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睡眠のための時間 眠れない苦しみ
睡眠に関して悩んでいる人が大勢います。苦しんでる人も大勢います。きっとあなたもそうでしょ。私もそうです。
- 眠りたいのに眠れない
- 忙しくて時間が取れない
- 仕事の都合で就寝時刻が不規則だ
理由は人それぞれですが、制約のある環境の中で上手に睡眠をとってゆくことが、日日の生活をおくる上でどれだけ大切かは、みんなが知っています。
しかし、意外な事に「睡眠」の本質的な部分はこれだけ科学が発達していても解明されていないのですね。
でも、睡眠の質や、不足すれば出てくる不都合や、改善してゆく方法などは、かなりわかってきています。
2013年の調査によると日本人の平均睡眠時間は6.4時間らしいです。これでいいわけがない。様々な方向から考えて、改善する方法を一緒に見つけてゆきましょう。
睡眠の種類
睡眠には2種類があって、1つはレム睡眠といいもう1つはノンレム睡眠といいます。それぞれの特徴は以下のとおりです。
レム睡眠
- 体は寝ている。脳は活発に働いている。
- 夢を見る。
- 目が覚めやすい。
- トイレに行く。
- 体温が高くなり目覚めが良い。
ノンレム睡眠
- 体も脳も深く寝ている。
- 必要なホルモン分泌が活発である。
- 細胞を修復、ストレスを解消している。
- 少しの昼寝ですっきりするのは、それがノンレム睡眠だから。
一晩のうちにレム睡眠とノンレム睡眠を4〜5回繰り返し、それに応じて体温も高い低いを繰り返しています。
睡眠の効果
睡眠とはたんに意識がなくなっているだけではないんですね。その間に実は体は多くの回復とコントロールを行っているのです。
回復 FFとFR
一日心身を使うと疲労がたまり、それが眠気を誘い睡眠に入り、そして回復します。そのプロセスで何が行われてるのでしょう。疲労物質FFと疲労回復物質FRのお話です。
- FFとはファティーグ・ファクターの略で疲労物質
- FRとはファティーグ・リカバー・ファクターの略で疲労回復物質
いづれもタンパク質の一種です。
心身の疲労は必要以上に活性酸素を発生させ、活性酸素が細胞を酸化させる過程でFFが発生します。FFは身体機能を低下させ、疲労感を脳に伝達します。つまりFFは疲労物質と言えます。
細菌が体内に入ると殺すために活性酸素を発生させます。一方、変な食品添加物や酒などが体内に入ると解毒の過程で活性酸素が発生します。
一方、FF発生はFRという疲労回復物質の発生をさせる前提ともなります。FRは細胞修復をするとともに疲労を回復します。体の仕組みはよく出来てますね。
いやいや、それならそもそもFFを発生させなければいいのでは?
違いますね。年中目を閉じてじっとしてもいられません。むしろ上手にFRを発生させる発想と行動が大切です。ジョギング等の適正な運動はFR発生に有効です。生活に運動を取り入れるメリットはここにもあるんですね。
また、FRを発生しやすくする条件は副交感神経が優位になること、つまり睡眠時です。だから睡眠時に疲労が回復するといえます。
FRは若い時は反応が早く疲れもすぐに取れますが、老化とともに発生しにくくなると言われていますので、補助対策を取るという選択肢もあります。
イミダゾールジペプチドとは抗酸化作用を持つアミノ酸の一種でFR生成を助けます。イミダゾールジペプチドを多く含む食品の代表は鶏の胸肉です。安くて最高。その他、マグロやカツオ等の赤みの魚にも含まれています。 より手軽にはサプリメントで摂取する方法もあります。
免疫力と抵抗力
免疫物質が盛んに作られ損傷した部分を修復するのが副交感神経が優位にある時、つまり寝ている時です。
強い免疫力を保持するためには、質の高い睡眠が必要です。リラックスして深く眠り副交感神経が十分に優位に経つと免疫細胞も活発化します。
人間は立っている時のほうが寝ている時よりも、それだけで多くのエネルギーを消費します。体は睡眠中というエネルギー消費量の少ない時に大切なことをします。
ところで、飲酒は体内活動に必要な良質な睡眠には繋がりません。
成長ホルモン
成長ホルモンは少年期・青年期にのみ必要な物質ではなく、成人にも非常に大切な物質です。
成長ホルモンの適正な分泌が大切な理由は
- 筋肉量の増加
- 脂肪分解力の維持
- やる気・気力の増加、疲労回復
- 肌の新陳代謝
等、非常に重要な役割を担っているのです。
成長ホルモンは熟睡している時に放出されます。従ってやはり質のより深い睡眠は大切です。逆に成長ホルモン放出阻害要因の1つに飲酒があります。
記憶の再構成
学習後の熟睡時だけではなく学習前の熟睡時にも、脳は情報処理をやめて記憶の定着・固定化という再構成を図る働きをします。しかも記憶の再構成を繰り返すことにより記憶力は上がるのです。
