目 次
エアコンなしでは過ごせない夏
今日は7月24日午後3時ですが、ネットで各地のリアルタイムな気温を調べると、僅かに北海道や東北地方の北部以外は全地域30°超えになってます。それどころか7月23日には埼玉県熊谷市において、観測史上最高気温となる41.1°を記録しています。
各地で38°、39°が連発。大阪も連続猛暑日がもう少しで2週間となる勢いです。また熱中症を発症される方が毎日大勢おられ、これによる救急搬送数は昨年を大幅に超えているようです。
もうエアコンで適切に室温調整をしないと生活するすべがありません。もちろん、退職して家にいる私もエアコンさまさまの毎日です。いったい何日連続運転しているのでしょう。
しかし・・・手放しでエアコンさまさまとも言ってられないのが辛いところで、ちょっと見てください。
エアコンの電気代比率が大きい!! ただでさえこの状況なのに、今年の夏のように超異常気象だと、エアコンの電気代はどうなるのでしょう? 請求金額を見るのが空恐ろしいですね。
まあお世話になっている以上、電気代は覚悟するとしても、少しでも節約できればそれに越したことはありません。
という事で、今回の記事のテーマはエアコンの電気代節約です。切り口はいくつもありそうですが、とりあえず・・・
- つけっぱなしにする
- 都度入り切りをする
どちらが得なのか? を出発点にしましょう。時々SNSでも話題になってますしね。
説得力ある検証事例
2016年8月にダイキン工業株式会社が、今回の記事にドンピシャな実験をされています。それをここでは要約します。
2016年の8月に2つの実験を2日かけて行われました。大阪市内にある鉄筋コンクリート造り14階建の2Fと3Fにある同一間取りの部屋を使用しています。
実施条件は2日とも非常に似通った気象条件で以下の通りです。
- 最高気温:36.3°(2日目36.9°)
- 天気:晴れ時々曇り
- エアコン設定温度:冷房26°
- 風量:自動
- 実験時間:9時〜23時(日中:9時〜6時、夜:18時〜23時)
そして、行われた二つの実験内容は次の通りです。
- 実験1:部屋1はつけっぱなし、部屋2は30分ごとに入り切りの繰り返し
- 実験2:部屋1はつけっぱなし、部屋2は外出時は切る(日中に3回合計2時間切る、夜に1回2時間切る)
詳しい経緯説明はダイキンのサイトで読んでいただくとして、ここでは実験の結果を紹介しますと・・・
- 実験1の結果:日中はつけっぱなしが得、夜は30分ごとに入り切りが得
- 実験2の結果:一日の総電気消費量は、つけっぱなしが5.7kWh、都度切りが4.4kWhでつけっぱなしが損
以上の実験から出た結論(推察)は・・・
因みに実験2の結果を1日の電気代にすると、つけっぱなしが153.9円、外出時に切ると118.8円で、つけっぱなしの方が35.1円損になります。(料金単価は27円/kWhとする)。
わかりやすい動画にもまとめられています。
上の動画でも解説されてますが、この実験で検証していたのは、下の絵表にある黄色部分の面積の大小比較なんですね。つけっぱなしの黄色面積が、こまめに入り切りの黄色面積より必ずしも小さいとは言えないというのが結論です。
結論
必ずしもつけっぱなしが得ということではありませんでした。
でも、我ながら意外でした。もちろん2時間3時間と外出するのであれば「切ったほうがいいだろう」というふうに漫然とは思ってましたが、まさかたった40分足らずの外出でもつけっぱなしが損だなんて・・・
ダイキンの実験では外気温と設定温度の差が10°以上あってこの結果ですから、それ未満だと、ますます運転開始時の必要電力量が少なく済んで省エネ運転に移行しますから、外出時のつけっぱなし有利な時間は小さくなっていきます。
さて、ダイキンの結論は特定の条件下という事もありますが、使用されているエアコンは最新です。これが、うんと古いエアコンだとまた話は変わってくるでしょう。
ちなみに新旧モデルの年間電気代を1例比較をしてみると(ちょっと極端ですが)・・・
- 1995年モデル・冷房能力2.2kW:年間消費電力量616kWh・年間電気代約16,640円
- ダイキンAN22VRS・冷房能力2.2kW:年間消費電力量186kWh・年間電気代約5,022円
その差は・・・16,640円-5,022円=11,618円 !!!
