驚きの確率謎解き!モンティ・ホール問題を徹底解説で明かす秘密



藤原

「モンティホール問題」という、多くの数学者でさえ悩んだ有名なパラドックスがあります。

とっても理解しにくくて、正解を知っても尚納得できない大勢の人がいます。

一見単純(に思える)な問題なのに、ほぼすべての人が誤解してしまう、実は超難解な世紀のパラドックスとは?

この記事は、わかりにくい腑に落としにくい「モンティホール問題」を誰もがわかるような解説をしたくて作成し、これにチャレンジしました。

さて、あなたにもちゃんとわかってもらえますでしょうか、乞うご期待!

モンティ・ホールと「Let’s make a deal」

本題に入る前に、まずは「モンティホール問題」という名称の由来である伝説のテレビ番組を紹介します。

米国において、1963年に新しいテレビ番組「Let’s Make a Deal」がスタートしました。番組の司会進行は、これがきっかけで歴史的な名司会者の評判を得ることになったモンティ・ホールです。

モンティ・ホールはなんとその後30年間もホストを努めていますから、いかに人気のあった番組かがわかりますね。

「Let’s Make a Deal」は視聴者参加型の番組で、その中から「トレーダー」がランダムに選出され、モンティと取引をすることで進行していきます。

参加者はうまくトレードしたら新車のキャデラックをもらえたりするので、みんなこぞって「トレーダー」になることを希望し、そのために趣向を凝らした奇抜な衣装で番組に参加しました。

「Let’s Make a Deal」は3本見ただけなので、長期に亘って番組内容がどう変遷していったのかまではわかりません。なので見た範囲で説明します。

番組ではまず少しの価値を「トレーダー」に渡します。

例えば、「トレーダー」が参加のために作った帽子やパラソルと引き換えにという名目で数百ドルを渡します。

ここで「トレーダー」は3つのカーテンの向こうに隠された商品と、手元にある数百ドルを交換するかどうか問われます。

誰もが喜ぶ高価な商品が何番のカーテンの後ろにあるのか、ほとんど無価値なものが何番のカーテンの後ろに有るのかは、当然「トレーダー」にはわかりません。

だから迷うんですね。多くはないけれど手元にある金額は保証されている。もしトレードして失敗したら元も子もなくなる。

そこで起こるドキドキや喜怒哀楽の表情とアクションがとってもダイナミックで視聴者を魅了したのだと思います。

当時の番組の様子が今でもYouTubeでご覧になれますので↓お時間があるならご覧になってください。

 

マリリンのコラムへの質問と解答がきっかけで大論争へ

ここで、先ほどお話したモンティホールの番組「Let’s Make a Deal」が、この記事の本題へと繋がってきますよ。

さて、1941年の7月にサンデー・ニュースマガジンの「Parade」が創刊されました。1976年には買収されたのですが、その時の発行部数が2000万部を超えており、以後トップを走り続け現在もアメリカで広く購読されています。

で、この「Parade」にマリリン・ボス・サヴァントという人が「マリリンに聞く」というコラムを持っていて、ここにクレイグ・F・ウィテカーという人が質問をしたんですね。

クレイグは、ほぼ「Let’s Make a Deal」に基づいた例で質問をしたので、番組で長くホストを務めたモンティ・ホールにちなみ質問内容は「モンティ・ホール問題」と名付けられました。

マリリンはとんでもない人で、当時幾つか持っていたIQ値のうちの一つ、IQ304をギネスが正式に認定した程世界トップレベルの頭脳の持ち主でした。304ですよ!!

天才マリリンは質問に対しこう答えたんですね「プレイヤーはドアを変更すべきです」。

ところが、「変更すべき」は多くの人々に受け入れられませんでした。博士号を持つ何人もの人達を含め数千通もの手紙が来て、ことごとくマリリンに「違う!」と突きつけたんですね。

その後マリリンは答えを明確にするために新しい説明例を作り発表したりしていますが、なかなか理解が進みませんでした。

それどころか、何人もの学者がマリリンをかなり痛烈にこき下ろしてます。

やがて、マリリンの説が正しいことが広く知られるようになり、解説文もたくさんで回るようになりました。

しかし、そういった解説に触れて何が正解かをわかっても尚納得できない人は多かったし多いのです。

これほどまでに人々が理解できずに苦しんだ「モンティ・ホール問題」とはどのような内容だったのかを次に紹介します。

 

マリリンへの質問の内容(モンティ・ホール問題)

