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熟年離婚が脳裏にちらつく女性へ
子どもたちは無事成人した。もうすぐ夫の定年が来る。
こういったタイミングで多くの女性の心に芽生えるのが「ある種の不安」です。
今、切実な思いで悩んでらっしゃるあなたにこそ読んでいただきたいのがこの記事です。
離婚を実行するにせよしないにせよ、悩みが出た時点で頭を一度整理しておく必要があります。
しっかりとそうすることで、今後の人生に迷いがなくなります。
それにしても、知るべきこと考えるべきこと、結論を出しておくべきことは結構たくさんあります。
あなたのお役に立てるように、多面的に語っていくので、どうか最後まで斜め読みせずに、しっかりと理解してください。
そもそも「熟年離婚」って?
明確な定義があるわけではありません。が、以下のどちらかを指す場合が多いです。
- 50歳以上の夫婦の離婚
- 婚姻関係が20年以上続いた夫婦のの離婚
さて、年間離婚件数の推移を見ると、なだらかな漸減傾向にあるんですね。
ところが、熟年離婚の件数だけが突出して増加し続け、とんでもない数の「お一人様老人」が増え続けているのです。
ここであなたにご注意いたします。
よくマスメディアなんかで「熟年離婚後に女性は元気になる」などというキャッチコピーを目にすることがあるでしょう。
あのね、そんな簡単な話しじゃないんですよ。
はっきり言いますけど、間違ってます。
あなたが老後の人生を幸せに暮らすためには、それだけでは全然不十分なのです。
では、何を知って、何を手に入れて、何をどうのように振る舞っていけばいいののか?
早速具体論に入っていきましょう。
離婚の理由と背景
離婚の主な原因
長きに亘って夫婦生活を送る中で、夫に対して「もうこれ以上我慢ができない」と感じる原因が心のなかで膨れ上がって、そして熟年離婚に発展します。
その原因については、単数の場合も複数の場合もあります。というか、複合のケースが多いかもしれませんね。
主なものは以下のとおりです。
経済的な問題
多くの女性が夫から十分な生活費を受け取れないことが離婚の大きな要因となっています。
夫の金遣いの荒さ、家計管理の独占を許している事などが背景にあります。
これはもう、本当に多くあるパターンです。
もし、きちんとした透明会計で、夫婦どちらも収支がわかるようになっているならトラブらないんですよ。
この手の悩みを抱える妻の夫は、100%実態を妻に掴まれないようにしています。
まさに愚劣中の愚劣です。
あなたに原因があるならなすすべなし
但し、あなたが私利私欲のために大きく散在するクセなどがないという前提ですよ。
あなたに散在グセがあって、それで夫が財布の紐を固くしてるなら、それは自業自得です。
私が相談を受けたときにも、一方的に夫が悪いと言いながら、原因の本質を隠す女性は少なくないです。
精神的虐待(モラハラ)
言葉や行動によって自尊心を傷つけられることが、女性が離婚を決意する大きな理由の一つです。これには、無視、侮辱、コントロールなどが含まれます。
これも非常に多いです。
別れる決断ができなくて、でも毎晩続くモラハラに精神が崩壊し、心療内科に通う女性も少なくありません。
あなたの訴えで改心してくれる可能性は低く、あまり自責の念なく繰り返すケースが多いので、非常に厄介です。
家庭内暴力(DV)
暴力行為は離婚の大きな原因です。
上2つほどは多くないですが、スイッチが入ると暴力に走る夫とは、危なくて同棲していられません。
特に難儀なのが酒乱系のDV夫です。
前夜に骨折するほど殴っておいて、翌朝起きてびっくりして慌てるというパターンが多いです。しかも、自分が何をしたのか覚えてないですし。
不貞行為
配偶者の浮気や不倫が理由で離婚に至るケースも多いです。特に継続的な不貞行為は離婚を決意させる要因となります。
これはね、男女ともに多いです。
仮に発見してきっちりけじめをつけさせても、それでも再発率は高いです。不倫脳は病気です。
介護問題
高齢の義両親や配偶者の介護負担が大きくなり、離婚を決意することがあります。
介護による身体的・精神的な負担が大きく、夫婦関係が悪化することが原因です。
老後に備えている義両親であればまだ手のうちようもありますが、自分たち夫婦以外に頼れるすべがないとなるとお手上げです。
夫が要介護になったら、もう面倒を見るのは自動的にあなたになってしまいます。
しかし、あなた自身もいつどうなるかわからないので、これはなかなか難しい問題です。
義両親の介護丸投げは絶対に「ノー」を!