新旧ではこれだけの能力差(電気代の差)があるんですね。今年のような異常猛暑続きだと、きっともっと差が出ますね。あんまり古いモデルは精神的に連続運転ができないかも^^(1995年モデルは環境省の「しんきゅうさん」で探しました。)
こまめに損得を考慮することも大事ですが、快適性を重視するのもアリだと思います。
とにかく一旦切ってしまうと、当然また室温が外気温に近づくわけで、帰宅して「あち〜」と思いつつ都度エアコンのスイッチを入れるより、多少の損なら運転したまま出かけるという選択肢もありかもしれません。
もし長時間の外出ならエアコンを一旦切って、帰宅時刻がはっきりしてるなら、その15分前くらいから運転するようにタイマーをセットしておくのもグッドアイデアでしょ。
ここで、つけっぱなし問題から離れて、次の疑問「自動運転冷房の損得」について考えてみます。
インバータによる自動運転と節約
上のダイキンの実験では、エアコンの運転は「自動」モードでした。この自動運転と電気代の損得について考察します。で結論からいうと、そう、実は自動運転が一番電気代を節約できるのです。
インバータとはエアコンの場合はモーターの回転数を制御する半導体回路のことですが、回転数の制御=風量の制御に繋がります。
そして風量(風速)の調整モードにはメーカーにより呼び名はいろいろですが、だいたい「強」「中」「弱」「微風」みたいな選択肢であり、全部おまかせにしたければ「自動」というモードになります。
電気代を最も節約できる運転とは、設定温度になるまでは「強」運転をしてできるだけ短時間で設定温度を実現し、そのあとは省エネモードに移行して電気消費量を抑えるスタイルです。
部屋の中にいる人間はエアコンの見張り番じゃないので、自動運転と同じことを実現するために監視し続けることは不可能です。それに「自動」運転よりタイミングのいい運転移行もできないでしょう。
またよく、電気代がもったいないと「弱」運転を続ける方もおられますが、それだと室温が「設定温度」に到達するのにより多くの時間を要し、かえって非効率で電気代がかかります。
ですから、人間は希望室内温度の設定だけをやって、あとは自動運転でエアコンで任せるのが、一番快適で省エネな方法なのです。
これとは対照的なのが一昔前で、インバータのない時代のクーラーは風量調整はオンとオフしかなく、これで温度調整をしていたから悲惨でした。オン・オフ・オン・オフ・オン・オフ・・・って、それは電気代も高くなるでしょう^^
自動運転の次は、これも割と以前からよく話題になる除湿運転のお話です。
除湿運転と冷房はどちらがお得?
生前の母は除湿運転の熱狂的信者で、「除湿運転がお得で体にいい」と信じ、周りが何を言おうがどんなに暑い日でも除湿運転でした。さて、真実はどうなのでしょうか?
エアコンの除湿機能は字のごとく室内の湿度を下げる機能なんですが、基本的には、エアコン内でやっていることは冷房と同じです。
つまり、部屋の空気を吸い込んで冷やして結露させて、その水を室外に放出して乾いた空気を室内に戻します。コップに氷水を入れて放置すると、周囲の空気を冷やしてコップが結露するでしょ。あれと同じ原理です。
ただ、冷房が目的ではないのであまり温度を下げず、エアコンで設定されている目標湿度になるまで弱い冷房運転を行っているのです。(弱冷房タイプ)
ところが技術が進み、除湿のために冷やされた空気を温め直してして、冷たくない空気を室内に戻すようなエアコンも出てきています。(再熱除湿)
温め直しっていかにも電気を喰いそうですが、確かにそうだったのですが、いまの機種はその点かなり改善されています。
更には、部屋の湿度を常にモニタリングして細かく湿度調整をするハイブリット除湿なんて技術も開発されています。
一般的に消費電力の大きさは・・・
再熱除湿 > 冷房 ≧ ハイブリット除湿・弱冷除湿
と言われています。「じゃあ、いつも弱冷除湿でいいじゃん」と思います?
快適に過ごすことがエアコン運転の目的なのに・・・
- 弱冷除湿で暑いのを我慢しますか?
- 梅雨の時期に弱冷除湿で肌寒い思いで過ごしますか?
