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台南中の月下老人
台湾で最も古くから文化の発達した場所は、それは台南です。日本で言えば京都ですね。
ですから台南には歴史的価値のある寺廟がたくさん存在しています。
そうです。由緒ある寺廟がきら星のごとくあるのです。特に歴史好きにとってはたまらない魅力が溢れている街が台南なのです。
さて、今回の記事は寺廟巡りなのですが、月下老人参りに特化しました。歴史ある寺廟に祀られる月下老人にお願いをし、縁結びのご利益を頂こうというものです。
一般的に台南では・・・
- 祀典武廟
- 祀典大天后宮
- 大観音亭
- 重慶寺
この四つの寺廟に祀られている月下老人は台南四大月下老人と呼ばれています。しかし今回はそれを超えるご紹介なのです。
実に七つもの寺廟に通い、素敵な彼・彼女とあなたの足に赤い糸を結んでもらい、運命を揺るぎないものにしていただくのです。
良縁を願う気持ちが誰よりも強いあなた。万難を排し台南中の月下老人にお願いをしに行き、是非ともご利益を賜りましょう。
ということで目的ははっきりしました。今回参拝する七つの寺廟は以下の通りです。
- 重慶寺
- 大観音亭
- 祀典大天后宮
- 台湾首廟天壇天公廟
- 南廠保安宮
- 祀典武廟
- 正統鹿耳門聖母廟
このうち六つの寺廟はほぼほぼ便利な場所にあります。ただ一つ、正統鹿耳門聖母廟だけは少し遠いです。
でも鹿耳門聖母廟は他では体験できない非常に貴重な場所です。月老へのお願いとともに、是非びっくりするような素晴らしい体験をしてきてください。
鹿耳門聖母廟以外の寺廟の場所をマップ上に表示しますので位置関係を確認してください。
七つも巡る意義はあるのか?
一箇所だけに限定してお願いするのがいいのではないか?という疑問ですね。
ハシゴは良くないという意見も日本では見ます。しかし、どこにも「こうすべきだ」という論拠がないのです。台湾人からも聞いたことがありません。
日本の観音信仰でも何十という寺をめぐるじゃないですか。「何国何十何箇所」みたいな。一ヶ所行く度にみんな重ねてお願いをしてるのですよ。
とにかく、沢山巡ったからご利益が薄くなるなんてことはありません。
それに、七つもの寺廟を巡るということは、それだけ色鮮やかな台南文化の息吹をたくさん感じることにも繋がるのです。
大切なのは、お願いの実現もさることながら、月下老人を含めて心一杯台湾を感じることだと思います。
細かいことはおいといてどんどんお願いに行きましょうよ。
でも月下老人て誰?
月下老人は実在の人物ではありません。唐の時代に書かれた「続幽怪録」という怪奇小説に登場する架空の人物です。
で、そのお話はおよそ以下のような内容です。
韋固(ウェイグー)という若者が宋城への旅をしていました。
ある夜韋固は、赤い糸をたくさん入れた大きな袋を横において書を読む老人と出会いました。
この老人は韋固にこう言いました。
「この赤い糸で結ばれた男女は、身分や立場や時間や距離、そういったものに一切関係なく必ず結ばれる運命にあるんだよ」
興味を持った韋固は老人にこう聞きました。
「私と結ばれる人はどこにいますか、今会うことはできますか?」
「できるとも」と言って老人は韋固を連れて歩き、そして「結ばれる相手」と指差したのは小汚い女に抱かれた3歳の少女でした。
その時老人はこう言いました「14年後に結ばれる」。
「こんな身分の低いものと・・冗談じゃない」と韋固は翌日、下僕に殺害を命じます。
ところが眉間に傷を負わせただけで殺し損ねた下僕は喧騒に紛れて逃げて帰って来ました。
