


目 次
即、本題に入りたい時のフレーズ
時間が限られている状況や、効率的な会議を進めたい場合、司会者はこう言いましょう。
「さあ会議を始めましょう」
- “Let’s get straight to the point.”
- “Let’s cut to the chase.”
解説
“get straight to”
時間を浪費する回りくどさを排除し、即、本題に入りたいときにピッタリの言い回しです。
ここでの“get straight to”は、「直接に」「無駄なく」という意味で使われます。
回りくどい説明や前置きを避け、すぐに話の核心に触れる意志を示す際に便利です。
“cut to the chase”
一方、“cut to the chase”は慣用句(イディオム)なので、どれだけ眺めても意味はわかりません。私がいつも丸暗記を推奨している表現ですね。
実は、映画業界から来た表現で、元々は映画の退屈な部分を省いてすぐに追跡シーン(the chase)に移ることを意味していました。
ビジネスの文脈では、「余計な話を省いて本題に入る」という意味で用いられます。
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どちらかと言えば、前者のほうがフォーマルな表現で、後者はややカジュアルな表現です。
これらの表現は、会議やプレゼンテーションで使うことで、話の進行をスムーズにし、要点を明確にするのに役立ちます。
ただし、相手側に失礼にならないよう、文脈や関係性を考慮して使うことが重要です。
詳しく知りたい時
相手サイドの話の中のある部分をもう少し詳しく知りたい。そういう場合に使うフレーズです。
「その詳細を教えてください」
- “We’d appreciate more details on that.”
解説
“We”の後ろは”would”で、希望や願いを表す際に用いられる助動詞です。ここでは、要望を婉曲的に表現し、より礼儀正しいニュアンスを加えるために使われています。
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次に“appreciate”ですが、何故「教えてください」という意味になるのか?と疑問を持たれた方もおられるでしょう。
“appreciate”は、一般的には、「感謝する」や「価値を認める」という意味で使われる動詞です。
しかし、ここでは「感謝する」というよりは「ありがたく思う」や「歓迎する」というニュアンスで使われています。
つまり、この文脈での“appreciate”は、相手に何かをしてもらう際の丁寧な依頼の表現として機能し「その詳細を教えていただけるとありがたいです」という意味になります。
ビジネスシーンにおいては、相手に対する敬意を示しながら、同時に自分の要望や希望を伝える事ができる、とても便利な動詞です。
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“more details”は「より詳しい情報や説明」で、後ろの“on that”で何を説明してほしいのかを示しています。
追加例文
- 「私たちの予算にどのような影響があるのか詳細を教えてください」
“We’d appreciate more details on how it will impact our budget.”
「そのアイデアについてもう少しお話を聞かせてください」
“We’re interested in hearing more about that idea.”
解説
相手サイドの考えを引き出したいときの言い回しで、これもビジネスシーンではよく使う構文です。
非常にお馴染みなので特に説明はありません。
追加例文
- 「それの実装方法についてもう少し詳しくご説明をお願いします」
“We’re interested in hearing more about how we can implement it.”
ビジネス会話における”implement”の重要性
追加例文に登場した“implement”は、「実行する」「実施する」「具現化する」という意味の動詞です。
計画、政策、アイデア、システムなどを実際に動作させたり、適用したりする行為を指します。
“implement”は、理論から実践への移行を示す説明の際に頻繁に用いられ、計画やアイデアが具体的な結果や変化を生むプロセスを表現します。
真剣に拝聴しています
ビジネスミーティングにおいて、相手の提案や意見に対して、積極的かつ全面的に耳を傾けています、、と言いたいときのフレーズ。
「真剣に拝聴しています」
“We’re all ears.”
解説
“be all ears”は「完全に注意を払って聞いている」や「熱心に耳を傾けている」といった意味合いです。
話し手の発言に対する聞き手の集中や関心を強く表現する際に用いられます。
この表現は、相手にリラックスしてもらいたい、あるいはオープンな会話を促したい場面に適しています。
また、このフレーズは慣用句(イディオム)なので、理屈抜きで丸暗記します。
追加例文
- 「あなたのプレゼンテーションに私たちは熱心に耳を傾けます。どうぞ始めてください。」
“We’re all ears for your presentation. Please, go ahead.”
「真剣に拝聴しています」
“We’re fully attentive.”
解説
先の例文の“ears”が名詞なのに対し“attentive”は「注意深い」という意味の形容詞です。
“fully”は「完全に」なので、直訳すると「完全に注意を払っている」となります。
したがって直訳的には「私たちは御社の話に全神経を集中しています」という意味になります。
つまり、話し手の言うことを真剣に受け止め、高い尊敬を示しているという意思表示です。
追加例文
- 「私たちはこのプロジェクトの細部に十分注意を払っています」
“We’re fully attentive to the details of this project.”
