目 次
はじめに
熱い南方のアジア諸国では夜市が発達しています。夜市とは屋台や露店の集まりのことで、日中が非常に熱く夕方から活動しやすくなるという理由からです。
亜熱帯が北半分、熱帯が南半分という台湾もまた夜市が非常に発達しています。完全に住民の生活の一部になっているのですが、同時に観光客にも人気があり大きな観光資源でもあります。
今回はそんな台湾の沢山ある夜市の中で最も規模の大きい士林夜市(スーリンイエスー)をご紹介します。
歴史
士林には1700年代終盤に建立された慈諴宮(チーシエンゴン)がありますが、四海に囲まれた台湾では最もポピュラーな海の守り神である媽祖が祀られています。
廟ができるとお参りをする人が増えてきて、やがて参拝者を相手に商売をする出店・屋台が出現します。
そのように商店街を形作ってきた士林が他と違うのは歴史が極めて長く、つまり日本統治時代には既に商店街の様相を呈していたという事ですね。
そして紆余曲折はありますが順調に発展を遂げ、今では台湾最大の夜市になりました。その人気は凄まじく、運が悪い日に出かけると、あまりの混雑ぶりに圧倒されることもあります。
アクセスと夜市のエリア
MRT淡水線の劍潭(ジエンタン)駅で下車します。次が士林駅ですが士林駅で降りるのではありません。初めて行くと間違いやすいところです。
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駅からそう離れておらず、わかりやすい筈です。位置関係やエリアは作成した地図の通りです。また近年では大規模な環境整備が行われ、案内板や案内地図が充実して非常に便利になりました。
歩き回るのには広大すぎてどうしていいかわからない、という程ではありません。ただ流石に店舗の数は半端ではなく、1日2〜3時間で見て回るには厳しいかもしれません。
士林市場
士林夜市一帯の特徴として市場の存在が挙げられます。もとは日本統治時代に建てられたのですが、安全性や衛生面に配慮され2011年12月に大リニューアルオープンしました。
士林市場のB1は全てが飲食スペースとなっており、多くのお店がひしめき合っています。ここにある料理の種類はメチャクチャ多いですが、そのうち幾つか、台湾グルメベスト10でご紹介したもの以外の料理をご紹介します。
士林市場 B1 とっておきのグルメ紹介
甜不辣
これなんと読むとおもいます? 正解は「ティエンブーラー」。テンプラの当字です(^^*) といっても日本のそれは総称なのに対して、台湾のそれは特定のものを指します。魚のすり身の揚げもので「平てん」みたいな食べ物です。
これ結構定番でして台湾おでんには必ず入ってます。そうなんです。台湾にもおでんはありまして、「関東煮」と書かれた屋台の看板はよく見ます。日本の文化の名残りでしょうね。
上の写真をご覧になって、なんか興味を惹かれません? 新鮮な驚きというか何というか。是非一度日本のおでんが台湾でどう変化したのか、甜不辣やその他の具を食べながら考えてみてください。
広東粥(グアンドンジョウ)
一言で粥といっても具材や味も多種多様なのですが、広東粥が他の粥と比べて一番大きな違いは米がほぼドロドロ状態であることだとおもいます。それとうっすら油の旨味が感じられて、相当にいけます。
粥は主食なので飽きません。台湾におられる間にあっちこちで食べ比べてみてください。出汁や米の状況、中の具材とたかが粥なのに結構奥が深いんです。写真の士林市場B1303番のお店、なかなかいけますよ。
官材板(グアンツァイバン)
この料理は台南の康樂市場(カンルア シューチャン)という市場、通称沙卡里巴(サカリバ)の中にある「赤崁(チューカン)棺材板」というお店で考え出されたされた料理です。
棺材とは棺桶を意味する単語で、このお店の初代が現役の頃、たまたま訪れた客の一人が「姿が石の棺桶に似ている」と言ったことが命名のヒントになったそうです。
油で揚げた厚切りトーストを包丁でくり抜き、中にクリームシチューを入れて、くり抜いたパンで蓋をするというものです。
味は想像つきますが発想がおもしろいでしょ。台南の名物料理として一度は食べてみてください。
大腸包小腸(ダーチャン バオ シャオチャン)