それではクレイグが「マリリンに聞く」コラムに寄せた質問の内容を説明します。

  1. あなたは今ゲームショーに参加しており、目の前には3つのドアがあります。
  2. 一つのドアの向こうには高級車があり、他の2つのドアの向こうにはヤギがいます。
  3. あなたは司会者に促され、3つのドアのうち一つを選びます。
  4. 司会者は残り2つのドアから、必ずヤギが隠れている方のドアを開けます。
  5. その上で司会者はあなたにこう問いかけます「あなたには最初に選んだドアを残りのドアとチェンジすることができますが、さぁどうしますか?」

以上が前提で、あらためてクレイグは質問します。「高級車をゲットするためには、ドアをチェンジしたほうがいいですか、それとも最初に選んだままのほうがいいですか?」

先程お伝えしたように、マリリンは「プレイヤーはドアを変更すべきです」と答えたんです。つまり、そうするほうが高級車をゲットできる確率が上がるという解答です。

これも既にお話したようにマリリンが正しいのです。では何故何千通もの「違う」が来たのでしょうか? 数学者までもが。

多くの人たちの考えはこうです。

司会者は、あなたが任意に一つのドアを選択したあと、「必ずヤギがいる」ドアを開けます。

つまり、あなたが選択したドアと残されたドアの後ろは、必ずどちらかが高級車でどちらかがヤギです。

真依
という事は2つに1つだから、ドアを変更してもしなくても確率は五分五分でしょう!?

いかにももっともらしいでしょう? でも実はこれ間違いなんです。

祥子
いやいや、どう考えても間違いじゃないわよ!
藤原
OK、では次に「なぜドアを変更すると高級車ゲットの確率があがるのか」を説明します。

 

ドアA・ドアB・ドアC

おさらいですが、ドアは3つでその向こうには、高級車・ヤギ・ヤギでした。並び順は関係ありません。

ここで以下のようにしておきます。

  • ドアA:高級車
  • ドアB:ヤギ
  • ドアC:ヤギ

さあ、あなたが選ぶドアとそれ以降について一つずつ確認していきます。

あなたがドアAを選んだ場合

  • 司会者は必ずヤギのドアを開けるから、残されたドアの向こうはヤギ
  • 従ってあなたがドアを変更したら当然向こうにいるのはヤギ

あなたがドアBを選んだ場合

  • 司会者は必ずヤギのドアを開けるから、残されたドアの向こうは高級車
  • 従ってあなたがドアを変更したら当然向こうにあるのは高級車

あなたがドアCを選んだ場合

  • 司会者は必ずヤギのドアを開けるから、残されたドアの向こうは高級車
  • 従ってあなたがドアを変更したら当然向こうにあるのは高級車

どうでしょう、ここまでで「ドアを変更してもしなくても同じ」ではない、と理解できたでしょうか?

 

最初にヤギのドアを選ぶ確率は2/3

いよいよ最大のポイントに来ました。

先程の説明で明らかになりましたが、最初にドアを選択する段階で、ヤギのドアを選択する確率は3つのドアのうちの2つですから2/3です。

要するに、最初の選択でヤギのドアを選択する確率は、高級車のドアを選択する確率より2倍高いのです。ここが腑に落ちると後は簡単です。

ヤギのドアを選んだら、司会者がもう一つのヤギのドアを開けてくれるので、残りのドアは必ず高級車になります。

だから(最初にヤギのドアを選ぶ確率が高いから)ドアを変更すべきなのです。

つまりポイントは2つあって、、、

  • 最初にヤギのドアを選ぶ確率が2/3で高級車のドアを選ぶ確率1/3の2倍である事
  • 司会者は残り2つの内、必ずヤギのドアを開けてくれる事

「ドアは2つ」という前提ではない

再度申し上げますが、最初に選ぶ確率が1/3と2/3という点が最大のポイントです。ドアは3つであって2つではないのです。

しかし仮に、ドアが2つしかなくて、ドアA(高級車)、ドアB(ヤギ)という設定なら話は全く変わってきます。

この状況では、高級車のドアを選ぶ確率もヤギのドアを選ぶ確率も同等で1/2です。

モンティ・ホール問題では3つ目のドア、つまりヤギのいるドアが必ず開けられ、この行為が結果的に最初の選択に影響を与えますが、ドアが2つの場合はこの解決策が適用できず、従ってドアの変更には特別な意味もありません。

 

錯覚を解く

ここまでで理解をしていれば、以降は読む必要はありません。

が、まだ錯覚が解けていない場合もあると考えて、もう少し説明を進めます。ちょっとくどいかも。

ドアの変更のみにスポットライトを当てている?

