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爪表面の変化が気になる
爪を見る機会は多いです、特に手の爪は。それだけにちょっとした変化にも気付きやすいですよね。
なんせあなたも私も、朝から晩までほぼ手を使ってあらゆることを行なっています。その指先にあるのが爪なので、爪の異変にはすぐに気がつくわけです。
また、爪は健康のバロメーターとも言われ、綺麗な状態から何かしらの変化をしていたら、それは体にとって良くないサインかもしれません。
毎日使う手だからこそ、ある程度、爪に関する知識は持っておいた方がいいでしょう。
そこでこの記事では爪に関する基本的な情報から、タイトルにあるような爪の変化に関する理解、さらにはそれらとは別に、女性特有の爪問題にも言及していきます。
従って記事タイトルから離れる部分も多いですが、タイトルに盛り込めなかった部分も相当重要です。というわけで、爪のトラブル全般について一緒に考えていきましょう。
爪の役割
爪と髪はいづれも皮膚が角質化してできたもので、主成分は双方ともケラチンです。不思議ですね、全然違うように思える両者ですが、実は親戚であり性質もよく似ています。
さて、指の骨は爪の半分くらいまでしかありません。ちょっと指先を触ってみてください。骨、ないでしょ。
ということは、もし爪がなければ指は何もできないことになります。指先にかかるプレッシャーに耐えられないし、器用に小さなものを摘むなんてこともできません。
足の指も同様です。絶え間なく指先に力がかかっても問題なく歩けるのは、それを受け止め支える爪があるからです。
このように爪は各指先を保護すると同時に、指が持っている機能を十分果たせるように、重要な役割を担っているんですね。
次に、爪の各部分の名称や構造、そして爪が生まれる過程その他についてお話を進めていきます。
爪の生成と構造
爪の構造と各部の名称
指先の絵に各部の名称を入れました。これを元に以下のお話を進めていきます。なので時々絵に並べた名称と場所を確認してくださいね。
爪の生い立ち
爪は、上の絵のように、目に見えている部分だけではなく、見かけの根元より更に下の部分があり、皮膚に隠れて存在しています。
実はここにある爪母が絶え間なく爪根と呼ばれる部分を作っており、爪根はちょうど爪母に包まれるように存在しています。
爪根は上に押し上げられていきますが、やがて白い半月状をした爪半月となります。この爪半月が目に見える爪の根元なんですね。
爪半月が爪本体(爪甲)に比べ白いのは、まだ完全に角質化しておらず水分を多く含み、そのために乳白色になっているからです。(別の説も複数あります)
爪半月が見える見えない
半月状部分(爪半月)が見える見えないのお話です。
爪半月が綺麗に見えて全体に手入れされている爪は綺麗に見えますね。ところが、自然のままでは、ある一定の法則で見えたり見えなかったりするんですね。
それってどういうことでしょう?
出来立ての柔らかい爪を保護する皮膚を後爪郭と呼び、後爪郭の一番先頭の0.5〜1mmくらいの部分を甘皮とか爪上皮とかって呼びます。
で、この甘皮と後爪郭のありようで爪半月の見え方が変わります。遺伝的要素もあるんですが、一般的には・・・
- 親指が一番見えて小指はまず見えない
- 左手より右手の指がよく見える(よく使う指)
- 赤ちゃんの頃はほぼ見えず20歳前後が一番見えて50歳を超えるあたりから急速に見えなくなっていく
以上のような特徴があります。
爪半月が見えた方が健康だという都市伝説がありますが、まさに都市伝説であって、見えようが見えまいが健康とは何の関係もありません。
ネットで調べると「甘皮処理をしないと必要な水分が奪われ乾燥して爪が綺麗に伸びない」とかって結構盛んに書かれています。
でもちょ〜〜っと待ってください。医者でそんなこと言っている人います? 一人でもいますか? 医学的な論拠がどこかに書かれていますか?