やがて時は過ぎ、役人となった韋固は長官に認められ、その娘と結婚したのです。丁度あれから14年が過ぎていました。
韋固は、妻がいつも隠している眉間の傷が気になり問い質したところ、妻はこう言いました。
「まだ幼少のある日、乳母に抱かれて歩いていたら、いきなり誰かに切りつけられたのです」
妻がまだ幼い頃、身分の高い実の両親が亡くなり乳母に預けられて育った事。10歳の時に縁あって今の長官の養女となったこと。
そして何より、額の傷は他ならぬ自分が刺殺を命じた結果であることを知ると同時に、あの時の老人の言葉を思い出していたのでした。
「14年後に結ばれる」。
韋固は全てを告白し衷心より詫びました。妻は夫を受け入れ、それ以後二人は末長く仲睦まじく添い遂げたのでした。
やがてこの話は遠くにまで伝えられるようになり、いつしか老人は、赤い糸で運命の男女をつなぐ月下老人と呼ばれるようになったのです。
今や台湾中の寺廟に祀られる月下老人は、星の数ほどの恋愛を成就させ、多くの夫婦がお礼参りに訪れています。
さあ、あなたも運命の人と赤い糸を結んでもらうために月下老人の元に出かけましょう。
作法については以下の記事に詳しく解説していますので、もしよければ参考にしてください。
どの廟にも祀られているたくさんの神々の解説も別記事でしているので参考にしてください。
夫々の寺廟に地図を貼ります。これらは全て出発点が台湾国立文学館になっています。それは台南市街観光の中心が台湾国立文学館あたりだと考えるからです。
重慶寺
1721年に建立され300年近くの歴史を有する元臨済宗のお寺(今はチベット仏教)、それが重慶寺です。台湾で今まで沢山の寺廟を拝観してきましたが、チベット仏教のお寺は記憶にありません。
場所は台南孔子廟の北側、国立台湾文学館の西側に隣接しています。この辺一帯は非常によく整備されていて、とっても気持ち良く歩けます。
さて、台湾の寺廟を初めてお参りする方は中の仏神をよく観察してください。
この寺も、観音様を中央にお祀りしており仏教のお寺ではあるのですが、見渡すとなんか変。左右はどうですか?
仏教と関係のない道教系の神々が沢山並んでいるでしょ。この寺の場合、周辺の道教系の廟がなんらかの理由でなくなり、その神様を引き取ったみたいです。
でもそれとは関係なく、一般的に台湾の寺廟では、教義宗派に関係なく多くの仏身が普通に混在しています。
多くの寺廟をお参りし地元の方たちの様子を伺っていると、少しづつ、台湾の方の宗教観がわかるようになるかもしれません。
月下老人
さて、お参りの順序は写真の通りです。
月下老人はどちらに? はい、本尊である観世音菩薩の左隣に祀られてますね。上の写真でもわかるように正面からだと見えにくいんですね。
ちょっと左側に近ずくとわかります。
ところで、月下老人に関して重慶寺には、ちょっと珍しいこんな説明があります。
初めて読んだ時、私は不覚にも笑ってしまいました。一生ご利益ないかも^^
- 祈求月老及速報司後攪動醋矸
- 順時針百年好合
- 逆時針情人回心転意願望定会速速実現
だいたい以下のような意味です。「百年好合」とか「回心転意」とかって四文字熟語はよく見ます。
- 月下老人と速報司にお願いをした後、速報司の前においてある甕の酢をかき回します。
- 時計回りにかき回したら、一生添い遂げることができます
- 時計と逆方向にかき回したら、恋人と以前のように仲良くなれます(心離れた人が戻ってくる)
- お願いは必ず速攻叶います
「願望定会速速実現」これが笑ってしまった原因です。なんか、あまりにも簡単で軽すぎるような気がしたんでしょうね^^
酢をかき混ぜる?