但し、絶対にノーを突きつけなければならぬ場合もあります。
それは夫が義両親の介護をあなたに丸投げした場合です。法的にはあなたに介護義務はありません。(民法877条第1項)
女性の立場から見た離婚動機
今、夫から受ける5つの問題について説明しましたが、これらが継続的であるならば、もう一緒に生活することは出来ないと、いつか、そう決断する日が来るでしょう。
それはそうです。夫婦になったのは奴隷生活を実現するためではないのですから。
こういった明確な離婚の決断をしたときに、女性は何を大きな動機として考えるのでしょう。
経済的な自立
何と言っても経済的な自立です。
長年の専業主婦生活から解放され、経済的に自立することを望むむのは当然の欲求です。
長年に亘って、色んな意味においてあなたを拘束していた夫であればあるほど、どうしても経済的自立をしたくなります。
また、もう一つ別の大きな要因として、夫が退職後に対する不安があります。
今までのように、まともに稼ぐ気持ちや気力はあるのか。あてはあるのか。
どんなに考えても、それは自分で解決できる話しじゃないのですよ。であればこそ、セルフコントロールのできる世界に行きたいと思うのは当然です。
精神的な自立
精神的虐待や暴力や無視にこれだけ長期間耐えてきたのはほぼ奇跡であって、もう自分の幸せを求めて離婚を決意してもいいでしょう?ということです。
義務からの開放と自分の取り戻し
これを強く感じるのは、子供の独立を確信した日でしょう。
子どもを育てるのは、もちろん可愛いし義務だし、でもとんでもないエネルギーを使ってきたのは事実です。
この子ももう立派な大人だと確信したら、同時に、さぁこれからは私の時間を取り戻すんだとなりますよ。
離婚後生活への不安
やっと離婚できるという開放期待から、楽観的な未来を夢見ている人がいる一方、現実に目を向けられる人は、やはり不安が心のなかで芽生えてきます。
経済的な不安
何と言ってもトップはお金です。
離婚後の収入源として年金や財産分与が頼りになりますが、専業主婦であった期間が長いと再就職が難しく、現実に生活費の確保が困難になることもあります。
技術や資格、そして何より経済人としてのキャリアがあれば、かなり容易に仕事を見つけることが出来ます。
いや、専業主婦期間が長くても、あまり選り好みをしなければ職につくことは十分可能です。
ただ、経験のない職場人間関係の構築が高いハードルとなることがあり、また、若い先輩の一言一言に意味なくプライドが傷つき挫折するのもよくある話しです。
孤独への不安
なんだかんだと言っても長年連れ添った配偶者。別れてみると結構孤独感がズシッとくる人がいます。
特に、もともと友人が少ない場合や、子供たちとの関係が希薄な場合、孤独感が強まる傾向があります。
既婚中にしっかりと自分ワールドを構築し、その中に気の合う友人を沢山つくっておいたあなたは勝ち組です。
生活変化への不安
新しい生活に適応するための準備が必要です。住居の変更や日常生活のリズムの変化に対する不安がつきまといます。
そりゃ当然です。離婚してあなたが出ていかなきゃならないとすれば、落ち着くまでに、相当たくさんのことをこなさなければなりません。
途中で心が不安になることは十分予想できることです。
共依存に陥ってませんか?
