台湾のMRTとLRTの延伸状況を報告します【台北/新北/桃園/台中/高雄】



台湾のMRTとLRTの延伸状況が目覚ましい

台湾の都市交通といえばバスとMRT、そして最近ではLRTも導入が進んでいます。そう、ちょっと目をそらしている間に、僅かの期間に、あっちもこっちもどんどん延伸しています。

このブログにおいてはこれまでに、MRTやLRTの説明、或いはその周辺の観光情報を幾つかの記事にまとめております。

本記事ではそれ以降のMRT、LRT事情についてお話をしますが、もし興味をお持ちであれば先に過去の記事をお読みください。より理解が深まるでしょう。

さぁ、現在のMRT/LRTはどんな状況でしょうか?

どんどん便利になっていく様子を確認してください。

 

台北MRT環状線

2018年に完成するも開業が遅れに遅れて、2020年1月末にやっと開業したのが台北MRT環状線第一期区間です。

高架工事においては、既に形造られている道のあまり広くない街を貫いている関係上、相当にアクロバティックな構造をも採用しており、苦心の跡が垣間見れます。

路線図↑で確認いただきたいのですが、大坪林駅(松山新店線と交差)から西北へ伸び、新北產業園區駅までが今回の開業区間です。

車両デザインは日立レールイタリアとフランスのデザイナーが手がけており、なかなかエレガントですね。一列車四両編成で、空港利用者のために各車両ごとにスーツケース置き場が設置されています。

 

景安駅では中和新蘆線と交差し、新埔民生駅付近で板南線と交差し、頭前庄駅でまた中和新蘆線と交差し、終点の新北產業園區駅にて桃園MRTに接続しています。

このように幾つもの既存路線を串刺しにしているので、ビジネスや生活においては非常に利便性が向上していると考えられます。

更に、板橋駅では高鉄(新幹線)とも交差していて乗り換えが可能ですから、これもまた、物凄く便利でしょう。

ただ沿線に目立った観光スポットはほぼなく、日本の観光客に関しては、今のところ、あんまり影響はないかもしれません。

 

で第一期区間ですが、台北MRTとはいえ実は線路は全て新北市を通っているのです。これは初めての事みたいで、ちょっと改めて新北市と台北市の位置関係を確認しておきましょうか↓。

ねっ、新北市はなんと台北市を囲んでドーナッツ状になっているのですよ!(新北市と基隆市の位置関係も微妙)

 

さて、「環状線」は壮大な計画でして、全線開通すると、南は大坪林駅が文湖線の動物園駅に伸び、北側は新北產業園區駅から蘆州線の徐匯中學駅でクロスし、淡水川を渡って淡水信義線の士林駅に至ります。

更に、そこから文湖線の剣南駅、松山新店線の松山駅、板南線の永春駅、淡水信義線の象山駅とクロスして再び動物園駅に至るのです。(下の予想図は特に東側が甘いのでそれなりに見てください)

計画をぱっと見感じるのは、俯瞰的な便利さよりも、もう少し部分をフォーカスして見て感じる便利さですね。

例えば、徐匯中學駅(三重周辺)から士林駅・劍南路駅方面、或いは、松山駅から台北101方面への移動とか。とんでもなく便利になるでしょ!

何という広大なロマン溢れる計画! 私は時間の読めないバスが嫌いなので、余計期待感で一杯です。生きてるうちに出来ればいいな。

※ 台北捷運公司公式ホームページ(日本語)※

過去に作成した台北MRTの記事はこちらです。

台北観光には安くて便利で安心なMRTを使おう【特別マップ作成】

 

 

淡海LRT 緑山線/藍海線

台北周辺観光において、私たちが長らく利用してきたMRTは台北捷運が運営しており、路線図を見れば一目瞭然、ほぼ台北駅を中心に放射線状に伸びていて、多くの路線が新北市内にも敷設されています。

その後、桃園空港から台北市内や高鉄桃園駅方面に敷設された桃園捷運運営のMRTが完成し、そして今度は新北捷運を運営主体とする淡海LRTができました。

 

さて、台北市が都市として成長し続け、その結果として人口増加による高密度化と地価の高騰等が問題になっていました。

で、その解決策の一つとして内務省は、淡水区の北側に淡海新市鎮というエリア、日本式に言うとニュータウンの開発を計画し、当初計画よりかなり縮小されたとはいえ人口10万都市を目指して発展しています。

淡海LRTはまさに淡海新市鎮と淡水市街地を結ぶ交通手段として、また、車と道路のバランスが崩れ渋滞が多く発生しているのでその解消策として、計画・建設されたものです。

