽くなることもあります。

決意したら、後は「適当に」ではなく、よく手順を踏まえてスケジュール化して、そしてそれにそって一歩ずつ階段を登っていきます。

そのためには事前に就業規則をよく理解しておくことも必要です。組織人であることを忘れず、ましてや無手勝流なんて絶対にダメです。

口頭での確認

事前に直属の上司に伺いを立てるのがマナーなのでしょうが、直属の上司そのものが原因になっている場合は話は別で、上司の上司に提出となるかもしれません。

大切なのは、そこに至る過程で直属の上司以外のコンセンサスを取っておくことです。これはむちゃくちゃ大事です。

こういった根回しをせず、気がついたら「あなた一人が悪者」みたいにされている可能性もあり「もうやめるからいいんだ」ということにはなりません。

新しく面接をする会社から聞き合わせがある可能性を忘れないようにしましょう。

まずは退職手続き

話を通したら退職届を提出します。退職願ではないですよ。

会社により書式を用意しているところもあるし、そうでないところもあります。

その後、業務の引き継ぎ・社外挨拶・会社への物の返却、その他、失業保険・健康保険などの諸手続きもそつなくこなします。

転職に向けての準備

退職するまでにできるだけ水面下で活動出来たらいいですね。

プログラマーのようにスキルが有る人は幾らでも新しい就職先が見つかるでしょう。しかしそうでない場合は、なかなか難しいかもしれません。

一方、起業するなら話は別で、手にスキルがなくても経営能力があれば前進は出来ます。というより総合的な経営能力がなければ起業は安易にはできないでしょうね。

その他具体的なスケジュールや手順は詳しいサイトが幾つもあるので参考にしてください。

最後に、わたしが非常に大切だと考える3つのお話をします。

ネットワークの活用

自分が今までに築いてきたネットワークを今こそフル活用しましょう。

親しい人たちに転職の意思を伝えまくって、有益なアドバイスや情報をもらいましょう。

あなたに魅力的なものを持っているなら力ある先輩なんかが誘ってくれることもあるでしょう。

日頃からの人間関係を大切にして、一人でも多くの人たちに認めてもらっておくことが如何に大切かがよくわかります。

セルフブランディング

転職には、自分自身をアピールするセルフブランディングがとても大切です。

自分が高い価値を持ち如何に役立つかを明確にしアピールすることが大切です。

きっちりと自己分析をしてマーケティング力を高め、転職をより有利に進めましょう。

プライベート・バランスの保持

転職活動は、下手をすると新卒時の就職活動よりも多くの時間やエネルギーを費やすことになりかねません。

やっと揚げ足取り上司と決別できても、また新たなストレスや疲労が蓄積するでしょう。

なので、適度な休息やリフレッシュする時間を持つことが殊更大切になります。

 

揚げ足を取る上司の心理

ここまで揚げ足を取る上司への対応策を考えてきましたが、あらためて「揚げ足を取りたい上司の心理」について簡単にまとめておきます。

こういった事を予め頭に入れておくと、実際に揚げ足取りにあった時に、うろたえずに相手の心理をうまく見ることが出来るかもしれません。

  1. 競争心や優越感:自分より部下が優れていることを認めたくない
  2. 自身のストレスやプレッシャーのはけ口:上層からのプレッシャーや期限にストレスを感じ、部下の取るに足らないミスに反応し揚げ足を取る。
  3. コミュニケーション・スキルの不足:仕事上の会話で部下に適切なフィードバックが出来ず、小さなミスにも過剰反応して揚げ足を取る。
  4. スキル不足で自信がない:上司自身がスキル不足で不安があり自信がなく、それに起因して部下の小さなミスや言動に過敏に反応してします。
  5. 性格が自己中心的:ワガママで自己中心的な上司は、気に入らないと理不尽に自己主張を押し付け、正論で反論したりすると無茶な揚げ足取りをしたりする。
  6. 過去のトラウマ:過去に自分が受けた揚げ足取りがトラウマとなり、気付かないうちに部下に対し同様の目線で見てしまう。
  7. コントロール欲:とにかく部下をコントロールしようとするあまり細かいとるに足らないことで揚げ足を取る。

これらのように揚げ足を取る上司の心理には様々な理由が考えられます。

しかしですね、理由の一つ一つをよく読めばわかりますが、こういう上司自身が実は大したことない仕事人なのですよ。

ただこちらの立場上まともに抗えないだけの話です。

いや、抗ってもいいのですが、その会社を離れても尚今までの自己の評判がついて回ったりするので、どう立ち回るにせよ穏便なのが結局は自分のためなのです。

絶対にそうだとは言いませんし、そうでないケースも幾つか知っています。

では最後に、私が実際に経験した揚げ足取りのお話をします。でも、只の個人的体験談なのでここで閉じていただいてもいいかもしれません。

 