北京語には「吃醋」という言葉があって、これと関係していると思います。
- 直訳すれば「酢を食べる」。
- 意味は・・・酸っぱい=切ない=焼きもちを妬く。
速報司
さて「速報司」てあんまり見ないですよね。昔の行政上の制度或いはその役職名の一つで事務方の神様でしょうか。ってこれ道教の世界でしょ? 仏教じゃない。
元々「速報司」は公文書の受け渡しとそれに伴うことを業務にしていたようですが、重慶寺では恋愛の悩みを速攻で神様へ届けてくれるようです。
新竹の都城隍廟に祀られている二十四司が有名ですよね。もちろんその中に速報司もいます。以下の記事も参考にしてください。
大観音亭
現地に行って立つとわかりますが、向かって左に大観音亭が、そして右に興済宮が並んでいます。実際に、建物も中で行き来が出来、一体のものです。
1600年代のほぼ同時期に建立され、現在は「財団法人大観音亭祀典興済宮」が運営しています。仏教寺院と道教廟を同一組織が運営しているなんてね。
観音菩薩をご本尊とする寺としては台湾で最古だそうです。
大観音亭の本尊はもちろん観世音菩薩ですが、興済宮の主祭神は保生大帝です。
観音様が七難から救ってくださるのに対し、保生大帝は病気治療の神様ですね。ですから丁度補完関係にあるというか、お参りする人たちにとっては、こちらで半分のお願いを、あちらでもう半分のお願いをという事ですか。
月下老人
さて、肝心の月下老人が祀られている場所ですが、正面から入って右側中央くらいのところです。
以前は正殿の観世音菩薩の左側に祀られていたのですが今は達磨祖師に変わっています。同じく右側に祀られているのは大聖爺(孫悟空の号)ってこれは意味がわからない。別の場所に祀ったほうが・・・
月下老人は、現在のように独立してお祀りされている方が、近くでお参りができて、より存在感があります。よりお願いを聞いていただけるように感じます。
月下老人も廟によって何がしかの違いがあって、こちらはお願いを書いた紙とか、専用のお守りとか、或いはめでたく夫婦になった人たちの写真とかが一切ありません。
しかしそれはご利益の有無とは関係ないことのようです。
また、こちらの月下老人は特に、未来の伴侶候補がいない人にとっては最も心強い頼りになる神様であるそうです。
つまり、彼氏彼女がいない方は大観音亭の月下老人にお願いしてください、という事ですね。
祀典武廟
祀典武廟は台湾を代表する古い廟で、今でも絶大なる人気を誇る関羽が祀られており、台湾中にある関帝廟の総本山です。
関羽については下の記事でとっても詳しく解説していますので、是非併読してください。
台湾で唯一祀典に記載された武廟で、もちろん一級古跡です。
場所は赤嵌楼正門前の道路、民族路二段を挟んですぐ南側に位置します。
また、祀典武廟は祀典大天后宮の真東に隣接しており、鄭成功が奉じた寧靖王に関係する廟であったことに相違ありません。
祀典大天后宮建立と相前後し、1663年に建築が開始され、現在見られる様式の整ったのが1716年頃とされています。
もし行かれたら必ず見て欲しいのが、赤嵌楼正門から南に延びる永福路二段の西側に隣接する66mの朱色の壁と五つの異なった形状の屋根です。
屋根の高さで、その重要度がわかるそうです。非常に貴重なので、忘れずに写真に収めておいてください。
正面から入ってお参りをしつつ奥へ進むと、特に初めてだと、ちょっと通路が狭く進行順序がわかりにくいため、最初に案内図をよく見ておくといいでしょう。
こちらの祀典武廟では五文昌帝君も大きな人気を博しており、たくさんの合格祈願の紙が所狭しと貼られています。
月下老人
そして、ず〜っと進み一番奥に祀られているのが月下老人です。
こちらは、お願いの朱紙を裸で貼るのではなく、ちゃんと可愛い封筒に入れた上で透明の小さな筒に入れて、赤い糸で吊るします。見られなくてすみますね^^
ちょっと説明文を読んでみましょうか。
「異性の友人が欲しい時は月下老人にお願いをするだけで良い」と簡単。
結婚相手が欲しい時は・・・
- 月下老人にお願いする
- 打筊する
- 聖杯が出てお許しを受けたら赤い糸と縁粉をいただき小さな紅包に入れる
- 紅包を月下香炉の煙の上で三回時計の針と同方向に回す
- 全部終わったら、その肌紅包を身離さず持っておくように
みたいな事が書かれてます。
尚、祀典武廟の月下老人は縁を切りたい相談にも乗ってくれるそうなので、そういう向きもどうぞお訪ねください。
以下の記事の「擲筊とおみくじ」の章に詳しく解説しています。よろしければ参考にしてください。
祀典大天后宮
祀典武廟の西側に隣接しているのが祀典大天后宮です。
台湾で最も古くから文化の栄えた台南らしく、廟も歴史のあるものが多いんですね。
そんな中においても、祀典大天后宮は特別な位置付けにあり、台湾媽祖廟最高の地位を認められていると言って過言ではありません。
台湾においては初めて官幣で作られた廟で、唯一春秋祭典に入れられた廟でもあります。