やはり、ついている機能は状況により上手に使い分けるのがいいのではないでしょうか。その上での節電でしょう。そうでなければ本末転倒になってしまいます。
では次に、誰にでもできるお手軽な身近な節電方法を一緒に見ていきましょう。
身近な節約方法
ちょっとした工夫で節電できる可能性のあることをいくつか紹介します。尚、節約効果の金額は資源エネルギー庁の「上手な省エネの方法」から持ってきています。
設定温度を1°上げる
快適に過ごすための設定温度の上限限界は28°だと個人的には考えています。それ以上だと暑さを感じてエアコン利用の意味があまりないと思うのです。
あなたの上限限界温度は何度かわかりませんが、もし可能であればいつもの設定温度を1°上げる挑戦をしてみては如何でしょうか。
これによる節約効果は年間約670円です。(エアコン2.2kW・外気温31°で27°から28°にあげた場合)
冷房を1日1時間短縮する
もし一日1時間ずつ冷房時間を短縮し続けた場合、年間の節約額は約410円となります。(設定温度28°)
これは簡単そうで案外難しいかもしれません。今年の夏のように「外出は危ない」と言われるほどの猛暑が続くと、もしズ〜っと室内にいるなら、エアコンは止めれないですよね。
どうすればいいんでしょ。早寝早起きが可能なら、早朝の1時間は切って窓を開けて、とかでしょうか。
フィルターを掃除する
1ヶ月に1〜2回フィルターの掃除をすると、目詰まりしたまま使うより、年間約700円の節約になります。(エアコンは2.2kWとする)
こまめなフィルターの掃除と、数年に一度、業者にお願いしての機体内の掃除が有効なのは疑う余地がありませんね。
最近のエアコンは「フィルターの自動お掃除機能」(高級機は熱交換器もお掃除)がついているって知ってますよね。うちのエアコンにもついてます。
実は、これが全く役に立たない。人の手による掃除が不要どころではありません。安心して放置していると、5年も経つと内部は悲惨なことになってます。本当です。
しかも、「自動」分だけ内部構造が複雑になり、業者さんに掃除をお願いした時の料金が割高になる可能性まであります。
買い替えするときは、この点をよく覚えておいて勘案する必要があります。
風向き水平+扇風機
室内温度・湿度のムラをなくしましょうという事です。特に部屋に複数の人がいるとわかりやすいのですが、ムラがあると、人により快適であったり暑く感じたりします。
もし暑く感じる人に合わせて設定温度を下げる、ということを常時やっていると、結局はエアコンの効率運転から遠ざかります。
対策はいたって簡単ですよ。冷気は下にたまるので・・・
- エアコンの風向きは水平か上向きにする
- 部屋の角に扇風機を置いて反対の上角に向けて風を送る
こんな工夫でいい感じで空気をかき混ぜてくれます。
カーテン・ブラインドの利用
もし部屋に直射日光が降り注いでいれば、せっかくのエアコン効果も半減なので、カーテンやブラインドで直射日光を遮らなくてはいけません。
室外機の周辺
室外機は吸排気によって熱交換をして室内の温度調整をするというエアコンの要であり、エアコンにかかる電気代の多くはここで使われています。
それだけに、周辺環境を整えることはとっても大事で、注意しないと、いつの間にか室外機の空気の流れを邪魔する環境になっていて、それが非効率化を招いて電気代も高くついてしまいます。
対策は難しくありません。
- 室外機の周辺に物を置いたり草木を植えたりして吸排気を遮らない
- 室外機は日陰に置く
簡単でしょ。もし室外機に直射日光が当たる場合は屋根をつけるとか何らかの工夫が必要です。で、その場合も吸排気の流れを遮らないように気を配ってください。
twitterに載っていたアイデアが面白かったので紹介します。
- 水の入ったバケツを室外機の上隅に置く
- 空いている室外機上部を覆うように濡れタオルを敷く
- タオルの端をバケツの水につけておく
というものです。
そうすると、タオルの水分が気化されて室外機の熱も奪われます。一方、タオルはバケツの水に浸かっているので、毛細現象で常に水がタオルに供給されるという仕組みです。
賛否両論あるようですが、どうなのでしょう? 明らかに効率が良くなったって方もおられますよ^^
ちなみに、室外機に直接水をかけるのはNGだとメーカーのサイトに注意書きがあります。ただし、室外機の周辺に打ち水するのは効果ありです。
まとめ
エアコンの利用方法と節電について考えてきました。中でも、ダイキンの実験内容と結果についてはとっても勉強になりました。あんなに短時間でつけっぱなしのメリットがなくなるなんて・・・
とともに改めて、そんなにダイナミックな節電方法はないのかなとも。
でも、毎日のことなので出来ることはコツコツと積み重ねるのが大切ですね。100円は無理でも10円なら出来る、みたいな感覚でしょうか。
銀行に入った当初5年間くらいは毎日一般のご家庭を訪問していたので、一件一件のお家の経済的な様子はよく把握していました。
特に社宅なんかでは顕著にわかりました。同じような条件で生活して同じ給料をもらっていても、着実に貯金が増えるお宅があれば、貯金どころか生活費を借り入れするかもしれないようなご家庭も。
違いは、「コツコツ」が出来るか、何でも行き当たりばったりか。それだけです。
エアコンの節電でも全く同じかもしれません。目に見えなくてもコツコツ出来ることをするか、それとも「そんな細かいこといちいち気にしてられないよ」と何も手を打たないか。
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