揚げ足取り支店長

最後に、最低最悪な揚げ足取り支店長と仕事をした時の私の経験談をお話します。

実は、あまり参考にならないような気がします。

なぜなら、もう数十年も前の話で、時代背景や社会通念などが今とは相当異なっており、またスマホやPCなどのガジェットも一切なかった時代の話です。

もし読んで頂けるのでしたら、その辺を御理解の上でお願いします。

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私が仕えた支店長はみんな非常に出来た方々ばかりでした、一人を除いて。

この一人というのがとんでもない男で、ターゲットにされると、本当にほんの些細なことで「君、もう仕事せんでもいいわ(仕事をするなの意)」と言う人でした。

支店長は直接一般行員と仕事上の話はほぼしないので、ターゲットは副支店長・次長・課長などいわゆる役席と呼ばれていた管理職です。

支店長が揚げ足取りをする男だと初めてわかったのは毎週ある役席会議のときでした。

会議では全役席が本部からの通達内容その他を話すのですが、預金担当次長が全く発言しなかったのでそれを指摘すると、すかさず支店長が「預金次長に発言権限はないから」と一言。

預金次長は支店長の真ん前にデスクを移動させられ、毎日凍って仕事をしてました。こういった理不尽なプレッシャーに極端に弱い人でそれはそれは辛かったと思います。

やがて日は過ぎ、遂に私がターゲットになる日が来ました。例によって「君、もう融資課長せんでええわ(仕事するなの意)」。

どうも、決済を受けたい新規案件の説明で、私の推し文言の何処かが気に入らなかったようです。揚げ足取りというか、本当にしょうもないことでグズグズ言い出すんですね。

私がやらないとなると、自動的に全て融資担当次長がかぶることになります。次長に「そういうことでいいですか?」と問うと飲みに誘われこう言われました。

「課長のように具体的なことは何も知らないのだから仕事を引き継ぐのは無理。頼むから頭を低くしして穏便にやりすごしてくれ」

結局何一つ変わることなく今までと同じように毎日が過ぎるのでした。支店長の無視以外は。

支店長も「するな」と嫌味を言っても、実際に誰もやらないと即大変な事態になるわけで、だから私にもイヤミ以上の行動はしませんでした。

ところが間もなくしてとんでもないことが起きるのです。

銀行の最も嫌な大蔵省の金融検査がやってきたのです。検査内容は色々あるのですが、我々に直接関係あるのは検査官との面談。

ここで、支店の扱う融資の中で、健全ゾーンとグレーゾーンの中間くらいのものをグレー判定されてしまうとエライことなので何としても回避しなければなりません。

しかしここで、なんと支店長は、次長と二人で面談を受けるから君は来るなと言ったんですね。流石にここまで真正のアホとは思いませんでした。

だって検査官の厳しい追求を具体論で回避出来るはずがないのですよ、支店長や次長は(支店の運営方針如何ではそうとも言い切れませんが、この例に挙げている支店では全て融資課長に丸投げでした)。

案の定もう一日残っている面談は私にお鉢が回ってきました。ここまで嫌がらせをやっておいて、まるで何事もなかったかのように「あしたの面談の準備をしておけ」って一体どの口が言うのか?

遂に私は大爆発を起こして、支店長の人事管理がでたらめ過ぎると食ってかかりました。副支店長や次長が「転勤で離れられるのだからなんとかそれまで穏便に」って、もうこればっかり。

一方、明日の面談が超弩級な真剣勝負だったので、流石に支店長もふくれてはいてもイヤミは言わなかったと記憶してます。ここで啖呵を切ってくれていたら、100%私の人生は変わっていたはずです。

融資課長というのは、非常に支店長と絡みの多い仕事です。預金課長であればそうでもなく、一日支店長と口を利かなくても仕事自体に差し障りはありません。

ここまで悩んだのはつまりそういうことです。毎日毎日何度も何度も話し、そして決済を仰がざるを得ないから、一旦目をつけられたら、もう鬱陶しくて鬱陶しくてしょうがないのです。

そんなこんなで憂鬱な日々が続きましたが、ある日支店長がポロッと漏らした言葉があります。「君、いきなり辞表を出して支店長を困らせたりせんよな」。

過去、何度も支店長席を蹴ろうと思ったし、妻にも覚悟しててくれと申し渡してましたが、だからモロに態度に出てたんでしょうね。

逆に支店長のこの言葉で転職する気が消えました。偉そうなくせにケツの穴が小さい。「これは転勤まで精神的に継続できる」と。吹っ切れたら後は全然楽でした。

やがて支店長とも当たり前のように普通に会話するようになりましたし、揚げ足取りもイヤミもいつしか霧散してました。

以上、さんざん穏便がいいとか言いながら自分はできなかったダメダメ男のエピソードでした。



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