確かに爪を綺麗に見せる一つの手段ではあります。マニキュアも綺麗に仕上がります。
しかし、それと爪の健康とは何の関係もありません。下手すると、爪の根元を傷つけたり細菌が入ったりしますよ。
爪の成長の速度
爪は誰でも伸びます。でも、同じ人でも一様ではないのですね。
赤ちゃんや高齢者では 0.07mm/日くらい。 一番伸びるのが20歳前後で 0.1mm/日くらいです。
また寒くなると伸びの速度が落ちてきます。という事は、暖かくなると伸びの速度は上がるんですね。
爪の構成成分と硬さの理由
爪ってとっても硬い反面、結構柔軟です。これは非常に大きな構造的特徴です。
人間の体を構成する物質で一番多いのは、水以外ではタンパク質です。そう、爪の主な構成要素もケラチンというタンパク質です。
ケラチンには、システインが2つ結合してできたシスチンという物質がたくさん含まれています。このシスチンが多いと硬く丈夫で安定度が高くなるのです。
しかも、爪甲は三層構造で上と下の繊維は縦向き、真ん中は横向きになっているので外圧に強いわけです。ちょうど合板みたいな作りですね。
以上、爪の構造や生成過程や性質などについてお話ししてきました。次に、爪の健康や状態変化の意味するところなどについて述べていきます。
健康と爪
爪の色と健康
よく、爪は健康のバロメーターって言われます。爪の形や色によってその人の健康状態が推し量られるということですね。
健康な爪は指先の形にそうように湾曲し、表面はつるっとして先にまっすぐに伸び、色は綺麗な薄ピンク色をしています。
健康な爪甲はほぼ透明です。それは爪甲の下の部分の色を映していることを意味します。
下の部分とは、爪甲を支えている爪床と呼ばれる皮膚です。
そして、爪床には毛細血管が集まっているので、その色が爪甲に反映されているというわけです。
ですから、もし何かしら見た目が違う場合は、爪が何らかの色に濁っているか爪床に異常が発生しているか、それなりの注意すべき事情が潜んでいる可能性があるのです。
変形と考えられること
爪甲の縦線
爪に縦の線が一杯できる状態です。これにはいくつかの理由が考えられます。
- 老化現象
- 乾燥
- 過労
- 睡眠不足
- ストレス
しかし、ほとんどの場合は老化現象です。だんだん皮膚につやがなくなりシワが増え弛んでくるのと同じです。
爪甲には適度な脂質成分があり、これが爪床から爪甲に運ばれる水分を保持する役割を果たしています。
そして爪甲に含まれる水分は保持されつつも蒸発はするので、絶えず爪床から補給されるという仕組みになってます。
このサイクルが崩れててくると、乾燥して縦の凹凸、つまり縦線ができるのです。
過労や睡眠不足や過大なストレスでも同じように乾燥する事があり、結果として縦線が出ることになります。この場合、高齢でなくても出るときは出ます。
縦線を防ぐ方法
こういう症状は劇的に改善はしません。いくつかのことを根気強く毎日実行していくことが大切です。
例えば、特定の栄養素が不足していることが原因だとすれば、「食習慣を改善する」という発想が必要です。即サプリってなるのは、それは違います。
では、改善のために毎日やるべきこととは・・・
- 生活習慣の改善(規則正しい生活・睡眠時間の確保・適度な運動など)
- 食生活の改善(好き嫌いではなく必要なものを満遍なく特にビタミンB郡を積極的に)
- ハンドクリームを手はもちろん爪を支えている周囲の皮膚によく刷り込む
- ネイルオイルを爪とその周囲に塗る
- 爪甲が薄く弱い方は保護・補強用のベースコートを塗る
再度申し上げますが、もしこれを読んで実行しようと思ったら、即効性を求めず根気強く続けてください。忘れた頃にふと指先を見たら綺麗になってる、ってそんなもんです。
爪に縦に黒い筋が出ることを指します。
赤ちゃんにもありますが、多くは時間とともに消えていく場合が多いです。
もう少し成長してからの黒色縦線は要注意で経過観察が重要です。
爪を作り出す爪母にある色素細胞が活性化して変色する場合などは(爪白癬・爪カンジダなど)原因になる病状が完治すれば時とともに消えていきます。
ですがもし、幅が広がったり色が濃くなったりしてきたら悪性黒色腫の可能性もないとは言えないでしょう。
何れにしても、おかしいと感じたら早めに皮膚科直行です。
爪甲の横線
爪を作っているのは爪甲の根元、皮膚に隠れている爪母でしたね。ここに何らかの理由で異常が発生した時に出来た爪が、上へ上がってくると横の筋を作っている場合があります。
原因は・・・
- 爪が何かにぶつかるぶつける
- 甘皮処理で傷つける
- 病的原因
- 栄養不良
原因に自覚があるならいいですが、そうでない場合は、とにかくおかしいと感じたら皮膚科で診てもらうのが一番です。
スプーン爪
外側に反り返っている爪のことです。外圧で起こる場合もありますが、よくあるケースは鉄欠乏が原因の貧血です。
なのでこの場合、食生活の改善が必要です。先にも述べましたが、サプリではありませんよ。
- 偏食をしない