意見交換や再確認がしたい時のフレーズ
ビジネス会議において、次回のミーティングやタスクのフォローアップを明確にしたい場合は、こんなふうに言います。
「この話題は来週にしましょう」
- “We should touch base on this topic next week.”
解説
この表現では、“should”は軽い義務感や推奨を示しています。
次に“touch base”は、状況の確認や意見の交換を指し、ビジネス会話では、どちらかと言えば、カジュアルな表現です。
この英会話シリーズではしばしば登場し解説をしているのが慣用句。
“touch base”もまた慣用句(イディオム)であり、個々の単語の直接的な意味からは導き出せない特定の意味を持つ表現です。いかにもアメリカらしいイディオムですね。
これは、アメリカのビジネス英語で頻繁に使用される表現で、特に日常的なコミュニケーションや会議の文脈でよく見られます。
直訳は「基地に触れる」ですが、その意味は「(誰かと)連絡を取る」「(話題について)短く話し合う」などとなります。
プロジェクトの進捗を確認するため、アイデアを共有するため、または単に最新の情報を交換するために使われることが多いです。
また、“touch base”は短い会話や確認を意味するため、長い議論や深い話題については別の表現を使うことが適切です。
追加例文
- 「月曜日に進捗について話し合いたいのですが、時間を設けられますか?」
“Can we arrange to touch base on Monday to discuss our progress?”
「来週この件を再確認する必要があります」
- “We need to follow up on this issue next week.”
解説
“need to”は、ここでは特定の問題やトピックに対する続きの行動や議論が必要であることを強調しています。
“follow up”は、ビジネス英語において非常に一般的に使用されるフレーズです。
主に、何らかのアクション、ミーティング、話題、問題などに対して、追加的な行動を取る、情報を確認する、または進捗を確認するという意味で使われます。
追加例文
- 「来週の会議においては、プロジェクトの主要段階についての再確認が主要課題となります。」
“It’s crucial that we follow up on the project’s milestones next week.”
“It’s crucial that〜”という表現は、何かが非常に重要であることを強調する際に用いられます。
この構文は、特定の行動や状況の重要性を明示するためによく使われる表現です。
認識や理解が一致しているか?
会議参加者全員に対し、同じ理解を共有しているかを、タイミングよく確認することが非常に大切です。
「私達は同じ理解を共有していますか?」
- “Are we on the same page?”
解説
“on the same page (about)”がキーフレーズです。
直訳すると「同じページにいる」という意味ですが、実際には「同じ理解を共有している」という意味の慣用句(イディオム)です。
またまた登場しました慣用句。丸暗記する他はないです。
この慣用句は、フォーマルにもカジュアルにも使えて、相手の意志を確認する場合にはメチャ便利な言い回しです。
例えば「明日イタリアンに行く約束だったよね」とか「子たちの就寝時刻は9時って決めたよね」みたいな感じ。
追加例文
- 「結論に移る前に、ちょっと確認したいんですが、新しいマーケティング戦略について、私たちはみんな同じ理解を共有していますか?」
“Before we conclude, I just want to make sure: Are we all on the same page regarding the new marketing strategy?”
“regarding”
“regarding”は前置詞であり、「〜に関して」「〜について」といった意味を持ち、話題を指定する際に使うことが多いです。
同じような意味で使われる他の表現には
- “concerning”
- “pertaining to”
- “with respect to”
などがあります。ただし、“regarding”はこれらの中でも特に一般的で、ビジネスシーンにおいては非常によく使われる表現です。
「私達は同じ理解を共有していますか?」
- “Do we share the same understanding?”
解説
“share”がキーとなる動詞で、ここでは「同じ理解」を参加者間で共有しているかどうかを問いかける意味で使われています。
追加例文
- 「締めくくりとして、締め切りと納品物について、私たち全員が同じ理解を共有しているか確認しておきましょうか?」
“To wrap this up, do we all share the same understanding about the deadlines and deliverables?”
“To wrap this up” はビジネスミーティングやプレゼンテーションなど、話や議論を締めくくる際によく使われるフレーズです。
直訳すると「これをまとめるために」となり、話の終わりに近づいていることを示唆します。
貴方の意見はズレている
議題であるプロジェクトの範囲や目的を超えている、或いは、外れている意見を述べる人がいたりする場合があります。
こういうケースで司会者は、いち早くそれを指摘し、議論を有るべき姿に戻す必要があります。
「貴方のご意見は、今議論しているプロジェクトの範囲を外れています。」
- “That’s outside the scope of our current project.”