司会者がヤギのドアを選択した後は、あなたが最初に選んだドアと、もう一つ開けられてないドアの2つ。

真依
つまりドアを変更するかしないかは2択、2択だから確率は1/2でしょ。どっちもどっち、変更してもしなくても一緒だと思うのよ

こんなふうな考えに至るのかな?と想像します。

ここで思考が固まると、それが誤りであると気づくのは難しいかもしれません。なぜなら、それほどに「確率は1/2」と強く確信してしまうからです。

司会者は必ずヤギのドアを排除する

では2択の一つ前に戻しましょう。この状況ではまだドアは3つです。

3つの状態で、このゲームの大きな特徴である、一つのドア消しが司会者によって行われます。ドア消しでもドア・オープンでも何でも良いのですが、選択肢から強制的に1つのドアが排除されるのです。

しかも排除されるのは必ずヤギのドアです。

ということは、もしあなたが最初にヤギのドアを選択してたなら、もう一つのヤギのドアを司会者が排除したあとで残されたドアに変更したら必ず高級車になるのです。

最初に選択すべきはヤギのドア

じゃあ逆に、どうすれば高級車にたどり着くのか?

このゲームのルールに従うならば、上記の説明で明らかなように、高級車ゲットのためには、最初の選択でヤギのドアを選べばいいのです。

はい、最初にヤギのドアを選択する確率はいくらでしたか? そうです2/3でした。

3つのドアをランダムに選んでヤギのドアになる確率は・・・

  • 高級車1/3・ヤギ1/3・ヤギ1/3

だから、高級車のドアを選ぶより2倍高いのです。

そう、ヤギのドアを2倍多い確率で選択できるのですよ。確かにドアの向こうは見えませんが、見えても見えなくてもドアの向こうはヤギである確率が高いのです。

次に、司会者が残り2つのドアの内、必ずヤギのドアを排除してくれるのだから、残されたドアの向こうには高級車がある確率が高く、だから、元々選択したヤギのドア(である確率が高い)からそちらに変更するのが正しい理解なのです。

これは確率のお話です。

最初にあなたが高級車のドアを選択していれば、変更すれば、残念ながらヤギのドアになってしまいます。

だから、「絶対にこうなる」ということではなく、確率的にはヤギのドアを最初に選択する可能性が高く、ヤギのドアを選択していれば、後で変更することで必ず高級車をゲットできるということです。

 

 

「確率」と「絶対的な確実性」の違い

複数の数学者までも巻き込んで大炎上した「モンティ・ホール問題」の理解をする上でこの記事はお役に立ちましたでしょうか?

ちょっと余談ですが、先に説明しましたように、少なくない学者がマリリンにかなり失礼な罵詈雑言を吐いています。

なので、みんなが「マリリンが正しかった」と理解した時に、難癖をつけた学者たちはちゃんと落とし前をつけたんだろうな!?とアメリカのサイトをあちこち見て回ったのですが、どうもそれらしき痕跡が見当たりませんでした。

かなり前に小学生が作った標語に「ごめんなさい 言える勇気で なかなおり」なんてのがあったんですけれどね。

「確率」と「絶対的な確実性」は違う

さて、最後におまけとして「確率」と「絶対的な確実性」の違いについて、簡単に説明して終わります。

「確率」という概念がわかりそうでわかりにくいんですね。だから一応理解したつもりになっていても、「ヤギのドアが2/3ってどういう事?」と頭の中で蒸し返しになったりする可能性があります。

祥子
あんた流石にくどいんちゃうか?
藤原
すいません、もう終わりますんで

例えば、コイントスを同じ条件で繰り返すとします。すると長期的には表が出る場合も裏が出る場合も1/2という確率に近づくことが期待され、これは大数の法則といわれます。

それに対して、ある事柄が必ず100%起こるなら、それは大数の法則ではなく絶対的な確実性という概念になります。

コイントスで表の出る確率が1/2とは、1/2が保証されているのではなく、無限にコイントスを繰り返すと1/2に収束するという期待値なのです。

個々の試行で必ず同一結果が出るという絶対的な確実性があることとは、異なる概念であることを理解してください。

再度申し上げます。

コイントスを同じ条件で毎日一回して集計してゆくとします。

1年間(365回)よりも100年間(36,500回)の集計を行った方が、理論的には期待値に近い結果になる可能性が高くなります。

でも、「必ず」1/2に近い結果になるとは言い切れません(ここが一番理解しにくいところかもしれません)。

大数の法則は、試行回数が増えるほど期待値に近づく傾向があることを示すものであり、絶対的な確実性を示すものではないのです。

 



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