そして、祀典大天后宮はその歴史的文化的芸術的価値の高さから一級古跡に指定されています(24ある一級古跡のうちなんと7つが台南にある)。
この建物は、元は廟として建立されたわけではなく、鄭成功と一緒に台南に渡ってきた明の寧靖王のために建てられたものです。1664年の話です。
寧靖王って日本ではほとんど知られてない習わない人物ですね。
でもこの混沌とした時代の流れをつかもうとするなら、鄭成功とともに見逃せない重要人物なのです。
今でこそ台湾最高の媽祖廟ですが、実はこの場所は呪わしい歴史を背負っています。
というのは、寧靖王時代、清の軍隊に追い詰められ五妃廟の伝説で知られる寧靖王の5人の妃はここで自害したのです。
もちろん寧靖王も後を追って自害しています。
そして、明日の明復興を目指して寧靖王を奉じた鄭成功の夢は、ここに完全に潰えてしまったのです。
さて、寧靖王の王宮は1684年に媽祖廟として改築され、やがて大天后宮と命名されました。
その後幾度も増改築されその途中に火災もあり、更に後年になると運営資金が枯渇して競売に出されるまでに至った時期もあるそうです。
しかし、そういった時代の荒波を乗り越えて現在も燦然たる輝きを放っているのが祀典大天后宮です。
四海に囲まれた台湾では古くから海の神である媽祖信仰が盛んで、祀典大天后宮も主祭神の媽祖以外は水に関係する神を多く合祀しています。
そして更に、人々の生活に直結する神々が加えられていて、それが註生娘娘であり月下老人であるのです。
月下老人
月下老人が祀られている場所は後殿の左側です。参拝順路図の5番目ですね。
実際に行けばわかるのですが、前の柵が視界を思いっきり遮っていて、折角の月下老人とのご対面が映画の悲劇のワンシーンみたいになってしまいます。
いつからこうなったのだろう? 以前は柵はなくて、杖にかけられた赤い糸を持って帰れるようになってたはず。
それと写真では分かりにくいですが、枠の中の右側に二体の月下老人が祀られていて、大きい方が坐像で小さい方が立像です。左側は福徳正神という土地の神様です。
こちらの月下老人は、相手の気持ちを知りたい、もっと関係を深めたい、そういう具体的な相手がはっきりしていると、よりお願いを聞いてもらえるそうです。
鈴生りにくくられてるハートの絵馬(みたいなもの)を見てください。
もう自分の情報が他人に分かろうがなんのその。とにかく願いを叶えてください、という熱い心が伝わってきそうです^^
台湾首廟天壇天公廟
場所はロータリーから北に延びる公園路と西に延びる民生路一段の間、中央気象局と鴬料理の西に隣接しています。
非常に便利な場所で近くには多くの観光スポットもあります。
さて、天公廟にも複雑な歴史があります。現在に至った経緯を簡単に説明しますと・・・
1658年、反清の鄭成功は南京を目指して北伐を決行しましたが、これが見事に失敗。再起を目指し立て直すために、取り敢えず台湾まで南下しました。
そして1661年には当時台南を統治していた(鄭成功にとっての最大の邪魔者)オランダを完全に排除したのです。
で、鄭成功はこの地に天公埕を作り天地の神を祀りました。1660年代の話です。ですから元々は廟ではなかったのですね。
やがて世は清の統治下になっていて、台南の人々は早くからこの地にちゃんとした天壇を作ることを希望していましたが、過去の歴史からして(鄭成功は明を立て直したかった)、清はなかなか許可できなかったのでしょう。
そして更に時は流れ、1854年になりやっと認可され、半官半民の共同出資で天公廟が建立されたのです。1983年には首廟天壇と改称され、その後台湾市古跡(元の三級古跡)に指定されています。
さて天公廟の主祭神は道教の最高神玉皇上帝ですが、正殿にその神像はなく、祀られているのはなんと位牌のみです。
その理由としてこう記されているそうです。
「天本無相、故不造像」
意味するところは「天は本来形や外観がありません、ですから神像は作らないのです」ぐらいでしょうか。
しかしそんなこと言ったら、眩い玉皇上帝の神像を祀る由緒ある他の廟の立場はどうなるの? と突っ込みたくなるのですが・・・?
月下老人
肝心の月下老人は、正面から右側を入り、後殿手前右側にある階段を登ります。
そして二階の一番奥、岳武穆王(三国志の岳飛)や天上聖母や註生娘娘らと一緒に祀られています(枠の中右側の小さな杖つき老人)。
幾ら何でもこの寄せ方はひどいと思います。なんかもう完全にその他大勢扱いですよね。それにしても、なんで岳飛と一緒やねん。
月下老人といっても廟によってこれだけ扱いが違うのですね。
しかししかし、「だからご利益ない」と考えるのは早計です。
天公廟はものすご〜く便利な場所にあるのです。とっても行きやすいです。そうなのに穴場的になっているってラッキーじゃないですか。
月下老人て元々お一人です。どこにおられても同じはずで月下老人は月下老人です。
ここはですね、あんまり人が来ない天公廟の二階でじっくりとお願いするしましょう。それこそお願いの極意!!