オーストラリアの大学では、6時間以下の睡眠を続けた対象生にテストを実施し、その後同一対象に半年後8時間の睡眠時間を確保して、再度テストをして比較した結果、明らかに成績が向上したとあります。
ですから、十分な良質の睡眠時間は記憶を定着させ記憶力そのものをアップさせるので、仕事や学業成績を向上させるためには必ず必要であるといえます。
睡眠不足の症状
睡眠が大切なことは毎日の生活の中でみなさんよくわかっておられます。また、上記のように改めて調べてみても「やっぱりね」「そうなんだ」となるでしょう。
睡眠効果の裏返しですが、睡眠不足に出てくる様々な不都合についても再度みてみましょう。
肥満
睡眠時間が短いと肥満の度合いが増すというデータが有ります。
- 睡眠時間が短いと、食欲抑制ホルモン「レプチン」の分泌が減る。
- 睡眠時間が短いと、食欲増進ホルモン「グレリン」の分泌が増加する。
夜遅くまで勉強したり仕事をしたりすると、よく夜食とか言ってラーメンとかおにぎりとか食べますよね、炭水化物。あれは最悪ということになります。
また上で述べました、成長ホルモンは寝ている時にカロリー消費をして分泌されるから、寝なければその分のカロリーは消費されず、寝不足はダイエットにも良くないのです。
更に誰しも経験的に睡眠不足は消化器系の不良に繋がることを知っていますよね。
肌荒れ
成長ホルモンの分泌が悪くなると新陳代謝が不活発になります。そうすると肌の色がくすみ、荒れ、シミやシワの原因になります。あれこれ努力しても睡眠不足で台無しです。
免疫機能の低下
効果のところでも説明しましたが、免疫能力が落ちて風邪を引いたりアレルギー疾患になりやすくなります。また癌になるリスクも増加します。
記憶力・集中力の低下
これも経験的にみんなが知っていることです。論理的・創造的な思考力が落ちてミスややり直し、運転事故や工事現場の事故が増加します。
血圧があがる
寝ているときは副交感神経が優位にあるわけですが、同時に血圧が低く保たれるようになっています。交感神経が優位にあるときは血圧は高くなります。
精神疾患になりやすくなる
鬱病の方の多くは不眠症で、長期に渡る不眠症は精神疾患を患う可能性を高めます。
認知症になるリスクがあがる
脳内にはアミロイドβという物質があって、これが長年にわかって蓄積されることがアルツハイマー病の一因だと考えられています。
そして、このアミロイドβを脳内から除去するたったひとつの方法が睡眠なのです。
死ぬ確率が上がる
アメリカのガン協会の報告によると、百万人以上の人を追跡調査した結果として、睡眠時間が少ない人ほど6年後に死ぬ確率が高かったそうです。
極端な不眠の末は
極端に寝ないでいると、自律神経構造が破壊されて体内の各種分泌メカニズムが変調を起こし、生命維持活動ができなくなって、やがて死に至ると考えられています。
寝られない要因
改めて寝ることの大切さが認識されたわけですが、経験的には端からわかっているわけですが、もう絶対に良質の睡眠を取らねばならないのです。
でも寝られなくて苦しんでいる人は多いのです。どうしてこんなに大切なことができないのでしょうか?
- 仕事上や受験勉強のプレッシャー。家庭問題や恋愛問題等人間関係のストレス。
- 交感神経が優位になると寝られない。これは当然で、地震などの緊急事態に起きてられなければ困ってしまう。
- 不規則な生活。体内時計が狂ってしまう。
- 痛み・痒み・喘息・頻尿などのケガや病的な阻害要因。
- 鬱病など精神科・神経科にかかる不具合・不調。実は不眠原因の1/3がこれだと言われています。
- 生活の変化 海外出張・昼夜逆の仕事・ベッドや枕が変わる等
- 外的要因 光・音・温度等(最悪だと個人的に思うのはスマホを離せない事)
- 高齢化 年齢とともに新陳代謝機能が落ちて睡眠時間も少なくなり、昼寝、うたたねをよくするようになる
- 薬物・体外物質 薬・酒・タバコ・コーヒー等
色々と原因がありますが、よく見ると自分の努力によっては解決できるものと、どうしようもないものがありますね。
簡単に改善できるのに疎かにしている面があったりしません? 身近な問題として一番気になるのが「スマホを四六時中離さない」ことがあげられます。
不眠4パターン
一口に寝られないと言っても、幾つかのパターンがあるようです。それを見てみましょう。
- なかなか寝付けない。意識がなくならない。
- 朝まで眠れない。夜中に目が覚める。
- 起床予定時刻より早く目が覚めもう寝られない
- 一晩中睡眠が浅い
夫々のパターンが独立している場合もあるし、組み合わさっている場合もありますね。日によっては「全部入り」もあったりします。ホント、もう思い出すだけで辛いですよね。
熟睡のポイント
さて、いよいよ寝るために出来ることです。自分の為を思えばどんな環境にあっても成せることはある筈です。一緒に頑張りましょう。
もう既に述べたことの中にヒントはありますが、ここにまとめます。
体内時計を常に合わせる