- きちんと管理されていないダイエット中なら中止する
- 鉄分とたんぱく質の摂取(魚介・肉・大豆・卵・レバー・ひじき・小松菜など)
- 体と爪に優しい生活をする(規則正しい睡眠時間も確保した生活)
病的な貧血が疑われる場合はもちろんお医者さんへGoです。
巻き爪
特に足の親指に多く、爪が変形して巻いて皮膚に食い込み、無理して歩くと激痛が走ります。
原因の一つは、足に合ってないのにファッション性重視の靴を無理やり履いて長時間過ごすことです。そうすると、本来ない筈の圧力が足の指にかかり、爪が変形せざるを得なくなっていきます。
爪先立ちの状態で長時間立っていても同様の負荷がかかるので、やはり巻き爪になる可能性はあります。
これは足が辛いと感じる原因をなくすともに、医者に行って治療を受けるのが一番です。医者でなければできない治療法があります。
爪の変色と病気
爪の色についても簡単に触れておきます。もし気になるところがあれば、お医者さんに診てもらいましょう。
- 白っぽい:貧血
- 黄色っぽい:呼吸器系疾患・水虫
- 赤っぽい:循環器系(心臓・脳)疾患
- 赤黒っぽい:肝臓系疾患
ということで、日常的な爪の異常について見てきました。ここまで読まれて何か感じませんでしたか?
そう、ちょっと健康に気を使った生活を普通に送っていれば、爪に異常が出るようなことはあまりないんですね。もちろん歳をとってくれば、上記のようにそれなりの変化は出てきますが。
ですからベタですが、やっぱりちゃんとした日常生活の継続は大切なんですね。
爪を弱くしない方法
爪にとっての大敵は乾燥です。乾燥すると爪は弱くなり、破れたり引っかかったりします。だから乾燥させてはダメなのです。
ところで、爪甲の下には爪床という皮膚があり、そこから爪に水分が絶えず供給されています。
爪からは水分が常に蒸発していますが、適切な油性分が爪にあるとそれが適切な水分を確保してくれます。
なので、私のような老化現象が現れていない健康体であれば爪も健康である筈です。
でも何らかの原因で爪の乾燥状態が続くのであれば、これを防がねばなりません。とっても大切なことです。
やることは簡単、寝る前に油性のクリームを手と爪と爪の周辺に刷り込むだけです。
私はアレルギー体質で、毎日処方された油性ベースのクリームを足に塗っていますが、これをついでに指と周辺にも擦り付けてます。
それだけで全然違います。
さて、爪にとって水分を適切に保持することが大切だと申し上げましたが、実は多くの女性が毎日のようにそれを妨げる行為をしているのです。
- マニキュア
- 人工爪
この記事の最後にこれらが爪にとってどれほど良くないかを説明してゆきます。
ネイルエナメルは恐ろしい
いわゆるマニキュアですね。多くの女性が当たり前のように毎日使用しているわけですが、爪にかなりのダメージを与えるって知ってますよね。
爪には適切な水分保有が大切なんだと何度もお話ししましたが、マニキュアの有機溶剤が水分を奪ってしまいます。
なぜなら、爪にマニキュアを塗ると保湿に必要な爪中の脂質成分が溶け出てしまうからで、これは保水機能を失うばかりでなく、バリア機能をも破壊しているのです。
その結果、黄色に変色したり、脆くなって爪甲の層が分離して剥がれたり、柔軟性がなくなってすぐにヒビが入ったり・・・
じゃあ有機溶剤を減らせばいいじゃないかという議論になるわけですが、そうはうまくいかないのです。
減らすと、マニキュアの安定性や使用性が非常に悪くなってしまうからです。ですから程度問題ではありますが、完全に無くすことは容易ではありません。
世の中には「爪にダメージを与えない」と謳っているマニキュアが存在していることは知っています。
もしそれが本当で、且つ多くの女性が利用可能な価格で、そして毎日それを使っているのであれば爪は健康でしょうし心配もいらないでしょう。
でも実際のところ、ここで問題提起していることが大きく解決される方向へ行っているとは思えません。
荒っぽく言えば、マニキュアって本質的にはラッカーペンキと同じですから、そう理解すれば爪によくはないだろうと想像はつきます。
ですから、爪に張り付いた色を溶かしとる除光液も当然有機溶剤が使われており、というよりほぼ有機溶剤であり、間違っても爪に良いとは言えないのです。
私が学生の頃、シンナーを吸う人たちが結構いましたが(運動クラブの先輩にもいて、子供ながら知った時はショックでした)、こういった有機溶剤はもう本当に恐ろしいです。
しかも、呼吸器からだけではなく皮膚からも吸収されるのです。下手をすると・・・
- 神経の障害
- 肝臓の障害
- 造血の障害
など、とんでもない現実が待っています。
人工爪が良くない理由
まだ経済人として現役の頃、よく接待したりされたりで飲みに行ったわけですが、人工爪についてはお店のホステスさんに色々と教えてもらいました。
とんでもなく長くしたりキラキラにしたりと、まあ、美しくということなんでしょう。
でもどう考えても、これってトラブルの元でしょう!?