解説
ここでの“scope”という単語は、プロジェクトの「範囲」や「目的」を指し、“outside the scope”で、それが定められた範囲を越えていることを示します。
追加例文
- 「その創造性は評価しますが、そのアイデアは現在のプロジェクトの範囲外です。」
“While I appreciate the creativity, that idea is outside the scope of our current project. “
“You”を主語にしない会話術
さて、本題から逸脱しているのは、それを言った本人なのに、司会者は”You”を主語とせず”That”を主語にしています。
(日本語訳は意訳している)
これは会議やプロジェクトを円滑に進める上で、非常に大切なテクニックです。
その理由を以下に述べます。
- 非対立的なコミュニケーション:「You」を使うと特定の個人を直接指摘することになり相手を防御的にさせる可能性がある。
状況やアイデアに焦点を当てることで、より建設的で非対立的なコミュニケーションを促進出来る。 - チームワークと共同責任:プロジェクトの範囲や目標に関する議論をする際、個人ではなくチームやプロジェクト全体に焦点を当てることで、共同の責任感を醸成し、より協力的な環境を作り出すことができます。
- 柔軟な問題解決:個人を指摘する代わりに状況やアイデアに焦点を当てることで、問題の本質に集中し、柔軟で創造的な問題解決を促進することが可能になる。
「貴方のご意見はこのプロジェクトの枠を超えています」
- “That’s beyond the parameters of this project.”
解説
“parameter”は「枠」や「範囲」という意味で、例文ではプロジェクトの運営範囲や制約を意味しています。
“beyond”は「〜を越えて」という意味なので、“beyond the parameters of this project.”は「定められた条件や限界を超えている」という意味になります。
追加例文
- 「このアプローチでは、私たちはプロジェクトの枠を超えて冒険していると思います。」
“I think we’re venturing beyond the parameters of this project with this approach. “
効率的な議論をしたい時
特定のアイデアや提案が有用である可能性があるものの、現時点ではそれを深く掘り下げるのではなく、一時的に保留にすることを提案します。
日本からアメリカに赴き、そこでアメリカの会社と議論する場合、利用できる時間には大きな制限がかけられます。
「そのアイデアは今は置いておきましょう。」
- “Let’s park that idea for now.”
解説
“Let’s 〜”誰もが知っている表現で特に説明はありません。
このフレーズでは“park”が大切です。通常の「駐車する」という意味ではなく、ここでは比喩的に「一時的に保留する」という意味で使われています。
次に、 “for now” は「現時点で」「今のところは」という意味です。
“park”も“for now”も、使い方を知っていると、とんでもなく便利です。
追加例文
- 「あなたの提案には可能性があると思いますが、今はその考えを保留にして、当面の問題に集中しましょう」
“While I think your suggestion has potential, let’s park that idea for now and focus on the immediate issues.”
“While A, B.”という構文で、AだけれどBという意味。こちらの言い分を押すけれど、相手を否定しないところがミソ。
「その考えは一時的に棚上げしましょう。」
- “Let’s shelf that thought for the time being.”
解説
最初の例文と同じ形で、やはり、ある考えや提案を一時的に保留にし、より緊急性の高い事項に集中することを示唆します。
注目すべきは“shelf”という動詞で「棚に上げる」という意味ですが、例文の文脈では「保留にする」という意味で使用されます。
この表現は、議論の範囲を絞り込む際にとても役立つと同時に、保留にされた相手の”thought”が将来的に再考されることを示唆しています。
追加例文
- 「あなたのアイデアは興味深いですが、その考えはひとまず棚上げにして、次回の会議でまた取り上げましょう」
“Your idea is intriguing, but let’s shelf that thought for the time being and return to it in our next meeting.”
“thought”と”thinking”の文脈における意味の違い
もし例文の“thought”を“thinking”に変えて話すと、先の和訳どおりに相手は理解してくれるか?という疑問です。
残念ながらこちらの意図は通じない可能性が高いです。以下にその理由を述べます。
- “thought”は一つのアイデア、意見、提案、または考慮された特定の事柄を意味することが多いです。
対して、
- “thinking”は「思考」や「考え方」といったより抽象的なプロセスや方法を指します。つまり、個々の提案やアイデアよりも、思考の流れやアプローチ全体を示すことが多いです。
その結果、“thinking”に置き換えると、和訳の意味が、
「その考え方を一時的に棚上げしましょう」となってしまいます。
より一層深い議論が必要
ビジネス会議においては、時に提案されたアイデアや計画が即決できるほど単純でないことがあります。
というか、そのほうが圧倒的に多いですよね。
「もう少し詳しい突っ込んだ話し合いが必要です」
- “This warrants further discussion.”