「大腸が小腸を包むってなんやねん?」って思いません? これはですね、味付けしたもち米を腸詰めして茹でたものを軽く焼いて、真ん中を切って、中に香腸と呼ばれる台湾ソーセージを挟んだ一品です。
さらにお店によってトッピングに差が出ますが、だいたい野菜や漬物をいれて、最後にピリ辛やニンニク風味をつけて完成です。
これを考えついた台湾人のセンスを買います。今まで沢山の日本人にお勧めしましたが、最も評判の良かった食べ物の中の一品です。私も超大好きです。
蚵仔煎(フアズージエン)
読み方はカッコ書きの通りですが、台湾では「オアチェン」と台湾語で発音します。この台湾語の発音について難しく解説しているブログを見ますがノープロブレム。見た通り発音して十分通じます。
これぞ本当に台湾を代表するB級グルメで、台湾人はみんな大好きです。よく日本では牡蠣オムレツとか牡蠣お好み焼きなどと表現されますが、ちゃいます(`ω´)
葉野菜と牡蠣を溶き片栗粉と卵でまとめた料理で、仕上げに店独特のオレンジ色やピンクのソースをかけます。このソースに店によっては一杯ニンニクが入っているのでちょっと辛い人がいるかもしれません。
皮のもちもち感とソースの味が好きキライの分かれ目でしょうか。好きな人は、これ食べないと台湾に来た気がしないと言いますが、果たしてあなたはどうでしょう? 一度ご賞味あれ。
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地上の飲食店
少しだけご紹介します。
辛發亭(シンファーティン)
私はまだ台湾で右も左も分からない頃連れてこられた思い出のお店です。雪片冰(シュエピエンビン)という牛乳の氷で作ったかき氷の元祖として有名です。
もちろん歴史ある名店ですが、オーナーの信念は絶対に防腐剤や人口着色料を使わないことで、多くのトッピング材料を毎朝早くから仕込み使い切るというこだわりようです。
個人的に特にお勧めしたいお店です。
蜜酥鶏排(ミースジーパイ)
士林夜市で有名な鶏の特大唐揚げのお店は豪大大鶏排であると台湾グルメ ベスト10でご紹介しましたが、もう一店よいお店があるのでご紹介します。
ここは地元大学生によって鶏排No.1の店として選出されたこともある良店です。特徴は独自の調味料(スパイス+漢方+蜂蜜)にあって、さくさくジューシーな肉を噛んでいると独特の甘みが出てきます。
豪大大鶏排が超人気なのは事実ですが食べ比べてみてください。蜜酥鶏排も負けていないと気づくはずです。
家郷涼麺(ジアシアン リャンミエン)
20年近く営業の人気店で、メニューは冷麺と臭豆腐だけという潔さです。もし臭豆腐にチャレンジしようと思ったら食べやすさで最適のお店です。
臭豆腐は豆腐を発酵させた食品ですが日本人にとってはその臭いが強烈で、しばしば苦痛の種となります。キライな人が多いです(食べず嫌い)。私も長い間そうでした。
このお店はそのハードルを低くしてくれています。臭いは抑えめで、サクサクほくほくでなかなかいけますよ。こういう癖の強い食品は、もし慣れてくれば、より一層大好きになる可能性があります。くさやなどと一緒ですね。
一方、看板の涼麺は冷麺というより汁なし麺に近いように思います。ゴマ風味のピリ辛は病みつきになる美味さで、辛さは調節できます。
蛇料理店発見
龍山寺の華西街観光夜市では蛇の解体ショーをやっている有名なお店がありますが、まさか士林夜市にもあるとは・・・。
蛇は苦手中の苦手で、たとえお皿の横に万札が積まれていても食べれません。もし興味があれば探してみてください。
飲食店以外のお店
お土産用品、衣服、アクセサリー、ファッショングッズなど数多くのお店があります。台湾人の友人によると良い商品も沢山あると言っていたので、眼力のある人には良いでしょうね。勿論値引き交渉OKです。
女性から聞いた話ですが、日本では派手すぎて恥ずかしいようなアクセサリーでも、台湾でなら着けられるとのことでした。あまり高価ではないものを買って、滞在中だけ楽しむという考え方もありですね。
珍しいエビ釣りのお店もあります。台湾ではこのエビ釣り、以前から継続的な人気があります。夜市とは関係なく、独立した本格的エビ釣り店も数多く存在します。