南廠代天府保安宮
所在地は府前路一段と海安路二段の交差点南東側で、棺材板で有名な赤嵌食堂から南に300mくらいです。台南駅からだと2.3kmくらいですね。
観光という観点からは結構地味なんですが、しかし一帯には食堂が一杯あって台南の味が堪能でき、更に色んなお店が連なっているので、歩いていると地元なんだ〜と実感します。いいとこですよ。
保安宮の建立は1718年で一説には1663年とも言われています。もしそうなら、鄭成功がオランダ軍を追い出した直後であり、大きな影響下にあったのでしょうか。
いづれにしても相当歴史ある廟です。(観光案内に載っている廟が良くて、そう出ないところはダメなんてこと、絶対にありませんから)
主祭神は五府千歳です。これらの神々は玉皇上帝のもとで様々な働きをし、特に邪悪や疫病を取り除いてくれると信じられています。
どちらかといえば台湾の中部より南の方で盛んな信仰で「王爺信仰」ともいい、道教信仰の一つです。
台南の中心からかなり北寄りの海側でバスかタクシーでないと行きにくいのですが、大変珍しい王爺信仰に関する博物館があります。
「東隆宮文化中心」と言いまして、王爺信仰文物館のほかに宗教文物展示館、水滸英雄館、民間信仰研究館、禮俗文物館などが集まっており、非常に興味をそそられます。
私もまだ未体験ですが、Youtubeで見ていると一度訪問してみようと心が動きます。
住所:台南市北門區三寮灣127之3號
8:30〜11:30・12:30〜16:30(年中無休)
入場料:100元
紹介サイト:東隆宮文化センター
保安宮では他の廟と同じように、主祭神の他にも沢山の道教神や土地神、そして仏さま関係も含め数多くの神が祀られています。
こちらは平面図がなくちょっと説明しにくいのですが、二階構造になっており、一階は正殿と後殿、二階は大殿に左右の廂房という配置です。
月下老人
月下老人は後殿の左側に独立して祀られています。
たくさん祀られている中の一人とか、三体祀られている中の極端に小さい神体というよくあるパターンではなく、堂々と立派にお祀りされているのがとっても気に入ってます。
そして、観光ルートから外れて、地元の方の信仰の場所であり、ゆっくりとお願いできるのがいいじゃありませんか。
そうです、実は、天公廟にも増して私のお気に入りの月下老人参拝所がここ、保安宮なのです。
南廠代天府保安宮の奥に進むと、なんと贔屭(ビーシー)がいるではありませんか。
龍は九子を産んだとされ、その中の一子が亀によく似た贔屭です。
実はこの贔屭には逸話がありまして、こんな内容です・・・
赤崁樓には九匹の贔屭がいますが、これは大陸で作らせて船で運ばれてきたものです。
10匹作らせたのに9匹しかいないのは、一隻の船が沈んでしまったからだそうです。
台南周辺の海はやがて浅瀬となり、沈んだ船が水面に上がってきたので、最後の1匹が無事取り出され南廠代天府保安宮に祀られました。
なぜ保安宮なのかはわかりません。一説には贔屭が迷ったとも言われているとかなんとか^^
正統鹿耳門聖母廟
最後にご紹介するのは鹿耳門にある世界最大の聖母廟です。まあ一回行ってみてください。呆れるほど広いですから。
敷地面積は東京ドーム約10個分ほど(40ha)で延べ床面積は2万坪を超えると言われています。もう宮殿かお城と表現したほうがいいくらいです。
信仰の力って大きいですね。
次に歴史についてですが・・・
鄭成功が台湾に初めて上陸した場所が鹿耳門で、その際オランダ軍を駆逐できたのは鹿耳門媽のおかげだとして、地元民が元から信仰していた媽祖廟を大規模改築しました。
しかし1831年に川の氾濫で媽祖廟は流されてしまったのです。
ここで一旦途切れたのですが日本統治時代に再建され、更に1981年に大改修工事を経て現在の姿になったと言われています。
実は、ほぼ真南5kmくらいの場所に鹿耳門天后宮が戦後に建立されていて、そもそも鄭成功が台湾で最初に建立したのが鹿耳門天后宮である、としてその正統性を争っているのです。
天后宮の方が最初の場所に近いという説もあります。
しかし真実はともかく、広さも参拝者の数も雲泥の差であり、如何ともしがたい圧倒的な現実があるということでしょう。