解説
“warrants”は「~に値する、~を正当化する」という意味で使用され、提案された内容がさらなる議論を要することを示します。
「これはもう少し突っ込んだ話をする価値があります」
- “This merits more in-depth conversation.”
解説
“merits”は「~に価値がある」という意味で、議論すべき重要な内容を示唆しています。
“in-depth”は複合形容詞で名詞の前に置き、「徹底的な」、「詳細な」、「深い」という意味を持ちます。
日本語と英語の主語に対する考え方の違い
上の2つの例文は、非常に簡単な構造の短文です。なのに日本語訳をつけると何故かしっくりこない。
これって、どこに原因があるのでしょうか?
実は、日本語では、行動をする人間や主体を主語にすることが一般的です。
一方、英語では事象や概念を主語とすることがしばしばあるのです。
この違いが、日本人の英語学習者を悩ませる要因の一つになっています。
最初の例文“This warrants further discussion.”を日本語に直訳すると「これはさらなる議論を必要とする」となります。
感覚的におかしいでしょう?
日本語では「私たちはこれについてさらに議論する必要がある」という形で、主体(「私たち」)が強調されることが多いからです。
こういった違いを理解しておくことも大切です。
相手の提案を受け入れる
色々と対立が予想される会議でも、相手の心を閉ざさせない工夫は大切です。
「提案をお待ちしています」
- “I’m open to suggestions.”
解説
直訳すると「あなたの提案は受け入れます」となりますが、そんな物言いをしていたら、まとまるものもまとまりません。
- 「提案をお待ちしています」
- 「何か提案があれば、ぜひ聞かせてください」
くらいのニュアンスです。当然、表情も喋り方もそうなります。
建設的な議論を促進するために、まずは、素直な開かれた心を持っていると理解してもらうことが大切です。
- I’m open to + [名詞句/動名詞]
是非是非覚えておきたい構文です。
“to”は不定詞ではなく前置詞です、なので”to”の後に動詞の原形は置けません。
追加例文
- 「私たちのマーケティング戦略における新しいアプローチに前向きです」
“I’m open to new approaches in our marketing strategy.”
文脈によっては、主語が”We”のほうが相応しい場合もあります。
「どんなアイデアも歓迎します」
- “I welcome any ideas.”
解説
ここでの“welcome”は、「喜んで受け入れる」という意味を持ち、積極的に他者の意見やアイデアを受け入れたいという姿勢を示しています。
“any ideas”という表現は、どのような提案も考慮する用意があることを強調しています。
追加例文
- 「私のプレゼンに関するどんなご意見も喜んで受け入れます」
“I welcome any feedback on my presentation.”
“any ideas“と”any feedback”???
“feedback”は不可算名詞なので、通常単数形で使用されます。
対して”ideas”は可算名詞であり、複数形で使用されることが多いです。
提案に同意するフレーズ
会議において、相手の意見や提案を受け入れるときに用いる表現です。
「御社の提案は私たちの目標とよく一致しています」
- “Your proposal aligns well with our goals.”
解説
“aligns well with”
相手の提案と自社の考えが、方向性としては一致しているが、それはある程度という意味で「完全に」ではない。
会議や交渉の中においては、長期的な計画や戦略的な目標に関連した話題で使われることが多いです。
追加例文
- 「協力関係を拡大するという御社の提案は、今年度の弊社の目標にとても合致しています」
“Your proposal to expand our partnership aligns well with our goals for this fiscal year.”
「御社の計画は弊社の目標と一致しています」
- “Your plan is in sync with our objectives.”
解説
“is in sync with”
相手の提案やアイデアが、自社の具体的な目標や現在の取り組みと、完全に一致していることを強調したい場合に使用されます。
“aligns well with”とよく比較し、その違いを理解してください。
会議や交渉の中においては、短期的なプロジェクトや具体的な行動計画に関する話題に適しています。
追加例文
- 「このプロジェクトに対する貴社のアプローチは、市場拡大という我々の戦略的目標と合致していると思います」
“We find that your approach to the project is in sync with our strategic objectives for market expansion.”
まとめ
この記事では、アメリカのビジネスミーティングで使える10の重要な英語フレーズをご紹介しました。
これらのフレーズは、日本の教科書にはあまり登場しないものだったかもですが、アメリカのビジネスシーンでは日常的に使用されています。
ビジネスマンとしてアメリカで成功するためには、こうした現地の言い回しを理解し、自身のコミュニケーションに取り入れることが不可欠です。
しかし、ここで終わりではありません。日本人が英語を話す際には、単にフレーズを覚えるだけではなく、それをいつ、どのように使うかが重要です。
文化的な背景やビジネスシーンの文脈を理解することで、これらのフレーズはさらに力を発揮します。