釣ったエビは焼いてくれるので食べられるし、もらって困ると言うこともありません。
次は昔懐かしレトロゲームですね。私は長い間横を通り過ぎるときに無視してきました。というより関心がなかったのです。
ある時一緒に行った人がやって、私も付き合ったんですね。確かダーツの要領で風船を割るゲーム。ものの見事にはまってしまいまして「行こう」という声を無視して意地になってやったものです。
この風船割りはエアガンや弓矢タイプもあります。どれも得点制で置いてある景品がもらえます。ともかく、私のように熱くなるタイプは要注意です。
「日式(ルーシュー)」
夜市に限らず街を歩いていると、台湾では結構な頻度で日本語に出会えます。
看板にも日本語が頻繁に登場します。対日本人じゃなくて台湾人用にもちょっとした日本語はよく使われます。そして最近では、何故か助詞の「の」を使うことが流行りだったりします。
反面へんな日本語も多いので、台湾に行ったら日本語の誤用看板を次々と写真にとって収集すると結構面白いコレクションができるはずです。
上の写真のメニューもたいがいですが、その他「芸能界」→「芸の界」とか、今思い出した事例では、テレサテン没後20年の会の案内状に「テしサ テン」と書かれていました(´⊆`*)
そんなわけで、ちょっと気にして歩いてみてください。また、時々屋台に「日式」の文字が書かれています。直訳すれば「日本式」ですが、日本の料理の店ではありません。
以前気になって台湾人に質問しました。返ってきた答えが「オーナーが日本に行ったことがある」とか「オーナーが日本で数年料理の勉強をした」などでした。
ゆるいでしょう!? 「日本料理と関係ないのにどうして『日式』と書くの?」と聞いたら「台湾人は日本が好きだから。関心を引くから。」だそうです。
なんか微妙ですが、でもなんとなく嬉しいかな・・・です。
注意事項
紹介しておきながら気が引けますが、日頃から気になっている負の部分もきっちりお伝えします。
観光地化が進むにつれて質や味への拘りが薄らいでいるお店も増えつつあると聞きます。割安感もさほどではなくなってきているし、ぼったくりの店もあります。
特に中国人観光客がどっと押し寄せるようになってからその傾向は顕著で、確かに台湾最大の夜市ではありますが、今のままでこの盛況が続くのか疑問に思う時もあります。
特に気をつけるべき点を2つ申し上げます。
1つ目は「スリに注意」です。沢山の色んな人でごった返していますので、必要最低限の持ち物でお出かけください。安全な台湾と思ってきましたが、地元の人の話によると、実際にここではスリの被害が多く発生しているようです。
2つ目は「カットフルーツの店では買わない」です。不当な高価格は台湾人の間でも有名です。味見を勧められ強引に不要なものまで袋に入れられ、拒否したら、或いは支払い金額を指定したら、「もう袋に入れたから」「もうカットしたから」と無理やり買わされるのです。
何があっても買ってはいけません。だいたい台湾人の女性は強い(そう映る)し、言葉もキツイ(そう聞こえる)し、気後れしそうになるかもしれませんが、ここに書いてある事を思い出してください。絶対に買ってはいけません。こういう店の存続の可否は私たちの行動にかかっています。
付録 (特製)台北市十大夜市地図
最後に
写真と文章で士林夜市が少しでもイメージできましたでしょうか。付録の(特製)台北市十大夜市地図を見ればわかりますように、台北にはあちこちに沢山の夜市があります。
夜市と一言で言ってもそれぞれに特色があり、極端な話、子供さんは連れて行かないほうがよいかもしれないという微妙な色気のある夜市もあります。実際に歩いてみて、お気に入りの夜市を見つけてください。
今や士林夜市は観光客が多すぎて、何度も行く場所ではないかもしれません。そうはいっても台湾最大。見所も、オーナーが気合十分の食べどころもまだまだ沢山あります。一度は実際に目で耳で舌で体験してみてください。
士林夜市のすぐ隣に素敵な温泉があるの知ってます?
國立故宮博物院は士林駅からバスですよ〜
蒋介石の私邸と美しく広大な庭は士林駅から歩いていけます
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