  • 緑山線:MRT淡水信義線の終点淡水駅の一つ手前紅樹林駅のすぐ側に淡海軽軌紅樹林駅があり、淡海新市鎮内にある終点淡海軽軌崁頂駅へと続いています。

    路線図↓にある通り、二期工事として北進し聖約翰科大駅まで伸びる計画があるのですが、新北市政府捷運工程局のサイトに説明が全くないのでどういう状況なのかは不明です。

  • 藍海線:2020年11月15日に開通しました。淡海新市鎮内にある緑山線浜海沙崙駅から枝分かれし淡水漁人碼頭駅までを繋いでいます。

    藍海線は第二期工事として淡水漁人碼頭駅から海辺を通りMRT淡水駅へと延伸する計画です。この路線は実現性が高いはずですが、地域に重要な湿地帯があること、また、淡水老街近辺が狭くて、こんなところに鉄道を通すと景観が台無しになるという議論が根強く、最終案がまだ決定していないようです。

    実際、MRT淡水駅から老街を抜けるあたりは、淡水河の反対側はすぐに急な坂になって上がっており、素人が考えても難しいだろうことが想像できます。

    しかし最近では、解決策として海辺を通すルートが現実味を帯びてきたようです。


    もし、景観その他の問題を乗り越えて完成されるなら、これは観光客にとって非常に大きな朗報になるはずです。淡水老街あたりから淡水漁人碼頭あたりへって凄く行き辛かったですものね。

  • 八里輕軌:まだ未承認計画ではありますが、淡水漁人碼頭駅から枝分かれし、淡水川を渡って八里へと入り台北港へと向かう路線もあります。

    完成したらの話ですが淡水大橋は長さ1kmくらいにはなると思われ、橋の真ん中で夕日が見たいですね(淡水河河口の夕日は有名)。河口の真ん中あたりに落ちる季節があるのかな? 記憶ではもう少し左、台北港の方に落ちるイメージが。

新北市政府捷運建設願景図

今後どこまで発展させたいのか、その願景図が示されています↑。「願景」とは、「ビジョン」とか「希望的観測」という意味です。なかなか壮大で見てるだけで夢が膨らみます。

しかし実は、既に結構なところで着工しているのですよ。将来どこまで進むのか?楽しみですね。

もし興味がおありであれば、新北市政府捷運工程局サイトの關於三環六線タブや進度公開タブが役に立つでしょう(北京語オンリー)。

 

 

台中MRT緑線

最も住みたい街ナンバーワンの台中市。人口はどんどん増加し、道路も慢性的な渋滞箇所が多くなり、対策が急務でありました。

先に、バス交通網の拡充を実行するも頓挫し、2017年1月には正式に台中捷運股份有限公司が発足しました。

そして記念すべき第1号として緑線(烏日文心北屯線)ができ、当初の予定では2020年11月16日プレ開業、2020年12月19日に正式開業する運びでした。

緑線は大雑把にいうと、台湾新幹線台中駅から台中市政府を通って台鉄松竹駅方面に行く路線です↓。

過去、結構な回数台中にも行ってるんですが、正直、感覚的に「どういう場所を走るんだ」というイメージが湧きません。

が、台鉄台中駅とは全く関係ないところを通るので、観光客にとってはそれほど利便性はないのかもしれないですね。

好事魔多し

もう100%開業間違いなしのはずだったのに、現在(2021年2月20日)に至って尚未だ開業の見込みが立っていません。

その理由は、走行テスト中に車両連結部の部品に組み立て不良があったからだそう。

請け負っているのは日本の川崎重工で、部品そのものはアメリカの部品メーカー・ワブテック製。

川崎側の説明では、改良型部品が2021年1月にワブテック社フランス工場から到着し、2021年2月には交換が完了するとのこと。

2021/2/8最新情報

全車両の連結部部品の交換が完了し、負荷走行試験も順調に進んでおり、続いて500km連続走行試験も2/9には終了するようです。

この上は、これ以上のトラブルが発生せず、一日も早く正式開業し多くの市民に利用していただき、悪い流れを払拭できることを願うばかりです。

遂に正式開業日決定(3/16追記)

やっと4月25日に開業が決定し、同日に開業式典が行われる運びとなりました。

いや〜よかったよかった。おめでとうございます。

台中MRT緑線の路線図・駅情報・料金・乗車時間などは下記ホームページの「乗車指南」タブ内に全てあります(北京語オンリー)。

※ 台中ホームページ捷運 ※

台中捷運 新線計画

台中捷運によると、緑線以外に紅線・橘線・藍線などが計画されており、これら各線が一通り揃えばかなり利便性が向上するのは間違いありません。

 