共依存とは、モラハラやDVを繰り返す夫と離れたくとも離れられない妻の状態を指します。
妻は夫の行動に苦しみながらも、心理的・経済的な依存や恐怖から離れることができません。
夫は支配や依存の関係を維持しようとし、妻もまた自分の価値を夫の評価に依存してしまうことが多いです。
このような関係は悪循環を生み出し、外部からの介入が必要となることが多いです。
離婚後女性が受ける経済的影響
離婚した後の経済面の問題について考えます。もうね、これが全てと言っていいほど重要なポイントです。
離婚するまで、しっかりと勉強し準備をしておきましょう。
経済的リスクと対策
熟年離婚後、女性が直面する最大の経済的リスクは生活費の確保に関することです。
特に長年専業主婦をしていた場合、突然の収入源喪失は大きな不安要素となります。このため、離婚後の経済的安定を確保するために、以下の権利はしっかりと勝ち取ってください。
以下の内容を見ればわかりますが、あなた一人で夫と戦うのは不利になってしまう場合が多いです。
特にある程度の資産がある場合、そして、なにより夫が高圧的な場合。
心理的に潰されてしまう前に、事前に弁護士に相談するのがベストです。世のありとあらゆる夫は、弁護士に正論を突きつけられたら、これを超える抗弁は出来ないはずです。
財産分与
離婚時には夫婦の共有財産を公平に分配する必要があります。ここを上手に首尾よく乗り越えられたら、とても精神的に楽になるでしょう。
分与対象財産とは以下のようなものを指します。
- 現預金
- 有価証券
- 生命保険
- 退職金
- 不動産
- 生命保険
- 企業年金
- 車両
財産分与の手続きをしっかりと行い、できるだけ多くの資産を確保することが極めて重要です 。
年金分割
離婚後の生活費を安定させるために、年金分割制度を活用します。
これは、結婚期間中の厚生年金の保険料納付実績を分割する制度で、専業主婦であった期間の年金を受け取ることができます。
この制度は厚生年金の分割をする制度です。したがって、常に妻が沢山受け取れるという制度ではありません。
お近くの年金事務所で相談されることをお勧めします。
以下に、日本年金機構のリンクを貼っておきます。
二人で平等に話を纏めるのは難しい
財産分与にせよ、年金分割にせよ、そこそこの額があるのであれば、先にも述べましたが、弁護士に任せるのが一番安心です。
あなたが依頼した弁護士はあなたの側に立つ人であって、夫と利害が対立したときは、あなた側に有利になるように交渉を進めてくれます。
したがって、精神が大きく削られることが防げるとともに、難しい問題を綺麗に解決してくれるので、安心して丸投げできます。
特に夫が高圧的・暴力的な場合は、一旦短期別居して、弁護士を挟む。どうしても無理なら、男の兄弟や父親などに同席してもらい、とにかく夫が好き勝手に出来ない環境で話し合いをします。
そしてもし、弁護士に依頼するなら、できるだけ知り合いを通じて信頼できる人にお願いすることが望ましいです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
熟年離婚をある程度手前から計画している場合は、合わせて、iDeCoを利用も考慮するのがいいでしょう。
iDeCoは掛金が全額所得控除され、運用益も非課税となるため、節税効果が高いです。
仕事と収入の確保
熟年離婚後に安定した収入を確保するためには、新たな職を見つけることが重要です。
↑これダメですよ。長い人生を充実した内容で生き抜くために、必ず何らかの職は手に入れてください。そして、仕事を通じて社会と接点を持ってください。
では、手に技術や資格や経験がなくても採用される可能性がある職とはどのようなものでしょうか?
一例を挙げます。あくまでも一例です。
介護・福祉関連
- 介護助手
- デイサービスの補助スタッフ
販売・サービス業
- スーパーやコンビニのレジスタッフ
- 飲食店のホールスタッフ
- 清掃員
教育関連
- 学校の給食スタッフ
- 学校の用務員
オフィス関連
- データ入力
- 電話応対
- 簡単な事務補助
物流関連
- 倉庫内作業員
- 配送補助
その他
- 農業やガーデニングの手伝い
- 工場の軽作業
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もし、資格があって実務経験もお有りなら、当然その道に復帰するのがあなたにとってもいいし、ニーズも間違いなくあるでしょう。
離婚までに資格を取って、それを就職に活かしたい場合は、例として以下のような資格取得に励んではいかがでしょうか。
医療事務管理士
- 比較的短期間で取得可能。病院やクリニックでの受付業務や医療事務作業を担当。
介護職員初任者研修
- 短期間で取得可能。介護施設や在宅介護での基本的な介護業務を行うための資格。
日本商工会議所簿記検定3級
- 独学でも比較的短期間で取得可能。経理業務や一般事務で必要な基礎的な会計知識を習得。
宅地建物取引士資格試験
- 独学での取得も可能。不動産取引における重要事項の説明や契約書類の作成を行うための国家資格。
調理師免許
- 調理学校に通うか実務経験を積んで取得可能。飲食店や給食施設での調理業務に直結。
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もし在宅ワーク(フリーランス)で生かせる資格を目指すなら、以下のようなものはどうですか?