それはともかく、正統鹿耳門聖母廟はこれだけ広大であるにも関わらず、仏神の祀られている建物はオール二階建てで仏祖殿に至っては三階建になっています。
当然祀られている神様の数もとんでもない多いさですが、建物ごとの分類は・・・
- 前殿は玉皇上帝や五府千歳関係
- 本殿は聖母(媽祖)関係
- 後殿は仏教関係その他
おおよそこういうふうになっています。
台南に多くある古廟とは違って歴史的な価値はあまりないようですが、それを補って余るほど行く価値はあるでしょう。
月下老人
はっきりいってここの月下老人の人気はすごいです。なんども申してますように台湾各地に分在する月下老人に上下のあるわけがないですが、廟により人気に大きな差があることは確かです(良し悪しは別として)。
まあ写真を見てください。数えきれないカップルが希求成就してるんですね。その数実に2万カップル以上ですって。
こうなると、実績が人を呼び、それが更なる実績となって、また更なる人を呼ぶ、というような図式になるのでしょうか。
一番奥の後殿の3階左側に祀られています。
旅行者にとってはちょっと遠くて不便ですが、お願いに行く価値は十分にあるでしょう。
バスもしくはタクシーの二択です。
タクシーの場合は、正統鹿耳門聖母廟と合わせ、四草保護区を見て回るようなスケジュールをたて、半日契約で乗るのがいいと思います。交渉はホテルでやってもらってください。
バスは台湾好行99台江線のみです。休日は30分に一本程度ありますが、平日はぐんと少なく注意が必要です。
- 台湾好行99台江線 路線図
- 台湾好行99台江線 時刻表(休日の時刻表は「假日班表」をタップ(クリック)して開いてください)
まとめ
台湾の京都、台南の七ヶ所の廟に祀られる月下老人のご紹介をいたしました。
いかがだったでしょうか。「もう行くっきゃない」と思っていただけたら幸いです。そういう行動を積極的になさるあなたには、きっと幸運が舞い降りてきます。
それと同時に、是非幅広く台南の宗教文化にも興味をお持ちくださいね。
実際にいくつもの廟を訪ねるとわかってきますが、媽祖・道教・仏教その他の神々が融合して台湾人の心に根付き、強い信仰心となって現れているということだと思います。
多くの人はそんなにゆったりと時間を持って台湾にいけるわけではないでしょう。
でもね、私いつも申し上げるのです。多くを見て回るより、絞ってじっくり肌で感じるように巡る方が後々まで残りますよ。
特に今回のように寺廟にお願いにゆく時は。
台湾の文化や歴史や風景や美味しいものを体験して、ますます台湾が好きになれたらいいですね。
そして、そういう積み重ねの中で月老が恋愛希求を叶えてくだされば、もっといいですね。
成就の折には必ずお礼参りにもお運びくださいね。そしてその時は、星のように沢山貼られてる写真の中に、あなた達カップルの写真も加えてください。
以上、台南の月下老人のご紹介でした。
台南観光シリーズ
✈ Time for Taiwan !!
ユウさん、こんにちは!
1年程前に妹と2人で初台湾行きます。とコメントした者です。行ってからお礼のコメントするつもりが、忘れておりました…。申し訳ございませんm(_ _)m
ユウさんのブログ、ドライフルーツとかカラスミとか大変参考になりました。現地で妹がネット検索してカラスミ探した時も偶然ユウさんのブログ見つけてました(^^)
カラスミもドライフルーツも美味しい物が手に入って大満足でした。
でも初台湾なのに1泊で、雨に降られ続け満喫し切れず 、ついに来月1人で3日間台湾へ旅行しに行きます。今度はエステ系も満喫する予定です。日本より安いんですね。あと、マッサージ好きなのでアロママッサージとか。
ユウさんのブログ、購読してます!これからも参考にさせて頂きます(^_^)
愛子さま、ご無沙汰をしています。お元気そうで何よりです。
実は、エステやマッサージを私はあまりオススメしていないんですね。
文化や習慣が違い、言葉も不自由すると、結構嫌な思いをされる方が多いんですね。
人的サービスはリスクを伴うと覚えておいてくださいね。
私の思いはいつも一つです。
とにかく台湾でいい思い出を作ってください。
それだけです。