 

台南市MRT

かなり早くから議論されているようですが、計画が二転三転で、本来ならもう着工されていてもおかしくないのですが、現実は「何も変化なし」です。

市政府は台南市捷運工程處を設置して、漸次前進のような説明も見受けられるのですが、でも着工していないんですね。モノレール形式になるかもという話も。

あっちこち読んでもどうもはっきりしないです。

台南市の人口と税収は、MRT建設という大きな経済的負担に耐え、且つ、十分に採算が取れるだけのボリュームなのか?

結局、ここらへんが本質的なボトルネックになっているような気もします。

一歩一歩

2022年に入って少し前進のアナウンスがあったのでお知らせします。

 

 

高雄MRT/LRT

高雄市のMRTを直接説明する記事は作成していませんが、LRTについては↓がありますのでご参照ください。

高雄LRT車両

【台湾】高雄ベイエリアの観光スポット【LRTに乗って】

で、それ以後なんですが、MRTはかわらず、しかしLRTが延びましたね。下↓の路線図中に青囲いで示した部分がそうです。

「西子湾駅」が「鼓山區公所駅」まで、逆側は、「籬仔內駅」が「凱旋公園駅」までで、結構延びましたね。

もう計画の半分以上が実現しているので環状線完成まであと一息です。

今回の延伸部分は、多分過去そのあたりは行っているはず。チャンスが到来したら是非乗って移動して、あなたに新しい情報をお知らせできたらな、と考えています。

もし、LRTに未だ乗車されてなければ一度は体験してみてください。特に第一期完成部分は観光に最適な場所を通ってますよ(詳しくは過去の記事で!)

高雄捷運未来路線図

さて、高雄市政府が描く夢の未来図は?なんですが、高雄市政府捷運工程局サイトによると、なかなか凄いことになってますよ。

北は、紅線の今の岡山駅から大湖までのび台南捷運(ピンクの点々)奇美延伸線と接続してるようです。これって、MRTで高雄から台南に行けることを意味してますよ。南は、なんと大鵬湾あたりまで行きそう。凄い!!

次に橘線ですが、東側は屏東市に入っていること、そして南側は高屏渓あたりで紅線と合体してますね。

これら以外にも新設計画として、粉紅線・銀線・右昌高鐵線・紫線・燕巣・高鐵線・青線・黄線、更には佛光山線までありますね。あまりにも壮大すぎてどう表現していいのかわかりません。

一方、LRTは「旗津線」ができて、あの旗津に入ってますよ! これもメチャクチャ嬉しいけれど、そうすると名物連絡船はどうなるのでしょう?

いずれにしても流石台湾第二の都市だけあります。英語と北京語ですが、よければ高雄市政府捷運工程局にもお立ち寄りください。

最後に、MRT・LRTに関する、路線図・各駅情報・運賃・所要時間などは高雄MRTのホームページでご確認ください↓、こちらは日本語対応です。

※ 高雄捷運 ※

 

まとめ

台湾各大都市の都市交通の現状と将来の構想を見てきました。

何処の都市も発展すればするほど道路事情が悪くなり、慢性的な渋滞が多くの地点で発生するので、だからそれに代わる輸送手段を、更には住居地の拡大も睨んで、予算と採算性を睨みながら計画し建設しているんだと思います。

流石に台北市周辺の計画の進捗度合いは目覚ましいものがありますね。いやいや、高雄市もとんでもない計画をぶち上げてますよ。

一観光客としてはどんどん便利になり嬉しい限りなんですが、ただね〜、どこも採算性が悪く乗車率を上げるために、しょっちゅうイベントを打ったりしてかなり努力をされているようです。

台湾の方は、もうミニバイクが自転車と同じ感覚で、兎に角どこに行くにもミニバイクでしょ。ここに手をつけなければ、なかなかね、抜本的な財務改善は難しいんじゃないでしょうか。

・・・なんて事を心配性の私は一方では考えてたりするのですよ。

まぁまぁそんなことはさておいて、今後台湾に行ける日が来たなら、必ず新しい路線を全て制覇して、周辺の観光事情をたくさん仕入れて記事にしていこうと考えています。

ホントに、早く台湾に行ける日が来て欲しい!

(本記事では敢えて桃園MRTを外しています。もう少し進展してからがいいかなと思って)



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