Webクリエイター能力認定試験
- ウェブデザインの基礎から応用まで学び、フリーランスのウェブデザイナーとして働ける。
Pythonプログラミング能力認定試験
- プログラミングスキルを証明し、在宅でのプログラミングやシステム開発の仕事に活かせる。
翻訳実務検定(JTF翻訳検定)
- 翻訳スキルを証明し、在宅での翻訳業務に直結。
Webライティング技能検定
- ウェブライティングのスキルを証明し、フリーランスのライターとして在宅で働ける。
Googleアナリティクス個人資格(GAIQ)
- デジタルマーケティングやウェブ解析のスキルを証明し、在宅でのマーケティングコンサルタントとして働ける。
年金と社会保障
年金
離婚後、就職するにしても独立して仕事をするにしても、何れにしても年金は一生の問題です。
複雑でわかりにくい側面を持っているので、離婚後の活動を再開する前に、一度最寄りの年金事務所で教えてもらってください。放置はダメですよ。
社会保障
もし不幸にして、自力で経済生活が困難になった場合は、臆せずに自治体の福祉サービスや支援団体に相談してください。
一人で思い悩んでいても何も解決しません。
女性に与える精神的影響
心理的な影響と対策
熟年離婚は女性にとって心理的に大きな負担となります。
意外に感ずる方がおられるかもしれません。長年耐え忍び、やっと自由に羽ばたけるというのに、なにが心的負担だというのか?
実は、長年連れ添ったパートナーとの別れは、孤独感や喪失感を引き起こす場合があるのです。それに、先にお話したように「共依存」に陥っているケースもあるし。
もちろん過去はちゃんと心のなかで精算したうえで、サバサバと前を向いて歩いていける方もいますが。
以下は、女性が直面する主な心理的影響とその対策についてです。
孤独感
離婚後、一人になることで孤独を感じることがあります。
愛はとうに枯渇して同居の意味さえわからないとと感じていたのにです。
いざ、独り立ちしてみると、出てくるんですよ孤独感が。
逆に全く孤独感を感じない方もおられます。それは離婚までに自分の人間関係を確立している人、自分ワールドを確立している人です。
ということはですね、離婚後でも良いから、とにかく人とのつながりを増やしていくことが大切なのです。
新しい仕事を通じて、或いは、新しい趣味を通じて。
地域のコミュニティに参加したり、ボランティア活動に参加するのもいいでしょう。
自己肯定感の低下
離婚によって自信を失う女性も多いです。
孤独感にしても自信喪失にしても、離婚後の自分をきちんと確立しないで、準備もなしに、新しい世界にポ〜ンと自分を放り出すからこういうことになるのです。
もしそうなってしまったら、一義的にはとにかく就職をして社会復帰を果たすことです。そしてしばらく揉まれつつも一生懸命頑張れば、そのうちいつしかそれなりに自身が戻っってきます。
自己肯定感を高めるために、自己啓発書を読んだり、カウンセリングを受けたりすることも役立ちます。
これは、自分自身の価値を再認識するための訓練であり、心理的な強さを取り戻す助けとなるものです 。
トラウマ
離婚後に過去のトラウマが再浮上することがあります。
特にDV(ドメスティックバイオレンス)や精神的虐待を経験した女性は、フラッシュバックに悩まされることが多いです。
これに対処するためには、やはり専門的なカウンセリングを受けることが重要です。
カウンセリングやサポートグループの役割
先にも述べましたが、心理的な負担を軽減するために、カウンセリングやサポートグループが重要な役割を果たします。幾つか例を上げます。
高齢者を含む女性の相談窓口となる組織はたくさんあります。
まずは、各地方自治体にある窓口に相談してみるのがよいのではないでしょうか?