人間の手は動作の要じゃないですか。もっとも意識してよく使う器官。日に何度も水道水に浸かるし。
その要となる手の指で、爪がどれだけ重要かは先に申し上げてきた通りです。
この重要な爪に何かを貼り付けるのですよ。しかも貼り付けたら剥がさねばならない。
- くっつきを良くするため甘皮を切り取り(傷ついてり細菌が入ったりするかも)
- 接着剤(有機溶剤)を塗布し
- 剥がすためにまたリムーバー(有機溶剤)を使用する
有機溶剤がとんでもなく良くないことは先に述べました。そういった幾つもの薬品は間違いなく爪を弱くします。何度も何度も、つける→外す→つける→外す、といった行為により確実に爪は弱くなっていきます。
また、爪甲は爪床から常に水分補給を受け、油脂成分によって自然管理されて適量が蒸発することを繰り返すわけですが、接着剤べっとり+人工爪でこのサイクルが切られてしまいます。
さらに、長期間つけているジェルやスカルプチュアの場合は、細菌が繁殖してグリーンネイルになったり感染症を引き起こしたりする事例も珍しくありません。
一方、人工爪に使う各種薬品が皮膚につくとかぶれを起こす可能性があり、それはそれで難儀です。場合によってはアレルギー反応を起こすこともあります。
こういった数々のトラブルに見舞われると、元どおりになるまでには非常に長期間を要する場合もあるのです。
最後に、人工爪を実現するための材料や道具は、どれもこれも非常に引火しやすく火事になりやすいので、この点も要注意です。
サロンには揮発性の高い溶剤をたくさん置いてますし、ろうそくを炊いたりしてますし、そこでタバコの火をつけたら火事になって火傷をしたという報告もあります。
マニキュアと人工爪の危険性について述べてきましたが、これだけ多くのリスクがあるのに、やっぱり爪のデコレーションを続けるのでしょうか?
まとめ
爪についてかなりの角度から色々と見てきました。
- 爪の構造
- 爪の代謝
- 爪の異常と対処(変形・変色)
- 爪デコレーションの危険
少なくとも爪の重要性とデリケートさについては再認識していただけたと思います。
とともに、爪の健康を保持するために、日々の生活の中で気をつけるべきポイントを押さえておく必要があることも述べた通りです。
色々と述べましたがまとめると簡単で、爪の健康を維持するためには・・
- 規則正しい生活
- 一定量の睡眠
- 偏りのない食事
- 爪の過度な負担になることをしない
こんな当たり前のことなんですね。
トラブルがあった時は、何らかの商品に頼り即効性を求めるというスタイルが当たり前になってますが、他の記事でも繰り返し申し上げている通り、違うと思うのです。もっと地道なものだと。
また多くの女性が行なっている爪のデコレーションについて、かなり否定的なお話をしていますが、なかなか受け入れられないでしょうね。
でも、縁があって読んでくださった女性のうち、一人でも二人でも立ち止まって考えてもらえるなら、この記事の意味はあるのかなって思います。
また先にも述べましたが、業界が改善に力を注いでいるのは、業界に知り合いがいることもあってよく知っています。
ただ全体を見渡した場合、多くの女性が安心しておしゃれができるほど安全性が増しているとは思えません。
さて最後に・・・
お互い爪を大切にしましょう。虐めないで守りましょう。健康な爪こそあなたが健康であることの証です。
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