一日が24時間なのに対し体内時計は25時間です。朝起きて光を浴びることで体内時計をリセット出来ます。また日光を浴びてから1時間以内の朝食は体内時計に好影響を与えます。
そして、太陽の光を浴びたあと約14時間で眠くなるシステムが体内にはあります。
以上のことから、
- 朝起きたら太陽の光を受けるために散歩をする。
- 散歩から1時間以内の朝食をとる。
- 起床時刻を同じにして睡眠サイクルを変えない。
- 睡眠不足を補う休日の長寝はFR放出にはよいですが、リズムが崩れます。従ってこの不規則を繰り返すと体内時計が変調して良質の睡眠が得られにくくなります。
体温を上げる
寝る数時間前に運動や入浴で体温を上げると、入眠時に体温が下がって寝やすくなります。これ大切だけど簡単にできるので、是非毎日励行しましょう。
暗くする(メラトニンの効用)
睡眠をコントロールするホルモンがメラトニンです。睡眠には極めて大切な物質です。メラトニンは体内時計と光が大きく関係しています。
朝の光とともに分泌が停止し、体内時計に従って朝日光を浴びてから約14時間後にまた分泌を始めます。但し明るいと狂うので寝るときは必ず暗くする必要があります。
そういった意味からも上に述べた「体内時計を常に合わせる」朝の行動は大切です。
またメラトニンは睡眠を司るだけではなく、抗酸化作用も注目されており老化防止や病気予防の効果があるといわれています。ただし、年齢とともに分泌量が減ってゆくのが難点です。
夜勤や2交代3交代の勤務は体調管理が大変です。余計に睡眠を重視しなければならないでしょう。できたら仕事中はより明るく、会社を出たらサングラスなどで直接太陽光を浴びないようにします。 そして、入浴や運動で体温を一旦高くするのが効果的です。出来るだけ、テレビやPCやスマホのディスプレイを見ないようにします。 もし光がちゃんと遮断できないならアイマスクが有効です。
昼寝の活用
出来れば15分〜30分程度の昼寝が有効です。1PMから3PMまでに済ませ夜の睡眠に影響しないようにしましょう。
アルツハイマー病のリスク低下に繋がるという報告や生活習慣病の予防になるという研究もあります。なにより体感的に楽になります。
以上、しようと決断して続けられることはありますよね。以前から知っていることも多いですし。理屈は、正しい理解と、すぐに挫ける気持ちの後押しに有効だと思うのです。よく納得して必要なことは続けましょう。
最後に 私の場合
あれこれ書いてきましたが、最後に自分のことを報告します。それが参考になるということはないですが、1つの現実として読んでください。
出来るだけ規則正しい生活をしています。
6時15分に起きて、天気が良ければ散歩をします。帰宅したらストレッチをしてすぐに朝食を取ります。
デスクワークばっかりなので、夕食前に10Kmほどのジョギングか雨が振っていればビリーズブートキャンプをやっています。当然その後風呂に入ります。
食べ物に関しては、炭水化物は抑えてタンパク質中心の食事にしています。細胞はタンパク質で出来てますし、上に散々書いたホルモンやアミノ酸てみんな元はタンパク質です。相当に大事だと思います。
寝る30分前にはメラトニンの5m錠剤を飲みます。日本では売っていないので輸入代行のショップで買っています。
自分では、よくこのルーティーンを毎日毎日守ってるな、と密かに感心しています。これで、すんなり眠れるのなら言うことないのですが、実はそうじゃない日も結構あります。
これで眠れなかったらもう努力することがないでしょ。でもこれだけやっても、ひどい時は朝まで眠れません。
飲酒による睡眠は中枢神経の麻痺だとか書いておきながら、時々ビールを1缶か2缶飲みます。よくないのはわかっていますが、状態によってはこういうこともします。
でも飲まない日のほうが圧倒的に多いのでというか意識してそうしているので、妥協できるレベルではないかな、と自分に言い訳しています。
それでも寝られない時は、もう努力する方法がないので、ただ目を閉じています。異論はあるでしょうが、私は起きません。朝まで意識があっても起きません。
そうして生活パターンを崩さなければ、猛烈にしんどいですが翌日は寝られます。
以上が私の場合です。
ネットで色々と読んでいると、睡眠についてとんでもなく大変な思いをされている方が、私なんか比較にならないほど辛い目にあっている人が多いことを改めて知らされます。
冒頭にも述べましたが、もし病的であれば診察をうけることがなにより大切だと思います。迷っておられる方には是非診察を受けてくださいと改めてお勧めします。
人間の体は長年の進化によって随分うまく出来てはいると思いますが、こんな身近な問題で悩まなければいけないのもまた事実です。
もっともっと医学が進歩して近い将来、すべての人が安らかな眠りにつける日が来ることを祈っています。
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