離婚後の新しい生活への適応
新しい生活に適応するためには、以下のポイントに注意することが重要です。
新しい目標設定
離婚後は新しい目標を設定し、それに向かって努力することが大切です。
これは、キャリアの再構築や新しい趣味の追求やボランティア活動への参加など、多岐にわたります。
経済的自立
経済的な不安を軽減するために、適切な財産分与や年金分割の手続きを行い、できる限り再就職を検討します。
特に、未経験でも始められる職業やフリーランスとしての働き方を考慮すると良いでしょう 。
継続的なサポート
カウンセリングやサポートグループの継続的な利用は、新しい生活に順応するための重要な支えとなります。
これにより、精神的な健康を保ちながら、新しい生活に適応することが可能です 。
子供の視点
子供に与える心理的感と対策
熟年離婚は、場合によっては、成人した子供や家族を持つ子供に対しても大きな影器を与えます。
夫婦それぞれが自分の立場を正当化することで、子供に対する説明が一致しない場合もあります。
もちろん、こういった夫婦の現状を説明されても、「それぞれの人生だ」と、割り切っているというか非常にあっさりと受け入れる子どももいるでしょう。
以下は、子どもが混乱した場合についての説明です。
1.必理的影響
- 混乱とストレス:親の離婚は子供にとって驚きや混乱をもたらします。特に、家庭内での調和が突然失われることによるストレスが非常に大きいケースもあります。
- 忠減心の葛議:子供は両親のどちらか一方に味方するべきか悩むことが多く、これが感情的な負担となります。特に、夫婦がそれぞれ自分が正しいと主張すると、子供はどちらを信じてよいのか分からなくなります。
2.対策
- 一貫したメッセージ:両親が協力して、同じメッセージを伝えることが重要です。これにより、子供の混乱を減らし、安心感を提供することができます。
- 専門家の介入:家族カウンセリングを利用し、専門家の助けを借りて、感情的なサポートを提供することが有効です。カウンセリングは、家族全員が感情を共有し、問題解決の道を探る手助けとなります。
子供への離婚の伝え方と注意点
離婚を子供に伝える際には、特に注意が必要です。以下のポイントを考慮することが重要です。
どんなに夫婦が対立していたとしても、対子供の態度に関しては協力すべきです。
1.誠実なコミュニケーション:
- 離婚の理由や背景を正直に説明し、子供が感じる疑問に対して正直に答えることが重要です。ただし、詳細すぎる情報や否定的な感情の共有は避け、子供にとって適切な範囲で説明することが求められます。
感情的サポート
- 子供が感じる感情に寄り添い、彼らが抱える不安やストレスに対してサポートを提供します。両親が一致したメッセージを伝えることで、子供の安心感を保つことができます 。
子供の立場に応じた対応
熟年離婚の場合、子どもがまだ学生の場合もありますが、既に成人していることも多く、さらに家庭を持っている場合もあります。
それぞれへの対応の仕方があります。
1.成人した子供
- 反応:親の離婚に対する驚きや混乱、家族一体感からの喪失感。
- 支援:親が引き続き子供との関係を大切にし、定期的なコミュニケーションを維持することが重要です。また、家族カウンセリングを利用して感情を整理する手助けをすることも有効です 。
2.家庭を持つ子供:
- 反応:自身の家庭への影響を心配することや、親の離婚が自分の結婚観に影響を与えることがあります。また、孫への影響が懸念される場合もあります。
- 支援:親が孫との関係を保ちながら、子供の家庭へのサポートを提供することが重要なケースもあります。親自身が離婚しても、子供家族をサポートする姿勢を見せることで、安心感を提供できることもあります。
3.大学生の子供:
- 反応:学業への影響や経済的な支援の継続に対する不安を感じる可能性が高いです。親の離婚が学業や将来の計画にどのように影響するかを心配します。
- 支援:親が離婚後も経済的支援を続ける意向を明確に示し、具体的な計画を共有することが重要です。学業に専念できる環境を整えて上げることが大切です。
このように、熟年離婚においては、子供の年齢や状況に応じた具体的な支援が必要です。
介護の問題
介護の問題
熟年離婚が介護に与える影響について、離婚によって夫婦が他人となり、介護の責任がどうなるかを明確にすることはとても重要です。
以下に、離婚後の法的責任と具体的な対応について説明します。
離婚による法的責任
離婚後、元配偶者に対する法的な介護責任は基本的に消滅します。これは、夫婦が離婚によって法的に他人となるためです。
したがって、離婚後に元配偶者が要介護状態であっても、その介護を続ける法的義務はありません。
しかし、離婚時の取り決めや協議によって、介護に関する合意がある場合、その内容に従うことになります。
1.介護を受けていた場合
経済的支援の減少:離婚により配偶者からの経済的支援がなくなるため、介護施設の利用や介護サービスの費用を自分で負担しなければならなくなります。
このため、財産分与や年金分割によって得た資金を利用し、介護施設の利用やホームヘルパーの手配を行う必要があります 。
新しい介護者の確保:元配偶者からの介護がなくなるため、新たな介護者を見つける必要があります。公的支援や地域包括支援センターのサポートを利用することが求められます。
2.介護をしていた場合
負担の変化:離婚により元配偶者の介護から解放される一方、元配偶者が適切な介護を受けられるようにするための手続きや支援を行うことも時としてありえます。
これは法的義務ではなく、道義的な責任に基づく行動です 。
介護の負担分担と支援方法
介護の負担を分担し、支援を受けるためには以下の方法が有効です:
1.地域包括支援センターの利用
地域包括支援センターは、介護に関する総合的な相談や支援を提供しています。ここでの支援を活用することで、離婚後の生活を安定させることができます 。
2.家族内の役割分担:
離婚後も子供や親戚が介護に関与することで、介護の負担を分散することが可能です。例えば、週末に子供が介護を手伝うなど、具体的な役割分担を決めることが重要です。
介護施設の利用とその選択肢
家庭内での介護が難しい場合、介護施設の利用を検討することが必要です。以下の選択肢があります。
1.有料老人ホーム
有料老人ホームは質の高いケアを提供し、安心して生活を送ることができます。費用は高いですが、全日制のサポートを受けられるため、多くの女性が安心して利用できる選択肢となります 。
2.特別養護老人ホーム
公的な特別養護老人ホームは低コストで介護サービスを提供しますが、入居待ちが長いことが多いです。事前に申し込みをしておくことが重要です 。
3.デイサービス
日中に専門のケアを受け、自宅での生活を続けることができるデイサービスは、介護者の負担軽減にも役立ちます。日中だけでも介護を他の人に任せることで、介護者の休息時間を確保することができます 。
4.ショートステイ
一時的に介護が必要な場合や、介護者が休息を取るためにショートステイを利用することも有効です。これは短期間だけ施設に入居する形式で、急な事情にも対応できます 。
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熟年離婚後の介護問題に対処するためには、これらの選択肢と支援をうまく活用し、計画的に準備を進めることが重要です。
また、長年にわたり子供たちとの関係が良好であれば、彼らも介護の手助けをしてくれる可能性が高くなります。
家族間の絆を強める生活を継続していたことが、介護の負担を分散させ、より良い介護環境を築く可能性を開いてくれるかもしれません。
法的・社会的サポート
生活保護や福祉サービスの活用
離婚後の経済的な安定を図るために、以下の福祉サービスを活用することも知っておけば役に立ちます。
1.生活保護
経済的に困窮している場合、生活保護を申請することができます。生活費、医療費、住居費などが支給されます。申請は地域の福祉事務所で行います 。
2.地域包括支援サービスセンター
高齢者を対象とした支援を提供しており、介護や日常生活のサポート、健康管理に関する相談を受け付けています。地域包括ケアシステムを通じて、必要な福祉サービスを提供します。
地域の支援団体や相談窓口の紹介
地域には、離婚後の女性を支援するための多くの団体や相談窓口があります。以下の支援を活用できます。
1.弁護士会の紛争解決センター
離婚に関する相談や仲裁を行い、話し合いによる解決を目指します。
民間シェルター
暴力を受けた女性が一時的に避難できる施設で、生活支援や自立支援を提供しています。安全な環境でサポートが受けられます。
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これらの法的・社会的サポートを活用することで、離婚後の生活を安定させ、精神的な負担を軽減できる可能性があります。
何れにしても、適切な支援を受けるために、事前に情報を収集し、計画的に手続きを進めることが重要です。
まとめと結論
ここまで熟年離婚を考えている女性に向けて、様々な点にスポットライトを当てて説明をしてまいりました。
最後に、熟年離婚のメリットとデメリット、並びに、あなたがなすべきことを以下に纏めます。
熟年離婚のメリット
- 自由と独立:長年の不満から解放され、自分の人生を再構築する機会を得られる。
- 健康への影響:ストレスから解放され、精神的・身体的健康が向上することがある。
熟年離婚のデメリット
- 経済的リスク:収入の減少や生活費の増加が懸念される。
- 社会的孤立:周囲の理解や支援が得られにくい場合がある。
今後の展望と対策
- 経済的準備:離婚後の生活を見据えた資金計画や職業訓練の活用が必要。
- 社会的支援:福祉サービスやサポートグループの利用を促進し、必要な支援を受けること。
個々の幸せを追求するためのアドバイス
- 自己啓発:新しい趣味や学びを通じて自己実現を図る。(これは思っている以上に大切。「何もすることがない」と動かない老人は多い)
- ネットワークの構築:同じ境遇の仲間やサポートネットワークを作る。(人とのつながりは本当に大切。しかし、SNSは人間の本質的な短所がでて、それがあなたを突き刺す可能性もあるので、利用には考慮が必要)
- 専門家の支援:法的・心理的支援を積極的に利用し、計画的に進める。
これらの対策を通じて熟年離婚後も自立し充実した生活を送ることが可能です。どうか、ご自分の努力と制度の活用でいい人生を送ってください。